煮干しの一押しVOCALOID曲

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心の定義とは?なVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 本州の梅雨明け宣言が気象庁から宣言されましたが、今年の梅雨は降る所と降らいない所が極端に分かれていて、お住いの場所によっては梅雨らしさの欠片も感じなかった人もいると思います。水害に遭うよりはましですが、もう少し降って欲しかったなというのが、今年の梅雨に抱いた自分の感想ですね。梅雨明けするという事は、これから暑さも本番になるという訳で・・、今年はどれぐらい暑くなるんですかね?。何か、36度とか普通見たくなってますが、体温とほぼ同じですよ?、そのうちターバンみたいな砂漠の民の様な服装になってしまいそうw。それでは、313曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたいと思います。

 

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 

 「がらがら、ごごご、ぎぎぎ」と不快な金属音を奏でながら僕たちを乗せたゴンドラが上昇していた。ゴンドラを囲む金属の囲いは錆びていて、所々に継ぎ接ぎの補修後が見られ、いつか崩壊するんじゃとヒヤヒヤする。「ガタン」とゴンドラが停止して僕たちはゴンドラを降りて、分厚い鉄の扉を二人係で開けた。すると、強い風が吹き込み露出している肌に砂が当る。僕の同行者は気にする事無く、すたすたと門を潜り、「はーーw、久しぶりの外!!」と砂漠亀の甲羅を加工したヘルメット、旧時代の代物であるゴーグル、砂漠と同色の白いツナギに、旧時代のブーツを履いて、籠を背負った僕と同様の姿をした彼女は、両手を空に向け、背筋を伸ばし言う。彼女の名前はルル、年齢は16歳だ。僕も彼女の後を追い門を潜る。外は見渡す限り白い砂が広がり、地平線の先まで続く白い砂は旧時代の大戦の名残と言われている。遥か昔、世界大戦が起きて、人類は衰退の一途を辿り、今では地下で細々と生きながらえていた。僕は辺りを見回して最後に振り返ると、白い砂の中に灰色の大きいドーム型の建物があり、真ん中には先ほど僕たちが潜った門があった。ドームの上部には28という数字が記されていて、それが僕たちの住んでいる地下コミュニティの名前になって、通称28番街と言われていている。旧時代の避難所という施設らしいが僕たちには詳しい詳細は分からない。この様な避難所は各地に点々とあり、そこには独自のコミュティが築かれていて交流は多少あるみたいだ。あるみたいだと言ったが、他のコミュニティとの交流は上の人間と許可された者しか許されず、末端の僕らは漏れ伝わる話しを耳にするだけだ。自分のコミュニティ、28番地の入口であるドームをぼーっ、見入っていると「シキ!」とルルの声が背中にあたり、僕が反射的に振り返る。「もうっ!何ボーとしているの!、早くブロイラーの卵を回収しましょう!」とルルは言い、一人で白い砂を蹴散らしながら先陣をきった。そして、「ちょっと、待ってよ!」と僕は彼女の背中に声を掛けて歩き出す。僕の名前はシキ、ルルと同じ16歳、終末の世を生きる人間だ。

 

 僕たちは目的地のブロイラーの巣を目指していた。ブロイラーとは、体長二メートル位の飛べない鳥で、旧時代では家畜として用いたらしいが真相は定かじゃない。ブロイラーは、その大きい体格を維持するために、日中は獲物を求めて巣から離れ、日没と共に巣に帰り、卵を温めるながら就寝するという習性を持っている。そして、僕たちはこれから、ブロイラーが獲物を求めて留守している隙に、巣に行って貴重なたんぱく源の卵を拝借する訳だ。10分位歩き続けると、旧時代の建物が見えてくる。旧時代の建物はボロボロでいつ崩壊してもおかしくないが、ブロイラーはこの様な旧時代の建物に好んで巣を作り卵を産む。うわ・・この中に入るのか・・やだな・・。僕は怖気づいていて立ち止まった。すると、ルルは振り返り、「なにw、怖いのw?」と茶化す。彼女は幼馴染だが人を小馬鹿にする態度をよくして、正直、好きじゃない。「違うよ!、慎重に・・そう、この建物を観察していただけだよ!」と僕は苦しい言い訳をした。「はい、はい、シキさんは石橋をドリルで穴をあけて確かめる慎重派でしたねw」と僕の言い訳を見透かし、旧時代の格言を言う。彼女の煽り文句に僕は、「うん、大丈夫そうだ!確認終わり!よしっ行こう!」と負けじとうそぶき、彼女を追いこして旧時代の建物に向かった。旧時代の建物は、辛うじて建っている感じで、常にガラガラと音を鳴らして、建物の一部が崩れている。何度か瓦礫を乗り越えて、建物の奥に行くとブロイラーの巣を発見した。辺りを慎重に見渡し気配を探り、ブロイラーがいない事を確認した僕たちは、小走りで巣に近づく。ブロイラーの巣は何処から見つけたのか布切れや獲物の毛皮で出来ていて、その真ん中におおよそ直径20センチ、縦は25センチぐらいの白い卵が一つの巣に4,5個あった。

