煮干しの一押しVOCALOID曲

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風変わりな曲調で紡いだ不可思議な世界を歌うVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 あの暑さが、嘘の様に涼しくなり、ちょっとした作業でも汗が滝の様に流れたのが、殆どかかなくなりましたね。個人的には気温の低下と日照時間が短くなって、草の草勢がガクッと落ち、除草作業の感覚が伸びて、ホッと一安心って感じです。経験からして今年はあと一回ほどすれば来年の春まで除草作業は無いと自分は思っていますが、草むしりに縁が無い人は、なんのこっちゃって感じですねw。それでは、325曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたいと思います。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

 曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 



 暑さも一段落した頃、俺は事務所で報告書を上司に提出するために、自分専用デスクでなれないパソコンと格闘をしていた。おぼつかない手から奏でるキーボードを打つ音が事務所に響かせること20分、ようやく一段落を終えた俺は椅子に座ったまま背伸びをして、真剣なまなざしで向かい合う二人を見た。一人は目じりに赤いライン、胸元を大胆に覗かせている白いワイシャツに、黒いタイトスカートにハイヒールを履いた妖艶な麗人。もう一人はメイド服に三毛柄の耳と尻尾を携えて、黒髪のツインテールのちんちくりんな女の子。前者は俺の上司で所長と名乗り、本名は知らない。後者は同僚でミケという名だ。そして彼女たちは人ではない。人の言葉を話し、人の姿に化けている者たち、通称、化け者だ。俺はそんな者たちと関る事になり、紆余曲折の末、化け者たちと働く事になり現在に至る。自己紹介がまだだったな、俺の名は志村、化け者と共に生きている者だ。

 

 「今年も、この季節が来てしまったわね・・」と俺の上司である所長が言い、赤く染まったセクシーた唇をマグカップの縁に付けてコーヒーを一口。「もう・・この季節かにゃあ・・」と同僚であるミケは返し、やはりマグカップを手に取りコーヒーを一口飲んだ。その様子を見ていた俺は口を開き、「二人共、さっきから何の話をしているんです?」と俺はキーボードを打ちながら尋ねた。「あら、あら、志村君、あなたは知らないのも当然ね、毎年この時期になると、我が事務所は、ある仕事をやる事になっているのよ」と所長は答える。俺は報告書の作成を中断して、所長を見て、「えっ・・、仕事って何ですか?」と若干、嫌な予感。俺が務めているこの事務所は、興信所の様な仕事が大半なのだが、化け者絡みの仕事が時々あって、大抵、碌でもない事が待っているのだ。「フフw、何だと思う?」と所長は意地悪そうな顔をする。「そんな事を言わずに、教えて下さいよw」と俺は愛想笑いをし聞き出そうとした。「所長、止めるにゃあ、どうせ、この後打ち合わせがあるにゃあ、こいつも一緒に行くんだから、隠してもすぐ分かる事にゃあ」とミケが俺を援護。「あら、あら、それもそうねw、我が事務所はね、毎年この季節になると、化け猫たちが作ったボランティア団体の下請けをしているのよ」と所長は言う。「化け猫団体の?、今回はボランティアですか?」と俺は案の定、化け者絡みで警戒をしながら尋ねた。「あら、あら、志村君、ボランティア団体からの下請けだからって、ボランティアじゃないわ、列記とした仕事よ」と所長は俺の質問の答える。「なるほど、正式な仕事なんですね、じゃあ、仕事内容は何ですか?」と俺は一番気になっていた事を聞く。俺の言葉を聞いてた所長は少し考える様な素振りを見せ、「これは・・ミケの口から言った方が良いわね」とミケに話を振る。所長に話を振られたミケは真っ直ぐ俺を見て、「志村、今回の仕事はにゃあ・・、あたい達、猫の子供たちを助ける仕事にゃあ」とミケは言う。「子供たち?、つまり、子猫って事?、子猫をどうすんだ?」と俺は皆無苦見当が付かない。ああ、ヤバいよ・・化け者絡みの仕事になると、必ずこの流れだ。俺はこの先に待つひどい目に遭うだろう未来に戦々恐々していると、「何にゃあw、志村大丈夫にゃあ、今回は危険な目に遭わないにゃあ」とミケは俺の心中を見抜く。「えっ!?、本当か?」と俺の表情は明るくなった。「本当にゃあw、今回の仕事は、秋の出産で生まれて、育児放棄や、親が不足の事態でいなくなった子供たちを、親切な人間の元へお届けする仕事にゃあ」とエッヘンとした態度でミケは言う。「人?、猫じゃなくて?、何で?」と俺はまだ要領を得ない。「あら、あら、志村君、世の中には猫をこの得なく愛している人達がいるのよ、その者たちを里親にすれば、子猫は美味しいごはんと暖かい寝床が手に入り、人間は愛おしい猫と生活が出来てお互いwinwinの関係って事よw」と所長が口を挟む。「そういう事にゃあ、他の猫が生んだ子供を関係ない猫に引き渡すのは正直、不安要素があるにゃあ、だから、猫好きの人に引き取らせるのが一番にゃあ!」とミケは所長の言葉を補足する。「そうか・・・、じゃあ、人の方が安心だな」と俺は納得。「納得したようね、じゃあ、悪いんだけど、志村君、今日の業務が終わり次第、ミケと打ち合わせに行ってくれる?」と所長が俺に打診。「ええ、仕事なら行きますよ」と俺は快諾した。それから、報告書を書き上げ雑務をこなし、業務時間が終わる頃、「よしっ、志村!、早速、化け猫シンジケートに行くにゃあ!」とミケは声を上げる。「おっ、もうそんな時間か」と俺は机から立ち上がり、「所長、今日は、お疲れ様でした、後はよろしくお願いします」と所長に声を掛ける。「あら、あら、志村君、お疲れ様、後は任せなさい!」と所長は自分専用デスクで作業中の資料整理を一旦中止して、俺を見据えて言う。「所長、お疲れ様にゃあ、頑張って来るにゃあ!」とミケも所長に挨拶し気合を入れて事務所の出口に向かい先陣を切った。

