煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

日常における感情の機微を弾き語るVOCALOID曲

 

 こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 南米でまたまた、何かが起こる予兆が起きましたね。事の発端はカリブ海に面する小国ガイアナ協同共和国で、良質の巨大油田が見つかった事に端を発します。人口は約79万人という、東京都の練馬区より人口が少し多い国は、元々産油国でありましたが、今回の発見で更なる発展と豊かさが期待され、国全体が歓喜していたところ、漁夫の利で奪おうとする国が現れました!。それは・・隣国ベネゼエラです。あしたのジョーの登場するカーロス・リベラの出身国である彼の国は、「あれ?、確かその辺って、うちの国の領土じゃなかった?」と言いがかりをつけ、油田が発見された周辺を併合するために国民投票を実施。いわゆる、ウクライナにロシアが行った方式を実行し、武力衝突も辞さない構えです。実は世界第1位の産油国であるベネズエラが何故に隣国の油田を欲しがるか・・・それは、自国で獲れる原油はオリノコタールという種類の原油で品質が悪く、アップグレード(改質)をしないと売れない厄介な代物だからです。市場に出すには高コストのアップグレードが必要なこの原油オイルマネーで国民を豊かにしようとした、ウゴ・チャベス前大統領からニコラス・マドゥロ現大統領に続く政策を頓挫させました。アメリカからの制裁もあり、進退窮まった(しんたいきわまった)所、隣国で起きたビックニュース。まあ、これは乗るっきゃないビックウェーブって感じですよね。ガイアナ共同協和国で獲れると思われる原油は高品質なので、精製しなくても買い手がいて、ベネゼエラとしては喉から手が出るほど欲しくてたまらないでしょう。個人的な意見としては、我が国も何とか一枚嚙めないものでしょうかね・・、何かをやって原油を売って貰える権利を頂ければ、国内のエネルギー問題もかなり改善すると思いますが・・まあ、無理ですね。

 

参考文献  

ieei.or.jp

 

今回のお品書きです

 

 

煮干しがお送りするちょっとした物語

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

 曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。



 見渡す限りの白い砂が途方もなく広がり、そこを、おおよそ3メートルぐらいの大きさだろうか?、砂漠亀という全身が白い巨大な亀の甲羅の上に、固定された椅子に全身フードの人が座り列をなして進む。僕はその列の最後尾にて、砂漠亀に揺られながら地平線を眺めていた。視線の先にある青と白の境目に、時折見える朽ち果てた旧時代の建物のシルエット。遥か昔に栄えた人類の生活に想いを馳せ、終末の世に生を受けた己の運命を悲観した。人類が天空の星々に行けるほど、栄華を極めた。だが、何らかの大災害が起き、世界は白砂に覆われてしまい、人類は避難所という穴倉に細々と暮らしている。この世界が何故そうなってしまったのか、誰も知らない。人々は今日一日を生き抜くがの精一杯で、旧時代の遺物を白砂から漁ったり、野生生物を狩って、飢えを凌ぐ。しかし、そんな終末の世の生きる人類も存外しぶとく、ほんの少しづづ、旧時代の技術を復活させ、各地に存在する避難所から出来たコミュニティ通しの交易が出来始めると通貨の概念も復活して、僕が生まれた頃には、それなりの生活が出来るようになっていた。あくまでそれなりで、人類はこの終末の世では圧倒的な弱者なのは変わりなく、衰退と維持を繰り返している。僕はシキ、終末の世を生きる者だ。

 

