煮干しの一押しVOCALOID曲

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アダルトな物語に引き込まれるVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 急激な温度変化に年々、対応できなくなっているのを感じると、老化が着々と進んでいるのが実感しますね。電気代が値上げするらしいですが、今年の夏は暑さと経済的な困窮のダブルパンチで地獄の夏になりそうですね。世界情勢で仕方がないのは重々承知していますが、これ以上の負担は国民の生活に赤信号が点灯して、貧すれば鈍するという言葉が有る様に、色々な事変が起きそうで怖いです。そうならない事を祈りつつ、304曲目の紹介とちょっとした物語をお送りします。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 午後11時30分ベットに入る。午前2時一向に眠気が来ない。午前5時ようやく、うとうとし始めるが野鳥たちの鳴き声で覚醒してしまう。午前6時、強い眠気の波の様な物が押し寄せ、気を失う様に就寝。午後12時、お日様が真上にいて、世の中はお昼時に、私はようやく起床した。私はベットから起き上がり、寝室のカーテンを開けると、強い日差しを浴び、罪悪感に包まれる。3年前ぐらいから徐々に不眠が始まり、気が付いたら昼夜が逆転する生活サイクルになっていた。不眠の主な原因は主にストレスと不安らしいが、私の状況を客観的に見ても、その様な所は見当たらない。両親は鬼籍に入られたが、幸いなことに、莫大な資産を私に残してくれたお陰で、私は経済的に恵まれている生活を送っている。お手伝いさんとの関係は良好で、今の生活に何にも不満が無い。だからこそ、私は困惑する。何故不眠になるのか?私は何にストレスを感じ、若しくは不安を感じているのだろうか?全く見当が付かない。ああ、でも、不眠に対してはストレスを感じている。しかし、それは鶏が先か卵が先かが分からない様に、ストレスが先か不眠が先か考えても答えがでない。私はため息をついて、一階のリビングに向かった。

 

 リビングに入り、私は大画面テレビの前にあるソファに身を倒れ込む様に座り込んだ。まだ、頭の中に霧がかかった様な感じで、意識が半分寝ている。電源がついてないテレビをボーと見ていると後ろからいきなり「お嬢さま、お食事はどの様にしますか?」と声をかけられた。私は後ろ振り返ると、両親が健在の時からお世話になっているお手伝いさん、川中さんだった。「川中さん、もう、お嬢さまはやめて下さいよ。26歳ですよ」と私は半分寝ていているので、感情の起伏があまり無い感じで応える。「申し訳ありません・・つい癖で、それで、どうします?」と彼女は申し訳なさそうに言い、再度、尋ねてきた。私と彼女の関係は私が生まれた時から続いていて、生後、間もない頃から私を見続けている彼女にしてみれば、私はいつまでも娘のお嬢さまなのだろう。「いつもの暑い紅茶とクロワッサンをお願い出来ますか?」と私はお手伝いさんにお願いする。すると彼女は「承知いたしました。少々お待ちください」と言い、キッチンの方へ行った。私はテレビをつけて、国営放送の何度目かの再放送を環境音にし、テーブルに置かれたタブレットを手に取り、証券会社のサイトにアクセスして株価や経済関連ニュースをチェックする。起きたらまずは株価や経済関連のニュースを確認するのが私の起床時のルーティンだ。まあ、当家が保有しているのは、長期投資信託だけなので、実質、私がやれる事は無い。意味のない行為かも知れないが毎日同じ事をするのは精神衛生上良い事だと私は思う。そうこうしていると、キッチンの方からクロワッサンの良い匂いと共に、足音が近づいてくる。

 

 「お嬢・・すいません、舞さま、紅茶とクロワッサンです」と彼女は訂正して私の名を呼び、紅茶とクロワッサンが入っているトレイを私の前にあるテーブルに置いた。「川中さん、ありがとうございます。それから、当分はお嬢様でいいです。何だが下の名前で呼ばれると、こそばゆい感じがして、その、調子が狂うので」と私が感謝と共に、はにかんだ顔で言う。「承知しました、お嬢様w何かお有りでしたら呼びつけて下さいw」と彼女は笑いながら言い、そして、「はい、ありがとう」と私の返す言葉を聞くと、彼女は会釈して次の仕事に移るために去った。この大きい屋敷での多岐にわたる仕事を彼女一人で仕切って、使用人に指示している。彼女はいなくなると当家は瞬く間に機能不全に陥るだろう。さあ、食事をしよう。ティーポットからティーカップに注ぐと貴重な国産茶葉の最高級等級、フィナー・ティピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコーを入れた香しいかおりがする。その香りを鼻孔で感じつつ、私はクロワッサンを手で千切り食べる。クロワッサンは焼き立てで、パリッとした触感が心地よ良い。そして、すかさず、私は紅茶を一口飲む。紅茶の素晴らしい香りが口の中で広がり、鼻から抜けた。食事を一時中断してタブレットで時事ネタを鑑賞しながらテレビをチラ見、そして、リビングから見える芝生の鮮やかな緑を一瞥する。優雅なひと時は一時間あまり続いた。