 

 ミケが事務所のドアを開けて、俺も続いて外に出ると、後ろから、「二人共、無理はしないでね」と所長の声がした。事務所の外は、無数のいかがわしい看板のネオンが煌びやかに輝く。ミケは事務所のドアから数メートル先で立ち止まり、自身の頭にある猫耳を両手でさすり始める。すると、三毛柄の猫耳が引っ込む。同様にお尻に生えている尻尾をさすると、まるで風船のように萎んで無くなった。ミケは化け者の化け猫に属していて、所長はの方は最近、知ったが化け狐に属している。化け者たちは普段、耳や尻尾を隠し社会生活を営んでいて、元の姿や人の姿に化けて元との姿の一部を晒したりするのは、秘匿性の高い空間でかつ信頼している者の前か、危険を察知して危機的な状況の場合だけだ。今しがた説明したのは、一般的な化け物が人間社会に溶け込むための作法であって、目の前にいるミケは例外で、この駄猫はちょくちょくと人前で、化けたり、喋ったりする。その都度、俺や所長がフォローしてい訳だが・・、中々懲りない奴で、この前遂に大きいやらかしをして、業を煮やした所長は、ペナルティとして強制的に実家である稲荷神社送りにし、そこに住まうサディスティックな双子姉妹にお仕置きをされた。流石にミケは懲りたらしく、以前なら尻尾と耳を生やしたままフラフラと外に出かけていたが、先程の様にしっかりと身だしなみを整えるようになった。「おっし、完璧にゃあ」とミケは身だしなみをエプロンのポッケットから取り出した手鏡でチェック。「準備はOK?」と俺はミケに尋ねる。「万全にゃあ!、それではレッツゴーにゃあ」とミケはフリフリが付いたメイド服をなびかせて歩み始めた。俺たちはクラッシックなエレベーターに乗り、手動式のドアを閉め、1分位で一階に着き、歓楽街に出る。日が落ちて、これからが本番の歓楽街は、様々な人でごった返していた。俺は化け猫シンジケートやらの場所は知らないので、ミケの後に続く。メイド姿のミケは歓楽街では違和感がなく、コスプレ風俗のキャストがお客さんを呼び込むために歩いている様だ。歓楽街に来る男どもの目的は決まっているので、容姿が整っているミケをチラチラと見たり、或いは、どこの店の子かと尋ねられる始末。ミケはこの手のあしらい方を熟知しているので、軽くいなし、どんどんと先へ進む。数分歩くと前方から、小麦色の肌に茶髪、目の周りを白くして、はだけたワイシャツにミニスカとルーズソックスで茶色のローファーを履き、まるで過去からタイムスリップした様な姿をした女性が歩いて来て、こちらを確認すると手を振ってきた。彼女は俺たちの事務所の隣の雑居ビルに構えるノスタルジーJKという風俗店のキャストだ。「こんばんわーww、志村さんw、お仕事は終わり?、これからどうです?って、何この女?、どこの店の子?」とノスタルジーJKの彼女はミケに目が止まる。ミケは彼女を知っているが彼女は知らない。何故なら、ミケが人の姿で出歩くのは大抵昼間で、日没後は猫の姿で出歩くの多いからだ。更に言うとミケは猫の姿でノスタルジーJKのキャストたちにチヤホヤされるために頻繁に店に通っている。「あたいは、コスプレが趣味のただの一般人にゃあw、ネットで知り合った志村さんに歓楽街の案内をして貰っている所にゃあ、ねっw」とミケはペラペラと嘘を並べ、俺の腕に絡み最後に俺に振った。「えっ!?、あっ、そうなんだw、悪いね、だから今日も行けないかな」と俺は辛うじて話を合わす。「えーー!?、じゃあ、この子は彼女さんですか?、やるうw、じゃあ、無理ですね、デート楽しんでくださいw」とノスタルジーJKの彼女は納得し、すれ違いざまに俺のシャツの胸ポケットに何かを押し込み去った。「ふーー、危なかったにゃあ」とミケはため息をつき言い、「ああ、何とかなったな・・」と俺も安堵。そして、ミケは俺の胸ポケットをじっと見て、「志村、あの女がお前の胸ポケットに何か入れたけど何にゃあ?」と俺に尋ねた。俺はおもむろに胸ポケットに手を入れて、先程の彼女の顔が印刷されている名刺を出し、「ああ、これは名刺だよ、風俗店のキャストやキャバクラのホステスが自分を指名して欲しくて客に渡すんだよw、この街にいて何で知らないんだよw」と知識のマウントをしてミケを冷やかす。ミケは少しムッとして、「知る訳ないにゃあ、あたいはいつも何処の店で働いてるのかな?って聞かれるだけで、お前みたいに名刺をもらう場面はないにゃあ!、ほれっ!行くにゃあ!」とスタスタを先を行く。「な、何だその言い草!、ちょっとは勉強になったとか、素直に出来ないのか!」と俺は抗議してミケの背中を追う。俺たちは歓楽街を更に歩き、数分後、ミケは歩みを止める。歩みを止めた所は、記憶も新しいパンデミックによって倒産したゲームセンターのビルの前だった。

