煮干しの一押しVOCALOID曲

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光が射す方にいるあの人に逢うために・・なVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 野外だと、何もしてなくても、汗が止まらない日が続きますね。ニュースで報じてましたが、気象庁の予報によると10月まで続くらしいです・・。えっ!?、マジ?て感じですよねw。そりゃあ、国連で地球沸騰化という言葉がでる訳です。地球温暖化は、物を売り付ける口実で眉唾物だと自分は思っていましたが、最近の気候変動はちょっとシャレにならない感じで、本当の事だったんだと灼熱の気温に晒される度に思い知らされます。気象庁の予報通りになると秋が消滅する感じになり、四季の一つが無くなって、季語や小説に出て来る季節を表す表現が通じなくなる日が来るのでしょうか?、そうならない様に願いたいですね。それでは、314曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたいと思います。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 秋が終わり、落葉樹の葉が全て落ち、カラカラと風と舞い踊る音が屋外からする。私は時折、スマホの時計をチラ見しつつ、自室のベットの上にて、小説を読みふけっていた。最近はライトノベルが好きで、最近はハマっているのは、三毛の化け猫が活躍する話しだ。だが、今夜は小説を読むために夜更かしをしている訳ではない。私の学校である奇妙な都市伝説がネット経由で流行り出した。それは、深夜0時ピッタリに自身のメールアドレスにメッセージを送ると、未来の自分からメッセージが返ってくるというものだった。この検証しやすい都市伝説は、当然、直ぐに嘘とばれて周知される訳だが、どうい訳か未来の自分から返事が返ってきて、テストの問題と答えを教えて貰ったとか、宝くじの番号を教えて貰い億万長者になったとか、眉唾な体験談が生徒の間で後を絶たない。そこで、我がオカルト研究部はその真相を探るために、部員の皆は夜更かしをして、一斉にメールを自信に送る事が決まる。部員の皆と言っても、私を入れて、ミナシーとオカルの三人。そして、オカルト研究部は正式な部ではない。私、優雅・茜、(ゆうが・あかね)を正確に身分を表すと、都内の平均的な学校に通う女子高生で、オカルトに興味を抱いて、帰宅部というのが正確な情報で、他の二人もほぼ同様だ。

 

 おっと、どうやら、件(くだん)の都市伝説が指定している時間がもう直ぐみたい。私はスマホを操作して、予め作成したメッセージの送信を用意をする。スマホの時計をジーと見つめ、0時に表示が変わると私は冷静に送信ボタンを押す。これで大丈夫のはずだ・・。当然の事だが、私のスマホに着信を知らせる、メロディが流れ、すかさずメールフォルダを開けて確認。「えっ・・ナニコレ?」と私は思わず呟いてしまう。私に帰ってきたメールには[お前誰だ?、何で俺と同じアドレスなんだ?]とメッセージが書かれており、私の心臓の鼓動がドクドクと徐々に早くなる。落ち着け私!、送ったアドレスが間違って、偶然に赤の他人に送ってしまったに違いない。私は焦る気持ちを強引に押さえつけて、送信フォルダを閲覧。すると、何度見返しても私のアドレスだった・・。このような現象が起きる事の可能性はあるのか判断が出来ない、自分の浅はかさに恨みながらも、恐る恐る、[ごめんなさい、私のアドレスですけど・・あなたこそ誰ですか?]とメッセージを作成して送信。[はぁ?、喧嘩売ってんのか?、ハッキングって奴だろ?、通報するぞ!]と物凄い速さで返信が返ってくる。な、何よこいつ!、おちょくってんのはそっちじゃない!。私の中で怒りが込み上げて、恐怖より勝り、[通報するのならやってみなさいよ!、捕まるのはあなたよ!]と負けじと返す。先ほどの速さで返信が返ってくると思われたが、不気味に反応が無くなり、私は勢い余って作成した返信に若干の後悔をし始めた。

 

 数分経っても反応が無く、[ちょっと、急に反応が無くなって怖いじゃない!、何か返事しなさいよ]と私は不安を払拭するためにメッセージを送る。すると、[あのさ、このアドレスは、お前ので間違いないんだな?]とメッセージがやっと返って来て、何故か私は安堵した。[そうよ、間違いないわ、あなたこそ間違いないの?]と私は普段と比べ物にならない程早く、フリック入力する指が快調に動く。そして、[じゃあさ、お互いの部屋をスマホで撮って送り合わないか?」と先程の様にメッセージが早く返ってくる。[何で?目的は何?]と私は短いメッセージを一秒かからず作成して送信。[俺さ、オカルト研究部っていうグループとうか・・、同好会みたいなものに所属していてさ、都市伝説を確かめるために自分のアドレスにメールを送ったんだよ、そしたらさ、こんな事になっただろ?、だから、悪戯なのか、それともシステムの不具合が起こした偶然なのか確かめたいんだよ]と長めの文書が返って来て私の心臓が一瞬ドキンと大きく鼓動した後、キュッと閉まる感覚がした。こんな事があるのだろうか?、私と同じ境遇で、同じ時間で、同じ事をしている・・。私は深呼吸をして冷静になる事を務め、[私は女よ・・、見ず知らずの人間に自分の部屋を晒すと思う?」と慎重に考えて文章を送信。[そりゃあ、そうだな、分かった!、俺の部屋を晒すよ!、ちょっと待って]とすかさず帰ってきたメッセージに、私は驚く。ちょっと待ってよ!、本当に見ず知らずの人に自分の部屋を晒すの?、私が女なんて嘘かも知らないのに。

 

 2,3分経っただろうか、私は今か今かと返信を待っていると、スマホの着信音がなる。スマホの受信フォルダを見ると1という数字が表示されていて、私はすかさずフォルダをタップして中にある新着メッセージを見た。メール題名に俺の部屋と記されていて、Jpgファイルが添えてあり、私はそれをタップ。すると、私のスマホに誰かの部屋が表示された。男の子の部屋って感じで、私の部屋とはまるで違くて、「ふはは、そりゃあそうよね、多分サーバとか私たちが知ることが出来ない何かの不具合でなったのよ」とちょっと気が抜けておかしな笑いと共に呟く。私は再度送られてきた画像を半笑いで見返すと、ある物に目が止まる。それは、部屋の奥にある机の棚に飾られていた一輪刺しの壺だ。そのぶっかこうで歪な壺は、家族旅行した折に、陶芸体験で私が作ったもで、世界に一つしかない物だった。汗ばんだ手でスマホを握り直して、机に向かい置いてる壺を見ると、壺はいつも通り机の棚に鎮座していて変わりはない。壺を手にして見て、置いてあった場所には壺の形でくっきりと埃の後があり、動かした形跡は無かった。私はすかさず、[ねえ!、机に置いてある壺はあなたの?、近くで撮ってみて]と汗ばんだ指を懸命に動かして送る。[壺?、別に良いけど]とメッセージが返信後、直ぐに、画像ファイル付きのメールが送られてきた。

 

