煮干しの一押しVOCALOID曲

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未知へ向かって・・GO!なVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 G7 広島サミットが滞りなく終わりましたね。この度のサミットが大成功を収めたのは関係各所の皆さま方の尽力の賜物で頭が下がる思いですよ。ホスト国として、世界のこれからの道筋を立てたのは、非常に誇らしいですね。共同声明は安定した世界の未来への布石として上々ではないでしょうか。それでは、305曲目の紹介をちょっとした物語をお送りします。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 バルコニーの手すりに寄りかかり、私は夜景を眺めていた。ここは、某地方都市のタワーマンションの最上階部分が展望施設として一般開放している場所だ。地方都市と言っても、そこそこ人口が多い都市なので、夜景はそれなりに見応えがある。私は眼前に広がる夜景を見ながら、ほんの一瞬、目を閉じて深呼吸すると、少し冷たさを感じる空気が肺を満たし、耳元には風を切る音が聞こえ、そこに微かに救急車のサイレンが混じる。僅かに聞こえるサイレン音の方へ目を向けると赤色灯の点滅がここからでも見え、それを目で追いながらぼんやりと思考を巡らせてみる。来年の今頃、私は何をしているのだろうか?社会人として働いているのだろうか?それとも実家で、親のすねをかじりながら、ニートをしているのだろうか?、いづれにしろ、未来は未だに未定のままだ。大学の同級生たちは去年から就職活動をしていて、殆どは内定を受け、進路が決まっているのだが、私に至っては、半年後には卒業してしまうこの時期になっても、私は何もせずにいる。やかましく言っていたゼミの担当教官は、私のやる気のなさに匙をなげてしまい、今や全く干渉しない。

 

 皆はどうして、ほいほい進路を決める事が出来るのだろうか?まるで彼らの行動は、社会という大きな川を遡上していく鮭の様に見え、滑稽に見えるのは、私がひねくれているのだろうか・・。私にはやりたい事が無い。故に挫折も無く、今日、この日までぼんやり過ごし、白黒はっきりした決断を避け、何となく皆に合わせ、玉虫色であいまいな、そんな人生を送っていた。しかし、そんな自己が曖昧な私は、皮肉にも、初めてみんなと違う行動をしている。何故だかは分からないが、開放感とういうのか、鬱陶しい首輪が取れて、爽快な気分を感じる面もあるが、不安の方がやはり大きい。独立して独り暮らし、実家暮らし、どちらも、自分で稼がねば、居場所が無くなるだろうから、大学を卒業までには、食い扶持を稼げる道筋をつけなければ・・。未だに白紙で未定の未来に途方に暮れている私に、ぞくっと身震いがおきた。どうやら、冷たい風に当たり過ぎて体が冷えてきた様だ。私は体を温めるべく、展望施設内のカフェに移動した。施設内のカフェはガラス張りで、バルコニー越しでも十分景色は素晴らしい。店内は平日という事もあり、客はまばらだった。私はカウンターで店員さんにホットコーヒーを注文する。数分後・・私は注文したコーヒーを店員さんから受け取ると、席は何処でも座れる状態だが、折角だから見晴らしが良い座席を探した。

 

 丁度、奥の角に良さそうな席がある事に気が付いた私は、そこにコーヒーを持ちながら進むと、途中、見覚えがあるグレーのパーカーで、デニムのパンツを着ていて、ナチュラルショートの眼鏡をかけた男の後ろ姿が目に入る。その男は十中八九、あいつだろうが、私はあえて無視をして、目的の席に着き、私は何食わぬ顔でホットコーヒーを飲む。すると、「ちょっと!酷いな君!僕の事、分かっていたでしょ!」とパーカーの男が私に抗議した。即座に私は「うるさいな、お茶休憩なの」と抗議を却下する。男は同じゼミの優等生の吉田だ。「君ね、先生が心配していたよ、就職先を見つけたのかい?」と彼は怯まず言う。先生は私をとっくに見放したと思っていたが、どうやら違う様だ。「就職の事はあんたには関係ないでしょ、それよりあんたは何でいるの?もしかしてストーカー?」と私は彼の親切心をバッサリ切り捨て、逆に質問をした。「し、失敬な!僕はここでお茶を飲むのが好きなんだよ!」と彼はご立腹の様子だ。「ごめんwあんた、いつも私をチラチラ見てるじゃない、だから勘違いしたw」と私は若干誇張してるが、真実を混ぜて煽る。すると彼は顔を真っ赤にして「はっ?み、見てないよ、気の所為じゃない?」と白々しく言う。その顔の赤さは、怒りからではない事は傍から見ても、一目瞭然だった。