 

 元、ゲームセンターのビルは、窓やガラスのドアに黄色い目張りがしてあり、まるでその姿はラブホテルの様だった。ミケは正面入り口を通り過ぎ、建物の側面にある、半開きのシャッターを潜る。俺も躊躇しながらシャッターを潜ると、そこはトラックなどの運搬搬入するための地下駐車場だった。俺が辺りを見回していると、白黒猫がトレードマークの大手運送会社・ゴロニャン運送のワゴンが数台ある事の気が付き、「なあ、ミケ、なんでゴロニャン運送の車があるんだ?」とミケに尋ねた。先を歩いていたミケは立ち止まり、「それは、この後の打ち合わせで先方から説明あるにゃあ、だから行くにゃあ」と奥の扉を指す。「お、おう」と俺は返してミケと共に扉に向かった。扉はよくある関係者用の金属製の扉で、上部には防犯カメラ、脇にはインターホンが備え付けてある。ミケは何の迷い無くインターホンを押す。すると、「はい、合言葉をどうぞ」とインターホンから合言葉を求められた。ミケは咳ばらいをして、「オホン、猫は足の裏で汗をかく」と珍妙な合言葉を言う。しかし、インターホンから反応が無く、「おい、合っているのか?」と不安になった俺はミケに確認。「抜かりないは無いにゃあ、あたいのスマホに来た合言葉にゃあ」とミケが返した時、金属の扉が開く。「お待ちしてましたw、どうぞ、お入りください」と栗色の髪をポニーテールにし、エプロンをかけて、Tシャツとデニム姿の見覚えがある女性が俺たちを出迎える。俺たちは彼女に案内され屋内に入ると、元はゲームセンターの従業員通路地下通路を歩く。ミケと女性は親しげに会話をしていて、俺は蚊帳の外だった。数メートルほど歩き、関係者用の荷物を搬入できる広めのエレベータに乗る。女性はエレベータのボタンを押すと、くるりと振り返り俺を見て、「その節はどうも」と言う。突然に掛けれた言葉に俺は動揺し、彼女顔をまじまじを見て、「あっ、あなたは猫缶専門ショップのお姉さん!」と所長の策略によってひどい目に遭った買い物を思い出す。「なんにゃあ、分かっていなかったのかにゃあw」と俺はミケは嘲笑。それに対して、「う、うるさいな、思い出したから、良いだろっ!」と抗議し、続けて、「ははっw・・、すいません、お店にいた時と少し雰囲気が違うので気付くのが遅れてしまいました」と愛想笑いをする。「いえいえ、良いですよw、ほんのひと時の振れ合いですから仕方がないですよw」と猫缶の店員さんが俺をフォローする。「そう言って頂けて、ありがたいです」と俺は軽く会釈した。「志村、改めて紹介するにゃあ、彼女は猫缶の店の店長、ウシ子にゃあ」とミケは俺に紹介。「う、ウシ子?、何故?」と俺は突然出て来た風変わりな名前に驚き尋ねる。「まあw、そんなに驚かれると、少し傷付きますw」とウシ子は笑いながら冗談っぽく言う。「あっ、すいません・・」と俺は自分の軽はずみな言動に後悔をした。その様子にミケは、「ふーー相変わらずデリカシーが無いにゃあ」とヤレヤレと言った表情。「お前が言うな!」と俺はすかさずミケに返す。俺とミケの言い合いの最中、「フフッ」とウシ子が笑い、その微笑に俺とミケは思わず言い合いを止める。そして、「二人共中がよろしいんですねw」とウシ子は口を押えて微笑み、更に、「私がウシ子と言う名前になったのは、黒と白の牛柄の私を見て、母がそう名付けたからです」と言う。「あ・・なるほど」と俺はミケを一瞥。ミケはこう見えて茶虎四兄妹の母でありそれぞれ、茶太郎、茶次郎、茶美恵、茶美子と名付けており、お分かりだと思うが、猫は自身の子供たちに適当な名前を付ける傾向がある様だ。「うむっ!、いい名前にゃあ!」とミケはウシ子の名前を誉めると、「ありがとうねw」とウシ子は笑顔で感謝の意を伝え、まるで会話が終わるのを見越した様に「チン」と鳴らしエレベータは止まり扉が開いた。