 

 僕たちは背中に背負っていた、ブロイラーの卵専用の籠を下ろして、卵を入れる作業に入る。卵が籠に半分ぐらい埋まった時、「うっひょーーww」とルルが素っ頓狂な、どの動物の鳴き声とも似つかわしくない声を上げる。「どうしたの?」と僕はすかさず彼女に尋ねた。彼女は赤い卵を両手で抱えながら僕に見せて、「この貴重な赤玉は私が食べるからねw」と言う。「はい、はい、どうぞ」とルルの呑気な性格にげんなりしつつ、適当に返す。その時、「ガラッ」とほんの僅かだが瓦礫を蹴る音が聞こえた気がした。「ねえ、何か音しなかった?」と僕は彼女に確認。「音?、別に聞こえなかったわよ」と彼女はせっせと卵を入れる作業をしながら答えた。どうやら彼女には聞こえなかった様だ。僕は気になり、音が聞こえた方をジーと凝視していると、僕たちの作業している部屋の入口に黄色い脚がはみ出した。「!!!」と僕は一瞬、声を上げそうになったが辛うじて抑えて、彼女の手を引っ張りもう一つの入口に行く。ルルは僕の突然の行動に抗議の声を上げようとしたが、すかさず僕は彼女の口を手で塞ぎ小走りで移動する。そして、彼女もブロイラーの気配を感じて、ようやく事態を把握して、息を殺して移動を開始。僕たちは、速やかにもう一つの入口を潜ると眼前に瓦礫の山が立ちはだかった。うそだろ・・袋小路か。絶望的な状況で僕たちは呼吸が荒くなり、音を極力抑えるために腕で口を塞ぐ。息を整えて、僕はそーっと先程潜った入口から巣が有る場所を覗くと、体長はおおよそ三メートル、燃える様な真っ赤な大きいトサカを携えて、黄色い立派なクチバシ、茶色交じりの羽毛、そして凶悪な大きな足の爪、間違いないブロイラーのオスだ。ブロイラーはオス一羽につき、メス10羽以上のハーレムという群れを形成する。基本はメスと同じく、日中は獲物を求めて群れでさまようのだが、オスのブロイラーは縄張りの巡回をするため、稀に単独で巣に帰るらしいが・・まさか自分が目撃者になるとは・・。僕は慎重に様子を伺うと、ブロイラーのオスは本来あるはずの場所とは違う籠に収まっている卵を注意深く観察している様だった。

 

 ブロイラーのオスは、籠の周りをウロウロして、時折、籠の中の卵を黄色くて強大なくちばしで優しく突き、その様子を見た僕は不覚にも興味深いと感じてしまい、見入っていると、突然、ブロイラーのオスは僕のいる方を見る。僕はすかさず顔を引っ込めて息を殺す。多分大丈夫のはずだ・・あちらが僕の方を見る前に顔を引っ込めたのでバレてないはず・・。しかし、僕の抱いた淡い希望的観測は旧時代の建物の床が悲鳴を上げた時、打ち砕かれた。およそ三メートルの巨体の重さを受け止めた床はギシ、ギシと嫌な音を立て、それが段々と近づいて来る。僕は危機を脱するためにあれやこれやと考えを巡らせていると、コミュニティの講習の風景が浮かぶ。あっ、そうだ、コミュニティの講習で言っていた・・ブロイラーの目は人間と違って側面の両側に付いているから、視野が広くて、頭を傾けなくても、ほぼ全域を見渡せると僕は今頃になって思い出す。僕は間抜けにもブロイラーの視界に入っていながら顔を出していたのだ。危機を脱する妙案どころか自分の失敗を確信してしまい、落ち込んでいると、目の前のルルが無言でどうするの?と目で訴えて来る。落ち込んでもいられない・・どうする?。ブロイラーのオスは侵入者の存在を確信して、僕たちのいる袋小路の入口に近づくにつれ鼻息の音が大きくなり、僕たちの耳にもはっきりと聞こえて、遂に入口の近くまで来ているのが分かった。