 

 かなり遅めの朝食を終えて私は、何をする訳でもなく、ボーとしていた。同世代の子たちは、今頃、仕事をしているのだろうか?親ガチャと言う下世話な考えがあるらしいが私は間違いなく、大当たりだろう。大半の人間が強いられている労働する生活とは違う生活が出来るというのは、ある種の疎外感を感じる時もあるが、だからと言って、する必要のない行動をする事は好まない。己の時間は全て己の利益になる事に使うべきだと思う。まあ、時々は人のために使う時もあるけど・・それは身内だけの話だ。私はそれから、本を読んだり、屋敷の前の庭を散策したりして時間を潰して夕方近くになった。今の生活スタイルになってから一日二食なっている。つまり、これからは夕食になる訳だが、今日は屋敷で夕食をするつもりはない。何故なら、不眠を一時的に治す方法が有って、それをするために外出しなければならないからだ。

 

 その方法を見つけたのは偶然だった。不眠で途方に暮れていた時に、気晴らしに外出した時、それは起こった。駅前の繁華街を目的も無く歩いていると、男が話しかけてきて、男はとにかく時間を潰したいから、話し相手になっていくれというものだった。時間を持て余していたのは、私も同じだったのでついて行った。今思うとかなり不用意な行動だと思う。結果から言うと、何事も無く、男の言った事は本当で、レストランで他愛もない会話をしつつ、美味しいスイーツを食べて別れた。そして夜、何故か安眠が出来てしまう。私は検証するために、同じ条件になる様に、今度は自分の方から声をかけて試す。やはり、その日の夜は驚くほど寝つきが早かった。安眠する方法を見つけた私は歓喜する。しかし、この方法はトラブルに巻き込まれる可能性が高く、更に言うと、噂になっても困るので、頻度を抑えなければならない。今回の様に、絶対安眠をしたいと思う時に行動を起こしている。さあ、思い立ったら吉日だ、外出するためにシャワーを浴びて身支度をしよう。

 

 身支度が終えた私は、愛車に乗り込み、エンジンを始動する。その時、助手席側のガラスを叩く音がして、そちらを見ると、川中さんだった。私が助手席側の窓を開けると「お嬢さま、今晩のお夕食はいかがなさいますか?」と私に尋ねる。私は「外で済ませますので大丈夫です」と答えた。「左様ですか、くれぐれも安全には気を付けて、なるべくお早めにお帰り下さい」と彼女は言い、わたしは「ありがとうございます、行ってきます」と応えて、助手席の窓を閉め、愛車を走らせる。ルームミラーでを見ると彼女はまだガレージにいて、私の車に手を振っていた。両親が相次いで他界した時、取り乱してはいたが、彼女の存在があったからこそ、何とか乗り越える事が出来た。もしも、あの時、彼女の様な存在がいなかったら、どうなっていたのだろうか?。いや、その様な事を考えても仕方がない、現実は彼女がいて、私は何とかなった。それ以上でもそれ以下でもない。私は夕暮れ時の屋敷の庭を通り抜けて、駅前に向かった。国道を走らせて、約20分位で駅前の繁華街が見えてくる。私は、駅前の繁華街に入り、車を徐行しながらなるべく目的地に近いコインパーキングを探す。、幸いなことに目的地の近くのコインパーキングに丁度、入りやすい、空いている駐車スペースがあった。首尾よく見つけて駐車した私は、今宵の夕食をご一緒してくれる、男の方を探すため、目的地に向かう。

 