 

 めんどくさいな・・子供じゃあるまいし、とっとと告白すれば良いのに。しかし、この男は恐らく切っ掛けがないと踏み出すことは出来ないだろう。私は浅いため息をつき、「そういえば、あんたさ、何処に内定が決まったの?」と埒が明かない話は強制終了して、就職の話を彼に振る。すると彼は目をそらし、「内定先?、りーぶる・・」とぼそっと言う。「えっ?聞こえない、何?」と私が再び尋ねる。「だから!リーブル!」と彼は、はっきり今度は答えた。リーブル?何の会社だろうか?秀才な吉田が就職先に選ぶからには、私が知らないだけで、良い会社なのだろう。まあ、正直どうでもいい。「へー凄いね!おめでとう!」と私は明らかに興味が無い様子で言った。「ちょっと!何の会社か?とか、普通はするべき質問があるでしょ!」と彼が先ほどの様子とは打って変わって、質問する事を要求してきた。そこで私は嫌々ながらも「はい、はい、何の会社ですか?」と質問をした。「君って奴は本当に・・まあいい、リーブルって会社はゲームを作る会社だよ!」と彼は自信満々で答え、「ゲーム会社?私はゲームをやる方だけど、リーブルって会社聞いたこと無いけど」と私は彼の答えに対して言う。

 

 そして、「あまり女性がやらないジャンルというか、まあ・・君は知らないと思うよ」と彼は曖昧に言った。何だコイツ・・急に聞けと言ったり、今度ははぐらかしたり、イライラするな。「だ・か・ら・何のゲームの会社?」と私が怒気を帯びて彼に質問をする。彼は私の怒りを感じて「ご、ごめん・・エロゲーの会社」と答えた。「エロゲー?アンアンギシギシがある、アダルトゲームのエロゲー?」と少し半笑いをしながら私は彼に再び尋ねる。「そ、そうだよ・・アンアンギシギシがある、あのエロゲーだよ」と彼は顔を赤くして羞恥心に耐えていた。「噓でしょ?受験を合格して、大学四年通って、エロゲー会社に就職ってw親は許してくれたの?」と私は満面の笑みで更に彼に問い詰める。「お、親は、お前の選んだ道なら言う事は無いって、ゆ、許してくれたよ」と彼は顔を更に赤くしてぎこちなく言う。彼の狼狽した姿を見た私は、「秀才の吉田さんがエロゲー会社ってwまあ、頑張ってくださいw」と笑いながら彼にエールを送る。すると、「馬鹿にしないでくれないかい、エロゲーって言っも、シナリオが秀逸で素晴らしいんだよ!健全なコンテンツにも負けない素晴らしいス―トーリーは、是非やるべきだよ」と彼は先程まで赤くした顔が瞬時に戻り、早口で捲し立て、私にエロゲーを強く勧めてきた。彼の言葉を聞いて、私の高揚して愉快な気持ちが急激に収まり、嫌悪感が出てきて、「女の私にアンアンギシギシのエロゲーをやれって?キモッ!だからお前は吉田なんだよ!」と罵倒をする。それに対して彼は「なっ!?何だよそれ!名前は関係ないだろ!そう言うくだらないプライドがあるから、就職先活動もしないでブラブラ出来るんだよ!」と強く抗議し、負けじと反撃してきた。

 

