煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

伝わらない、もどかしさを歌うVOCALOID曲

 

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 いよいよ、本格的に寒さがやって参りましたね。突然ですが、寒さが厳しい雪国にある、燃料手当、福祉灯油という制度をご存じですか?。この制度は、関東や比較的温暖な地方には馴染みがない制度ですが、灯油手当は努めている会社が社員に対して、冬場の暖房費の一部を助成する事で、福祉灯油は自治体や県が、高齢者や生活保護世帯、障害者世帯が対象に、冬場の暖房費を給付している制度です。何で急にこんな話をしたかというと、まあ、寒くなるとストーブの灯油を買いに行くわけですが・・・、高い!、シャレにならない位、高い!、セルフスタンドで18リットルのポリタンクに入れ終わり、値段を見ると、2、2、2千円?、あれっ?、こんな高かったけっ?とビックリしてしまいます。この価格帯になると、いよいよ、経済的にお優しいのが強みの石油暖房が、お優しく無くなり、電気暖房の方がましになる様相を呈している感じですが!、何と!、来年一月から電力会社各社が値上がりをする見通しで、石油にしても電気にしてもどちらを選択しても、経済的な負担が増える公算になります。ここで、燃料手当と福祉灯油の話しに戻りますが、雪国だけじゃなく、全国一律に補助して欲しいなーと思う訳です。要するに、トリガー条項早よ!って事です。

 

今回のお品書きです

 

 

煮干しがお送りするちょっとした物語

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

 曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 

 僕が生まれる遥か前、天空に浮かんでいる月にまで到達して、そこに都市を築き、人類は栄華を極めていた。詳細は分からないが、ある日、大災害が起きて、地表は白い砂で覆われ、生態系は変異し、人類は地下で細々と生きる事を宿命づけられた。僕の名前はシキ、旧時代の人たちが作った28と記された避難所、通称28街のコミュニティに属し、人類が脇役に追いやられた終末の世界を生きる者だ。僕はベッドとほんの少しのスペースしかない壁に覆われた我が寝床で身支度をしていた。これから僕は、初めて外の世界に行く。この世界では、圧倒的に人類は弱者で、自分が生まれた避難所の周辺から基本的には離れられない。もし、避難所から離れて行こうものなら、一日と持たず凶暴な野生生物の餌食になってしまうだろう。そのため、大半の人々は死ぬまで避難所と周辺の事しか知らず一生を終える。そんな世界でも例外がある。キャラバンだ。キャラバンとは、現存する避難所から避難所を渡り歩き、行商をしている風変わりな集団で、この世界の事を誰よりも知っている。キャラバンは珍しい品の販売や、他のコミュニティ間との交易の代理をしてくれて大変重宝されていた。そんなキャラバンに僕は同行して21番街に行き、食用油という料理に使う油の調達をするという使命をコミュニティの上役から仰せつかった。切っ掛けは、この世界で生きる為の、いろはを教えて貰った恩人で師匠の親父さんに打診されたのが始まりで、二つ返事で快諾したのだ。僕は身支度が終わり、狭い我が寝床から出ると、外は布を継ぎ合わせた仕切りを掛けた、僕と同じ狭さの寝床が立ち並ぶ。ここは旧時代の人々が非難をした際、寝床にしていた場所で、カプセルと言われていた。今ではカプセル長屋といわれ、僕の様に身寄りもない貧しい者たちの住処だ。待ち合わせの、28番街の外に通じるゲートに向かうため、カプセル長屋から出ると、活気ある声がして、露店が並んでいる賑やかな所に出る。ここは28番街の中心地。通称中央市場と言われ、28番街の何処へ行くにしてもここを必ず通る。露天には周辺の外から収集してきた物が並び、旧時代の物から野生生物の肉など、様々な物があり、僕はそれらを横目に待ち合わせの28番街と外を繋ぐゲートがある方へ向かう。ゲートには数人の人々がいて、見知った者、数人と、後は知らない顔ばかり、そして、よく知る人物が僕を睨む。僕は何食わぬ顔で近づくと、「シキ!、遅い!」と赤い髪に瞳のショートカットで、僕と同じ白いツナギに、砂漠亀を加工したヘルメット、旧時代の代物、ゴーグルにブーツ姿で、年は同じ頃の女の子が声を掛けてきた。彼女はルル、僕と一緒に周辺の物資の調達をするパート―ナーみたいなもので、今回の遠征で一番楽しみにしている。「遅れてないよ!、ルルが早すぎるんだよ!」と僕は反論。ルルは口を尖らせ、「遠征なのよ・・分かってる?、外の世界に行くの、早すぎるって事は無いわ!」と僕の反論をねじ伏せた。はやる気持ちは分からないでもないが、あんまりだ、理不尽すぎる。彼女は僕をいつも振り回す。だからあまり好きじゃない・・。そんな僕たちに突如、「お前ら!、調子はどうだ!」といかつい壮年の髭面の男が言う。この人は親父さん、つまり僕たちに今回の遠征を打診してくれた恩師だ。「あっ、親父さん!、体調はばっちりです!」と僕は即座に反応して返す。ルルも少し遅れてえ、「はい!、問題ありません!」と返した。親父さんは、「そうか!、なら安心だw」とニッコリ笑い、更に、「お前たちに、一つ言っておかなければいけない事がある」と言う。僕たちは揃って、「何です?」と尋ねる。親父さんは、「遠征はとても危険だ・・目的地に着く前に命を落とすのもザラだ、いいか?、ヤバいと思ったらなりふり構わず生き残る事だけを考えろ!」と真剣な目つき。僕たちはお互いを見合い、ゴクリと生唾を飲み込み、「は、はい」と応えるの精一杯だった。考えて見れば、僕たちはこれから危険な旅時に出る訳で、ルルではないが、僕も浮かれていた様だ。僕たちは新たな決意を胸に気持ちを入れ替えると、ゲートの奥から男女二人組の明らかによそ者風が来て、「注目!、代表からのお言葉です!、コミュニティの方々は聞いてください!」と二人組のそのうちのクリーム色の全身フード女性が叫んだ。そして、待機していた僕たちコミュニティの面々は一斉に注目をした。