 私は息を呑んだ。近くで撮影された壺には私が失敗して付けられた傷や歪みまでも同じで、絶対あり得なかった。私はこの異常な状況に興奮し、震える手を抑えながら壺を撮影し、メールに画像を添付して送り、ドクドクと高鳴る心臓の鼓動を聴きながら返信を待つ。すると、[うおおお!!、何だよこれ?、俺が作った壺がもう一つ!?、あんた、もしかして俺の未来の関係者か?]と物凄く興奮した返事が来た。向う側が知っている都市伝説が私の知っているものと同様で、恐らくだが彼は、未来の自分のスマホに親しい関係者が代わりに受け答えしていると推測したのだろう。そして、ここで疑問。彼の部屋の様子から年は同じぐらい、私は未来人ではない。しかし、同じ壺を持っていいる・・その答えを導き出すには、お互い情報を開示していかないと、埒が明かなそうだ。「ねえ!、部屋から見える景色と今日の新聞の一面を映してお互いに送らない?]と私は意を決して送る。[おう!そうだな、俺も確認するためにそうしようを思っていた!]と向う側の彼が快諾。早速、私は部屋からの景色を撮り終え、両親が寝静まっている一階を忍び足で移動して、マガジンラックにある新聞を取り出して、部屋に戻り、今日の新聞の一面を撮影して、送ると、同時に向うからも送られてきた。彼から送られてきた画像は、私が知っている風景で間違いなく部屋から見える風景だった。私はもう一つの新聞の一面の画像を精査するべく、手元にある新聞と見比べて調べると、おかしな部分が見つかる。あれ?、記事の内容はほぼ同じだけど・・、文書の終わり方が少し違う、それに・・、記者さんの苗字は一緒だが名前は女性の様だ。殆どは同じ、でも、少し違う世界・・これは・・。高校に入ってオカルト漬けの毎日を過ごして獲得した私のオカルト脳が、フル回転してある答えい導き出した。

 

 パラレルワールド!、これしかない!。パラレルワールドとは、この世界には並行して様々世界が同時に存在しているという考えのもとに生み出された言葉だ。私の世界がAとしたら向う側の彼の世界をBとした時、私という存在、世界Aは女の子として生まれて育った世界、そして、世界Bは男の子として生まれ育った世界という訳だ。つまり、私は別の並行世界の自分自身と連絡を取り合っている事になる。しかし、まだ確定した訳ではないので最後の詰めをしよう・・。[確信を得るためにさ、最後にお互いの名前と顔を確認しない?]と私は確信を得るためにメッセージを送る。[OK!、いいよ!]と短い文書の合意が来て、間を置かず、高校生ぐらいの男の子の顔と共に優雅・茜(ゆうが・せん)と振り仮名を振った名前が表示されたメールが来た。ぶほっw、従弟にそっくりw、私が男になるとこんな感じになるんだw、あっ、イケない、私も送らなくちゃw。私はお返しとばかりに、自撮りをして同じように名前に振り仮名を振って送る。すると、[うわっw、何だよこれ、従妹にそっくりw]と私と同じ感想を抱いている様だ。これで確定した・・私たちは並行世界を連絡を取り合う事が出来る存在になった。[並行世界とコミュニケーション取れるなんて凄いなw、でもさ、都市伝説では未来という設定だったろ?、何で並行世界になったんだろ?]と彼は私と同様に有頂天になりながらも冷静な意見のメッセージを私に送る。[分からないわ、方法は合っていると思うし・・、もしかして、巷の成功談やネットに散見されている噂は未来人と勝手に勘違いをしたんじゃない]と私は可能性が高そうな予想を彼に送った。[その可能性はあるかもね、俺達の様に腹を割ってコミュニケーションする人たちは余り居ないだろうし、大抵は警戒して本当の事を伝えないのだろう]と納得の意見を彼が返信。私たちはまるで親友の様に話が合い、メッセージのやり取りは深夜遅くまで続き、また明日も続きをしようと約束し、スマホを充電コードに繋ぎ、ベットの中に入った。同じ家、同じ部屋、同じ時間を過ごしているのに姿形が見えない奇妙なルームメイトとのこれからの交流が楽しみだ、そういえば何かを忘れている気がするが・・まあ、いいだろう。私は瞼を閉じて、明日に備えた。

 

 翌日、寝不足で少しだるいが強引に体を動かして、身支度をする。身支度を終えた私は、両親に挨拶をして、学校へ向かう。学校へ向かう道すがら私はスマホをチェックしたらSMSのアプリに未読のお知らせの数字がえらい事になっていた。しまった!、都市伝説の結果報告をするはずだった・・どうしよう。私は恐る恐るアプリを起動してメッセージを確認。すると、おい!どうした?報告しろ!もしもし?など私の反応がない事に動揺して何度も連絡をとろうとしていた。こ、これはまずい、言い訳を考えなければ・・。私は学校に着くまで矛盾しない言い訳を考え続けていたが、遂に到着してしまい、教室の自分の席になるべく気配を消して着席。そして、「おい」と私の肩を掴み聞き覚えがあり過ぎる声がする。私はゆっくり振り向くと、切れ長の目に長身面長でロングヘアーのミナシーこと皆島祥子(みなしま・しょうこ)と丸み帯びた顔にショートカットで低身長のぐりぐりまなこのオカルこと大川薫(おおかわ・かおる)のオカルト研究部の面々がいた。私はすかさず「おはよう、ミナシー、オカル」としれっと挨拶。「おはようじゃねえよw、昨日はどうした?、何度もメッセージを送ったのに、既読も付かないから心配したぞ」とミナシーが呆れながら言い、「そうだよ、私凄く心配したんだから」とまんまるした目をウルウルさせながらオカルも心配していた。怒られると想定していたが・・予想外。私は若干の罪悪感を感じつつも、「ごめん!、慣れない夜更かしをしたもんだからさ、いつの間にか寝ちゃったw」と会心の言い訳を放つ。しかし、「寝てた?・・・・・男か?」とミナシーが先ほどの心配していた目が豹変して疑惑の目を向ける。ミナシーの発言にドキンと私の心臓が強く反応した。気取られた?、どの部分に?。ミナシーは野生の勘というか勘が鋭くて、どうい訳か勘付かれる。でも確信を持ってない様だ・・よしっ!。「ま、まさかw、そんな訳ないじゃないw、本当だって!寝てたの」と嘘を押し通そうを私は試みた。「ふーん」と二人同時に私の嘘に対して応え、ミナシーは依然と疑惑の目を向け、オカルはいつの間にか疑惑の目をしていた。「まあ、詳しい話は放課後で」とミナシーが言い、二人は謎の目配せをした後それぞれの席に着く。

 