 

 エレベーターの扉が開くと、ほんのり暖かい空気が流れてきて、本来なら所狭しとゲームの筐体や遊具が置かれていたであろうフロアは、全て撤去されて何もない空間が広がり、真新しいフロアマットが敷き詰めらている。そして、フロアの真ん中辺りには、大体50センチぐらいの正方形の箱が並べてあり、その箱から「ミーミー」という声がしていた。壮大な景色に俺は、「すごっ」と呟く。「それでは二人共、明日の打ち合わせを始めますので、こちらへどうぞ」とウシ子は先んじてエレベータから出て端にある複数の椅子がある机に俺たち案内をした。俺たちは素直に案内に従い椅子に座り、ウシ子さんと対面する形になる。「では、これが予定表、こちらはターゲットの資料、最後は、子供たちの資料になります」とウシ子はクリップで止めた資料の様なものを3っ俺達にそれぞれに渡す。俺は差し出された資料の予定表に目を通す。明日は・・10、えっ!?、一日仕事じゃない?。俺は更にページをめくり最後を見ると、一ヶ月先の予定まで記されていた。「ちょっ、ちょっと待って下さい、もしかして、この部屋にいる子猫たちを俺たちだけでやるんですか?」と俺は動揺しながらウシ子に尋ねる。「そうですよ、あれっ?、聞いてませんでした?」とウシ子は濁り鳴き眼で俺を見据えて来た。「聞いてないというか・・」と俺は社会人としてしっかりとした報告連絡が出来てない羞恥心でごにょごにょを口を濁す。すると、「志村、よーく考えれば分かる事にゃあw、歓楽街中のみなしごを保護しているのだから、それなりの数になるに決まっているにゃあw」と傲慢な笑顔で言う。その人の神経を逆なでする笑顔に俺は、「うるさいな!、猫が何匹、生むなんて・・」と反撃をしようとした時、「はい、ぴぴっー」とミケがサッカーのホイッスルの口真似をして俺の言葉を遮り、「志村、あたい達、化け者の前で匹とかの人が動物を指す数字を言ったらダメにゃあ!」と言い、続け様にウシ子が「そうですよ、私たちだから穏便に済みますけど、差別意識が根強い化け者の前でその様な事を言ったら即戦闘になる場合もあるんですよ」と忠告を言った。「はい・・以後、気を付けます」と俺はしゅんとした態度で謝罪した所、「まあ、今後は気を付けるにゃあw、コンプライアンスを学べて感謝するにゃあw」とミケは俺に対してとどめの一撃を浴びせる。くそがーー、駄猫!、お前の口から一度もコンプライアンスなんて言葉聞いたこと無いぞ!。内心は怒りで渦巻いていたが、ここで感情的になったら負けだと思った俺は、引きつった笑顔をでやり過ごす。その様子にウシ子は困った顔をして、「ミケっ!、言い過ぎよ!」とミケに注意。ウシ子の苦言にミケは少しばつが悪い仕草をして、「まあ、ちょっと言い過ぎたにゃあ・・、さっきお前が言いかけた事だがにゃあ、猫は最大、年二回出産して、平均五人を生むにゃあ」と妙な芝居がかった神妙な顔で言う。だが、先程からのミケの仕打ちとその態度に到底信じられない俺は、「はいw、はいw、分かりやい嘘、有難うございますw、こらw、駄猫!、出産がそんなにポンポン出来てたまるかw」と思いっきり煽りながら嘘を見破った宣言をした。その瞬間、「えっ!?、志村さん、猫は出来ますよ」とウシ子は真顔で言う。「えっ?、はっ?、マジですか?」と俺は頭が真っ白になり、「にゃはははw、マジですか?頂きましたにゃあw、このパターンはまだ慣れてないみたいにゃあw、嘘っぽい真実は効果てきめんにゃあw」とミケはゲラゲラと俺を笑った。流石に俺の中で何かが切れて、「駄猫・・、今日はやけに絡んでくるな・・、表に出ろ!」と俺は立ち上がる。「おっw、この前に神器とかいう奴を授かって調子に乗ってるのかにゃあ?w、上等にゃあ!