 

 僕らを含めた遠征メンバーの視線を集めた30代位の男性は、黒髪をオールバックにキリッとした顔立ちで、旧時代のヘルメット、ゴーグル、昔一度だけお目にかかった事がある超レア物の旧時代の軍服とかいう奴を着て、同じく超レアの軍靴姿。彼が身に着けている物を売れば、恐らくだが一生食うに困らないだろう。因みに僕らの来ている白いツナギは最近になって復刻した技術で作られた服で価値は低い。「相変わらずスゲーなw」と親父さんは苦笑をしながら呟く。おもむろに旧時代の服、軍服を身に纏った男性は口を開き、「キャラバン隊の代表、キサラギです、今回、植物油の遠征にご参加して頂いて真にありがとうございます、えー、恐らく皆さんの大半は、外の世界に出るのは初めてだと思いますが、我々の指示に従えば特に怖いを思いをする事はありません」とキサラギと名乗ったキャラバン隊の代表は言い、代表の言葉に僕たちはコミュニティの面々は、「おお」とか、「へー」とか感嘆の声を上げる。キサラギ代表は口を再び開き、「ですから、皆さんは、我々の指示以外の事をしないで頂きたい、過去にも勝手な事をした人がいましたが、例外なく帰らぬ人になりました、今回の遠征にはその様な犠牲を出したくありません、肝に銘じて置いてください」と言った。僕たち、コミュティの面子はバラバラに「はい」と返事をして、それを見届けるとキサラギ代表は、ゲートを潜り、「では行こう!」と号令が下ると、ドタドタと皆はゲートを潜り、「親父さん!では行ってきます!」と僕は言い、「お土産、期待してね!」とルルは後に続き言う。「おう、気を付けてな!」と親父さんは手を振り僕たちを見送った。

 