 いつも受け身の彼からの反撃に、私は鳩が豆鉄砲を食ったように、一瞬、ポカーンとした直後、怒りが再点火し、「はあ?上等だよ!就職先の一つや二つ、直ぐ見つけてやるよ!見てなさい!」と捨て台詞を吐いた後、コーヒーを一気飲みし、逃げる様にその場を後にした。翌日、私は大学の事務棟にある求人票の掲示板を見ていた。初夏の頃、来年に卒業する生徒向けの求人票は隙間なく埋め尽くされていたが、師走の現在、数枚のみだ。まあ、今頃になって就職活動をする卒業生なんて、私ぐらいなものだろう。私が数少ない求人票の一枚に目を通していると、「やあ」と誰かが後ろから声をかけて来た。振り返ると、吉田がいる。展望施設で少し言い過ぎた・・ここは謝るか?。しかし、昨日の彼の言い草がフラッシュバックして思わず私は「これは、これは、エロゲーマイスターの吉田さんじゃないですか」と意地悪く言ってしまう。「ちょっと!!その二つ名は止めてよ!君、本当に嫌な奴だね」とずれた眼鏡を戻しながら彼は言い、ため息をついて、更に「どうするの?求人票もかなり少ないし、何か伝手があるの?」と以外にも心配をしてきた。そして、昨日からボロカスに言ってくる私に対して、何の躊躇もなく心配をしてくれる彼に少し、私は不覚にもキュンとしてしまう。「伝手はない・・取り敢えず、残りの求人票で適当に決める」と私は歯切れが悪く言った。

 

 「残りの求人票って、君が見ているのはバスの添乗員さんの募集だけど、君って人前で喋るのは得意だっけ?」と彼は私の見ていた求人票を見ながら尋ねてくる。「と、得意じゃない」と、まるで先生に怒られる生徒の様に私は答えた。くそっ、吉田の癖に妙に包容力を感じる。彼は他の求人票を見ながら、「これは観光協会の事務員、これは味噌会社の作業員、おっと、自動車の整備士ってのもある」と読み上げ、そして「味噌でも作るかい?」と冗談っぽい口調で私に尋ねる。味噌会社って、大学の近くにある味噌の匂いが漂う工場の事だろう。正直、あそこで働くのは味噌臭くなりそうで嫌だ。しかし、今の私の状況で選り好みをしている立場ではない。それに、彼にこのままやり込められるのはプライドが許さない。私は少し演技っぽい仕草で髪をかき分け「そうね、味噌づくりするのも悪くないかもね」と思ってもいない嘘を言う。それに対して彼は「えっ!?冗談で言ったのに・・本当かい?じゃあ!善は急げだ!今から会社に行こう!」と私の手を引っ張って行こうとした。「ちょっ、待って、今から?嘘でしょ?」と私は引っ張る彼の手を強引に解く。「何だい?怖気づいたのかい?」と彼は両手の掌を空に向け私に確認した。「いや、面接って、そんな軽い気持ちで行くものじゃないでしょ、それに、いきなり行っても門前払いを受けるだけでしょ?」と私は一般常識を盾に彼の説得を試みた。

 

 私の説得を聞いた彼は「大丈夫だよwうちの大学と田舎味噌エンタープライズ社は交流が凄く長いからね、職員も、うちの大学の卒業生だらけだけで、君みたいな学生の就職先の受け皿になっているんだよ」と彼は得意満面に言う。あの味噌工場の会社はそんな社名だったのか・・てか、何で彼はこんなに詳しいんだろうか?。「良し!納得したみたいだから、行こう!」と彼は言い、再び強引に手を引っ張り、私は田舎味噌エンタープライズに連れていかれた。大学から徒歩、数分で工場に着くと味噌の香がする。彼は工場の敷地に躊躇なく入ると、まるで我が家の様に私を連れ歩き、工場の事務室だろうか?そこに入った。中に入ると、電話の音が鳴る中、事務員の様な女性や男性が業務をこなしている。そして、「お疲れ様です、社長いますか?」と彼は管理職の様な男性の方に挨拶し、社長の所在を尋ねた。今、社長って言った?面接って人事部みたいな人に会うんじゃないの?。管理職の様な男性は「これは坊ちゃん、お帰りなさい、今日の大学の学業は終わりですか?」と返えす。ぼ、坊ちゃん?吉田って何者?、そういえば、私は彼の素性はあまり知らない・・。私は動揺しつつ、二人の会話を見守っていると、彼が私の方を向き「社長を呼んだ貰ったから、ついて来て」と後に続くように促される。女性事務員の方が彼の前を歩き、私は黙ってそれについて行くと、高そうなソファーとテーブルがあり、奥には立派な机と椅子ある部屋に通された。そして、私たちの案内を終わると女性事務員がドアの前で会釈して退室した。