 白い砂の景色は数時間を亀の背中で揺られながら進んでもやはり白い砂の景色が続き、げんなりとした気分に僕はなっていた。僕たちは植物油という最近発見された食べ物を揚げる油を交易するために、21番街に向かっている。僕は所属している28番街で、今回の遠征の選抜メンバーに挙手した訳だが、想像以上に危険がいっぱいで、ちょっと後悔をした。危険な外界の案内人キャラバン隊の引率で大丈夫だと高をくくった自分を恨みたい。そもそも、僕は気が進まなかった。僕の前にいる、全身フードからの時より見える赤い髪の少女ルルが原因だ。彼女は外の世界に憧れ、今回の遠征がチャンスと見て僕を巻き込んだのだ。彼女は今回の遠征中にキャラバン隊の人に接触をして入隊を目論んでいたのだが、あっさり遠慮された。まあ、長年の付き合いもあるし、心の中では笑っていたが、慰めたら突然のビンタ!、ふざけんなよって思ったのもつかの間、次は終末スズメの砂浴びで、ひと騒動・・って、それにだ!、さっきなんか、命の恩人である僕を蹴っばして、挙句の果てに、「何、デレデレしているのよ!」だ?、あーー次から次へと嫌な事が思い出す!。僕は短期間で起きた彼女への恨みを込めて背中を睨みむと、急に振り返り、「ねえ、21番街はまだなのかしら?」とルル言い、赤い瞳で僕を見る。咄嗟に何事も無かったような顔をした僕だが、「・・・何?」とルルは何かを察した様子。「えっw、なにって?」と僕はとことん惚ける事にした。「・・まあ、いいわ、だから!、21番街はまだかなって事」とルルは追及をせず本来の話題に戻す。「21番街?、僕が知る訳ないじゃない、28番街の周辺しか知らないんだよ?、キャラバン隊の人に聞けば?」と僕は返す。「フフっw、それもそうね!、次の休憩に聞くわ」とルルは前を向く。危なかった・・、バレたらまた何をするか分からないからな・・。それから、太陽が真上になった時、最前列からキャラバン隊の乗った砂漠亀が列から飛び出し、後方に向かって進ませながら何かを命じる。キャラバン隊の人が最後尾の僕の所にまで来ると、くるっと砂漠亀をユーターンをさせ、頭のフードを脱ぐと、金髪碧眼で美しい女性が露わになった。彼女はこちらを見て、「シキさん、食事の時間ですよ!、砂漠亀を止めて、操作棒で円陣と命じて下さい」と指示。彼女はキャラバン隊の唯一の女性隊員であるカンナ、キャラバン隊をまとめているキサラギ代表の片腕を務めている。僕は「了解しました、カンナさん」と返し、カンナは頷き「じゃあ、後で」と言い最前列に戻った。そして、前にいたルルが僕らのやり取りを見て、「随分と仲がよろしい様で」と物調面でこちらを睨む。僕は即座に、「何?、妬いてるの?w、彼女とは昨日今日の間柄だよ?」とやられっぱなしでは納得が行かず、わざとらしく煽る。ルルは、一瞬キョトンとして、「はあ?、何であんたに嫉妬しないといけないのよ!」とイラついた顔をした後、ため息をし、「馬鹿なこと言ってないで、お昼にしましょう」と1メートル位の先端が球状になっている銀の棒を取り出す。「へーい」と僕はしたり顔で返して、座っている座席に備え付けてある1メートル程の銀色の棒を取り出し、球状になっている先端を砂漠亀の甲羅に接触させ、心の中で円陣と念じた。この銀色の棒は操作棒と言い、旧時代の遺物で、本来の用途は不明だが、現在では調教された砂漠亀との意思疎通に使う。特定の言葉を心で念じると、予め調教で学んだ行動を砂漠亀がするのだ。僕らの乗っている砂漠亀は一斉に動き円陣を組むと、キャラバン隊の面々と28番街の面々は円陣の中に降り、遠征2日目になると皆が次は何をするのかを分かっており、キャラバン隊の方が用意した食事と水を受け取るために列を作る。食べ物と水、少量の塩を受け取るとルルとカンナに挟まれる形で僕は白い砂の上に座り、皆と食事を開始。ありがたい事に毎回違う食事が提供され、今回は楕円形の固形物が配られる。僕らは早速、謎の固形物をかじると、チョコレートも美味しくてビックリしたが、今回、配られた固形物も甘くて中に数種の実が入っており、やはり美味しいく、僕としてはこちらの方が断然好みだ。隣で座って食事をしていたルルが、「美味しいw、歯ごたえと味、申し分ないわね!」と絶賛。彼女の感想に僕は、「うん、僕もそう思う、この前のチョコレートより断然こっちだね」と同調し感想を言う。隣のカンナは、「フフw、気が合いますね、私もクッキーが好きです」と僕ら二人に続いて感想を言い、謎の固形物の名を口にした。「クッキー?、この固形物はクッキーって言うんですか?」と僕はカンナに確認。カンナは、「ええ、そうです、旧時代の食べ物で、キサラギ代表が現代で手に入るもので復刻しました」と肯定した。すると、「何やらクッキーの事を聞きたいのかな?」と黒髪でオールバックでキリッとした顔立ちの30代ぐらいの男性、キサラギ代表が僕らの会話に割って入り、「ショックだぜ、チョコレートよりクッキーが上手いとか・・」と中年のおじさん、キャラバン隊の副代表カイがしょんぼりとした様子で僕らの輪に入って来た。カイの様子に僕は咄嗟に、「えっ!?、チョコレートがまずいと言ってる訳じゃないです、どちらも甲乙つけがたい感じでしたよ」とフォロー。カイは「そう言って貰えると、嬉しいぜw、冗談だよw、人の好みに口を挟む野暮な真似をしないぜ」と感謝をして問題がない事を僕らに伝え安心させた。「シキ君と言ったか、君はクッキーの事を知りたいかね?」とキサラギ代表はキラキラさせた目で僕に再び尋ねる。僕は興味があったが、それほどでもなく困惑し、「えっ・・特に」と言いかけた瞬間、キサラギ代表が人差し指を僕の口を押え、「皆まで言うな少年、よーし、私のクッキーとの出会いからだ」と張り切り始めた。カイとカンナはその様子に、あっ・・といった感じで何かを察し、「の、喉が渇きました、水を汲んできます」と給水用の砂漠亀の方へ向かい、「あっ!、忘れていたぜ、砂漠亀の調子を見る予定だった!、すまねぇ、代表!」と自分の砂漠亀がいる方向へ去った。二人の尋常ならざる行動にルルはキョロキョロしながらも何かを察し、「あっw、私、クッキーのおかわり貰いに行くわ!」と立ち上がった。しかし、「君はルル・・だったね、安心しまえ、ここにおかわりのクッキーがある」とキサラギ代表は立ち上がって何処かへ逃げようとしたルルを強引に座らせ、クッキーを差し出し、「最初の出会いは、はるか南の7番街近くにあった旧時代の建物の中で見つけたレシピが書かれた遺物を発見した時だ・・」と僕たちはお昼休憩の時間一杯、クッキーとの出会いから、それを復刻するために歩んだ試行錯誤、そして、ようやく復刻に至った経緯を聞かされ、地獄と化した。