 それから、授業は滞りなく進み、お昼休憩になり二人は朝の事を何故か触れずいつも通りの時間を過ごし、午後の授業が終わり放課後になる。放課後のオカルト研究部の活動をするために私は、数学準備室の一角を間借りした部室に向かう。準備室といっても実質、物置見たいな感じで、殆ど使われていない。私が部室の戸を開けると奥にミナシーが窓際に立って待っていた。今朝の様子から何かを仕掛けて来ると踏んでいたが・・オカルの姿が見えない?。私は警戒しながら部室に入ると、勝手に戸がしまり、オカルーがいる。「さあ、話してもらおうかw」とミナシー邪悪な顔をした私に尋ねた。ミナシーはそのずけずけとした物言いと好奇心を感じたものに対しての異常な行動力で数々のトラブルを起こし、私やオカルも何度もひどい目に遭っている。恐らくだが今回は私があまり付かない嘘に興味を抱いたのだろう、そして、私と同様にオカルもひどい目に遭っているにもかかわらず協力しているのは、私に異性の気配を感じて聞きたいだけだと思う。ふむ、どうする?、正直に話すか?、でもな・・この二人に頭がおかしいと思われたら嫌だな・・。私は嘘を言って誤魔化す事を選択して、「なにw、私が男と付き合ってる訳ないじゃない、オカルト研究部の部員だよ?、そんな根暗の女を好きになる男子はいないわよw」とうそぶく。すると、「オカル!、オカルト研究部の御法度、第一条は何だ!」とミナシーが腕を組んで叫ぶ。「不純異性交遊、これ、まかりならないです!」とオカルも叫び返し腕を組む。こいつら・・練習したな。「ちょっとw、御法度て何?、私知らないわよw」と私が茶化す。私の態度を見たミナシーは「うるさい、うるさい、今決めたんだ文句あるか!、オカル!、後ろから羽交い絞めにしろ!」と逆切れしながらオカルに指示。逆切れが合図だったのか、オカルが私をいきなり羽交い絞めにして身動きを出来ない、そして、すかさずミナシーが接近して私がいつもスマホを入れている学生バックの前ポケットに手を入れてスマホを取り出す。そして、ミナシーは取り出したスマホを起動して私の顔に向けて顔認証をパスした。あっという間の事だった、非難の声も上げる暇もない。まさか、ここまでも練習していたのか?。私は強引にオカルの羽交い絞めを解き放つと、「きゃっ」と声をあげるオカルをしり目に私は、「返してよ!、プライバシーの侵害よ!」とミナシーに食って掛かる。しかし、ミナシーの長身に敵わず、私の手を空を切り、スマホをミナシーは閲覧し続けた。

 

 「おっ!こいつは・・男とねんごろだw」とミナシーは喜々として言い、深夜の行われた私たちの交流が表示された画面を私たちに見せた。その瞬間、「茜w、この男子ってうちの学校?」とオカルが少し高揚しながら私に尋ねる。そこは思春期の高校生なのだろう、色恋沙汰に興味がる様だ。「ある意味うちの学校というか・・」と私が要領得ない事を言い、私がこれ以上、説明できない事にフラストレーションが溜まり苛立った時、ミナシーの持っている私のスマホが着信を知らせるサウンドを奏でる。「うわっ、誰だ?・・何だこれ?」とミナシーは私のスマホの画面を見て目が点になった。私はミナシーが茫然としている隙をみて、スマホを奪い返し、スマホを見る。そこには私の電話番号からの着信だった。「何これ?、私の番号?」と私は思わず呟く。私の呟きを聞いたミナシーは、「やっぱり!、茜の番号だよな?、どうなってんだ?」とワクワクした目で私に尋ね、「えっ、なになに?」と私の元へオカルが来る。私はそんな二人を横目にスマホを操作すると、ビデを通話をしますか?と案内が表示されていて、案内に従いタップした。スマホの画面にうちの高校の制服を着た男子が映り、「あっ、繋がった!、良かったよw、俺が誰だかわかる?、優雅茜(ゆうが・せん)だよ!」と画面の男の子の一人が名乗る。「セン?、嘘でしょ?、何で通話できるの?」と私は矢継ぎ早に質問。「メールが出来るんなら通話も出来るかもって試して見たw」とセンは言う。これは驚いた、まさか通話まで出来るとは・・。「おい、おい、お二人さんw、恋人の情事を邪魔したくないけどさ、そろそろ私たちにも紹介してくれよw、その制服はうちの学校でしょ、今から会おうよ」とミナシーがニヤニヤとしながら言った。私は唾をごくりと飲み込み、意を決して、「会えないの、私たちとは別の並列世界の住人だから」と真実を告白。私の告白を受けて、二人は真顔になりクルっ回転して私に背を向けて「私さ、オカルト好きだから大抵のものは受け入れるけどこれはちょっと・・」とミナシーが言い、「わかる、ちょっとこれは無いよね」とオカルも同調。二人の態度と先程の振舞にストレスがたまりにたまり、「お前ら!、オカルト研究部御法度、第二条を言ってみろ!」と私は叫ぶ。「えっ・・第二条?、そんなの無いだろ?」とミナシーが目が点になる。「第二条はな!、部員の不可思議な発言、これ、否定まかりならんだ!、私が今、決めたんだよ!!」と私は二人を圧倒した。ミナシーは私の剣幕に驚いていたが、にやりと笑い、「へへ、まさかアカネに言われるとなw、お前も成長したじゃないかw」と私の肩を持ち、「アカネ!カッコよかったよ!」とオカルは言いながら私の手を両手で握る。そして、「あの・・、話は終わった?、話しを先に進めたいんだけど?」とセンの声が私のスマホからした。

 

 「おお、すまねぇなw、あんたは並列世界の別世界のアカネで間違いないかい?」とミナシーは私のスマホに向かいセンに尋ねる。「うん、君の世界では女として生まれた世界で、こちらは男として生まれた世界だよ」とセンが返す。「私はね、オカルト好きでも懐疑的に見て、検証して論理的に説明したいタイプなんだよ、お前さんがもう一人のアカネと言われてもイマイチ、ピンと来ない、他に立証出来るものがあるかい?」とミナシーは眼光鋭く言う。「他に立証できるものは・・あっ、ミナシー!ちょっと来て」とセンが言う。ミナシー・・?、確かに今そう聞こえた。「私?、そうか、並行世界なら共通点もあるはずだ、その風景、見覚えがあると思ったらここの部室かいw」とこちらのミナシーはブツブツと小声で呟く。そして、「本当にパラレルワールドなのかよw、もしもし?、ミナシーですw」と面長で切れ目の長髪の男子が画面に出てきた。あちらのミナシーは何というか、こちらのミナシーをそのまま男の恰好をさせた感じで、瓜二つだ。「うおっ!?、何だいこりゃあ?、私が男装している・・」とこちらのミナシーはショックを受ける。その言葉を聞いたあちらのミナシーは「はぁ?、その言葉、そのままそっくり返すぜ!、まるで俺が女装してるみたいじゃないかw」とあちらのミナシーもこちらのミナシーと似ているのか、ずけずけと言い放つ。ショックを受けていたこちらのミナシーだが、ああも言われては引き下がれないとばかりに、「言うじゃないかw、私の顔をしながら、汚い、いちもつを生やして気持ち悪いんだよ!、このくそオス!」と負けじと返す。これでは収拾がつかない、私が止めに入ろうと動くと、二人のミナシーは高笑いをして、「これは否定しようがないなw、間違いなくこのスマホの先はパラレルワールドだ!」とこちらミナシーが満面の笑みを浮かべ、「全くの同意!、こんな偏屈な人間は俺以外ありえないw」とあちらのミナシーが満足気に言った。一歩下がり様子を伺っていたオカルは、ミナシーの態度で大丈夫だと感じたのか、「私も、もう一人の私と話したい」と私のスマホを覗く。「オカル!、お呼びだぜ」とあちらのミナシーがあちらのオカルを呼ぶ。すると、「あっ、初めまして、オカルです」と髪は短めで丸み帯びた顔にぐりぐりまなこで低身長の男子がスマホに出て来る。「あっ、初めまして・・オカルです」とこちらのオカルもオウム返し。ミナシーと同じく瓜二つだ。「あの、そちらもオカルト研究部なんですか?」とこちらのオカルが尋ねた。「あ、はい、オカルト研究部です、数学の準備室を間借りしています」とあちらのオカルが答える。なるほど・・性別の変化以外は殆ど一緒なのか・・。二人のオカルのやり取りは、素朴な質問を互いにしていて、その微笑ましい光景はいつまでも眺められた。それから、代わる代わる、並行世界の自信の事やあちらのオカルト研究部のメンバーと会話してあっという間に時間が経ち、私たちのスマホのバッテリー残量の警告を発した事が切っ掛けに今日の交流はここ迄となった。