 

 彼はソファーに躊躇なく座ると、「何やってんの?君も座りなよ」と私をソファーに座るように促す。私の頭は疑問だらけになり、とうとう耐え切れなくなって、「吉田、あんた何者?」と私はソファーに座りながら彼に尋ねた。「僕?ああ!君知らなかったんだねwこの会社の社長の息子だよ」と答える。「そ、それって御曹司って奴?」と私はビックリしながら言う。「御曹司?ははっw、そんな大げさな奴じゃないよw、小さな味噌製造会社の跡取り息子だよw」と彼はケタケタ笑いながら言った。しかし、私はとある疑問がよぎり、「吉田、エロゲーマイスターにはならないの?」と尋ねる。「ちょっ!!君ね!もう止めてよ!」と彼はキョロキョロと辺りを伺う。誰も聴いていない事を確認して安心した彼は、「10年たっても、ものにならなかったら、後を継ぐためこの会社に入ると約束しているんだよ」と小声で私に打ち明けた。私が彼からの驚愕の真実を聞かされて驚いた時、ドアがいきなり開き、割烹着の様な服装に恰幅がいい中年男性が入って来た。恐らく中年男性は吉田の父親であり、この会社の社長だろう。社長は私たちの反対側のソファーに座り、テーブルを挟んで対面する形になり、開口一番に「稔、お前が女の子を連れて来たと聞いた時、婚約者を連れてきたと思ったぞw」と言い豪快に笑う。そして、先程の案内してくれた女性の事務員さんが遅れて入室して来て、私たちにお茶を置く。それに対して私たちが会釈すると、女性の事務員さんも会釈を返して退室した。

 

 吉田の下の名前って、稔っていうのか・・新歓コンパでお互いにフルネームで紹介し合ったのに全く覚えてない。私はこいつは稔って名前なのかとまじまじと彼を見る。私の視線に気が付いた彼は「君ねw初めて下の名前のを知ったみたいな顔をしないでくれる」と軽く冗談じみた言い方で言う。「み、稔!そんな訳ないでしょw同じゼミなのに知らない何てあり得ないよw」と私は急遽取り繕う。しかし、私の大根役者っぷりにより馬脚を露し、「き、君、マジか?君には驚かされる事ばかりだけど、今のが一番驚いたよ!」と彼は驚き,、そして、呆れて言った。私たちのやり取りを聞いていた社長は「がははっ、何だ、お前たち、仲が良いじゃないかw」と私たちを茶化す。「父さん、こっちは真面目に就職の事で来てるんだから、茶化さないで下さい」と彼は抗議した。親に敬語を使うとは・・吉田は本当に育ちが良いんだな。「すまない、稔、それでは改めて、私は田舎味噌エンタープライズの社長、吉田太郎です」と私に社長は名乗る。社長が名乗って来たので私は恐縮しながら「始めまして、清水凛です、今日はよろしくお願いします」と返した。このまま面接に突入するのだろうか?。「清水凛さんね、良い名前ですね!、ふむ、早速だが、弊社の志望動機は何かな?」と社長は言う。案の定、面接にと突入してしまい、何の準備をしてない私は、しどろもどろになり、「ど、動機ですか?あの、その、御社の味噌に憧れてまして、ここで働きたいと思いました」と世迷言を言った。

 