 

 白い砂を砂漠亀が踏みしめ前に進み数時間。僕らはキサラギ代表からクッキーの逸話を無理やり聞かされて、上手く休憩が出来ず、疲労がピークに達していた。「シキ!、水ない?」とルルが自信の野生生物の皮で作られた水筒を逆さにして振り向き僕に尋ねる。僕は彼女とお揃いの水筒を取り出し、逆さにして、「無いよ」と無慈悲に返す。「えー・・、のど乾いた・・、ねえ、給水用の砂漠亀の所に行って組んできてくくれない?」とルルは身勝手な要求を僕に打診。当然その様な要求を受ける義理が無いので、「自分で言ってよ、あっ、僕の分もお願い」と水筒を差し出しお返し。「はあ?、何で私が?」とルルはイラつきながら言う。すかさず僕は、「それはこっちの台詞だよ!」と言い返した。お互い睨み合い、ため息を同時にして、「やめましょう、余計に喉が渇いたわ・・」とルルが言い、「うん、そうだね・・」と僕も同意して、不毛な争いを止め、列の真ん中にいる給水用の砂漠亀まで砂漠亀を操り行こうとしたら、最前列からカンナが乗った砂漠亀が再び逆走してこちらに来て、「お二人共どうなされました?、交易の品を手に入れるので、砂漠亀を止めて下さい」と言う。その言葉に僕はハッとなった。手ぶらで28番街を出た時は、何か高価な品をコミュニティの上役からキャラバン隊が手渡されていると勝手に思っていたが・・、現地調達か・・・。砂漠亀の列は停止をして、僕らはキサラギ代表の元に集まる。キサラギ代表は全員が集まった事を確認すると口を開き、「これから、皆さんには植物油と交換する品をここで調達してもらいます」と言う。キサラギ代表の言葉に僕らは辺りを見回し、白い砂漠が広がるばかりで何も無く、ざわざわと動揺する声があちらこちらからした中、「はい!はい!」とルルが挙手をした。キサラギ代表はルルを指さし、「はい、何でしょう?ルルさん」と発言を許可。ルルは手を下げて、「見た所、何も無いようですが、何を調達をするんですか?」と質問をする。キサラギ代表はニコリと笑い、「良い質問ですね!、お答えしましょう、ここら辺には貯水晶なるものがあり、21番街のコミュニティはそれのニーズが高いのです!」と言い、更に、「では、貯水晶の採掘の仕方を実演しますのでみて下さい」と言った。キサラギ代表が目で合図をすると、砂漠亀に乗ったカイが来て、「副代表のカイだ、これから採掘の方法を見せる、あっ、難しく構えなくていいぜw、簡単だからよw」と言い、操作棒を取り出し、先端を甲羅に押し付けて、「貯水晶の採掘と念じてくれ!」と説明。カイの乗った砂漠亀のピクっと反応し、地面の白い砂に鼻を付けて嗅ぎ始めた。僕らが見守る中、砂漠亀は数分間辺りを嗅ぎまわり、何かを見つけたのか今度は前足で地面を掘り始めた。前足に着いている鋭い爪が順調に掘り進み、その光景を近くで見ようと僕らは穴掘り現場を囲む。砂漠亀が懸命に掘り進み白い砂から黒い土に変わると、ピカッと太陽の光を何かが反射した。砂漠亀はその反射に反応して穴掘りを止め、カイが降りて来て、黒い土が露出した穴に入る。カイは慎重に手でなぞる様に土を取り除くと、半透明で30センチ位の大きさに、五角形で円柱の物体が現れ、それを取り出し、僕らに見せ、「これが、貯水晶だ!、なっ?簡単だろ?」と言い、僕らは、「おおお!」と感嘆の声を上げた。そして、カイは穴から這い上がると、自身の砂漠亀に労を労うために頭を撫で、砂漠亀はそのつぶらな目を細めて気持ちよさそうな顔をして、「はい!、皆さん、注目!」と後ろからキサラギ代表の声に僕らは振り向く。