 

 「しっかし、こいつは、たまげたなw、パラレルワールドの住人と交流が出来るなんてよw、でも腑に落ちない事が有るな」とミナシーは言う。「腑に落ちない事?、そんな事あったっけ?」と私はすかさずミナシーに尋ねる。「私とオカルは瓜二つなのによ、共通のパーツはあるもののアカネは随分違くね?」とミナシーは言った。確かに、親戚の子に似ているが当人通しはあまり似ていない・・最初はそういうものかと思っていたが、今日の交流でミナシーとオカルの瓜二つの様子を見て、引っかかってはいた。「別に良いじゃない、私は満足w」とオカルが割って入り、「そうだねw」と私は同調する事によってもやもやした気持ちを振り払う。「まあ、全部謎を解いたら面白くねぇしなw」と遅れてミナシーも同調して、その日は解散した。邂逅した日から私たちは毎日、向こう側の彼らと交流を続けながら様々な実験をして検証をする。そこで分かったのは、あちらの世界で起きた事象は必ず遅れてこちらの世界で起きるというものだった。例えばあちらの世界で火事が起きれば、こちらの世界にも遅れて同じ場所に火事になった。時間差を利用して不幸を防げるんじゃないか?と試みると、何と防ぐことが出来て、私たちは有頂天になり、ヒーロー気取りで起きた事故や事件を調子に乗って未然に防いだ。そんな毎日を一ヶ月ぐらい経った時、異変が起きる。

 

 今日も事故を未然に防ぎ、良い事をした後はやはり気持ちいい。私は自室の戻り、ベットに寝転びながら、スマホをタップして起動。いつもの様にセンとビデオ通話をする。「セン!、ありがとう、事故は防げたよ!」と私がスマホ越しのセンに話しかけた。「そう、よかったね!、君の世界しか防げないのが玉に瑕だけどね・・」と彼は返す。確かにそれは悲しい事だけど、センの世界の方が先に事象が起きるので、どうしようもない。「仕方がないよ」と私は彼が気にしていいる事を感じ慰める。「ありがとう・・」と切なげに答えた時、彼の部屋のドアを誰かがノックする。彼は振り向き、「はい!」と返事。ドアが開き、「セン!、あんたが食べたいって言っていた、アリス堂のスペシャルイチゴケーキよ!、母さんね並んだんだからね!」と私の母さんと瓜二つのセンの母さんが机の上にケーキを置く。スマホ越しに見える彼の表情は、何故か困惑していて、そんな、彼の事を全く気にせず「あんた何やっているの?」とセンの母さんが彼が寝そべっているベッドに近づき、スマホを覗いた。「あらっw、どうも!、あんたの彼女w?、可愛いじゃないw」とセンの母さんが茶化す。私の母さんと同じ顔、仕草で、他人行儀なのは何だか複雑な気持ち・・。「あっち行ってよ!」と彼は顔を赤く染め、実力行使で部屋から追い出そうと試みる。すると、「ハイハイw」とセンの母さんが言いながら退散した。「ごめん、最近おかしいんだ」と彼が頭をかきながら言う。「何が?、私の母さんと同じで良いお母さんじゃない」と私は彼の言動の真意を掴めず困惑。「だってさ、頼んでないケーキを頼まれたなんて言うんだぜ、この前も女の子が好きそうなデザインの消しゴムを買ってきて、探したんだからねって言うし」と彼は机から消しゴムを出し見せる。その消しゴムは以前、私が母さんにねだった奴だ・・、そういえば昨日、アリス堂のスペシャルイチゴケーキを頼んだっけ、これは・・偶然?。私は何だか背筋にゾクッと冷たいものを感じたが、彼が寝ながら通話している事に気が付くと、秋の天気模様の様にコロコロ変わる私の乙女心は、彼とのあらぬ妄想を始める。同じ場所のベットに彼と寝ている・・何だか添い寝している気分w。それから、お互いに起きた日常の話しを数分した時、彼のスマホが傾き部屋のデジタル置き時計が一瞬映る。「あれ?、ちょっと部屋の時計を映して見て」と私は彼に打診。「えっ?、あ、うん」と彼は快諾して時計を映す。「何これ・・」と私は驚きの余り声を失う。「アカネ!どうした?、何があった?」と彼は私の様子が異変に気が付き尋ねる。「あのね・・私の世界の今日の日付は12月4日の午後8時だけど、そちらの時計を見ると12月6日の午後9時なっているけど壊れてない?」と私は恐る恐る言う。「えっ・・壊れてないよ、スマホも同じ時刻を表示しているし・・これはいつの間に?、何で俺の世界の方が進んでいるんだ?」と彼も困惑。どいう事だろうか?、もしかして、最近、私たちがしていた事に関係があるのか?。「これからどうする?」と彼が私に尋ねる。「私たちだけで考えるのは危険だよ、オカルト研究部の皆で改めて話そう」と私が提案。すると、「そうだね、今日はもうこれまでにしよう・・」と彼は同意して、私たちは通話を終了した。私はベッドにうつ伏せになり、言いようのない不安に襲われ、早く明日にならないかと願った。

 