 

 ブロイラーのアドバンテージである広い視野・・それを逆手に取る事は出来ないだろうか?。僕がもし、ブロイラーならどうする?、出入り口が一つしかない部屋を索敵をしようとするなら?、広い視野を生かせば人間の様に頭の向きを変えて何度も見返す必要が無いから一度だけで済む・・そうだ!、ブロイラーは用心深い、姿かたちが分からない外敵にいきなり飛び掛かる事はしない、この袋小路の部屋の索敵をするために、一度は必ず部屋の中に頭部を突っ込む事を実行するはずだ。僕は意を決して、瓦礫の山から旧時代の建物によく使用されている金属の固い棒を極力、音が出ない様に慎重に引き抜く。僕の考えでは、ブロイラーの最初で最後の索敵は、かなり慎重に行い、ゆっくりと頭部を部屋に入れると見ている。僕はルルに目配せして、彼女はそれを理解し、入り口の壁際に二人でもたれかかり、更に鉄の棒を二人で持つ。すると、ブロイラーのオスの鼻息が急にピタッと止まり、僕たちの命運がもうすぐ決まる事を告げる・・。僕たちは入口を何も見逃さない様に集中して見続けていると、黄色いクチバシの先が現れ、ゆっくりと徐々に、くちばしの全体が露わになった。恐ろしい・・このクチバシ餌食になったコミュニティの人間は数知れず、失敗したら僕達は啄まれてあっという間にミンチだ。クチバシの付け根の部分にある羽毛が見え始め、頭部もあともう少し。ブロイラーの反応が早いか、僕たちの反応が早いか、終末の世を生きている者同士の生存競争はどちらに勝利をもたらすか?。心臓の鼓動が激しく脈打ちながら、注視をし続けていると、遂にブロイラーのオスの目が現れた。僕たちはすかさず、金属の棒をブロイラーのオスの目に突き立てて、目っ一杯押し込む。ブロイラーの体は固い筋肉質で刃物でも通しにくい。しかし、目だけは別で、唯一、柔らかい場所。増えすぎたブロイラーの狩りをする時も目を狙う。金属の棒はブロイラーの頭部を貫通して反対側の目から突き出し、それを確認した僕たちは金属の棒から手を放して、ブロイラーから距離をとった。

 

 金属の棒で頭を貫かれたブロイラーは、狂ったように暴れまくった。僕たちはブロイラーの鋭い爪やクチバシ、巨体に接触して怪我を負う事を避けるため、出来るだけ端に身を寄せ屈んだ。ブロイラーは次第に立てなくなって転がりながらも暴れ続けて遂には痙攣が始まり、ビック、ビックと大きく痙攣を二回した後に動かなくなる。「もう・・大丈夫だよね?」とルルが不安そうな顔で僕に尋ね、「ちょっと待って!」と僕が返し、適当な瓦礫の欠片を手してして、それを動かなくなったブロイラーに投げつけた。瓦礫が「ゴツ」と音を鳴らし、暫く僕たちは様子を見る。反応はない・・どうやら大丈夫の様だ。「ふーーー」と長いため息を僕がするのを見たルルは、「今回は本当にヤバかったね・・」と言葉を漏らす。危機を乗り越えた余韻に暫く浸ったていたいが、残りの雌のブロイラーたちがオスの帰りが遅い事を不審に思って、巣にどって来るかもしれない・・。「ルル!、手早く回収して撤収をしよう!」と僕が提案。すると、「うん、賛成!」とルルは僕の提案を快諾。僕たちは、巣が有る部屋に戻り、籠に卵を詰めるだけ詰めて、撤収準備に取り掛かる。巨大な卵を籠にめい一杯詰めると相当な重さになり、背負って移動する事は勿論できない、そこで旧時代の道具、浮遊機が活躍する。僕は、ツナギのポケットから手のひらサイズの四角くて表面には丸と三角のボタが付いた物を取り出す、これが浮遊機だ。浮遊機は専用の装着箇所にはめ込むと、装着された入れ物と中身の物を浮かせ限りなく軽くする道具で、僕たちが使っている籠に、の専用装着箇所があるのは、旧時代に浮遊機を利用して、本来何かの運搬用に使用されたものを現地改修して卵を収納しやすくした経緯があるからだ。仕組みは分からないがとにかく便利で外での収集活動には必須。僕は籠の上部にある丁度、浮遊機と同じサイズ位の四角い窪みの専用装着箇所にはめ込む。そして、丸のボタンを押す続けると籠はゆっくりと浮遊して上昇していき、丁度背中に背負える高さになった事を確認した僕はボタンから手を離すと籠は停止した。