カイはキサラギ代表の元へ、貯水晶を手渡し、キサラギ代表はそれを手で土を掃うと、美しい青い色が太陽に照らされて、心なしかみずみずしい印象を受けた。「皆さん、これが貯水晶です、恐らく皆さんはこれに何の価値があるか?とお思いでしょう、この品の真価をお見せします!」とキサラギ代表が言い、いつの間にか持っていた金槌(かなづち)を円柱状である貯水晶の底面を慎重に「コツコツ」と叩く。叩いている部分に皆の視線が集まり、数度叩い後、「パリッ」と薄い硝子が剥がれ落ちる様に貯水晶の欠片が地面に落ち、「ダバダバ」と結構な勢いで水が流れ落ちた。「水?」、「何だこりゃ?」、「凄い量!」と僕ら28番街の面々は口々の驚きの言葉を言い、キサラギ代表は僕らの様子にちょっと気を良くしたのか、ちょっと得意げに、「フフw、驚きの様ですねw、この貯水晶という鉱物は、大量の水を含んでいて、衝撃を与えると大量の水を放出します、21番街は植物油という、交易の目玉を作るためには大量の水を必要としていますのでこの貯水晶は大変ありがたがるのですよ」と語った。僕らはキサラギ代表の話に関心をして、貯水晶から水が出なくなるのを確認したキサラギ代表は、「それでは皆さん、先程の通り、殆どの作業は砂漠亀がやってくれます、貯水晶を採掘したら、あちらの交易品を運搬専用の砂漠亀に取りつけてある、樽に入れて下さい、それでは解散!」と作業の開始を宣言。僕らは自身の砂漠亀に乗り、早速採掘作業をした。操作棒での先端を甲羅に付けて、「貯水晶の採掘」と念じる。砂漠亀は立ち上がり、鼻を地面すれすれまで近づけ、辺りを嗅ぎまわり、僕以外の砂漠亀もウロウロと嗅ぎまわっていたが、不思議とぶつかる事も無い。数分後・・、嗅ぎ当てたのか、僕の砂漠亀は前足を器用に使い掘り始めて、白い砂から黒い土に変わり、キラッと何かが見える。僕はすかさず砂漠亀を降りて、慎重に探る様に土を掃うと、先ほど見た貯水晶より二回り大きいものが現す。「うわっ!、凄い・・」と僕は呟き取り出したが、不思議な事に重くなく、本当にあの大量の水が含んでいるのかと疑いたくなる位軽い。僕は砂漠亀の頭を撫でた後、意気揚々と誇らしげに採掘した貯水晶回収用の樽に入れに行く。丁度、ルルも回収樽に入れている所で、「どう?、僕の採掘した貯水晶」と僕は見せつけた。ルルはこちらを見て、「でかっ!、そんなに大きいものもあるんだ!」と感心し、「まあ、ルルも頑張ってねw」とドヤ顔で僕は樽に入れて立ち去る。僕の背中に、「何よ・・、ただの運じゃない」とルルの負け惜しみが聞こえ、幾分か鬱憤が晴れた。それから、僕は何個か採掘し、日が傾き、空が茜色に染まった頃、おそらく最後になるだろう採掘した貯水晶を収納樽に入れに行く。数個ある収納樽はほぼ満杯になっていて、十分の採掘量だと感じる。僕は貯水槽を樽に入れ、後は待機をして休憩を決め込もうとしたら、「あれw、あれw、シキさん、随分小さいですねw」とルルが先ほど僕が採掘した物より更に二回り程大きい物を持って笑みを浮かべなら立っていた。「凄い・・・、何それ?」と僕はその大きさに驚き言葉が出ない。「いやーw、これも、ひとえに普段の行いが良かったからかなw」とルルは先程の報復なのかドヤを僕に決めた。「はっw、や、やるねw、まあ、凄いんじゃない」と僕は何とか言葉を紡ぐ。時間的にもう採掘の時間も無く名誉挽回のチャンスもないだろう・・負けが確定し、「くそっ」と心の中で呟く。僕が眉をピクピクと動かし顔を引きつらせっると、追い打ちとばかりにルルはニヤリと、「はーw、今日はよく眠れそうだわw」と勝利宣言をして立ち去った。