 そして、翌日の放課後。こちら側とあちら側のオカルト研究部が集まり、私たちのスマホを通して話し合いが始まる。「こいつは驚いた、本当に時間差が出来ている・・」とミナシーが向う側の世界の時間が2日程進んでい事を確認して深刻な顔をし、「えっ・・これ以上の時間のずれが起きると何が起きるの?」とオカルは怯えていた。「とにかく、時間のずれが生じた事の原因は恐らくだけど、この一ヶ月にやった俺達の行動だと思う。」とセンが言う。「ちょっと待った!、本当に事件や事故を防いだ事が原因とは限らないんじゃねぇか?、もしかしたら最初からズレていたかも知れねぇじゃねぇか?」とあちら側のミナシーがセンの推測に物申した。「流石、もう一人の私!いい事、言うねぇw、私も同意見だ、とにかく実証してみない事には、先に進めないねぇ・・、直近で起きた事故を防いでみて時間のずれを確認しようや」とこちら側のミナシーが同調する。「あの・・、僕も不安だけど、二人のミナシーに賛成」とあちら側のオカルは二人のミナシーの案に同乗。「そうね、もしかしたら最初からズレ始めていたかも知れないしね、じゃあこれから事故を防いでみて時間のズレを観察して見ましょう!」と私がまとめると、異なる世界に存在する二つオカルト研究部の面々は無言で頷き、実証実験を行う事になった。実証実験はあちら側の起きた事故をセンたちが私たちに報告して、それを防ぐ流れになる。その日の夜に早速、交通事故の詳細がメールに送られてきた。事故は、明後日の放課後、うちの生徒が下校時に横断歩道を渡っているところ、よそ見運転のトラックにはねられて骨折をして入院するというものだった。私は早速、SMSに事故の詳細を報告すると[了解だ、ちょっとワクワクするw」とミナシーが反応し、[骨折!?、可哀そう・・助けようね!」とオカルは使命を感じている様だ。これで大体の準備は整った、果たして時間のズレは起こるのか?。私は不安と期待の入り混じったよく分からい感情を抱え就寝をした。

 

 事故が起こる当日。私はこれからやる実証実験の事で頭がいっぱいになって、授業に身が入らず上の空だった。事故を防いだ後、時間がズレたらどうしよう・・、高校生の私たちが責任を取れるレベルじゃない。思い返してみると、始めの頃は、二つの世界で起きる事故や事件の時間差は余りなかった・・どんどんやるにつれ時間差が長くなり、私も違和感を感じていたが、事故や事件を未然に防ぐと同時に感じた神にも似た万能感と高揚感が快感で、目を逸らしてしまった。ミナシーたちが実証実験と言っていたが、本当はとっくに確信の様なものを得ていて、自分たちの所為じゃないと、ある種の希望的な願望を体現した発言なんだと思う。正直、実証実験をするまでもなく、結果は見えている・・。ただ、認めたくないのだ、一ヶ月に渡って行った人助けが原因で恐ろしい結末になるのを。私は、教室のミナシーとオカルの様子を伺う。二人共、黒板を見てはいるけど、心ここにあらずで、授業を全く聞いてない。皆、恐らく、考えている事は一緒だろう。私はため息をつき、肘を付き、教室の窓から見える薄暗い曇り空を見る。これから起きる出来事を暗示している様で、私の心をざわつかせた。放課後、事故に遭う生徒の下調べはもう済んでいる。私たちはターゲットに気取られない様に後を付けた。センたちの情報によるとこの先の横断歩道を渡っている最中に轢かれる。ターゲットの生徒は、数分後に病院送りになるとは知らず、呑気に鼻歌交じりで横断歩道に到達。横断歩道に左足を踏み出そうとした瞬間、「先輩!、忘れものですよ!」と私が声を掛けた。突然、声を掛けられたターゲットの生徒は振り向く。そして、「あっ、ごめんなさい・・人違いでした」と私は謝罪をした数秒後、ターゲットを轢くはずだったトラックは横断歩道を走り抜け、突風を起こす。突風で髪を煽られて、驚いたターゲットは髪を抑えながら走り去ったトラックを見て、茫然となった。恐らく、直感で理解したのであろう。あのまま自分が渡っていたら大惨事になったであろう未来をだ。ターゲットはホッとした表情をして、横断歩道を慎重に渡り、私を一瞥をして家路に着いた。よし、事故を防いだ!、後はあちら側の世界に変化が起こっているかだ。早速、私はセンにメールを送り、事故を防いだ事を報告。[了解]と短く返信がきて、それを確認した私たちは学校に戻った。

 

 オカルト研究部の部室に戻った私たちは、センたちの連絡を待つ。「遅いね・・」とオカルが呟き、「あの野郎ども!、何をもたもたしてんだ」とミナシーが苛立つ。「落ち着いて!、私たちが出来るのは待つ事のみよ」と私がミナシーをなだめ、「分かってるって・・、早く答えが知りたいんだよ」とミナシーは焦燥感を滲ませた表情を私に見せた。待つ事数分、私のスマホが着信を知らせる音が奏でる。私はすかさずスマホを操作すると、あちら側のオカルト研究部の面々が映る。「ごめん、ちょっとトラブルがあって遅れた、それじゃあ、お互いの現在の時刻を言おうか」とセンが言う。「現在は、午後の4時30分だよ」と私はすかさずスマホに表示された時刻を読み上げる。私の申告を受けて、「・・・現在は、午後の6時30分・・だ」と苦虫を噛んだ様な表情をしてセンが言った。やはり、原因は私たちだった・・。昨日までは2日と1時間のずれが2時間になっていた。否定しようがない現実を突き付けられたオカルト部の面々は、終始無言になり、罪悪感が支配する。これからどうしよう・・、時間のズレを巻き戻す方法があるのだろうか?・・否、そんな都合のいいものは恐らく存在しない。最善はこれ以上のズレを起こさない様にするだけだ。「あの、私の意見としてはこれ以上は・・」と私が持論を述べようとした時、「ごめん、ちょっと聞いてもらい事があるんだけど」とセンが割って入る。「あっ、えっ、うん、どうぞ」と私は戸惑いならセンに発言する事を承諾。そう言えば、先程からあちら側のオカルト研究部の面々の顔が暗い。「トラブルがあったと言ったよね?」とセンが言う。「だから何だい?、出し惜しみをしないでちゃっちゃと言いな!」とミナシーが苛立ちながら話の続きを要望。「あっ、うん、俺達は部室で待機していたんだけど・・、君たちが事故を防いだと報告したメールが来た瞬間・・、俺達以外がまるで動画の早回しの様になったんだ・・」とセンが言った。センの発言を聞いた私は頭に血が上り「いつから?、何でもっと早く言ってくれなかったの?」と怒鳴る。「ご、ごめん、恐らくだけど、これまでは俺達も時間が加速した中にいて気付けなかったんだと思う」と私の剣幕に押されながらセンが言った。「ごめん・・てっきり・・、でも今回は何で気付けたのかな?」と私は早合点して、センたちが今まで早回しの事象を隠していたと勘違いをしてしまった事を気付くと、急激に冷静になり、突然湧き出た疑問を口にする。「恐らくだけど、認識してしまったのが原因だと思う」とセンが答え、「認識というより、観測してしまったという方がしっくりこね?」と向う側のミナシーが付け加えた。「つまり?」と私が答えを簡潔にする事を要求。すると、私の隣にいたミナシーが口を開き「時間のズレを認識した私たちは、自分たちが原因だとほぼ確信をしていた、シュレーディンガーの猫の実験で例えると、実験装置の中にいる猫が生きているか死んでいるか、普通なら観測してみないと分からない、だから認識できない、しかしだな、私たちは既に答えを知っていて、観測しているから認識できたって事だろ?」と小難しい事を長々と言う。「何を言っているのか分からないよ?」とオカルは頭を抱え、「要するに、知っていれば認識できるという事よ!」と私もよく分からないが、強引に自信を納得させつつオカルを納得せた。その様子を見ていたセンは、「まあ、俺達もよく分からないのが本音だけどね、実際分かる必要も無いと思うよ」とセンが私とオカルをフォロー。「そ、そうね、高校生にこれ以上考えても無理よねw」と私は渡りに船とばかりにセンの言葉に乗った。