 

 さあ、これで撤収準備は終わった。「ルル!行くよ!」と僕はルルのいる方向を向くと浮いた籠だけが有って本人が見当たらない。僕は焦りながら、「ルル!、どこ?」と少し大きめな声で叫び、辺りを見渡す。すると、「ここよ!」と声がして、僕はその方向を見た。ルルは先程、死闘を演じた、ブロイラーのオスの死体に何かをしている。「何してるのさ?」と僕は駆け寄って、ルルが何をしているのを確認した。ルルはナイフでブロイラーのオスの足の爪を剝がそうと躍起になっていて、「これを持ち帰れば、大人たちも私を見直してくれるでしょ!」と言う。「ルル、そんなもの持って行ってもダメだって!、コミュニティのルールを知っているでしょう?」と僕は苦言を呈した。ルルは外の世界に憧れていた、コミュティのルールでは二十歳以上で確かな知識と腕が無ければ、外遊は許されない。特例もあるが、それは滅多におりる事は無く、ブロイラーの爪を持って帰る程度では無理だ。「分かんないじゃない!、ルル!君は凄いな、ブロイラーの爪じゃないか!、特別に外遊許可を出そうってなるかも知れないじゃない!」とルルはコミュティの親しい上役の物まねをしつつ抗議。「ブロイラー程度じゃ話にならないんだよ・・外の世界はもっと凶悪で危険な生き物が沢山いて、外遊した人の多くが命を落としているのを知っているでしょう?」と僕は現実を彼女に叩きつける。「知っているわよ・・でも・・外の世界を知りたいの・・」とルルはボソボソと不機嫌そうに喋りながら作業をして、爪を取り外す事に成功。ルルは爪を大事そうにツナギのポケットに入れて、無言で籠を背負った。

 

 僕たちは、籠を背負いながら28番街の入口に向かう。幸いの事にブロイラーのメスたちに遭遇する事は無かったが、ルルは先程から無言で歩いていて、僕たちの会話は止まったままだ。マズったな・・。ルルの外への憧れは筋金入りで、それを否定する様な事を言うのは彼女を全否定する事に等しい。「あのさ・・さっきはごめん・・、外遊したいならさ、僕も協力するから頑張ろうよ」と僕は彼女の機嫌を直そうと声を掛ける。「何?、慰めてくれているの?、別に良いよ・・あんたの言っている事は本当の事だし・・」とルルは先陣を切って、振り向きもしないで応えた。それから気まずい雰囲気の中、28番街の入口のドームにたどり着き、鉄の扉を開け、ゴンドラを使い降りて、ゴンドラはゆっくりと地下の28番街に向かう・・。ゴンドラの中で沈黙は続き、お互い目も合わさず、僕たちはゴンドラが着くのを待った。そして、沈黙が数分経った後、「協力してくれるって本当?」とルルが突然言う。「えっ?・・あっ、うん、協力は惜しまないよ」と僕は返す。話の流れで、言ったまでで、僕にはその意志は余りなかったがここで否定すると更に拗れるので仕方がない。「じゃあ、後で話す事が有るから」とルルが言った瞬間、ゴンドラは到着して扉が開く。話って・・?、彼女の真意が気になるが、とりあえず調子が戻って良かった。僕たちはゴンドラから出て、薄暗い通路を進み28番街の入口に着くと、外から様々な物を収集、調達してきた者達の列が出来ていて、僕たちはその最後尾に並ぶ。僕たちの順番が回り、「荷物検査です、外から持ってきたものを出してください」と入口の検査官が言う。外にある物の中には危険なものがあり、うっかり持ち込んでコミュニティを全滅させたなんて結構ある話で、検査官は細心の注意を払い外から持ち込まれる荷物を調べる。「ブロイラーのオスの爪、ブロイラーの卵、多数に・・うん?赤玉じゃないか?、なあ、物は相談だがその赤玉、俺に売ってくれないか?」と検査官が突然、交渉してきた。「ダメです!、うちで食べます」とルルは拒否して、取りつく島もない様子に検査官は諦めて、「はい、結構です、ご苦労様でした」と用はないとばかりに早々に終わらせた。

