煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

あるがままに聴いて楽しくなるVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 田園の稲穂は黄金色の稲穂が実り頭を垂れ下げ、草花は秋の様相を呈し、自然界は秋の向かっていますけど・・暑いです!、凄く暑いです!、何なんですかねこの暑さ・・、ヤバすぎですよ。ヤバすぎと言ったら、エバーグランデこと、不動産開発企業・恒大集団(こうだいしゅうだん)がニューヨークで破産法を適用して大騒ぎになっており、更に同じく不動産開発企業・カントリーガーデンこと、碧桂園(へきけいえん)がデフォルト危機というアチアチな鉄火場になっています。恒大集団だけでも負債が48兆円の負債が発生しており、ちょっとした国の国家予算並みの金額に、もしかして、リーマンショックを超える中国発の世界恐慌が来る?という憶測が流れていますね。コロナ禍が終わり、やっと平穏な生活が送れると思いきや、今度は世界恐慌なんてシャレになってませんね。それでは、317曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたいと思います。

 

 

 まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 

 人に化けれる動物・・通称、化け者。彼らは人間社会に紛れ、ひっそりと、たまには大胆に生きている。基本、一般の人間は化け者たちの存在を知らない。しかし、極まれに化け者たちの存在を知ってしまう人がいる。俺はひょんな事から彼らの存在を知り、それが元で彼ら又は彼女ら化け者たちと行動を共にするようになった。俺たちは今、化け者で化け猫に属するミケの修行のために、猫岳にある化け猫の隠れ里、修行湯治施設、化け猫修行館にいる。そこで思わぬ人物に俺たちは会う。それは、猫岳の登山する前にお世話になった民宿・峠の女将、村山さんの行方不明の飼い猫、キジ子がいたのだ。彼女は何故、家に帰らないと問い詰めた俺たち。彼女の口から出た言葉は衝撃的であった。なんと、人に化けた後、元の姿、つまり猫に戻る事が出来ないという。キジ子はこれからどうなるのか?、俺たちに出来る事があるのか?それはまだ分からない。

 

 「戻れない!?、えっそれってどうい事?」俺はキジ子の衝撃的な告白に戸惑う。「う、うぇぇ、そのままの意味よ!」とキジ子は泣きじゃくりながら返した。「み、ミケ!これは?」と俺は化け者であるミケに尋ねる。「まー、時々あるにゃあ」とミケはこの状況にあまり動揺をしていない様子。「時々ある?、じゃあ、原因とか分かっているのか?」と俺は再びミケに尋ねた。「あたい達、化け者が変化したり、驚異的な身体能力や特殊能力を発揮できるのは、化け力(ばけりき)の賜物にゃあ!、恐らく、化け力が空っぽだから元に戻れないにゃあ」とミケは効きなれない言葉を口にする。「化け力?、じゃあ!、それがあれば元の戻れんだな?」と俺はミケに問い詰めた。「戻れるにゃあ!、化け力は化け者が持つ力の源にゃあ!、化け力の総量と生産力が高ければ高い程、比例して化け者の能力は強くなるにゃあ、この化け猫修行館は化け力を修行で底上げ出来る場所にゃよ!」とミケは得意満面。「マジか?、それじゃあ、ここで修行すれば元の姿に戻れるんだな?、キジ子ちゃん!良かったね!、戻れるってよ」と俺はミケの救いの言葉に感激して、キジ子に声を掛ける。しかし、キジ子は泣き止んではいたが、暗い顔のままだった。「どうしたの?」と俺はすかさず言う。「ここの主、ギンコさんも同じ事を言ってた・・でも、数ヶ月ここで修行をしても戻れないの・・」とキジ子は今にも泣きそうだ。「おい!、ミケ!、話が違うじゃないか!、それに今、ふと思ったんけどさ、キジ子ちゃんが最初に変化した時の化け力は何処から来たんだよ!」と俺はミケに憤慨。「落ち着けにゃあ、化け者は血筋にゃあ、化け者の子は化け者にゃあ、この世に生を受けた時から体内で微量ながら化け力を生産しているにゃあ、徐々に溜まって、化けられる量まで増えて、偶然に化けられたにゃあ」とミケは言い立て続けに、「修行の方は、理解してちゃんとやってないからにゃあ」と俺をなだめる。そして、ミケはキジ子に視線を向け近づき、「おっし、乗り掛かった舟にゃあ!あたいがマンツーマンで修行を付き添ってやるから安心するにゃあ!」とキジ子の背中を叩く。キジ子は少しよろけながらも、「えっ、本当に?」と目をキラキラさせる。「猫に二言は無いにゃあw、あたいの修行のついでに明日からビシバシ鍛えてやるにゃあ、覚悟するにゃあ!」とミケは親指を立てた。「それじゃあ、明日からよろしくね!、フロントで待ち合わせって事で良いかな?」と俺はキジ子に確認。「はい、それでお願いします!」とキジ子はいい返事で俺に応え、「明日、朝6時に集合にゃあ!」とミケが時間を指定。「うん、分かったわ!、朝六時ね、じゃあ!」とキジ子は去り、俺たちはその背中を見送った。