 

 「ごほん、話がそれたけど、これからどうする?」と私は本題に戻す。すると、先ほどまで少し雰囲気が少し明るくなりかけていたが、私の発言で元の暗さに戻る。そして、「もうさ、これ以上、関わる事を止めた方がいいじゃねぇ?」とあちら側のミナシーが言う。「僕も賛成、これ以、事態を悪くしない方がいいよ」とあちら側のオカルも同意。「私も賛成だね、さすがにヤバすぎるよ・・オカルト好きとしては悔しいがね・・」とこちらのミナシーも珍しく素直に同調し、「私もその方がいいと思う」とこちらのオカルも加わる。2つの世界のミナシーとオカルたちは押し黙ったままの私とセンに注目をして、口を開くのを待つ。どうしよう・・、これ以上、時間のズレを起こしたら何が起きるか予想出来ない、でも・・・・。私はセンを見つめる。センも私の視線に気づき見返し、瞳を閉じて何かを決心した様子をした後に、「そうだね、これ以上は危険すぎる、名残惜しいけど、交流は止めよう」と言う。彼の発言に私はショックを受けたが、つらそうな彼の表情を見た瞬間、「うん・・そうしよう」と何とか言葉を絞り出し、オカルト研究部の総意は決まった。それから数日後。私たちのオカルト研究部の活動は以前と同じように、あるかどうかわからない、根も葉もない都市伝説を追いかけたり、未確認飛行物体を探したり、それなりに楽しく過ごしている。ただ、並行世界との交流していた時期をどうしても思い出してしまう。ミナシーやオカルはあれ以来、並行世界の事を口にしないが二人はどう思っているのだろう?。そんな日々が、あっという間に数か月過ぎ、私たちは高校三年生になる。高校三年生となれば進路活動が優先になり、オカルト研究部の活動は、オカルトというより女子会みたいな感じになり、お菓子を寄せ合って終始お喋りをして、日が傾き、夕暮れ時になると解散して、それぞれの家路に着く毎日。その日も、あーでもない、こーでもないと下らないお喋りが終わり、家路に着き、私は部屋のベッドに寝転ぶと、スマホに着信の音が奏でる。ミナシー?、オカル?、誰かな?。私はスマホを操作して、表示されているものに驚愕。それは、自分の電話番号。これは、あちら側からの連絡、そう、センからだ。私は高鳴る鼓動を感じつつ、通話をタップ。すると、「あっ、ごめん、センだけど、本当はこんな事頼みたくないけど、頼む!!、助けて欲しい」とセンはかなり動揺しつつこちら側に連絡をしている様だ。「落ち着いて!、何があったの?」と私はセンをなだめる。「あっ、うん・・その・・」とセンは中々先に進まない。「大丈夫だから、ゆっくりと落ち着いて話して」と私は彼がパニックを起こさないように努める。彼は深呼吸をした後、「ミナシーが死んだ」と彼は言った。

 

 「死んだ!?、何で?」と私は問い詰める。「カッパ沼って知ってる?」と彼は私の問いを問いで返す。「知ってるわ、学校の近くの沼でしょう?」と私は答えた。「実はね、久しぶりにオカルト研究部らしい活動をしようって事になってね・・、ミナシーがカッパを探そうと提案したんだ」と彼は言う。「それで?」と私は続きを促す。「それで適当にブラブラとカッパ沼の周辺をうろついていたんだけど・・、ミナシーが何かを見つけてね、沼に掛かっていた桟橋に走って行ったんだ・・桟橋が崩れて・・・」と彼はミナシーが命を落とす所の話に差しかかると泣き出す。「辛かったね・・」と彼に何を言って良いかわからず、私は出来るだけ彼が傷つけない様な言葉を選ぶ。「うん、ありがとう・・、助けてくれって言ったけど、忘れてくれ・・無理なのに俺は何を言ってんだろうw」と彼は嘲笑しつつ涙を拭いなら返した。数秒の沈黙の後、「ねえ、私を信じて待ってくれる?」と私は彼に打診。「えっ?、あっ、いいけど・・、僕らは未来にいて、確定しているミナシーの事は変えられないよ?」と彼は戸惑いながら言う。「うん、今まで方法だったらね、試したい事が有るの、だから信じて待って」と私は彼の目を見て強く要請し、「よく分からないけど、君を信じて待つよ」と彼は快諾し、彼の意思確認をした私は、一指し指をスマホの画面に触れ、「成功のおまじない、センもやって!」と彼に促す。彼は戸惑うが、クスって笑い、私の人差し指と丁度重なる様にスマホの画面に触れる。「じゃあ、また!」と私が言い、「うん、また!」と彼が返して、スマホの通話を切った。さあ、これから忙しくなる!、私一人では限界があるけど、オカルト研究部三人でやれば出来る!。私は決意を胸に、ベッドに入り就寝した。

 

 次の日、私は朝方にメールで、センから事故が起きた経緯の詳しい日時を教えて貰い、授業を受けながら、自分が描いた推測に間違いや矛盾が無いか何度も考え放課後を待つ。そして放課後になると、私は、オカルト研究部がある数学準備室に向かう。オカルト研究部の戸の前に来ると、ミナシーとオカルの二人の気配がする。まずはこれからだ、私が部室に入った時のミナシーの発言が推測の取っ掛かりになるのだ。私の心臓は破裂しそうに脈を打ち、手には汗をかいていて、その手で戸に触れ、開けた。「よう!、アカネ!」とミナシーは私に挨拶し、続いて「アカネ、今日もお菓子やジュースを飲みながらお喋りをしようよ!」とオカルは学生バックからお菓子やジュースを出す。よかった・・、私の推測は間違ってない。並行世界の二つの世界は、少しの違いだけで基本は同じ事が起きる。もし、私たちも、そのルールの中にいるのなら、ミナシーはカッパ探しかあるいは何かを探す提案するはずだ。しかし、今しがたの彼女は何も提案をしない。つまり、私たちはそのルールの外側にいるのだ。これで私の推測は間違っていないと確信を得た。「みんな聞いて!」と私は二人に言う。「何だいw、急に?」とミナシーが笑いながら言い、「なあに?」とお菓子をつまみながらオカルは応える。「落ち着いて聞いてね、実は向う側のミナシーがカッパ沼で死んだの」と私は二人に打ち明ける。すると、「死んだ?もう一人の私が?」と愕然とした表情をミナシーがして、「嘘・・」とオカルはそれ以上の言葉は出なかった。「二人共よく聞いて、あちらの世界ではもう起きた事だけど私は改変を行おうと思うの」と私が二人に言う。「改変って言うけどねぇアカネ、プールの件でこちら側から向う側の世界に干渉できないと分かったろう?」とミナシーは呆れながら返す。そして、あの時一番抵抗して拒否していたオカルは、「私は、絶対あんな事は、もうやらないからね!」と、思い出したのか珍しく苛立つ。そう、私たちは何度か実験と称してあちら側に干渉できないか試した。人には絶対言えない事だけど、私たちは学校のプールの水を抜き、水泳部の部活動を中止させ、向こう側に変化がないか確かめるため強行する。その結果、向こう側の世界の学校のプールに変化はなく、あくまでも向う側からしか干渉できないと結論に至った。