 「ちょっ、君!何言ってんの?」と静観していた吉田がソファからずり落ちながら言い、「がははっ、長い事、面接をしていて、味噌に憧れる者は初めてだよw」と社長の笑いのツボにもろに入り、大爆笑をする。私は顔を真っ赤になり、自分の失態で醜態を晒したという事実を認識した頭が機能停止状態になり、僅かに残った正常な部分で言葉を絞り出そうとしても「はは・・」と乾いた笑いしか出なかった。終わった、受け皿として受け入れているとは言え、物には限度があるだろう・・吉田にこんなにおぜん立てしてもらいながらこの体たらく・・後で土下座でも何でもして謝ろう・・。私が絶望して諦め、下を向いていると「気に入った!味噌に憧れる社員何て良いじゃないか!採用する!」と社長の信じられない台詞が私の後頭部に降り注いだ。えっ・・嘘、本当に?。私は凄い勢いで顔を上げて「本当ですか?こんな間抜けな人間でも良いんですか?」と余りにも信じられない事が起きて、思わず確認をしてしまう。「ああ、本当だとも、弊社で味噌に憧れているという情熱をしっかり生かしてくれ」と社長は太鼓判を押してくれてた。「ありがとうございます!御社で精一杯、務めさせて頂きます!」と私は心を込めて、礼を言う。「こちらこそ、よろしく頼みます!早速で悪いんだけど、事務手続きをしてから帰ってね、じゃあ、稔!後は頼む」と社長は言い、部屋を退室して何処かへ行った。

 

 社長が退室してシーンと静まり返った室内で、就職が決まったというい嬉しさが私の心にジーンと響いて、それを噛み締めていると、吉田が「良かったね!おめでとう!」と私にお祝いの言葉を贈って来た。「うん、ありがとう」と私は素直にお礼の言葉を返す。今回、吉田には借りが出来た、この借りは絶対返そう。私は彼とは対等の関係でいたいのだ。それから、私たちは事務所に行き、手続きを終え、工場の入口で別れた。その時、ほんのちょっとだけだが、彼との別れが名残り惜しい気持ちが芽生えた。そして、翌年。私は研修と称した、田舎味噌エンタープライズの通常業務をこなしていた。私は、営業に配属されて、年明けの仕事始めから先輩社員から仕事のいろはを叩きこまれている。大学を卒業してからじゃないのか?と思う事もあったが、早く馴染んだ方が良いという会社の方針で、従う他なく、私は他の学生よりいち早く社会人になり、初お給料も頂いていた。初お給料は、両親に旅行をプレゼントしたら凄く喜ばれて、就職が出来たことが、良かったと、改めて感じた。卒業まであと半月、大学ではもうやる事が無く、後は卒業するだけだが、彼の顔を見たいので、ゼミ室に顔出した。しかし、彼はいなかった・・。まあ、彼の方も研修とか色々あるだろうから当然と言えば当然の結果で、二度目の給料を頂き、懐が温かくなっていて、気が大きくなっていた私はゼミの後輩達に学食を奢り、尊敬の念を集め、大学を後にした。

 

 スマホで連絡を取ればいいのだが、何故かその気になれない自分がいる・・。そして、私の足は、例の展望施設に自然と向かった。展望室に着くと、大勢の男女が腕を組み、指を絡め、ヒソヒソと会話している。しまった、今日は週末だった。私は回れ右で帰ろうとした時、まるでどこからか切り取って、貼り付けた、雑なコラージュな様な、周囲から浮きまくっている箇所が目に入る。よーく見ると、それは、吉田だった。恋人同士のカップルだらけの中、一人、代り映えしない姿で黄昏ている。私はにやけながら、彼の背後に回り、いきなり肩を叩く。すると、彼は驚いたような顔して振り向き「何だ、君か」と言うとまた景色を見始め黄昏始めた。これは何かあったな・・どうする?でも、これは借りを返すチャンスだ、しかしな・・下手に慰めると、こいつは怒り始めるんだよな・・見くびらないでもらおうとか何とか言って。思考を巡らせ思案をしても、いい案が浮かばず、私は結局、ストレートに慰める事にした。私は覚悟をしながら彼の手を握り、「何かあった?」と優しく尋ねた。怒ると思われたが、彼は「別に」と一言だけ言って何も言わない。ああ、これはまずい、本当に重症だ。私は握っていた手を引っ張って、人があまりいない場所まで連れて行き、「言ってよ、何もできないかもしれないけど、あんたの話しを聞きたいの」と心臓がバクバクしながら言った。

 