 

 キジ子が立ち去り、俺たち二人は露店風呂の暖簾の方へ視線を向け、「それじゃあ、風呂に入るか?」と俺はミケに言い、「そうするにゃあ!」とミケが返す。そして、俺たちはそれぞれの性別が掛かれた暖簾を潜ると、棚に籠が何個も置かれた簡素な脱衣所が俺を出迎え、数人の化け猫の男がいて、その者たちはそれぞれのスタイルで元の猫の姿に戻り、頭に手ぬぐいを乗せてトコトコと歩いて露天風呂に向かう。俺は人間なのでいそいそと汗でぬれた登山服を籠に脱ぎ捨て、手ぬぐいを股間に当て露天風呂に向かうと、湯煙の中、甘いリンゴの香がしてきた。露天風呂は沢山の大きいリンゴがプカプカと浮かんでいて、奥が見えないほど広く、「うわっ、すごっ!」と俺は思わず声を上げる。俺は一刻も早く湯に浸かりたいと思い、洗い場に座り、シャワーで汗を流し、目の前の台に置いてある備え付けボディーソープを手に取った時、ギョッとする。何故なら、ボディーソープと思われたそれは猫用シャンプーだった。あっ、そうか・・、ここって化け猫の里だった・・どうしよう、これから一ヶ月猫用シャンプーで体を洗うのか?。俺は戸惑い辺りをキョロキョロすると、石鹸という文字を洗い場の一角に発見。俺はそこに近づくと真新しい石鹸が山積みに置かれていた。俺はいきなり手に取っる事に躊躇を覚え、注意深く辺りを観察したらゴミ箱の様なものがあり中を覗くとあまり使われてない石鹸が捨てあり、その一つを手に取ると、猫の毛が絡まっていてる。なるほど、これはでは使いまわしが出来ないよなw、仮に毛が絡まってなくても衛生上、無理だけどw。手に取った石鹸を戻し、真新しい石鹸の山から一つ拝借した俺は洗い場に戻り全身を塗りたくり、心地いいハーブの様な匂いが、全身の汚れと共に疲れも洗い流される感じだ。俺はシャワーで洗い流すと、石鹸の回収しているごみ箱に入れ、俺はようやく露天風呂に浸かった。

 