 

 「確かにね・・でもそれは私たちが直接手を下したからよ」と私が言う。「直接手を下す?、意味が分からん」とミナシーが首をかしげる。ミナシーの当然の疑問を払拭するため私は口を開き、「私たちは観測者、ルールの外側にいるの、その証拠にミナシー、本当ならあなたは私が部室に入ってきたら、カッパ探しを提案するはずなのよ?、おかしいわよね?」と言いう。「確かに、おかしいねぇ・・、でも私は両生類は嫌いだし、多少の違いはあるんじゃないのかねぇ?、それに、アカネの言うことが正しければ、私たちは何も出来ない事になるけど?」とミナシーは懐疑的な目。私はミナシーを納得させるため、「聞いてちょうだい、私の母さんにアリス堂のスペシャルイチゴケーキとかわいいデザインの消しゴムをお願いしたんだけども、何故かセンの母さんも彼が頼んで無いにも関わらず、同じスペシャルイチゴケーキと消しゴムを買って来たの、それを思い出した私はある仮設が浮かんだのよ」と家で起きた不可思議な事象の経緯と、それによって転じて出来た仮説がある事を申告。「仮説って?」とここでオカルが私に尋ねる。「観測者の私たちが、それ以外の人に働きかけて、行動させれば、向こう側の世界に干渉できるんじゃないかしら?」と私は二人に考えに考えた仮設を披露。「なるほどねぇ、それはそうかもしれないねぇ、でも仮説は仮説だ、ぶっつけ本番でやるのかい?」とミナシーは私に確認。「うん、実証実験をしている時間はないもの」と私は確固たる決意をミナシーに示す。そして、「オカルト研究部、御法度、第三条は何だ?」と私は叫ぶ。「第三条?さ、さあ?」とミナシーとオカルの二人は突然叫んだ私にポカンとして同時に同じセリフを言う。「オカルト研究部の同士を見捨てる事、これ、まかりならんだ!」と私は腕を組みながら二人に答えた。「ふふ、言うじゃないかw、なら、第四条も加えてもらおうか」とミナシーが不敵の笑みをし、「第四条?」と私はミナシーからの不意打ちに不覚にも間抜けな顔を晒す。すると、「オカルト研究部の部員たるもの、思い立ったら吉日だ!」とミナシーが笑顔で言い、更に、「計画はあるんだろうねぇ?」と確認。「うん、あるよ!、消防署に行きましょう!」と私が先陣を切り、部室を出て、ミナシーは私に続き、「待ってよー」とオカルが最後に部室を出た。それから消防署に行く道すがら、私は二人に計画を説明し、数分後に到着。消防署の前を何度も通った事はあるが、中に入るのは初めてだ。私たちは救急車や消防車を横目に建物に入り、廊下をキョロキョロしながら歩いていると、目の前に二人の消防士が奥から歩いて来る。「こんには!、あの、お願いがあるんですが」と私は彼らに話しかけた。

 

 「おっw、何だい学生さん、社会見学?」と気さくに私たちに返す。「ごめんなさい・・違います、あの、カッパ沼にうちの男子生徒がよく遊んでいまして、危ないからやめた方がいいよと注意したんです・・でも、どうも彼らは全く耳を貸さないんです、そこで消防士さん達に見回りみたいな事をして欲しいんです!」と私はここに来た目的を彼らに伝える。すると、彼らは顔を見合い、「ごめんね、お嬢さん、僕たちは町全体を見て回っていて、忙しいんだよ、だからさ、個人の要望を聞く暇はないんだ、あっ、もちろん君たちの情報は無駄にしないよ、時間が空いたら様子を見に行くよ」と消防士の一人は予想通りに私たちを適当にあしらう。私の後ろで静観していたミナシーが口を開き、「いいんですか?、もしこれで生徒が水難事故を起こして、事が公になれば無事に済まないと思いませんか?」とやんわり脅す。「君ね!、行かないとは言ってないでしょう!」と消防士のもう一人が反論。そして、「これは飽くまでも私の私見ですがねぇ、不景気、少子化、際限なく上がり続ける税金、上がらない給料の所為でギスギス、イライラ、世間はまるでカラカラの枯葉のように、いつでも勢いよく燃える感じがしませんかねぇ?、そんな状況で、私たちが警告したのに生徒が水難事故死したら・・想像しただけで恐ろしいw」とミナシーは不気味な笑みを二人の消防士に向けた。「ヤバいですよ、先輩!、炎上したらシャレになりませんよ!」と後輩と思われる消防士が怯え始め、先輩と思われる消防士の耳元で囁く。「ヤベェよ、ヤベェよ、折角、公務員になったのにクビになったらヤベェよ」と先輩と思われる消防士は先程の余裕は無く、ミナシーの戯言を真に受けブツブツと小声で呟き、「うん、わかった!、上司の報告して定期的に見回りをする事を進言してみるよ」と笑顔をひきつりながら言い逃げる様に立ち去る。私たちは彼らの背中に、「よろしくお願いします!」と言い、彼らもぎこちなく反応したのを確認して、消防署を後にした。

 

 次の日、私たちは放課後にカッパ沼に行き、消防士がちゃんと見回りをしてるのか確認を行う。カッパ沼はぐるっと囲う様に散歩道が整備してあり、その道を辺りを伺いながら三人で歩くと、例の二人組の消防士が渋い顔で見回っているのを発見した。まだこちらに気が付いてない様だ。ミナシーは邪悪な笑みをして、彼らに近づき、「こんにちは、消防士さん達」と声を掛ける。「き、君は先日の生徒!」と二人の消防士は挙動不審な態度。ミナシーは構わず口を開き、「いやー、私たちの様な子供の意見を聞いて下さってありがとうございます、これから夏になり益々、水遊びをしようとする者が多くなるでしょうねぇ、私たちも頼んだ手前、暫くは自主的に見まわろうと思いますのでよろしくお願いします」と恐らくだが何も知らない人からすればただの世間話に聞こえ、彼らには脅迫に聞こえるという、中々あくどい。「あっ、そうなんだ、感心するな・・、じゃあ見回りがあるから」と彼らは笑顔をひきつりながら立ち去った。「くくくw、今の牽制で、暫くは見まわる筈w」とミナシーは黒い笑顔を覗かせて、オカルトの活動をしているより断然楽しそうだ。「これで、向こう側のミナシーは助かる?」と押し黙ってしたオカルが口を開く。「さあねぇ、やれる事はやったから、後は神頼みだねぇ」とミナシーが応え、「うん、そうだね、後は待つだけだけど、水難事故は明日よ!明日も一応見回りは続けよう」と私は肯定して、今後の予定を言う。「了解!」とミナシーとオカルは同時に快諾してその日は解散した。