 外に出るためのゴンドラに列に並び、僕たちもようやく順番になり、乗り込む。金属通しが擦れる音をさせ、サビが至る所に侵食している、おんぼろゴンドラは僕たちを乗せて地上に着く。外に出ると一面の白い砂と抜ける様な青い空、それに縄で繋がれて、五角形の模様をした白い大きな甲羅と皮膚を持つ、おおよそ3メートル位の大きさの砂漠亀の成体の列が僕たちを出迎えた。砂漠亀は、気性も穏やかで、容易に狩る事が出来、幼体の時はヘルメットに加工され、成体の砂漠亀は飼いならし、乗り物や荷物の運搬に利用される。僕たちはキャラバンの人から、彼らが身に着けている同じクリーム色の全身フードを受け取り、遠征に行く皆が同じ姿に揃うと、「それでは皆さん!、我々が用意した砂漠亀にお乗りください!、1人、1頭に乗り、経験が無い方もいると思いますが、行きの道すがらで砂漠亀の乗り方を学んでもらいます、これは、各々で植物油を運ぶ任についてもらうためです」とキサラギ代表が皆に指示をする。「ねえ?シキ、どれにする?」とルルは一列に並んでいる砂漠亀を見て決めあぐねていた。「さあ?、どれでも良いんじゃない?」と僕は適当に返す。そうこうしていると、僕たち以外のコミュニティの面々はそそくさと、それぞれの、これはと思った個体に向かっていて、その光景に僕たちは気後れしながらも、ワンテンポ遅れて、誰もキープしていない列の一番最後、そしてその前にいる二頭の砂漠亀の前に行った。目の前まで行くと、やはり大きい。砂漠亀は待機をしていて足を曲げて伏せる感じで座り、顎を白い砂の地面に付けてリラックスをしている。僕たちが砂漠亀の顔の前に立つと、ゆっくりと顔上げてつぶらな瞳で見つめ匂いを嗅ぎ始め、「きゃあっW、くすぐったいw、ねえ、シキ!結構可愛いよw」とルルは砂漠亀の頭を撫でてはしゃいだ。僕たちが砂漠亀との初コミュニケーションを楽しいでいると、「皆さん!、どうやら1人、1頭、行き渡りましたね、それでは乗り方をお見せしますので、集合してください」とキサラギ体表は僕たちに号令。僕たちはぞろぞろとキサラギ代表の元へ向かい、彼を囲む。皆が集まると、キサラギ代表は自身の前にいる砂漠亀の甲羅にかけてある梯子を使い登り、甲羅の頭頂点に備え付けてある椅子に座る。キサラギ代表は私たちを見回し、「椅子に座ったら、椅子に備え付けてある操作棒を持って下さい」と言い、キサラギ代表は椅子に備え付けてあった銀色で先端は丸い球が付いて、長さは1メートル位の棒を持つ。「この棒は旧時代の遺物で、こうして甲羅に棒の先端にある丸い球を触れながら念じると砂漠亀に意志が伝わります」と、座っている砂漠亀はゆっくりと立ち上がり、「プシュー」と大きく鼻で呼吸をする。直立した砂漠亀の成体の白い巨体は、さらに大きく見え、その光景に皆は、「おおお」と感嘆の声。キサラギ代表は、「今、私は彼に立ち上がれと意思をこの操作棒で伝えました、更に進めと念じると・・」とキサラギ代表は再び甲羅に操作棒の先端を付ける。すると、砂漠亀はゆっくりと前進をする。進行方向にいたコミュニティの面々は避けて、その悠然と堂々とした姿に見入る。キサラギ代表を乗せた砂漠亀が数メートル進むと、キサラギ代表が振り返り、「止まる時は再び操作棒を付けて念じれば・・」と、砂漠亀はピタリと歩みを止め、「御覧の通り!、簡単でしょ?、それでは各自で練習をしてください」と言った。キサラギ代表のご教授が終わり、皆は解散してそれぞれの砂漠亀に向かい、「ねえ!、ねえ!、早く乗ろう!」とルルは駆け足で自分の砂漠亀にいち早く向かう。「ちょっ!待ってよ!」と僕は慌てて彼女の背中を追った。僕たちは先程のキサラギ代表の見本通りに登り、椅子に座ると、その脇に備え付けてある銀の棒を取り出す。僕は先端の丸い球を甲羅に付けて、立ち上がれと命じる。僕の乗った砂漠亀はゆっくりと立ち上がり、すぐ前にいたルルも同じ目線になった。「うっわー!!、凄く高い!、地平線まで見えるんじゃない?」とルルは遠くを見ていた。そんな大げさな・・と思いながらも、「そうだね」と僕は肯定した。

 