 露天風呂には色々な柄の猫が思い思いのスタイルで湯に浸かり、俺の方を一瞥する。人の姿で湯に浸かっているのは俺だけで、この場では浮いていて、仕方ないと言えば仕方ない。若干のアウェイを感じた俺は端へ移動すると、湯煙をかき分け何かが近づいて来た。俺は目を凝らすと、三毛柄の頭部がまるで水面を滑っている様な感じで近づく。そして、俺の目の前にピタっと止まるとそれは、大きい林檎をラッコの様に前足で抱きしめて背泳ぎをしているミケだった。「お、おまえ!!、何でいるんだよ?」と俺は驚き声を荒げる。「なんでって、ここは脱衣所だけが別で露天風呂は混浴にゃあw」とミケはクルっと俺に顔を向けて言う。「そ、そうなのか・・でっ・・お前、何やっているの?」と俺は呆れながらミケに尋ねた。「ここの露天風呂に入る時は、あたいはこのスタイルにゃあw、天空の夜空を眺めながら、すいーと水面を移動するのは楽しいにゃあw、志村!、お前もやるか?」とミケは自慢し、俺を誘う。「えっw、いいよw、俺じゃあ浮かばないだろw」と俺は辞退。「それもそうにゃあw、あばよにゃあ!」とミケは言い、器用にユーターンして、端の岩を蹴り向うの方へ泳いで行った。猫って背泳ぎ出来るんだ・・。俺は湯を顔に掛け、真上を見ると都会では見れない満天の星々が見え、「おお・・」と感嘆の声。汗だくになって、来た甲斐があったなw、明日から修行か・・、どうなるんだろう?、まっ、なるようになるかw。それから30分位、湯に浸かり、そろそろ出たくなった俺は、「ミケ!、先に上がるよ!」と湯煙の中のどこかにいるミケに声を掛ける。すると、バシャバシャとお湯を掻き分けながらくる音がして「待つにゃあ!」とすっぽんぽん姿のツインテールの女の子が登場。「うわっ!、お前、何で人に化けているんだよ!」と俺は背を向けて言う。「どうしたにゃあ?」とミケは事態を飲み込めない感じだ。この様な通常の人が取らない行動を目の当りにすると、ああ、本当に人ではないんだなと感じて切ない。「あっw、すまんにゃあw、志村に早すぎたにゃあw」とミケはようやく事態を飲み込み、「じゃあ、入り口で待っているにゃあw」とスタスタと歩いて脱衣所に向かった。俺は体を拭き、髪を乾かし終わると、紺色の作務衣に着替えて暖簾を潜り抜けると、「遅いにゃあ」と小豆色の作務衣を着たミケがいた。「お前が早すぎ何だよw」と俺は半笑いで抗議。「かー、志村の癖に口答えする何て10年早いにゃあ!、脱いだ衣服はフロントに預ければ洗濯をして貰えるから預けてから食事にするにゃあ!」とミケは先輩風を俺に吹かせつつ提案。「マジで?、いやーこの汗まみれの服をどうしようか考えていたんだよw、よし、そうしよう」と俺は快諾し、フロントロビーに向かった。

 

 フロントロビーに着いた俺たちは、受付カウンターに向かい、「すいません、この汚れた服を洗濯して貰えますか?」と俺は受付に汗まみれの登山服を出す。「はい、喜んでお預かりして洗濯させてもらいます」と受付の女性の化け猫は少しも嫌な顔をせず、俺の服を籠に入れ、「それではこの用紙にお名前と、お部屋のを記入して下さい」と用紙を出した。「はいはい、名前は志村、部屋は富士の間っと」と俺は用紙に書き記す。「ありがとうございます、お洗濯をして服が乾き次第、志村様が滞在している富士の間にお持ちいたします」と受付の女性化け猫が言って一礼。「よろしくお願いします!」と俺も頭を下げた。そして、俺たちはフロントでの用事を済ませたので食堂に向かう。食堂は平均的な旅館の宴会場を二つ合わせた広さで、時間が時間だけに、化け猫たちは沢山いたが、何故か静かに黙々と食べていた。「おいミケ、何でこんなに静かなんだ?」と俺はミケの耳に囁く。「この化け猫修行館の食事は基本、質素な精進猫料理しかないにゃあ・・、ぶっちゃっけ、あまり美味しくないからテンションが下がるにゃあよ・・」とミケは俺と同じぐらいのボリュウームで返す。「えっ、美味しくないの?、ご馳走がだと思っていたのに・・」と俺はガッカリしながらミケと共に食堂のカウンターに並ぶ。順番になり渡されたお膳を受け取り、適当な席に二人で座り、お膳の内容を確認する。沢庵が5切れに、黒豆の甘煮と豆腐、それとこれは・・味噌汁?。俺は味噌汁を箸でつつくと味噌汁の正体が分かった。「これって・・ねこまんま?」と俺は言う。「そうにゃあ、猫のソウルフードねこまんまにゃあ」とミケはあまり好きそうじゃない。「えっ・・これだけ?、毎日こんな感じ?」と俺は困惑。「そうにゃあ、基本はこんな感じにゃあ、美味しいものが食べたいなら外の食堂に行くしかないにゃあ・・」とミケはもくもくとねこまんまを食す。「何だよw、食堂があるんだw、じゃあ、今度そこに行こうよ」と俺が提案。すると、「食堂はにゃあ、この里の独自通貨じゃあないと清算出来ないにゃあ」とミケは食事を中断し言う。「独自通貨?、なんだそりゃ?、あれ、ここの支払いも独自通貨なのか?」と俺はミケに尋ねた。「ここは普通の現金で大丈夫にゃあ、それ以外の里の店やサービスは独時通貨にゃんコインが必要にゃあ」と答える。「にゃんコイン?、俺たちでも手に入るのか?」と俺はミケに再び尋ねる。「出来るにゃあ、化け猫修行館で定期的に開催される試合に勝てば、賞金として貰えるにゃあ!」とミケは言い、ねこまんまをかっこむ。「試合って、化け猫同士だろう?、じゃあ、俺の出番はないな・・」と俺はこれから一ヶ月、ねこ精進料理が確定した事にテンションがだだ下がり。「安心するにゃあ!、あたいが勝ち、コインを沢山ゲットして、奢ってやるにゃあ!」とミケは俺を勇気づけた。