 

 検査が終わり、28番街の門を潜ると、メインストリートの両脇に商店が立ち並び、多くの人たちで賑わっていた。「ルルお姉ちゃん!」と人混みの中から声がする。声がする方を僕たちが見ると、人を掻き分けて小さな女の子が飛び出す。すると、「ララ!」とルルが飛び出してきた女の子をキャッチして抱きしめ言う。この子はララ、ルルの末妹だ。「お買い物の途中?」とルルはララの頭を撫でながら尋ね、「うん!」とララは返す。「そうだw、お姉ちゃんね、良いものを見つけたよ」とルルは籠を置き、中から赤玉を取り出して、ララに見せる。「すっごーい!!、赤くて大きい!」とララははしゃぐ。「ララ、買い物はもういいからさ、この赤玉を持って帰ってくれる?」とルルはララの持っている買い物かごに赤玉を入れた。大きな赤玉が買い物かごに入ると、ララはよろけて転びそうになるが何とか耐えて踏ん張り、「うん、分かった」と言い、「転ばないでね!、気を付けて帰るのよ」とルルはララに声を掛け、「バイバイ、シキお兄ちゃんもまたね!」とララは返し、「バイバイ!」と僕はララを見送った。「さあ、卵の買い取りして貰いに行こうよ!」とルルが言い、「うん!」と僕が返して、僕たちは問屋街に向かう。様々な商品が並び、外から調達してきた物を持った人たちが行きかい、複雑に入り組んだ地形に問屋が所狭しと並ぶ。外で見つけて調達してきた物は大抵、問屋街に行き買い取ってもらう。僕たちはブロイラーの専門の問屋に入り、馴染みの親父さんに今日の収穫物を出す。「おお、今回の卵は色、つやと共に良品質だな・・」と僕たちが必死の思いで集めた卵を取り出して品定めをする。「後これも」とルルが得意顔でブロイラーのオスの爪を出した。親父さんはすかさず爪を取ると、ギロッと睨み、「お前、旧時代の建物に入ったな?、言ったよな?お前らにはまだ早いからやめろって」と怒り始める。親父さんは、ブロイラーの卵の収集のいろはを教えて貰った、言わば師匠な様な人で、今回入った旧時代の建物は再三入るなと釘を刺されていたのだ。「だって・・・いつもの場所だと、卵がなかったり・・品質が悪かったりするから・・」とルルがたどたどしく親父さんに反論する。「死んだら元もこうも無いんだよ!、今回はたまたま助かっただけだ!、次、また入ったら買い取らねえからな!」と親父さんの怒鳴り声が周辺に響き、行き交う人や店内にいた人がこちらをチラチラと見た。「はい・・」と僕とルルは同時に反省の意を示す。そして、「分かったなら、もういい、時期が来たらいづれお前らにも旧時代の建物での収集の仕方を教えてやるから、今は我慢して安全な砂漠にある巣の卵で我慢しろ」と親父さんは諭すように僕たちに言った。

 