 今日は金曜日で、明日から連休の人が大勢いるのか、人通りはいつもより多く、私の耳に入る会話は活気があった。私は駅前にある、多くの人が待ち合わせ場所に使う、公園に着く。ここが目的地だ。公園は、境界に沿って低木のツツジが公園をぐるりと囲み、ツツジに沿ってベンチが複数あって、遊具などは無く、公衆トイレがポツンとある。そして、駅のホームに入った電車の音がガタンガタンと音が聞こえ、恋人を待つ男女、仕事帰りにコンビニでお酒を買って飲んでるサラリーマン、など目的は様々な大人がたむろしていた。大の大人が公園に大勢いるというシチュエーションは私にとって好都合なのだ。さて、今日は誰にしようか?。私は公園の空いているベンチに腰を下ろすと、周りの男を物色し始めた。うーん、あの金髪男は中々イケメンで良い感じだが、女慣れしていて、私の目的である、楽しく会話してお食事とは、ミスマッチな気がする。他に無難な男はいないのか?。私は更に、公園にいる男を精査するためにキョロキョロと辺りを見始める。その時、「やあ、君!何をしているの?」と私に声をかける男の声がした。私は振り向くと、先程ミスマッチだと断定した金髪男だった。「えっ?わたしですか?」と少し、大げさにとぼけた感じで私が返す。「そう、君!暇なの?俺と少しどっか落ち着いた場所で話さない?」と金髪男は言う。躊躇なく声をかけて、自分の発言に一ミリも臆してない感じは、それなりに場数を踏んでいて、女の扱いに慣れている感じがする。

 

 「ごめんなさい、待ち合わせているんです」と私が嘘を言う。この発言で、今日はこれ以上、長居でき無くなってしまったが、致し方ない。露骨ではないが、金髪男の私の体を目踏みする様な視線にこれ以上に耐えられそうもないからだ。この男の最終的な目的はやはり、私の体なのだろう。私はあきらめて、公園を後にしようとした時、目の端に、スーツ姿のサラリーマン風の男が入り、何故だかは分からないが私はその男を見入る。サラリーマン風の男は、真面目そうな身なりで、缶コーヒーを飲み、目的も無く公園にいる様な感じだった。私がサラリーマン風の男に気を取られていると、「ねえwそんな事言わないでさ、5分だけで良いからさ、ねっ?」と金髪男は尚も食い下がり、まとわりついてくる。この感じだと、駐車場までついてくる気がしたので、私は意を決して、「ごめん、待った?」と私がサラリーマン風の男にいきなり声をかけた。サラリーマン風の男は辺りをキョロキョロとした後、自分の事を指で刺し、俺?みたいな感じの仕草をする。すると、その様子を見た金髪男は「俺、ウザかったw、じゃあ、後はお二人でどうぞ」と私の予想に反してあっさりと手を引き、更に、「今日は日が悪いや・・帰ろ」とぼやきながら公園を去った。

 

 私とサラリーマン風の彼は、しばしの沈黙の後、お互いに「あのっ」と声を出し、お互いに無言でお先にどうぞとジェスチャーをした。迷惑を掛けたのは私の方なので、こちらから口火を切るのが道理だと判断した私は「ご迷惑をお掛けして、すいませんでした!」とまずは謝罪をし、あ頭を下げた。私の謝罪を受けてサラリーマン風の彼は「あ、何か、しつこく絡まれていたんですね」と言い、金髪男が去った方向を見る。「何か、ついてきそうな感じがしたので・・つい、目に入ったあなたに声をかけてしまいました」と私は、事態の経緯を説明する。すると「なるほね、でも良かったですねw金髪の彼が察しと引き際がよくて」とサラリーマン風の彼は笑顔で言う。「はい、そうですね、助かりましたよw」と私もつられて笑顔になった。偶然に話しかけた彼をよく見ると、中々、良い面構えで、落ち着いていて、話しが合いそうだ。想定外のアクシデントだったが、これは怪我の功名だろう。私は好機とばかりに行動に出た。「あの、そちらのお都合がよろしかったら、お食事でもしませんか?」と私は思い切って誘ってみる。「食事ですか?そうですね、夕飯もまだですし・・良いですよ!」とサラリーマン風の彼はあっさりと快諾してくれた。

 