鼻っ柱をへし折ってやるにゃあ!」とミケも立ち上がるが、「バンっ」と大きな音がして、「二人共!、いい加減にしなさい!」とウシ子が真っ赤な顔で怒り、瞳孔は細長くなり、栗色の毛から猫耳が覗かせ、後ろには4本の尻尾がユラユラと蠢いているのが見えた。先程まで「ミーミー」とこだましていた子猫の鳴き声がピタリと止まり、その迫力に俺たちは「はい・・」と同時に言って座り、背筋を伸ばす。「ミケ、何で志村さんに意地悪をするの?」とウシ子はミケに尋問。「そ、それは・・この前・・あたいが稲荷神社送りになった時、こいつはあたいを助けてくれなかったにゃあ・・」とミケはポツポツと言う。その刹那、俺は、「裁判長!意義あり!」と言う。ウシ子は「はい、志村さん何でしょう?」と落ち着いた口調で俺の異議申し立てを聞く姿勢をする。「はい、この駄猫は都合のいい事だけを言っています、そもそも、稲荷神社送りになったのは酩酊状態のオッサンを化ける力を使って玩具にして遊んでいたことが原因であって、俺がこの駄猫を助ける義理はありません」と俺は証言。その証言を聞いたウシ子は、「ミケ、それは本当なの?」とミケに再び尋問する。「そ、それは・・」とミケはもごもごとし始めて、「ミケ!」とウシ子が強い口調で言うと、「本当にゃあ・・、チョロそうなおっさんが公園で酩酊状態なのを発見して、暇だったから、からかって楽しんだにゃあ・・」とミケは萎縮して縮こまった態度になる。ウシ子は一瞬、目を閉じて、「参考までに聞くけど、具体的には何をやったの?」とミケにイタズラの内容を尋ねた。「それは・・・・、あの日、公園で酔い潰れて酩酊状態のオッサンが派手に私物をそこら中にぶちまけていたにゃあ・・、あたいは当初、親切心でオッサンの私物を集めて懐に忍ばせてあげようとしたにゃあ、でも、定期入れから家族写真を見つけた時にゃあ、ほんのちょっとした出来心にゃあ、その写真を参考にあたいは奥さんに化けて、オッサンをここが自宅だと勘違いさせ、自ら服を脱がせ全裸にさせたにゃあ・・」とミケはウシ子にお伺いを立てるようにチラチラと見ながら告白。ミケの告白を聞いたウシ子はドン引きしながら、「想像していたより酷いわね・・」と言う。俺は潮目が変わった事を察知して、「でしょう?、その後、大騒ぎになって、俺と所長がもみ消すために、奔走したんですよ!」と事の顛末を捕捉した。ウシ子は腕を組み、「大体の状況は分かりました、ミケ、あなたのそれは逆恨みです、悪いのはあなたなのですから、その様な事はしていけません」とミケを諭す。ミケは口を開き、「面目ないにゃあ・・、稲荷神社のお仕置きがあまりにも苛烈で鬱憤が溜まっていたにゃあ」と反省。ウシ子は次に俺を見て、「志村さん、ここが何処か分かりますか?、子供たちが保護されている所ですよ?、そんな所で大声で騒いで良いのですか?、大人なんですから場所をわきまえた行動をしてください」と説教をした。「え!?・・ウシ子はさんだって大きな声を出した様な・・」と俺はは無謀にも抗議しようとした時、「あ?」とウシ子が睨む。俺はこれは素直に謝るのが吉と感じ、「はい、申し訳ありませんでした」と謝罪をし、「よろしい!、それではお互いに仲直りの握手をしてください」とウシ子は俺たちに握手を迫る。俺とミケはお互いを見合い、少し躊躇したが、ウシ子の圧に負け、「ミケ・・悪かった・・少し言い過ぎた」と俺が謝り、「あたいも済まない事をしたにゃあ、稲荷神社でやられたお仕置きは壮絶だったのにゃあ、その怒りをどうしても収まらなかったにゃあ・・」とミケも謝罪をし、俺たちは握手をして、わだかまりは一応、解けた。