 

 それから、俺たちは猫精進料理を早々に食べて、部屋に戻り、ベットに横たわる。普段使わない筋肉を使ったためか疲労感を感じ、ウトウトして、隣のミケを見るともう変化を解き、猫の姿。俺を先導しながらの登山で恐らく凄く疲れたのだろう、いつもなら丸くなって寝ているがベットの真ん中で大の字になり寝息を立てていた。自分勝手な奴だと思っていたが、今回、右も左も分からない俺を一日中サポートしてくれたりして、少しミケの印象が変わった。明日から始まるミケとキジ子の修行を出来るだけサポートしてあげよう。俺は目を閉じるとあっという間に意識が遠のき眠りについた。翌日の朝、俺が目覚めると、ミケはもう支度を済ませ、小豆色の作務衣をきていた。「おはよう・・ミケ、早いな・・」と俺は気だるい体を起こす。「おう、おはようさんにゃあ、フロントロビーの前でキジ子がまってるにゃあ、志村、早く支度をするにゃあ」とミケは俺を身支度を急かした。「はい、はい、分かってるよ」と俺はいそいそと身支度を始める。数分後、身支度を終え、俺たちはフロントロビーに向かう。フロントロビーに着くとキジ子がこちらに気付き手を振り、「おはよう!!、今日はよろしくね」と大声で俺たちに声を掛けた。俺たちは駆け寄り、「おはよう、キジ子ちゃん頑張ろうね!」と俺が言い、「キジ子!今日はビシバシと鍛えるから覚悟するにゃあ!」とミケはキジ子に気合を注入。そして、ミケはフロントの受付に行き、「ゴロゴロ電球を貸して欲しいにゃあ」とフロントの受付の男性化け猫にミケは頼んだ。「ゴロゴロ電球ですね、かしこまりました、少々お待ちを」と受付の男性化け猫は言い奥に行く。数分経つと、男性化け猫はトランクケースを持って戻って来て、「ゴロゴロ電球でございます」とトランクケースを開けてミケに確かめさせた。トランクケースの中には大小さまざまな猫の形をした電球が入っていて、ミケはそれを手に取り確かめ、「上等な品にゃあ、これで良いにゃあ」と誉めて承認。すると、受付の男性化け猫は、「左様でございますか、満足して頂いて恐縮でございます」と言いトランクケースを閉じてミケに差し出した。「ありがとうにゃあ」とミケはトランクケースを受け取り、俺たちの方に振り返えり、「今日は部屋で修行にゃあ!富士の間へGO!にゃあ」と富士の間へ先陣を切る。「お、おう」と俺はミケを追い、「分かったわ!」とキジ子はいい返事をして続いた。

 