 僕たちは、砂漠亀を操作する事も慣れ、コミュニティの面子に目を向けると、競争をして遊ぶ者も出始めていた。彼らの行動を見てルルは、「ねえw、私たちも競争しない?」とルルが僕を誘う。「えっ・・、止めなよ、これから長い旅路になるんだよ、今から砂漠亀の体力を使ってどうするの?」と至極当然の事を僕は言い、ルルの誘いを断る。ルルは口を尖らせ、「詰まんないの、シキは乗りが悪い時があるよね」と僕に返す。「いや・・つまらないって、何だよそれ?」と僕が抗議しようとした時、「はい!、皆さん注目!、それでは21番街の遠征にこれより行きます!、隊列を作ってください!、くれぐれも、勝手な行動は慎んで!」とキサラギ代表が叫んで皆に号令。ルルは、「ほらっ、行こう!」と列に並び、僕は納得が行かなかったが、渋々列に加わる。僕たちは、最前と最後尾にキャラバン隊の人たちが挟む形で列を作り白い砂漠を進む。何処まで行っても同じような景色で、本当に外の世界があるのか?と疑ってしまう。僕はそんな景色を見ながら自身が乗っている砂漠亀の足を見る。砂漠亀の足の先端は強靭な爪が生えてあり、足を取られやすい砂でも難なく踏みしめて走破して進み頼もしく感じた。三時間位だろうか、先頭からクリーム色の全身フードの隙間からは、旧時代のキサラギ代表と同じような旧時代の服装、軍服が覗かせたキャラバン隊の女性の人が逆走しながら、「お昼休憩をします、砂漠亀に円陣を組めと命じて下さい」と言う。「カッコいいw憧れるw」とルルは羨望のまなざしを向けながら操作棒の先端を砂漠亀の甲羅に接触し、「夢を見るのは勝手だけどさ、目の前の現実を見なよ」と僕は苦言を呈し、自身の砂漠亀の甲羅に操作棒の先端を付け、「何よ!、夢を見てもいいじゃない!」とルルは抗議をした。砂漠亀たちは予め、特定のワードに反応する様に調教されている様で、砂漠亀同士が連携をして列が円陣を組む。砂漠亀たちは円陣が出来上がると、一斉に足を起用に曲げてその場に腰を下ろす。その一糸乱れない動きはキャラバン隊の調教のレベルの高さを表していた。僕たちは梯子を降ろして、砂漠亀の円陣の中に降りると、キャラバン隊の人たちはテキパキと動いていて、28番街コミュニティの面々に、コップを配っている。先ほどの逆走して指示をしていたキャラバン隊の女性は僕とルルに気がつくと近づき、コップを差し出し、僕らがそれを受け取ると、「飲料水タンクを積んでいる砂漠亀の所に行って水分補給をしてください」と言う。彼女の指し示す方を見ると、ひときわ大きい砂漠亀が何かの皮で作ったであろう大きい風船の様なものを積んでいて、列が出来ていた。「ありがとうございます」と僕は礼を述べ、ルルは少し緊張しながら、「あ、ありがとうございます、あの!聞きたい事・・・ちょっ、手を引かないでよ・・」と何かを尋ねようとしたが僕は、それを阻止し手を引き、列に加わる。「何をするのよ!」とルルは列に並びながら抗議。僕は列の先頭を見ながら、「だって、どうせ、キャラバンに入りたいとか、入る方法は?とか尋ねるつもりだったんでしょ?、遠征中だよ?、余計な事を言ってキャラバン隊の邪魔しちゃだめだよ」と僕は至極まともな事を言う。ルルは、「うう・・、分かってるわよ」と苦虫を嚙み潰したような顔し、気の毒に感じた僕は、「21番街に着いて落ち着いた時に聞けばいいんじゃない?」と提案し逃げ道を作る。「そうね・・そうするわ」とルルは一応納得した。一応の決着が付き、二人で列の先頭を見ると、蛇口の様な物がありそこからコップに水を注いでいて、終わるとキャラバン隊の人たちから何か茶色い板を貰い、その後は白い塊を受け取る。ルルはその様子をジーと見て、「ねえ?白い塊は塩よね・・じゃあ、あの茶色い板って何?」と僕に尋ねた。僕も配っているものを見たが、皆目見当が付かず、「さあ?、なんだろうね?」と答える事しか出来ない。ようやく僕らの順番が回り、蛇口から水をコップに注ぎ、例の茶色い板を受け取り、塩を貰い、辺りを見回と、皆は砂漠亀の円陣の中心で座り食事を始めていた。僕らもそこに加わって、白い砂の上に腰を下ろす。受けっとった茶色い板を改めて見ると、何か甘い匂いがして、触れている指の体温で溶けていた。「うわっ」と思わず僕が声を上げ、「えっ!?、どうしたの?」と隣で座っていたルルが僕を心配そうに声を掛ける。「ゆ、指に溶けてくっ付いている」と僕が間抜な声で応え、「うそっ!?」とルルも自身の手を確かめた。すると、「きゃっ?」と声を上げて驚く。その瞬間、「わっははw、何だ?、お前ら、遠征は初めてか?」とすぐ近くで食事をしていた、クリーム色の全身フード姿の中年のおじさんが僕らの滑稽な有様に高笑いをして尋ねて来た。「は、はい、今回が初めてです・・、あ、あの!、これって何ですか?」と僕は突然話しかけてきた、オジサンにたどたどしく答え、謎の食べ物の正体を確かめる。「うん?、チョコレートの事か?、美味いぜ!、旧時代の食べ物で、最近レシピが見つかってよw、復活させたんだ!、保存性がよくて、遠征には重宝する代物だ、がぶっと行け!」オジサンは答え、手にしていたチョコレートと言われるものをかじる。僕たちはお互いを見つめ、チョコレートを言われた通りかじると、程よい歯ごたえで、今まで食べた事が無い甘さが感じ、顔がほころぶ。「う、美味い!!」と僕は絶賛し、「何これw、超美味い!」とルルは笑顔。オジサンは僕たちが舌鼓をしている様子に満足げに口を開き、「フフフw、美味いだろ?、いやー、遺跡で見つけたレシピの解析は苦労したんだぜ?、カカオって何よ?って始まって、砂糖?なにそれ?と足掛け5年でようやく出来た代物よ!」とオジサンは胸を張る。オジサンの発言に僕はすかさず「おじさんが、作ったんですか?」と驚きながら言う。「その通りよ!、俺たちキャラバンは世界中を周り、旧時代の遺跡に入り、見つけた遺物を調べ、この終末の世に知識と技術を復活させるのが目的だからな」とオジサンは得意顔。僕はすかさず、「えっ!?、オジサン・・キャラバンの人?」と尋ねる。「何だよw、フードで分からなかったか?、そうよ!、キャラバンの副代表のカイって者よ!」とおじさんは名乗り、フードを脱ぐと、旧時代の服、軍服を身に纏っていた。