 

 それから、俺たちは気を取り直して資料を見ながら、ウシ子の説明が開始された。「予定表を見て何か質問がありますか?」とウシ子が言う。俺はすかさず、「あの、この予定表を見ると、かなり広範囲を移動する様ですが、移動手段は俺たちで用意するんですか?」と尋ねる。「それはこちらで用意いたします、地下の駐車場にゴロニャン運送のワゴンがありませんでしたか?、それがあなた達の移動手段になります」とウシ子は答えた。「ああ!」と俺の脳裏に地下駐車場に止まっていたゴロニャン運送のワゴンが浮かぶ。「そういう事にゃあw」ミケが俺にドヤ顔し、「因みに、ゴロニャン運送の経営者は化け猫シンジケートのメンバーにゃあ」と補足。「嘘だろ!?、業界大手のゴロニャン運送の経営者が化け者って事?」と俺は驚愕する。「そうですよ、彼は毎回ご厚意で会社の車を貸して頂いています、志村さん達は明日からゴロニャン運送の社員の制服であるツナギを着て活動をして頂きます、あっ、もちろん会社には特別郵送している車と話が通してありますから、気兼ねなく子猫のお届けをして頂けますよ」とウシ子は更に補足した。「何だか楽しみだなw、運送屋のコスプレするなんてワクワクしますよ!、ミケ!、それならそうとあの時言ってくれればよかったのに」と俺は言う。「まあ、あの時にネタバラシをしても良かったけどにゃあ、打ち合わせの時の知った方が驚くと思ったにゃあw」とミケはしたり顔をする。「お前ね・・、本当に人を驚かすのが好きだね・・」と俺は呆れた顔をした。「それでは、質問はありませんか?」とウシ子は俺たちに尋ねた。「いや、もう無いです」と俺は返し、「無いにゃあ」とミケも返す。「よろしい、それでは、別紙のターゲットの方を見て下さい」とウシ子が促す。俺は促されるままターゲットの資料を目を通すと、資料に乗っていた人たちに見覚えがある。「あの・・この人たちって、俺たちが一ヶ月かけて調べた人たちですか?」と俺は資料を見て感じた事を言う。「はい、その通りです、私どもが独自の情報網からピックアップした人たちを最終確認をするために所長さんに依頼をさせて頂きました」とウシ子は俺の疑問に答えた。なるほど・・この仕事は一か月前から始まっていたのか・・。「他にご質問は?」とウシ子が俺たちに確認。「無いにゃあw、この人たちの事はあたい達が一番分かっているにゃあ!」とミケは陽気に答えた。「まあ、そうねw、それでは最後にあなた達がお届けする子猫たちの資料と行きたいところだけど、それは直接見た方がいいわね」とウシ子は言い立ち上がり、「二人共、こちらへ来てください」と俺たちを案内をする。俺たちはウシ子さんついて行き、正方形の箱が並んでいる所に来る。箱を上から覗くと、毛布の上にほわほわで小さい毛玉がもぞもぞ動いていて、どうやら目がまだ開いていない様だ。俺は思わず「可愛いw」と顔がとろけて呟く。俺の様子を見たウシ子は苦笑をしながら、「こちらは最近保護された子達で、授乳期が終わるまでお届けは出来ませんw」と言う。「お届け出来ない?じゃあ、明日からお届けする子達はどの子ですか?」と俺は尋ねた。「それは、あちらになります」とウシ子は奥のゲージを指す。箱に目が行って全然気が付かなかったがよく見ると部屋の端に金属のゲージが並んでいる。俺たちはウシ子の後に続き金属のゲージが並んでいる所まで行く。ゲージには活発に動く様々な柄の子猫たちがいて、俺たちの存在に気が付くと、しきりに鳴き、まるで構ってくれと言わんばかりな仕草をしてきた。先ほどの子達と違って、この子たちは完璧に目が見えている様だ。そのキュートな仕草に思わず俺はゲージとゲージの隙間に指を入れると、子猫たちは集まり匂いを嗅ぎ、甘噛みをし始める。「ははw、こいつ!、くすぐったいぞw」と俺はニコニコな笑顔で言い、横ではミケがやはりゲージの隙間に指を入れて、「おーよちよち、明日はよろしくにゃあw」と言う。ウシ子はゲージを撫でながら微笑み、そして、俺たちを見て、「お二人には、このゲージに入っている子から順次お届けて頂きます、恐らく、この子達が届け終わる頃にはあちらの授乳期の子達は離乳食に移ると思いますので、そしたらお届けをお願いします」と言い、頭を下げる。「任せて下さい!、明日はこの子達を安全にお届けします!」と俺はウシ子を不安にさせまいと声を張り上げ、続いて、「任せるにゃあ!、子供たちを幸せにするにゃあ!」とミケは気合をタップリに言う。「そう言って頂けて、ありがたいです!、明日から頑張りましょうね!」とウシ子は笑顔で俺たちに応えた。