 そうと決まれば善は急げだ。実はもう行く店は決まっている。近くにあるナポリタンの美味しい店という喫茶店だ。その喫茶店に決めた理由は、夕方に再放送をしている刑事ドラマで、ナポリタンを食べているシーンを見た時、無性に食べたくなったからである。ネットで調べると、この喫茶店ナポリタンの評判が良かった。「実はナポリたんの美味しい店という喫茶店に行きたいのですが、よろしいですか?」と私はサラリーマン風の彼に打診する。「ああ、知っていますよ、店名に偽りがない、ナポリタンがお美味しい店でしたね、いいですよ!」と、彼はその店に行った事がある様子だった。僥倖(ぎょうこう)、なら話は早い。「じゃあ、行きましょうか!」と私が目的地に向かう事を促す。すると、「待って下さい、まずはお互い名乗りませんか?」と彼は言う。確かに、イレギュラーの事態で当然の事で失念してしまった。「すいませんw申し遅れました、私は北条です」と私が名乗り、そして「僕は世良と言います」と彼も名乗った。

 

 「改めて、行きましょうか世良さん」と私がはやる気持ちを抑えつつ目的地に向かう事を促す。「了解しましたw北条さん」と彼は私の気持ちを見透かしたのか、少し笑いながら応えた。私たちが三分ほど歩くと、建物にフライパンでパスタを炒める場面が描かれた大きいイラストと、ナポリタンが美味しい店と書かれた看板が、私たちを出迎える。そして、私たちはガラス扉を押して、店内に入ると、趣(おもむき)がある純喫茶風の内装で、香ばしいナポリタンの匂いがした。私たちの姿を確認した店員が「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」と応対する。すると彼は「二階に行きましょう」と言い、手のひらで指し示す方を見ると階段があった。それから、彼のエスコートで二階の窓際の景色が良さそうな席に行き、お互いが向き合う形で座る。窓からの景色は輝くネオンが見え、下には、あちらこちらに、行きかう人たちの頭頂部が見えた。「二階でも結構、景色が良いんですね」と私は窓からの景色を見ながら感想を言う。「そうですね、僕も始めてこの店に来て、ここに座った時に同じ感想を持ちましたよ」と彼は私の感想に同意した。ほんの少しの間、沈黙が流れると、私たちの元に店員が来て「いらっしゃいませ、メニューになります、お決まりになられましたら、お呼び下さい」と水とお絞りを置いて去った。

 

 私はナイス!と店員さんに対して心の中で感謝する。先ほどの沈黙は少しまずかった・・お互いに話す事が浮かばない事による沈黙から、元のテンポによる会話に戻すのは容易ではない。「じゃあ、どれにしますか?」と彼はメニューを一瞥して、私を見る。「そうですね・・」と私が言い、メニューを見ると、ナポリタンには何種類かある様だ。オーソドックスな普通のナポリタン、タラコをふんだんに入れた和風ナポリタン、とろーりチーズをかけたチーズナポリタン、焼いた卵に包まれたオムナポリタンという風変わりな物もある。うーん、どうしよう、いきなり変化球なものを注文するのはな・・初めてだし、普通のにしよう!。初来店であるため、私は普通のナポリタンを頼むことにした。「普通のナポリタンを注文しようと思います」と私は自分の考え出した答えを彼に告げる。「いいチョイスですよ!僕もこの前、来た時に食べましたが、凄く美味しかったです!」と彼は私の考えをべた褒した。「じゃあ、あなたは?」と私が彼が何を注文するのか尋ねる。「僕はですね、前回は普通のナポリタンを食べましたから、オムナポリタンを注文しようと思います!」と彼は笑顔で答えた。ほんの短い間の付き合いだが、彼の笑顔を出す頻度が多いと感じる・・だが、その笑顔、嫌いじゃない。

 

 お互いのオーダーが決まったので、私たちは店員さんを呼び、お互いの選択した品を注文した。「楽しみですね!」と彼は待ち遠しい感じの雰囲気を体全体から出す。私も彼のテンションに当てられたのか「そうですね!ネットでも評判がいいので、早く食べたいです!」と負けじとテンション高く同調した。自分達が注文した品が来るまで私たちはワクワクしながら景色を眺めつつ談笑している。すると彼は突然、「失礼ですけど、何で公園にいたんですか?」と当然と言えば当然な質問を私にしてきた。確かに・・待ち合わせしているなら、二人でこの店に行く事は無い。じゃあ何で公園にいたんだとなる。恐らくだが彼は金髪男に絡まれる前から私を目撃してたんだと思う。どうする?本当の事を言うか?。ほんの数秒だが、あれやこれやと考えた末に、私は本当の事を告白しようと決めた。何故だかは分からないが、彼の笑顔を見たら、大丈夫じゃないかと感じている自分がいて、その直感に素直に従う事にしたのだ。少しの間の沈黙で彼が少し不安な顔をしている。その彼に私は「あのですね・・実は、私、不眠症でして、信じてもらえるか分かりませんが、何故か男の人と外食すると、その日の夜はぐっすり眠れるんです」とありのままの事を彼に告げる。