 

 交易する量を確保した事を確認しキサラギ代表は皆に、今日のキャンプ地はもう少し先にある事を告げ、僕らは隊列を組み進む。太陽が地平線にもう少し隠れそうになり、空が薄紫になった頃、二メートル位の高さの木の群生地が現れ、僕ら28番街の面々は驚きの声を上がる。それもそのはず、僕らの28番街の周辺は植物といったらサボテンぐらいしか見当たらず、いわゆる樹木といったものは無い。精々、その様なものがあると知識として知っているだけで、実際に見た者は少ないだろう。この目で初めてみる木の様子は、幹がツルツルな感じで、上の方に垂れ下がる様に葉が伸び楕円形の大きい実がなっている。「ねえ!、見てよ!、木だよ!」とルルは興奮しながら振り返り僕に言う。僕も興奮しながら、「ああ、凄いね!、この目で木を拝める日が来るとは思わなかったよ!」と返した。僕ら一行は、木の群生地の脇で停止して、寝床の準備を始める。ルルと僕は、夜間になると気温が下がり寒さで眠れなくなるので、ホットストーンを作る事を命じられ、その辺にある良い感じの大きさの石を一か所に集めていた。ホットストーンとは、旧時代の道具で石を熱してアツアツにした物で、それをテントの真ん中にある専用の容器に入れ、テント内を保温するのだ。十分の石が集まると、僕は懐からステック状の物を出す。これは旧時代の道具、通称、ファイアステックと言われていて、このステック状の物体の本当の用途は分からないが、折ると高音を発し、石を熱するには便利な道具。おまけに、入手のしやすさも相まって、終末の世では必需品だ。僕はファイアステックを折り積んだ石の上に置く。すると、ファイアステックが赤く光り、急速に周辺の石を熱し始めた。「よしっ、後は待つだけだね」と僕は隣でファイアステックの赤い光をぼんやり見ているルルに言う。しかし、ルルは、「えっ?、うん」とから返事で返す。僕もそうだがここに来て一気に疲労が出て来て、動きたくもないし、喋りたくもない。周囲を伺うとテントの設営も終わり、夕食の準備も整い、もう人手は必要そうも無いので僕もルルと同じくファイアステックの放つ熱い光をぼんやりと眺めた。夕食の干し肉を食べて、僕とルルはホットストーンをテント内に持ち込むために、専用の旧時代の熱を遮断する入れ物を持って行くと、ボンヤリ赤く光っているファイアステックの光に小さくて、丸みを帯びた何かが数個あり、「あれ?、積んだ石が落ちたのかな?」と僕は呟くように言い、「本当だ、そうじゃない」とルルは適当に返し、僕らは近づく。2メートル位の距離まで来ると、それは石ではなく茶色と白の縞々の始めて見る野生生物だと気が付き、思わず叫びそうになったが何とか堪え、慎重に後ずさりする。数歩の後退をし更に数歩後退をしようとしたら、「ドン」と誰かにぶつかり僕らは振り向く。後ろにいたのはキサラギ代表とカンナだった。僕は囁き声で、「キサラギ代表!、やせい・・」と言いかけたら、キサラギ代表は僕を無視して野生生物の方へ誘われるように向かい、「ちょっ!、あぶ・・」と今度は普通の声で僕が警告を発しようとした瞬間、「大丈夫です」とカンナが遮る。僕とルルは訳も分からずキサラギ代表を目で追い、注目した。キサラギ代表は普段のキリッした凛々しい顔が蕩け顔でニヤニヤしながら、ブツブツと何かを呟いていて、僕らはそれに耳を傾ける。キサラギ代表は、「フフフw、毛玉ちゃんたちw、暖かさに誘われて来たのかなw」と今まで見た彼から想像も付かない台詞を言い、両手の指をクネクネさせていた。その様子に、「キ、キサラギ代表?」と僕は驚愕し、「キモッ!」とルルは嫌悪の表情をして、「すいません、すいません」とカンナは両手で顔を隠し恥ずかしそうに謝る。キサラギ代表の接近に気が付いた野生生物の耳がピクっと動き頭をあげてこちらを一瞥。その顔はとても可愛く、僕が見た野生生物の中で断トツだった。