 それから滞りなく卵は買い取って貰い、今回、収集した卵は品質が良かったので、いつもより高く買い取って貰った。懐が温かくなり、気が大きくなった僕たちは普段はそのまま自宅に帰る所を、何か食べて帰る事にした。ルルがちょっと気になるものがあるらしく、彼女の先導の元、後をついて行き、問屋街の端にある食べ物屋の前に行くと香ばしい匂いがする。店に入ると僕はギョッとした。何故なら、ブロイラーが店の真ん中で串刺しにされて、くるくると回りながら火で炙られているのだ。「これwこれw、噂通りねw」とルルは店内の様子を見てはしゃぐ。僕たちは店員さんの案内に従い、席に着くと、「ここね、ブロイラーの素揚げしかないから」とルルは店員さんが持ってきた水を飲みながら涼しい顔で言う。確かに、メニューも無く、店員さんもオーダーを聞いてこない。僕はクルクル回っているブロイラーの巨体を見ていると、店員さんがおもむろにナイフで肉をそぎ取る様に切り取り、それを油が入っている鍋に入れる。「ジュワー」と小気味いい音を鳴らし、2分位で取り出して、僕たちのテーブルに持ってきた。本当に大丈夫なのか?、ブロイラーの肉を食べたことがあるが固くて、臭みがあり、食えたものじゃない。僕が躊躇していると、ルルはパクっと食べて、「美味しい!、食べて見なよ!」と言い僕に勧める。「あっ、うん、それじゃあ」と僕は意を決して、恐る恐る口に入れた。すると、どうだろう、パリッとした触感の後に香ばしい味がしてとても美味だ!。「美味い!、ブロイラーってこんな美味いんだ!」と僕が絶賛。「そうでしょう!、普通に食べたら不味いブロイラーの肉も、色々な手を加える事によって美味にしているらしいよ」とルルが何処からか仕入れた情報を言った。

 

 それから、僕たちは出された料理を平らげて、人心地していると、ルルがおもむろに水を飲み「じゃあ、本題入ろうか?」と突然言う。「本題?何それ?」と僕が腹を摩りながら尋ねる。「忘れたの?、協力してくれるんでしょう?」とルルが怪訝な表情を見せた。ゴンドラでの会話を僕は思い出し、「あっ、そうだね」と辛うじて返す。何だろうか・・?。「おほん、来週にキャラバンが来ることを知っているわよね」とルルが言う。キャラバン、それは何処のコミュニティに所属しない流浪の行商集団。「知っているけど・・それが?」と僕は恐る恐る尋ねる。凄く嫌な予感・・。「キャラバンの人たちと交渉して、入れてもらい外の世界を冒険するの!」とルルは胸を張って言った。「えっ・・コミュニティを抜けるの?、それ不味くない?、それに協力って僕は何をするの?」と僕はルルの大それた計画に動揺。「相変わらず器がちっちゃいわねw、以前、キャラバンの人に聞いた時に男でが喉から手が出る程、必要と言っていたのね、だから、男のあんたと一緒なら少しは耳を傾けてくれそうでしょう?」とルルは僕をだしに使う宣言した。「はあ?、何を言っているの?僕のメリットは?」と流石にルルの横暴に耐えかねた僕のボルテージが上がる。「な、何よ!、協力してくれるって言ったじゃない!」とルルは証拠にもなく食い下がった。「協力するって言ったけどさ!、コミュニティを抜けてまでやるって言ってないよ!」とはっきりと言わないと分からないと踏んだ僕はルルに伝わる様に拒絶の意志を表す。「嘘つき!」とルルが非難の声を上げた時、「何だ、お前らまだうろついていたのか?」と親父さんが僕たちのテーブルに座った。

 