 

 オジサンはカイと言う名の、キャラバン隊のナンバー2だった。僕は思いがけない邂逅に驚き、さまざな事を聞こうと考えを巡らせていると、「あ、あの!!、私、ルルっ言います、実は、前々からキャラバン隊の隊員に憧れてまして、今回の遠征だって、あわよくばスカウトして貰えるかなーって思い参加しました!」とルルが突如、割り込む。カイは苦笑いをして、「お嬢ちゃんw、キャラバン隊っていう集団はだな、危険と隣り合わせで、女子供は無理だw」とルルの期待とは裏腹に拒否をした。しかし、ここで引き下がるルルではない、「ちょっと待って下さいよ!、あの女の人だって、キャラバン隊の人ですよね?」と食い下がり、キャラバン隊の女性は、自分が話題に出て事に気が付き、こちらに視線を送ったその顔は、白い肌に金髪碧眼の美人だった。カイはため息をつき、「お嬢ちゃん、あの女は特別だ・・」とキャラバン隊の女性を一瞥。そして、「お嬢ちゃんが想像も付かない修羅場を潜り抜けた猛者で代表の片腕だ、悪い事は言わない、憧れるだけにしとけ」とやんわりとルルに辞退させようとする。ルルはぷくーとほほを膨らませ、露骨に不機嫌になり、「だって・・」とぼそりと呟くように返す。突如、起きた不協和音、僕はそれを解消しようと、「やっぱり無理だよw、一般人は周辺の採掘で満足しよ?」とわざとらしく明るく話しかけてルルを慰める。すると、「パシン」と軽い乾いた音がして、僕の頬に痛みが走り、食事中のキャラバン隊と28番地のコミュニティの面々が音が鳴った方を注目。「お嬢ちゃん、やり過ぎだぜ!」とカイは僕を心配そうに見て、ルルは無視しを決め込み、自身の砂漠亀の方へ行く。気まずい雰囲気の中、僕は半ば放心状態になりながらも、食事をし、時よりルルの方を見ると、砂漠亀に寄りかかりながら食事をしていた。

 