 富士の間へ着くと、早速、ミケはトランクケースを開けて、中にある豆電球位の猫型の電球を取り出し、「キジ子!これを手にするにゃあ」とキジ子に手渡す。「あ、うん、この電球をどうするの?」とキジ子は電球を受け取るとミケに質問。「見本を見せるにゃあ、金色の部分握って・・」とミケは適当に手にして電球の金色の部分を握り、「ゴロゴロゴロ」と喉を鳴らす。すると、電球は眩い光を放つ。「えっ!?、何これ?」とキジ子と俺は同時に驚き、「ミケこれは?」と俺は驚きミケに説明を求めた。「化け猫が体内で化け力を生産する時に力むとゴロゴロ音が無意識に出るにゃあ、電球は握った手から化け力に反応して点灯する仕組みにゃあ」とミケは言う。「へーそうなんだ」と俺は感嘆の声を上げ、「じゃあ!、私もゴロゴロ鳴らせば化け力を生産できるの?」とキジ子は嬉しそうにミケに尋ねた。「理論上はそうにゃあ、論より証拠、トライするにゃあ!」とミケはキジ子に促す。「うん、やってみるわ!」とキジ子は豆電球の金色の部分を握り、「んんんん!!」と力む。しかし、肝心のゴロゴロ音が聞こえない。すかさず俺は「がんばれ!!、キジ子ちゃん!」と応援し、「ほれっ!キジ子!頑張るにゃあ!、お前の母ちゃんに撫でられている場面を思い出すにゃあ」とミケは猫ならではのアドバイス。「んんん・・ころころ」と控えめのゴロゴロ音がキジ子の喉から聞こえてきて、僅かに豆電球が光る。「光ったよ!、キジ子ちゃん!」と俺は自分の事のように喜び、「やったにゃあ!キジ子!、今の感覚をしっかり覚えて、鍛錬を積むにゃあ」とミケも喜び更なる鍛錬を勧める。「はあ、はあ、うん、がんばるわ、どの位の電球を光らせられれば元の姿に戻れる?」とキジ子は息を切らせながら、ミケに尋ねた。「うーん・・まあ、これ位かにゃあ」とミケは頭の大きさ位の電球を手に取り、「ゴロゴロ」と喉を鳴らし点灯させ実演。頭ほどの大きさとなると輝きも段違いに明く、俺やキジ子はその眩き光に目を細めた。「凄い・・こんなに明るく出来るんだ・・」とキジ子は感心し、「ミケ・・お前凄いんだな・・」と俺はミケを見直す。そして、「うしっ、志村!あたいは、これから雑巾がけの行をするから、お前はキジ子の監督をするにゃあ」とミケは準備運動を始める。「えっ?、キジ子ちゃんのコーチングをしないのか?」と俺はミケに言う。「もう教える事は無いにゃあ、後は繰り返し鍛錬をするのみにゃあ」とミケは返し、「じゃあ、後は頼むぞ志村!」と言い残し、富士の間から出て行った。

 

 数時間、キジ子は懸命に電球を光らせ続けて豆電球は、完全に光らせる事に成功。「はあ、はあ、化け力の生産って凄く疲れるのね・・」とキジ子はフラフラになっていた。「キジ子ちゃん、もう今日は止めよう、これで体を壊したら元も子もないよ」と俺は今日の鍛錬を終了する事を提案。「そうね・・何だか凄くお腹空いたわw」とキジ子は微笑み素直に提案を受け入れた。それから、4日間、俺はキジ子の鍛錬を見守り続け、遂に、手のひらサイズの電球を光らせる事が出来る。初日の様な息を切らせることもあまりしなくなり、安定して化け力の生産が出来ている感じだ。「その意気だよ、キジ子ちゃん!」と俺はキジ子を誉める。すると、「うん、ありがとう!」とキジ子は返し、嬉しそうに笑った。ミケは相変わらず雑巾がけの行とやらの為にふらっと一人で何処かへ行っていて、俺たちは中間報告をするため、フロントで場所を訪ね教えてもらい、化け猫修行館・別館に向かう。化け猫修行館・別館は本館から伸びている長い廊下を進むと、広大な日本庭園の中に入り、さらに進むと幅三メートル程の広い縁側に囲われた奇妙な建物が現れる。別館の広い縁側には複数の化け猫が雑巾がけをしていたが、恐ろしく速く人間の比ではない。俺達は唖然とその光景を見ていると、見覚えのあるツインテールをなびかせている小豆色の作務衣を着た化け猫が通り過ぎた。「あっ、み、ダメだ行っちゃったよ・・」俺がミケに声を掛けようとしたがあまりの速さで逃してしまう。俺が落胆していると、逆走してきた何かが、俺たちの前で「キキー」と急ブレーキして止まる。それはミケだった。「はあ、はあ、お前ら何にゃあ?」とミケは息を切らせながら俺たちに尋ねる。「あっ、ミケ!、キジ子ちゃんさ、この位の大きさの電球を点ける事が出来るようになったんだ」と俺は電球を大きさをジェスチャーで示す。「ほう・・良いペースにゃあ、僥倖、今度は生産した化け力を使う事を覚えるにゃあ」とミケは手であごを摩り、次のステップを示唆。「化け力を使う?、それってどうするの?」と今まで静観をしていたキジ子は口を開く。「簡単にゃあ、出来るだけ早く雑巾がけするだけにゃあ!」とミケは自分が持っていた雑巾をキジ子に投げた。「うわっと、本当にそれだけ?、へへっw、簡単ねw」とキジ子は雑巾をキャッチして楽観的な様子。キジ子はおもむろに縁側に行き、「見てなさいよ!」と雑巾がけをし始めた。しかし、ドタバタと足を懸命に動かしても、恐らく人と同じ位のスピードしか出なかった。「はあ、はあ、何でよ?」とキジ子は不思議そうな顔をしてミケを見る。「当たり前えにゃあw、化け力を燃やしてないにゃあ!、先程の電球の鍛錬で体内の化け力の存在を感覚的に分かった筈にゃあ、それをメラメラと燃やすイメージをすれば体がポカポカしてきて、みなぎって来るはずにゃあ!」とミケは身振り手振りで説明。キジ子はそれを見て、「メラメラと燃やすイメージ・・」と目を閉じて呟く。そして、目をかっと見開くと瞳孔が細く鋭い猫の目になり、雑巾を床に置き手を添え走り始めた。先程とは比べられない速さになり、見る見るとキジ子の姿は小さくなり、姿が見えなくなる。数分後には一周して返って来て、「はあ、はあ、はあ、どうよw、私、才能あるでしょw」とキジ子は引きつった笑顔を見せた瞬間、その場に崩れた。「キジ子ちゃん!?、大丈夫?」と俺は駆け寄る。キジ子は意識は無く荒い息をして苦しそうだ。「ありゃりゃ、これは化け力の使い過ぎの失神にゃあ、ちょっと無理をさせ過ぎたにゃあ・・」とミケは少しばつが悪そうな顔。この騒動で雑巾がけをしていた化け猫たちも集まって来て、皆でキジ子を抱きかかえ、医務室まで運んだ。