 

 「いつからですか?」と私の告白を聞いた彼は、真剣な目で私に尋ねる。それに気押されて私は「えっ・・3年くらい前です」と答え、そして彼は「現在は何時ごろに起きますか?」と彼は再び尋ねる。「お恥ずかしいですが・・丁度正午ぐらいです」と私は答えた。質問に対しての私の答えに彼は「何でそんなになるまで、ほっといたんですか!今の生活は破綻してませんか?」と心配そうに言う。何か学校で先生に怒られている様な心境になり、神妙な感じで「すいません・・幸い、裕福な家ですから、時間に縛られる生活はしておりませんので、生活は何とか破綻は免れています」と私は言った。「そうですか・・あっ!何か目的があって夜更かしているなら別ですよ」と彼は言い、更に「生活に困ってなくても、やはり人間は昼間に活動して夜に寝る生活の方が断然、体に良いんです」と言う。彼の発言を聞いて私は「何か、病院の先生みたいですね」とありのまま感じた事を伝える。「あっ・・ごめんなさい、つい、仕事柄、見過ごせなくて、僕はこういう者です」と彼はスーツの内ポケットから、社員証の様な物を出してきた。私はそれを手に取り、見ると、紙結(かみゆい)総合病院、内科医、世良義明と記されていた。「病院の先生なんですね!凄い!」と私が驚きながら言う。

 

 「家は代々医者の家系で、親に引かれたレールの上を歩いただけですよ、そんな事よりも・・ごめんなさい、せっかくのご馳走の前に、こんな事をしてしまって」と彼は深々と頭を下げて謝罪をした。「いえ、気になさらないで下さい、むしろ感謝してますよ、初めて身内以外に不眠の事を喋って、何だか、心に刺さっていたトゲが取れて、気持ちが楽になった気がします」と私が謝罪に対して言う。すると、「そう言って頂けたなら幸いです、あっ!料理が来た様ですよ」と彼が私の後ろの方を見て言った。その数秒後、ナポリタンの良い匂いと共に、店員さんが私たちのテーブルの横にサービスワゴンを止める。店員さんは私たちが注文した品と、紙ナプキンにそれぞれの適した食器を置き「ごゆっくり」と言った後、会釈して去った。「さあ!食べましょうか!」と私が食事の音頭を取る。「そうですね」と彼も同意して、私たちはそれぞれの注文した品に手を付け始めた。私が注文したのは普通のナポリタンだが、見た目は何というか、通常のより凄く真っ赤に見える。まずは、粉チーズをかけない素のナポリタンの味を確かめるべく、私は早速、フォークでナポリタンを絡めて、スプーンで支え、口に運んだ。

 

 私の口の中で、トマトケチャップの酸味が広がる。恐らく、自家製のケッチャプだろう。市販されているケッチャプとは少し味が違く、ナポリタンを上等な食べ物へと昇華させている。更に程よく熱を通した、タマネギのシャキシャキとする歯ごたえも良い。私は更にもう一口と、フォークに巻き付けて、ナポリタンを食す。うん、ジューシーなベーコンとピーマンの苦みは相性抜群だ。さあ、粉チーズをかけようかとした、その時、濃厚なチーズの香りが私の鼻孔をくすぐる。私は匂いがする方を見ると、彼がオムナポリタンの真ん中にナイフを入れた、オムレツの断面から、とろりとチーズが流れ、オムレツに包まれていたナポリタンにコーティングする様にかかった。私はそれを凝視していて、その視線に気が付いた彼は「な、何か?」と私に尋ねる。「いえ、オムナポリタンは単純にオムレツに包まれたナポリタンと想像していたもので・・まさか、オムレツの中にチーズが仕込まれているとは・・驚きです」と少し興奮気味に早口で私は答えた。それに対して「僕も驚きました、これは予想外のサプライズで嬉しいですね」と笑顔で彼は言う。それから、私たちは楽しく談笑しながら、自ら注文した品に舌鼓をして完食した。

 