「何あれw、超かわいいw」とルルはその謎の野生生物の顔を見るなり体をクネクネさせ可愛さに悶え、「あれはイエネコという旧時代では人類の友とされた生物です」とカンナは言った。「イエネコ?、大人しい生物なんですか?」と僕はすかさずカンナに尋ねる。「はい、何故だかは分かりませんが、この野生生物はとりわけ人に友好的で簡単に懐きます、キサラギ代表はこの生物に目がないのです・・」とカンナは答え、最後はため息をつく。「へーw、大人しいんだw、近づいてみようよシキ!」とルルはカンナの言葉に安心をし、僕の手を引っ張りキサラギ代表の元へ向かう。キサラギ代表の元へ行くと、彼は白い砂の上で胡坐をかき、その上に仰向けで寝ているイエネコがいて、キサラギ代表は撫でていた。キサラギ代表は僕たちを見て、「フフw、君たち、羨ましいか?」とドヤ顔で僕らに尋ね、「えっ・・、まあ、羨ましいです」と僕らは少し躊躇して肯定する。僕らの言葉に気を良くしたのか、「そうかw、羨ましいかw、では君たちにも極意を教えて進ぜよう、胡坐をかいて見なさい」と指示。僕らはお互いを見て、戸惑いつつ白い砂の上で胡坐をかく。すると、他のホットストーンで温まっていたイエネコがこちらを見て、立ち上がりトコトコと歩み寄って、胡坐が空洞になる部分にくるくると回りストンと寝ころぶ。「き、キサラギ代表!、これからどうするのですか?」と僕は自身の胡坐の中に寝転びリラックスしている可愛いイエネコを持て余す。「フフw、シキ君・・心の赴くままに、撫でなさい・・さすればイエネコは応えてくれる」と微笑みながら言う。僕はキサラギ代表をの言葉を信じて慎重に撫でる。イエネコの感触はほんのりと暖かく柔らかい、そして、「ぐるるる」と謎の鳴き声がし、「きゃっw、何?」とルルは謎の鳴き声に驚いた。「どうだい?、イエネコは応えてくれただろう?、これを私はモフモフ・エコーロケーションと名付けている」とキサラギ代表がイエネコを撫でながら言う。ルルはイエネコを撫でながら、「モフモフ・エコーロケーション?、この鳴き声に何の意味があるんですか?」と尋ねた。「分からない、でも、そんな事どうでもよくなる程、このモフモフ・エコーロケーション聴くと幸せな気分にならないかい?」とキサラギ代表は答えにならない答えを返す。しかし、悔しいが僕らは納得せざる得なかった。この、「ぐるるる」という鳴き声を聴くと何故だかリラックスして心地いい。僕はイエネコの喉や頭を撫で、モフモフ・エコーロケーションを堪能していると、キサラギ代表の傍で直立不動のカンナに気が付き、「あれ?、カンナさん?、イエネコを撫でないんですか?」と尋ねる。カンナは、「いえ、私はその・・毛が服に着くので、あまり触りたくないです」と答え、その言葉にルルは反応をし、「嘘?、うわっ!、ツナギに毛がいっぱい付いてる!」と驚く。僕も自身の股らへんを見ると茶色と白の毛が付いていたが、後で掃えばいいし、特に気にならなかった。ルルはイエネコを退かして、立ち上がり急いで手で毛を掃い、「ちょっ、もう!」と少しご立腹。その様子を見たキサラギ代表は、「シキ君、君は見込みがあるね、毛なんて後で掃えばいいだよ、たくっ、女性陣はだらしない」とヤレヤレと小バカにした態度をした。「はあ?、キサラギ代表、お言葉ですが、いかに大人しい野生生物でも、その毛の中にはダニやノミなどの有害な生物がいるんですよ!、この前だって、キサラギ代表が持ち込んだ所為でキャラバン隊全体がノミに食われて阿鼻叫喚になったのをお忘れですか?」とカンナは強い姿勢で抗議。「ごほっ、そ、そんな事もあったかな?」とキサラギ代表がタジタジになった。ダニとノミという言葉を聞いて流石に僕もイエネコを退かして立ち上がり、「えっ、イエネコの毛にはダニやノミがいるうですか?」と驚く。カンナは、「ええ、いますよ、高確率に」と言い、「キサラギ代表、テントに入る前に私がチェックしますからね」と釘を刺す。キサラギ代表は、「はい・・」と素直に同意した。