 

 医務室のベットに寝ているキジ子は尚も苦しそうに呼吸をしている。「ミケ!、どうにかならなのか?」と俺は焦った気持ちを抑えられずミケに言う。「だ、大丈夫にゃあ、先生!、あれを」とミケは俺をなだめ、医務室のにいた、白い耳と尻尾を携え白髪の50歳位の化け猫先生に何かを頼む。「はい、あれじゃな」と医務室の化け猫先生は、棚から缶詰の様なものと取り出し、それを「パキュッ」と音を鳴らし開ける。すると、キジ子の目が開き、先生の持っていた缶詰を奪い取り、狂ったように食べ始めた。「これは・・猫缶ですか?」と俺はキジ子の様子を見ながら医務室の化け猫先生に尋ねた。「左様、滋養強壮効果がある化け猫専用の猫缶じゃ、これを食べれば立ちどころに化け力の枯渇を治せるのじゃ」と化け猫先生は言った。キジ子は缶詰を平らげると再びベットに横になり、静かな寝息を立てる。先ほどのキジ子の蛮行は本能のなせる業か無意識に行われたのだろう。俺たちはキジ子の寝ているベッドに囲み様子を見ていると、医務室のドアがいきなり開く。「あの!、倒れた人がいるとか?」と血相を変えて尋ねてきたのは、ショートカットでサビ色の耳と尻尾を携えた、俺たちの担当であるオトギであった。「あら?、まあ!、ミケ様が倒れたとお聞きしましたので・・キジ子ちゃんでしたか」とオトギはミケを見た後、続いてベッドのキジ子を見る。「それはご足労、済まないにゃあ、見ての通りあたいは大丈夫にゃあ」とミケはオトギに返す。「いえいえ、無事で何よりです」とオトギは応え、キジ子を撫で始めた。そうだ、今しかない、俺には確認をしたい事がある。「あ、あのキジ子さん!、お尋ねしたい事があるんですが」と俺はオトギに言う。「はい、何でしょう?」とオトギは俺の要望に快く快諾。「あの、キジ子ちゃんってお金を持ってませんよね?、この場所ではどのような立ち位置でしょうか?」と俺はキジ子ちゃんに会ってからそれがずっと気になっていた。「キジ子ちゃんは、保護扱いになっておりまして、従業員用の開いている個室に寝泊まりしています」とオトギは俺の聞きたかった答えを言う。良かった・・無断で紛れ込んでいるかと不安だった・・、あともう一つ聞きたい事が有る。「じゃあ、半年間もここで寝泊まりしながら修行をしていたんですね?」と俺はオトギに再び尋ねた。「はい、そうです」とオトギは返す。「それって、半年間もの間、誰もキジ子ちゃんに親身になって化け者の事や修行のレクチャーをしなかった事ですか?、酷くないですか?」と俺はオトギを責め立てた。ミケが少し教えただけでコツを掴み、キジ子ちゃんが上達をした光景を見て、俺の中に疑念が渦巻いていたのだ。「そ、それは・・」とオトギは急に歯切れが悪くなる。「答えて下さいよ!、どうなんですか?」と俺はボルテージが上がり激しく問い詰めた時、「やめるにゃあ、志村!、これには化け者特有のジレンマがあるにゃあ!」とミケは俺をとオトギさんの間に割って入る。「ジレンマ?、どんな?」と俺は少しイラつきながらミケに言う。「化け者の脅威は化け者にゃあ、考え、思想、何処に属して、何の能力を持っているか分からない、素性が知れない化け者には一定の距離をとって、あまり深く関わろうとしないにゃあ」とミケは俺に説明。「でも、所長は色んな化け者と平気で接触して関わろうとしているじゃないか?」と俺は都会で勤めている上司の化け者である所長の普段の行動を思い出す。「所長は特別な存在にゃあ、人知を超えた化け力に裏付けされた最強という自負があるこその行動にゃあ!、普通の化け者は見知らぬ化け者と関る時、慎重に慎重を重ねるものにゃあ、うっかり油断して関わるものなら・・サクッてやられてコロッとやられるのがオチにゃあ」とミケは俺が知らなかった世知辛い化け者の事情を語った。