 

 覚悟を決めて、お互いの意志確認も終わり、打ち合わせも終わった事もあり、俺は帰る算段に移ろうとした時、「よしっ、チャッチャッと終わらせるにゃあ!」とミケは謎の発言をした。すかさず俺は、「あの・・ミケさん?、これから何が始まるのかな?」と恐る恐る尋ねる。「かーー、そんな事も分からいのかにゃあ!、化け猫シンジケートは常に人手不足にゃあ、今夜はウシ子が一人でワンオペにゃあ、だからせめて、あたい達が協力してミルクをあげる世話をするにゃあ!」とミケは声高に言う。「俺が化け猫シンジケート内情何て知ってる訳ないだろ!」と俺は抗議し、「ミケ!悪いわよ、志村さんだって予定があるんだから・・」とウシ子はミケをたしなめる。「まあ、そうにゃあ、無理強いは良くないにゃあ、ウシ子の言う通りにゃあ」とミケはウシ子の言う事に同意し、「そうよ、それに男の人にはキツイわよ」とウシ子は言い、最後に二人は俺を見つめる。この流れを逆らう勇気は俺にはなく、「はあ・・仕方が無いか・・、やります、やりますよ!」と半ば強制の同意した。それから、俺たちはウシ子が用意したエプロンと、ゴム手袋を装着して待機。待つ事、数分後、ウシ子はエレベーターから出てきて、大きい台車の様な物を押して来た。台車は二段になっていて、上の段にはガーゼの様なものが籠に山盛りに積んでいて、下の段はミルクが入った小さい哺乳瓶がお湯だろうか?、湯気が出ている液体に沢山浸けてある。ゴム手袋を装着したウシ子は、俺たちの前に立ち、「はい、注目、これからミルクをあげる前に子供たちの排泄の手伝いをします」と言う。「排泄のお手伝い?、えっ、それってどうやるんです?」と俺は子猫の面倒を見た事が無いので何も分からず尋ねた。ウシ子が口を開き俺に質問に応えようとした瞬間、ミケが割って入り、「知らないのかにゃあw、こうやって子猫のお尻をベロベロっと舐めるにゃあw」とジェスチャ―付きで言う。「えっ!?、俺、出来ません!」と俺は即座に拒否。すると、「はい、はい、ミケ!ふざけないの!、大丈夫ですよ志村さん、本来はミケの言う通り、私たち猫は舐めて排泄を促しますが、衛生面からと数が数だけに、このガーゼを使います」とウシ子はミケの発言を否定して俺を安心させた。「はぁ、良かったw、本当に舐めるのかの思いましたよw」と俺は安堵。そして、「ウシ子軍曹、お言葉ではありますがにゃあ!」とミケは軍人調の寸劇を突如始める。「何だ!ミケ二等兵、言ってみろ!」とウシ子も何故かミケの寸劇に乗った。「ありがとうございますにゃあ、あたいは元の姿に戻って舐めた方が早いかと思いますにゃあ」とミケは提案。ウシ子はミケの提案に腕を組み、うんうんと頷いて後、口を開き、「ミケ二等兵、お前の言っている事はもっともだ、だが止めておけ、この数でそれをやると、お口の中が大変な事になってしまうぞ」と忠告をする。「それは御免こうむるですにゃあ、素直にガーゼにしますにゃあ」とミケはウシ子の忠告を受け入れ敬礼。俺は突然始まった寸劇を半ば馬鹿らしく見ていて、いつ終わるのかの待っていると、ウシ子は、「パン」と手を鳴らし、「はいっ!茶番はおしまい!、これから実践を見せますからよーく見て下さい」と寸劇の終了宣言をして、ようやく話が次に進む。ウシ子はまず、台車からガーゼを取り出す、次に箱から子猫を取り出し、あおむけ状態にして、ガーゼをお尻周辺にちょんちょんと触り、「こうやって触ると、排便、排尿をしますので、出るまで優しく根気よくやってください」とウシ子は言いながら一分弱で子猫のお尻から雫の様なものが滴ると、遅れて茶色い固形物がムリっと出て来た。