 「なるほどね・・ルルは外の世界を見に行きたいと、でもシキは危険を冒してまで外の世界に行きたくない」と親父さんがブロイラーの素揚げをかじりながら言う。「そうなんです、このビビりで小物じゃあ、話にならないんですよw」とルルがここぞとばかりに僕をこき下ろす。しかし、「はあ?、無鉄砲で散々人に尻ぬぐいをさせといて!、親父さん、言ってやってください!、この世間知らずのバカ娘に」と僕も負けじと言い返した。「ば、バカ娘!?、どの口が言うのよ!」とルルは顔を真っ赤にして、「この口ですがw」と僕は買い言葉に売り言葉で言う。そして、僕たちの口喧嘩は激しさを増し、お互いに止める事が出来なくなった時、「うるさい!!、黙れ!」と親父さんが鶴の一声でピタっと止まった。「ルル、好奇心が強いのは良いが、コミュティを抜けるという事がどうい事が知っているのか?」と親父さんがルルに問う。「えっ・・、よく知りません・・」としゅんとした顔でルルは答え、「シキ、慎重なのはいいが、お前は男として気概が少々欠ける、外の世界に興味はないのか?」と親父さんは今度は僕に問う。「危険は嫌いですけど・・一度は外の世界を見てみたいです」と僕は親父さんの熱い語りに思わず本音を漏らす。「そうか!、なら、二人に朗報がある!、それはこれだ!」と親父さんは食べていたブロイラーの素揚げを指さした。「素揚げが何です?」と僕はすかさず尋ねる。「今な、この食用の油が28番街で急激に需要が伸びて供給が追い付かないんだ、そこでキャラバンに頼んで食用油の生産地である21番街から持って来てもらう話が出ていてな、人手を募集している所なんだ、これならコミュニティを抜けなくても外の世界を見れて、単独で外遊するより遥かに安全だろう、どうだ?」と親父さんは僕たちのネックになっていた部分を見事に解消した案を出す。「その仕事やります!」とルルが即座に飛びつき、「まあ、キャラバンと一緒の仕事なら安全だし、やっても良いです」と僕も話に前向きの姿勢を見せた。「よし!決まりだな!、詳しい話は後日だ、今日は帰って休め」と親父さんは解散を宣言して、僕たちそれに従い会計を済まして店を出る。そして、僕はルルの顔をチラ見して、「あのさ・・ごめん・・言い過ぎた」とルルに素直に謝罪、すると、「私の方こそ、無茶な事を言ってごめんなさい」とルルは珍しくしおらしい態度。僕たちはお互いの顔を見合い、くすっと笑い、手を握り合うと、「じゃあ、また明日」と僕が言い、「うん、また明日」とルルが応え、僕たちは家路に着いた。終末で生きる人類の僕たちの日々はこれからも続くだろう、悲惨な事ばかりだが、それでも笑って過ごす事が出来る・・、もしかしたら終末なんて概念は人の頭だけにある幻なのかも知れない。

 

 

 今回ご紹介する曲は、作曲をPizuya's Cellさん、作詞をめいどさん、ギターをYMAGENさん、オーケストレイションをGODWOODさん、ベースをpizuyaさん、ドラムを一角獣さん達による√寂白(ルート・せきばく)です。

 

 僕と彼女は何が違うのだろうか?。姿かたちは何も変わらないのに・・、でも彼らは僕を否定する。笑い、泣くことが出来ても心が無い、すなわち命が無い者を愛してはいけないらしい。心とは何だろうか?、僕が普段抱いている想いは本当に心なのだろうか?。僕には分からない・・何もかも、命が無い者を愛してはいけない事も、いくら考えても答えが見つからない。だから町よ、さよならだ・・僕と彼女が愛し合える場所を見つけるために。

 本曲は、血の通った者と油が通った者の種を越えた愛を主軸に、心は人が唯一宿す代物なのか?それは本当の事なのか?と疑問を提起する歌を初音ミクさんが歌います。

 

 本曲の題名、√寂白(ルート・せきばく)を調べましたが、その様な言葉はありませんでした。恐らくですが造語で、√は数学の平方根の記号で英語ではrootとなり、植物の根、根本、根源を表します。寂白(せきばく)はそのような漢字は存在せず、寂と白にいったんばらし、寂(せき)は、さびしい、ひっそりしているなどの意味がある漢字、白(ばく)は色のしろの意味で、しろは純粋や無垢を表す色と知られてます。それらを総合して解釈すると、純粋無垢な寂しがり屋の根源はすなわち心、√寂白(ルート・せきばく)は心を表した方程式、数学的な表現だと自分は思いましたよ。

 

 

 

 本曲の物語を感じさせる雰囲気は解釈好きには堪りませんね!。ディストピアな感じもして、あれやこれやと妄想がつきませんでしたよ!

 

 本曲、√寂白(ルート・せきばく)は、心の正体は何か?と聴き手に問題を提起して、普段なら考えもしない事を考えさせられる、切っ掛けを作ってくれる素晴らしい曲だと思いますので是非!本動画を視聴して聴いてみて下さい!

 

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

初音ミク

 

教科学習情報 数学様より

√(ルート)

コトバンク様より