 私たちは食事も終わり、名残惜しかったが、お互いの予定もあるだろうから、「そろそろ店を出ますか?」と私が尋ね、「そうですね」と彼も同意して、お互いの意思確認が終わり、そろそろお暇する事にする。私たちは同時に席を立ち階段を降りて、会計を済ませようと、入口の近くにあるレジが置かれたテーブルの前で店員さんを呼ぶ。店員さんが来て私が一括で二人分の料金を支払おうとした時、「あっ、僕が払いますよ」と彼が言う。しかし、同義的にも私が誘った手前、支払うのが筋だと感じていたので、「お気遣いありがとうございます、ここは私の顔を立てると思って私に支払いさせてください」と私の意志を彼に伝えた。「それじゃあ、お言葉に甘えさせ貰います」と彼は了承して先に店を出る。そして、清算を済ませて私が店から出ると、店の前で待っていた彼は、なにやら決心した様な真剣な顔で、「あの、僕にも男の面子というものがあります!今度、また会って、あなたに食事をご馳走させて頂けませんか?」と言った。こんなパターンは初めてだ。今までは、男の方が私が纏っている(まとっている)不穏な空気を読んでその場限りの関係で終わっていた。

 

 どうする?、彼の提案を受けるか?。決めかねていた私は「こんな行きずりな関係で、お互い、まだ何も知らないのに大丈夫ですか?」と彼に尋ねる。すると、「そんなの関係ありません、あなたのナポリタンを食べる姿がとても魅力的でした、それに・・」と彼は言いながらハンカチを取り出し、私の口の端を拭いた。そして、「口にナポリタンのケチャップを付けている様な、脇が甘い悪人はいませんよ」と言う。「ちょっ、すいません」と私は喫茶店の窓に映った自分の顔を確認し始める。その様子を見た彼は、「大丈夫ですよ、もう付いてませんよ」と私を安心させるために言った。私は顔を赤くして振り向き、「わ、私にも予定がありますから、予定が空いたら連絡差し上げるというのはどうでしょうか?」と焦って実態に伴わない事を言う。毎日フリー状態で、予定などもちろん無い。「分かりました、あなたからの連絡を待ってます・・あっ!ちょっと待って下さい」と私の回答を聞いた彼は、内ポケットからメモ帳を出し、何やら書いて破り、私に手渡す。破ったメモ用紙には数字が記されていて、どうやら、携帯の電話番号のようだ。

 

 メモ用紙をポケットに入れた私は、「それじゃあ、今日は楽しかったです、失礼します」と逃げる様にこの場を足早に去る。すると、後ろから「連絡、待ってます!」と彼の声が聞こえた。コインパーキングで素早く清算して、駅前を後にし、国道を走っている車中にて、彼が最後に発した言葉が私の心の中で何度も反芻(はんすう)した。屋敷に着いた私は、直ぐにシャワーを浴びて、取り乱した気分をリセットしようと試みた。しかし、あまり効果は無く、寝間着に着替え寝室に向かう途中、お手伝いさんの川中さんが私に何かを言っていたが、頭に入らなかった。その後、私は寝室のベットの上で、タブレットを操作性して、手紙結(かみゆい)総合病院のホームページにアクセスをしていた。勤務医の紹介に、世良義明という名が記された上に、まさしく彼の画像があり、偽りではないと分かる。そして、私は彼からもらったメモ用紙を見て、ため息をつく。どうしよう・・誘いを断るか?いや、このまま無視をすべきか?と思案をしていると、私の意志とは裏腹に、意識がまどろみ始める。そうだ・・食事は楽しかった・・今までの男の人の中で一番楽しかった・・オムナポリタンを食べに行くんだ・・明日・・一番に彼に連絡しよう。私は薄れゆく意識の中で決断して、夢の中に入った。

 

 今回、ご紹介する曲は、作詞作曲、リミックスをRuLuさん、イラストをとーがらしさん、動画をQvyさんによるドレスです。

 

 本曲は、アダルトな雰囲気がするオシャレな曲調に乗せて、依存体質な女性の心情の歌を可不さんが歌います。

 

 個人的な解釈による考察になりますが、曲中のドレスの意味合いとしては、物語の女性の依存対象を流行り物の服に飛びつく様に変ている事の比喩であると思いました。題名、ドレスは、自身の心が依存対象に合わせて、洋服を衣替えするが如く変わり、いつの間にか自己が希釈した孤独な女性の象徴と自分は感じましたよ。

 

 アダルトな歌詞と曲調が情緒的と言いますか、心にジーンと来ますね。曲中の女性は少し不幸体質というか、曲を聴いていると、少し心配になりました。

 

 本曲、ドレスは、アダルトでムーディーな曲に合わせて展開する曲中の物語に夢中になる、素晴らしい曲ですので、是非!本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

可不