 

 それから、僕らはお互いの体にダニやノミがいないかチェックしたが、幸いなことに大丈夫だった。キサラギ代表は意に返さず胡坐をかいたままイエネコを撫で回し、僕らはしゃがんでイエネコを撫でる。すると、群生した木の中から月明りに照らされた白い砂の中に黒い丸み帯びた何かが近づいて来るのが分かり僕は、「キサラギ代表!、別の何かがこちらへ来ます!」と警告。キサラギ代表はその何かを見て、「シキ君、大丈夫だ、あれはルナベアーと言って、イエネコの様に人懐こくないが、大人しい野生生物だ、フフw、これから面白いものが見れるぞ!」とワクワクした感じで少年の様な顔をした。ルナベアーと言われた野生生物は僕らの元まで来て姿を露わになり、その姿は全身がほぼ黒く手足が短い、更に胸の辺に特徴的な白い模様があった。「やーんw、ルナベアーの方が私は好きw」とルルは近づき観察をする。ルナベアーはルルを意に返さず、前足を「ダン、ダン」と地面を蹴り、直後にキサラギ代表が愛でていたイエネコが反応し立ち上がり木に向かう。その背中を見つめながらキサラギ代表は、「あれは、カリカリナッツの木と言われている木で、実の中には乾燥した小さい固形物が沢山あって、イエネコとルナベアーはそれが大好物なのだよ」とうんちくを語る。イエネコはカリカリナッツの木のツルツルとした幹を器用に爪で引っ掛けながら登りてっぺんに到達すると、大きい楕円形のカリカリナッツの実に飛びつきブラブラと揺すり、「パキ」と音が鳴った。実とイエネコが落下し、イエネコはくるりと空中で一回転をして華麗に着地。そして、ドヤ顔を僕らに見せつつ、「にゃあw」と鳴く。鳴き声にルナベアーが反応をして落ちたカリカリナッツの実の元へ行き大きな口を開けると、その可愛い見た目に反して鋭い牙が剝き出しになり、それを実に突き立てる。「バリバリ」と豪快な音を数回鳴らし、遂にカリカリナッツのみの中が露わになった。僕らと静観していたイエネコ数匹が近づき、実の中身をみると、茶色で小さい固形物が実の中にいっぱい詰まっていて、僕はその一つを拝借して見る。掌(てのひら)で触った感覚は、乾燥をしていて固い。僕らに用はもう無いのか?っといった感じの目線をルナベアーとイエネコたちは向けてきたので、「ああ、ごめんw、もう大丈夫だよ」と僕は彼らに語り掛ける。すると、一斉に食べ始めて、「かりっ、かりっ」と小気味いい音が彼らの口から聞こえた。「どうだい?、凄いだろう!、このイエネコとルナベアーの共生関係」とキサラギ代表は得意げに言う。「はい、凄いです、違う種同士が連携するなんて思いも寄りませんでした」と僕は感嘆の言葉を返す。「ルナベアーは手足が極端に短く、更に砂漠を走る様に進化した爪は木を登るのに適さない、そしてイエネコは木登りが得意だがカリカリナッツの実の固い外皮は噛み砕ける程の顎の力はない、お互いの長所を生かし連携して生き残る・・・この終末の世に出来た美しい共生関係は何て尊いんだ!」とキサラギ代表は腕を組み、食事中の彼らを愛おしそうに見た。尊い共生関係を堪能した僕とルルは、中断したホットストーンの回収をし、各テントに届け、最後に自身のテントに入れて床に就き明日に備える。疲労がたまっているのかあっという間に意識が遠のき、「おはようございます!」と声が聞こえ目が覚めた。目の前には身支度を終えたカンナがいて、「昨晩はすいませんでした、皆さんはもう朝食を始めていますよ」とテントから出て行く。僕とルルは寝ぼけた意識を急速に目覚めさせ、給水用の砂漠亀の元へ行き、顔を洗い、口をゆすぎ、水を飲む。