 彼は少し驚いていたが、私の決意の様なものを感じたのか、ぽつぽつとしゃべり始める。「リーブルって会社ね・・もう、ゲームを作ってないんだ・・下請けの会社の作らせて販売する会社なんだって」と言い、そして、「それでね、僕がゲームをもう作らないんですか?って会社の人に聞いたら、その予定はない、お前の仕事は営業で販路を拡大するだけだってさ・・何かさ・・一気に白けたよ」と嘲笑気味で言う。それに対して私は「でっ?諦めるの?エロゲーマイスターにならないの?」と尋ねた。「ちょっ!ちょっ!何言ってんの?僕がなりたいのはエロゲーマイスターじゃなくて、皆に感動を与えるゲームを作る、クリエイターになりたいの!」と辺りをキョロキョロして顔を赤くする。「じゃあ、なれば良いじゃないwエロゲーマイスターになりたいんじゃないなら、リーブルって会社に拘る必要ないでしょ?、なんなら、自分で会社を作ってしまえばいいじゃない!」と私はあっけらかんと自分が思った事を伝えた。彼は少し考え「簡単に言うけど、ゲーム会社を作って、成功する確率は万に一つ、いや、億に一つの可能性しかないんだよ」と気弱な事を言う。「じゃあ、諦めるの?好きで、諦められないから、悩んでいるんじゃないの?」と私は彼の逃げる口実をなくしてあげた。

 

 私のダメ押しで、彼は目をパチクリさせてから少し笑い、「そうだねw・・君の言う通りだ、ちょっと弱気になったみたいだ、よしっ!、僕は会社を作る!明日、会社に内定の辞退を伝える!」と決意表明した。先程まで弱気だった彼は、嘘のように様変わりして、まるで若武者が戦で武功を立てようと息巻いてる感じで凛々しく見える。「そう!それでこそ、吉田よ!これはご褒美よ」と私は彼の唇にキスをする。自分の行動に少し驚いたが後悔は無い。私の突然の行動に彼は動揺し、まばらにいたカップルたちも驚き、こちらを一瞥してから、空気を読んでこの場を離れていく。動揺していた彼の顔は同級生の顔から男の顔になり、そして恐らくだが、私の顔も女の顔になっているのだろう。私たちは、自然の流れに乗り、二度目のキスをして、抱き合い、いつも一人で見ていた夜景を二人で眺め、不謹慎だが、遠くで点滅している救急車の赤色灯がいつもより美しく見えた。未来は未定だらけだが、社会という大きな川の流れに流され流れつき、いづれは確定されるだろう。しかし、人の意志の力で選べる余地があると私は信じたい。

 

 今回ご紹介する曲は、Capchiiさん作詞作曲、イラストをみたうさんによるWhat's up? Pop!です。

 

 本曲は、株式会社セガさんとクリプトン・フィーチャーメディア・メディアさんから発売された、プロジェクトミライに応募して採用され収録された曲です。キュートでポップな曲に乗せ、未定、未知、未来、仮定、と言った不確定をテーマに、先が見えなくて怖くても、怖くないよ!皆で行こう!という応援歌を初音ミクさんが歌います。

 

 本曲の題名、What's up? Pop!ですが、作曲者のCapchiiさんのツイートよると、特に意味を込めている訳ではなく、フィーリング、つまり直感により生み出された題名のようなので、ここからは自分が考えた、独断と偏見による解釈です。What's up? Pop!を調べると、What's up?Pop!と言う言葉は存在しませんでした。あえて和訳するならば、What's up?は「どうしたの?」という意味と「調子はどう?」という英語スラングの意味、Popは様々意味がありまして、本曲に相応しい意味はポップダンスのポップがぴったりだと思いました。それらを総合すると「どうしたの?踊ろうよ!」という意味が自分はしっくりしました。本曲の題名に意味があるとすれば、本曲を聴いている、未知の明日に二の足を踏んでいる者への励ましの意味があると自分は思いましたよ。

 


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 本曲を聴くと少し若返った気がしますねw本曲を採用されたプロジェクトミライでは鬼畜難易度らしいですね!自分は何年前かにこのゲームをやった事があるんですが、ノーマルでギブアップでしたwポップンミュージックではそこそこ出来たんですが・・自分の老化を自覚した瞬間ですねw

 

 本曲、What's up? Pop!は、ポップなリズムと目まぐるしく変わる曲調が聴き手を飽きさせないで、何度も繰り返して楽しく聴ける、素晴らしい曲だと思いますので、是非、本動画を聴いてみてください。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

初音ミク

weblio様より

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