 

 「知らなかった・・俺さ・・もっとフレンドリーな感じなのかと・・、あっ!、オトギさんごめんなさい!何も知らずに責めて」と俺は猛省しながらオトギに謝罪。「いえ、お気になさらずにw、人の志村さんは知らなくて当然ですわ」とオトギは俺の謝罪を受け入れた。俺とオトギのやり取りを見ていたミケは顎をさすり、一時考える仕草をして、「ちょっと電話借りるにゃあ!」と医務室の電話で何処かへ連絡をし始める。「あっ、所長かにゃあ?、カクカクしかじかで、お願いしたいにゃあ!、そうにゃあ!、よろしくお願いしますにゃあ!」とミケはどうやら所長に連絡をした様だ。電話を終えたミケに俺は、「ミケ、所長に電話したりして、どうした?」と尋ねる。「所長に追加料金を支払ってもらい、新たに三人部屋を用意してもらったにゃあ」とミケは答え、「それは名案だなw、よしっ、これからもっと修行に励もう!」と俺は後顧の憂いが無くなった喜びで笑顔になる。そして、「るるる」と医務室の電話が鳴り、オトギがすかさず受話器をとり、「はい、医務室でございます、はい、左様でございますか!、承知いたいしました、失礼します」と電話でやり取りを終えた。「志村様、ミケ様、フロントの者から、所長様の追加料金の支払いを確認しましたので、新たなお部屋、鶴の間に御案内いたします」とオトギは俺たちの案内を開始。俺たちは素直にオトギの後に続き、鶴の間があるフロアに着く。ここのフロアは他のフロアとは全く雰囲気が違い、ジュータンから壁に至るまで高貴な感じが満たされていた。「うおっ?、何だよこれ?、凄すぎw、高いんじゃないの」と俺は当たりをキョロキョロしながら言う。「はい、このフロアのお部屋は当館の最高級スイートです」とオトギは俺の独り言の様に言った事に丁寧に答えた。「す、スイート?、俺、初めてだよw」と俺は嬉しさのあまり動揺し、「全く情けないにゃあw」とミケは俺の様子に呆れる。「ミケ?、お前こういう部屋、初めてじゃないのか?」とミケの堂々とした態度に俺は、嫉妬と悔しさを混ぜ込んだ質問。「はっ?初めてにゃんよ」としれっとミケは答えた。ああ・・コイツの本質は猫なんだな・・と俺は思った。

 