 

 翌日、放課後になり私たちはカッパ沼に行き、その日も消防士が真面目に見回りをしている事を確認した。これで私の推測が正しければ向う側の世界も何らかの理由で消防士が水難事故当日も見回っているはずだ。そして、私たちは向う側の世界のミナシーが水難事故を起こした時刻を過ぎるのを待つ。水鳥の鳴き声や風で起こる沼の波音を聞きながら数分後・・スマホのアラームが鳴り、私は早速、スマホを操作。すると、向こう側に繋がり、センの顔が映り出される。「セン!、何か変化があるはずだけど?・・どう?」と私は焦る気持ちを抑えつつ尋ねた。「アカネ!、変化?、いや・・多分無いけど・・」と私の思惑は外れた事を彼は口にする。やっぱり駄目なのね・・、所詮、高校生の考えた浅知恵か・・。私は全てが徒労に終わる事に絶望をし、センに何て言えばいいか分からず、スマホをただ眺めていると、センの奥にあちら側のオカルがいて、やはり暗い顔していた。誰も発言もせず無言の時間が過ぎていくと「ぽつ、ぽつ」と音がスマホのスピーカーから聞こえてきた。「セン、何かポツポツと音がするんだけど何?」と私は少しでも気が紛れるかもとセンに話を振る。「音?あれ?、いつの間に雨になっている?、さっきまで晴れていたのに・・」とセンが解せない表情。しかし、その様子に私は閃く。「セン!!、今日は何日?」と私は興奮しながら尋ねる。「えっ・・6月19日!?、なんだこりゃあ?いつの間に・・」とセンは動揺しながら答えた。今日は6月15日、間違いない、時間のズレが拡大した、それも今まで以上に。「これはつまり・・」とセンが何かを言おうとした時、あちらのオカルト研究部の戸が突然開き、「おい!!!、ふざけんなよ、お前ら!、俺が溺れて、消防士さんに助けられたっていうのに、勝手に見捨てて帰りやがって!!、お陰で、一人で遊んでいて沼に落っこちたって事になって、今まで散々、親から、先生、挙句に消防士さん達にこってり絞られたんだぞ!!」とあちら側のミナシーが怒り狂っていた。「ミナシー!!、良かった!!」とセンは人目をはばかれる事も無く、ミナシーに抱きつき、「ちょっ、何だよ?、離せ!」とあちら側のミナシ―は困惑して、更に、「ミナシー!!」とあちら側のオカルも抱きつき涙を流し、「オカル!!、お前まで、何なんだよ!」とあちら側のミナシーは困惑を深めた。よかったね・・。私はあちら側のオカルト研究部の面々に「本当に・・」と声を掛けようとした時、スマホの画面にノイズが走る。これは何?。「セン!!、何か変、ノイズがさっきから凄いの」と私はスマホの変調をセンに報告。「えっ?、よく・・聞こえ・・ない・・」とあちら側の声が途切れ途切れになり遂には回線が切れた。私は急いで自分の電話番号に掛けて、再度、あちら側に繋げようとしたが、話し中になり通常の反応になる。それから、私は何度も何度も、試していると、「やめな、多分もう繋がらないよ」とミナシーが制止をする。「急にどうして?」とオカルがオロオロしながら言う。「多分だけどねぇ、向こう側の私を助けたのが決定的になって、近くの並行世界から遠くの並行世界になったんじゃないかな・・」とミナシーはカッパ沼の景色を見ながら呟くように言い、ミナシーの推測に私は頷く以外何も出来なかった。

 

 それからの私たちは、進路活動もあり、オカルト研究部の活動は徐々に少なくなり、卒業する頃には全く活動が無くなり、自然消滅をした。私たちはそれぞれの進路希望の大学に進むと疎遠になり、社会人になると、連絡もしなくなる。私はど田舎味噌という弱小味噌メーカーの営業職に就職して日々販路拡大に努めている。ミナシーは風の噂で弁護士を目指して司法浪人をしている様だ。オカルは地元に残り、実家の不動産屋で世間に揉まれているらしい。あれから、5年、夢でも見ていたと思う時もあるが、並行世界と繋がった日々を思い出す事がある。センはもう一人の私ではなかった・・、社会人になり住民票を移動する時だ。自分の戸籍に養子の文字を見て、両親に問い詰めたら、話してくれた。当時両親は子供が出来なくて悩み、養子を貰う事を決める。偶然にも母方、父方に男の子と女の子の一人づつ生まれたばかりの名前が無い乳飲み子がいて、どちらも養子縁組を希望していたらしい。両親は悩み私を選び、養子に向かい入れた。つまり、センと私は同一人物ではなく、全くの他人で、女の子が選ばれた世界が私の世界で、男の子が選ばれた世界は向う側の世界という訳だ。ちなみに選ばれなかった方は、別の親族の元で育てられ、私の世界では従弟の関係、向こうの世界では恐らく従妹の関係になる。数年越しで分かった真実、確かに私たちは意識をし合っていたが、お互いが同一の人間と思っていたからこそ、一歩引いてわきまえていた。もし、真実を知ったら・・、いや、もうよそう、どちらにしろ、彼がいる世界は遠くに行ってしまったのだから・・。私はセンチメンタルな想いを振り払い、会社に報告を済ますと、社用車に乗り込みエンジンをかけ、走り出した。

 

 

 今回、ご紹介する曲は、作詞作曲、動画を市瀬るぽさん、イラストを藤森じあさんによるここで会えるからです。

 

 

 止まない雨は無い、雨雲の裂け目から降り注ぐ光が射す方へ・・その先に待っている人達に会おうと歩き出す・・。

 本曲は、光と絆をテーマにした、人と人の繋がりから起こす奇跡に導かれ歩む歌を鏡音リンさんが歌います。

 

 本曲の、題名、ここでまた会えるからは、個人的な解釈になりますが、人と人の絆の大切さを表現した題名だと思いましたよ。

 

 

 

 本曲の様な、心の応援歌と言いますか、ハートフルな曲は良いですね・・。辛い時に聴くと元気が出て来る曲を作れるというのは尊いです!。

 

 新生活、経済苦、人間関係、受験など現代の人間はストレスを多く抱えて悩んでいる人は多くいると思います。本曲、ここでまた会えるからは、そんな現代病を和らげてくれる効果がある素晴らしい曲だと思いますので、是非!、本動画を視聴して聴いてみて下さい!

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

鏡音リン