「はい、これでおしまいです、私はミルクをあげますから、二人は排泄をさせてください」とウシ子は俺たちに指示。「はいっ!」と俺たちは返事をして、早速排泄を促す作業に着手した。俺はガーゼを片手に持ち、慎重に子猫を取り出す。ほわほわでほんのり暖かく、生命の鼓動が手に感じる。俺は見よう見まねでウシ子の様にガーゼをお尻の辺りを優しくポンポンと触ると、ポタポタと尿の雫が垂れ、その後に黄銅色の便が出てきて、「うおっ!」と思わず声を上げつつガーゼでふき取り、排泄済みの子猫の箱に入れる。俺は次の子猫を取り出そうとした時ミケの姿が映り、普段とは全く違う表情をしながら排泄の作業していて、不覚にも思わず見とれてしまう。ミケは視線を感じたのか、いきなり俺の方を見て、「何にゃあ?」と尋ねたが、「べっ、別に」と俺は誤魔化して顔を背けて箱から子猫を取り出す。それから、ウシ子の提案でミルクあげと排泄を促す作業をローテンションで代わる代わるやり、離乳食組の子猫たちに餌を出し、ゲージや箱の掃除をしてペットシートを変えて清潔にした頃には深夜の12時を過ぎていた。「お疲れ様です!、今日は本当に助かりました!」とウシ子は頭を深々と下げる。「いえ、今日は凄く貴重な体験をさせて貰い、いい経験になりました!」と俺は返し、「気にする事は無いにゃあ、明日からよろしくにゃあ」とミケが後に続きウシ子を労う。最後に俺たち三人は、お互いに「お疲れ様でした」と言って別れた。外に出ると、深夜の歓楽街は欲望に満ちた目をした人が行き交い、眠らない不夜城は寧ろこれからが本番の様相を呈している。その不夜城を俺とミケはとぼとぼと無言で歩いていた。終電も過ぎていたので今日はタクシーで帰ろうと思案していると、「志村、ラーメンを食べに行かないかにゃあ?」とミケが突然、俺を誘う。「ははw、何だ急に?、まっ、別に良いよw」と俺はミケの誘いをあっさり快諾。「よしっ、そうと決まれば、付いて来るにゃあ!、ちょっと気になる店があるにゃあ!」とミケは小走りで黒髪のツインテールとメイド服をなびかせて先を行く。「おい!、何で走るんだよ!」と俺はミケの背中を追いかけた。

ー続くー

 

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲、動画を全てはこさんによる百葉箱です。 

 

 

 本曲は、天気図とそれに連なる専門用語を使った歌詞とトリッキーな曲調で不可思議な世界観を紡いで、初音ミクさんが歌います。

 

 本曲の題名、百葉箱は直射日光や風や雨、雪などからの外的要因を防いで純粋な気温を図るための白い木造建物です。本曲の世界観では、神社の様な神様がいる社的な立ち位置で、我々の世界とは少し意味合いが違います。しかし、天気と関りがあるというのは一致していて、個人的な考察になりますが、題名百葉箱は本曲の不可思議な世界と現実世界の接点と言う意味だと自分は思いました。

 

 

 本曲の風変わりな曲調は聴くと、何だか楽しくなる感じで好きですね。動画の方も見返すたびに新しい発見が見つかり非常に楽しく拝見できましたよ!

 

 本曲、百葉箱はその曲調と同じ独特な世界観は、見て聴いたものを楽しませて魅了する素晴らしい曲ですので、是非、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

初音ミク

 

コトバンク様より

百葉箱