何だか寝て直ぐ起こされた感覚がして、疲労が上手く取れてない感じ。「何か・・・寝た気がしない・・」とルルも何だか気だるそうな態度で言い僕と同様の様だ。僕たちは朝食を受け取るとそれは、例のクッキーという奴で、確かに上手いがキサラギ代表のうんちく攻撃が脳裏に蘇り、複雑な味にさせた。朝食後、キサラギ代表の説明が始まり、「皆さん!、おはようございます!、朗報があります!これから数時間程進むと21番街に着きますのでもう少しの辛抱です、21番街に着けば休む事が出来ますので頑張りましょう!、ですので・・」と昨晩の彼が幻だと思いたくなるほどの落差で、姿かたちが一緒の別人と思ってしまう。説明だと今日のお昼ごろには21番街に着き、そこで植物油を受け取るには2、3、日かかり、それまでは休めるそうだ。やっと折り返し地点とはいえ、休みが貰えるのはありがたい。僕とルル、そして28番街の面々は歓喜して、砂漠亀に乗り込んだ。ようやく見えた折り返し地点に僕とルルの気持ちがだいぶ和らぎ蓄積した幾ばくかの疲労が解消され、晴天の空の下を笑顔で進む。それから、太陽が頭上に来た頃、等間隔に生えて、見た事もない美しい黄色い花を咲かした大きい植物が僕らを出迎え、その中に通っている綺麗な道を僕らは行く。僕らは28番街の面々は、綺麗な花に見入り言葉を失い、数分程進むと僕らの28番街の避難所に似たドーム型の建物が見え、その前に数人の人が手を振り、出迎えてくれている様だ。彼らの元へ辿り着くと、そのうちの初老の男性が一人が一歩前に出て、「ようこそ!、21番街へ!、お待ちしておりましたぞ、交易の品はキャラバン隊と我らが確かめて運びますので、あなた方28番街の方々は、我が21番街で骨休めをしてくだされ」と笑顔で言った。僕らの28番街の面々は、雄たけびを上げて歓喜し、砂漠亀を降りて次々と21番街の入口であるドーム型の建物に入る。僕は少し遅れて砂漠亀から降り、一面に咲いている黄色い大輪の花に目を奪われていると、「ほーらっ!、何をしてるの!、早く21番街に行こうよ!私、シャワー浴びたいわ!」とルルは僕の手を強く引く、僕はされるがままに引かれ、キャラバン隊の方々が真剣な目つきで21番街の人たと何かを話している様子を横目に、ドームの中に入るのだった。

 

―多分、気が向いたらつづくー

 

 


333曲目の紹介

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲を朴乃感想文さん、イラストをのんですさんによる、まばたきです。

 

 本曲は、日常における感情の機微をまったりとした曲調で、可不さんが歌います

 

 本曲の題名、まばたきは、個人的な解釈になりますが、日常という特別でない普通の時間をイメージさせるのもの又は印象深いもので、作者様のメタファーが込められている題名だと自分は感じました。

 

 

 

 本曲の様なまったりとした、曲調の弾き語りの様な感じは好きですね。心がしんみりとして、温かい気持ちになりましたよ。

 

 本曲、まばたきは、日常という何事もなく流れる悠久に続くような時間を題材にした曲は、聴き手の日常が彷彿されて、なんだか心が温かい気持ちになる良い曲だと思いますので、是非、本動画を視聴して聴いてみてください。

 

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

可不