 オトギの後に続き部屋に入ると、富士の間も豪華だったが、鶴の間は更にゴージャスな内装で、まるで都会の一等地に建つ、デザイナーズマンションのような様相で、選ばれた民だけが許される部屋だ。部屋はリビングと寝室それからシャワー室まで完備していて、中に入ると、人間用のシャンプーからボディーソープもあり、正に至れり尽くせりだった。「す、凄いよミケ!、あっ!?」と俺はミケに興奮気味で話しかけた時、目の端に映った寝室に、見覚えのある服が見え、そちらに目を向けると、数日前に洗濯で預けた登山服一式が綺麗に畳んであり、ラグジュアリーというのだろうか?、この優越感は素晴らしい。「ミケw、こんな体験は初めてだよw」と俺は愉悦にしたり、「全く、だらしないにゃあw」とミケは俺の様子にため息交じりで笑う。そして、「喜んで頂けて至極光栄の極みでございます、キジ子ちゃんは、様態が安定して目を覚ました後に、この私、オトギが責任を持ってお連れ致しますのでご安心を、それでは失礼します」とオトギは深々とお辞儀をして部屋を退室した。豪華で広い部屋に二人だけになり、ミケは準備運動をし始め、「おしっ、キジ子には無理をさせて悪い事したから、近々開催される試合で勝ち、にゃんコインをゲットして、ご馳走を振舞うにゃあ!」と言う。ミケが目標に向かい己を鼓舞している様子を見た俺は、「試合が開催されるのか?」と尋ねた。「明後日にゃあ!、雑巾がけレースが始まるにゃあ!、あたいはこれはコースを雑巾がけして慣らしをしに行くから、お前は適当にぶらついてるにゃあ!」とミケは走って俺を置いて部屋を去ろうする。俺はすかさず、「待ってよ!、俺も付き合うよ」とミケの後に続いて廊下に出る。すると、「痛いにゃあ!」とミケは何者かと出合い頭にぶつかり盛大にコケていた。「走って出るからだよ!、あの、すいません大丈夫ですか?」と俺はミケの起こしながら、ぶつかった者へ謝罪をしながら視線を向ける。「オー、I’m OK、大丈夫デス」と英語のイントネーション交じりの言葉を発した者は、カウボーイハットに銀色の星のバッチを付けたベスト、革のパンツにウエスタンブーツに金属の車輪の様なものを付けた、まるで西部劇から飛び出してきたような容姿、ただ違うのは灰色を下地にした黒のストライブ柄の耳と尻尾を携えていた。俺はつま先からてっぺんに向かい、まじまじと見ながら最後に切れ目の凛々しい顔を見る。そして、俺れはワナワナしながら指を差し、口をパクパクして、「あ、あなたは西部劇から刑事もの、更にヒューマンドラマも演じられる、ノーストブッダさん!?」と驚愕。「し、志村?、何にゃあそれ?、有名人かにゃあ?」と俺の尋常じゃない様子に困惑しつつも俺にミケは尋ねた。「知らないのかミケ?、有名な映画俳優で監督のノーストブッダさんだよ!」と俺は早口で捲し立てる。すると、「オー、それは我が主の事デスw、ワレの名前はジョーデス!」とカウボーイ姿の化け猫はジョーと名乗る。「ということはアメリカから?、あの、本国にいるノースドブッダさんは心配してないんですか?」と俺は興奮冷めやらぬ様子で言う。「HA、HA、HA、ワレの主、細かい事は気にしまセン、一ヶ月位姿を見せなくてもノープロブレム!、それよりも!ここで会ったのは百年目!ミケサン!お覚悟を!」とジョーは突然ミケに宣戦布告をした。

               ーつづくー

 

 

 今回ご紹介する曲は、daniwellさんが作詞作曲、動画をお一人で手掛けたネコミュニケイションです。

 

 本曲は、小気味いいリズムに乗せて、難解な用語を繰り返し、理解を出来なくても、楽しくなる歌を鏡音リンさんが歌います。

 

 本曲題名、ネコミュニケイションですが・・意味を色々考察したりしましたが、分かりませんでした。歌詞の方は恐らくですが、猫の事を言っている感じがしました。しかし、題名の意味合いまで、たどり着く事は叶わず・・今回はギブアップですw

 

 

 本曲の作曲者であるdaniwellさんの曲は小気味いいリズムが特徴で、沈んだ心をリズムで浮上させてくれる感じで好きですね!。

 

 本曲、ネコミュニケイションは、小難しい考察も要りません、ただ、ただ、あるがままの曲を受け入れて聴けば、心が楽しくなる素晴らしい曲ですので、是非!本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

鏡音リン