 それから、数時間、変わらない風景を進み、前にいるルルは一言も僕に話しかけなかった。ルルはあそこまで怒るとは・・・、キャラバン隊に加って外の世界に行きたいという彼女の好奇心の強さとそれを支える強い決心をすっかり忘れていた。ルルとの会話の取っ掛かりを掴めぬまま、僕ら一行はひたすら進み、更に一時間位、経つと、まっ平らな白い砂漠に奇妙な凸凹(でこぼこ)が出始める。先頭から例の金髪碧眼のキャラバン隊の女性が逆走しながら、「砂漠亀を止めて下さい!」と皆に指示。僕は指示通りに操作棒の先端を甲羅に付けて停止させた。数分間、なにやら先頭の方で砂漠亀から降りてキャラバン隊の隊員たちが話し合っていて、そうこうしていると、キャラバン隊の隊員のうち一人が砂漠亀を乗り先に行き、少し経つと戻って来て、代表に何かを話していて、恐らくだが報告をしている様だ。キサラギ代表は、列を見渡し、大きな声で、「皆さん、砂漠亀を降りて集合してください!」と言う。僕たちは素直に降りて先頭まで歩き、キャラバン隊の代表であるキサラギの前で歩みを止めた。キサラギ代表は、僕たちを一瞥して、「報告があります、まずあれを見て下さい」と進行方向上にある白い砂漠に出来ている無数の凸凹を指す。僕たちは無言でそれらを眺めると、「あれらは、終末スズメと言う鳥が砂浴びをした後です、終末スズメは決まった場所で砂浴びをして体の寄生虫やゴミを取り除いていて、本来なら少し北側に砂浴び場があったのですが・・何らかの事情で移動し、予定ルート上に砂浴び場が出来てしまったようです」とキサラギは説明。説明を聞いた28番街の面々の一人が手をあげて、「質問、終末スズメの砂浴びがあると何か困る事があるんですか?」とキサラギに尋ねる。キサラギ代表は口を開き、「終末スズメの砂浴びははるか上空から下降して、白い砂漠に飛び込みます、ですから、その威力たるや、凄まじいものがあり、ぶつけられたらひとたまりもありません」と答えた。その答えに他の28番街の面々の一人がすかさず、「じゃあ、ルートを変更して避ければいいじゃない」と提案。キサラギ代表は首を横に振り、「このルートが一番安全で、ここからそれると、凶暴な野生生物の縄張りがあり危険です、現状では予定通りのルートを通った方が無難です」と却下し、「安心してください!、我々キャラバン隊は安全に旅をするための知識を重ねてきました、終末スズメの砂浴びの対処の仕方を熟知していますので、これから説明をいたします」と言った。「流石キャラバン隊だ!」とか、「何だよw、対処の方法を知っているのかよw」と28番街の面々は口々に思い思いの事を言う。そして、「対処法は簡単です、終末スズメは砂浴びのための急下降をする前に、下をよく観察します、障害物があればそれを避けます、ですから、砂漠亀に特定の隊列を組ませて、彼らに見つけやすくし、避けて貰うのです」とキサラギ代表は言い、更に、「隊列を組むのも簡単です、砂漠亀に操作棒で終末スズメと念じて伝えて下さい、さすれば、自動的に隊列を組み移動を開始します、終末スズメ自体は大人しくて人を襲わないので安心をしてください」と説明が終わった。僕たちは即座に自分の砂漠亀に戻ると、早速、操作棒を手にして先端を甲羅に付けて念じる。すると、砂漠亀たちは、移動を開始して、物資や食料を積んでいる砂漠亀を真ん中にして正方形の隊列を作り、僕とルルは一番端に配置。隊列が完成すると、一斉に砂漠亀たちは凸凹な白い砂漠を突き進む。暫くは何事も無く進んでいたが、先頭から、「終末スズメが来るぞ!、なるべく屈んで椅子に捕まれ!」と叫ぶ声がした。僕はほんの少しだが見上げると、青い空に無数の黒い点を目撃。これはまずいと思い、すかさず指示通りに屈み椅子に掴まる。その瞬間、轟音と共に僕の頭上から白い砂が降ってくきた。終末スズメの砂浴びによって巻き上げらえた砂漠の砂が僕らに降り注いでいるのだ。砂漠亀のその修羅場中にもかかわらず一定の速さで進み、頼もしく感じた。轟音の頻度は激しくなり、しまいには間を置かず鳴り続け、降り注ぐ砂の量も増して、しっかりと固定されている椅子に掴まってないと振り落とされそうになる。白い砂が視界を覆い、少しの間収まり、前を見ると、ルルがいるはずの場所に姿がない。「えっ!?、ルル?、どこ?」と僕は辺りをくまなく見る。ルルが乗っていた砂漠亀の下の方にも引っかかていない。仮に落ちたとしたら・・他の砂漠亀に踏みつぶされている可能性が高い。嫌な光景が浮かんだ僕だが、振り払い、「しっかりしろ僕!、まだ確定した訳じゃない!、諦めるな!」と自信を奮い立たせた。僕は砂漠亀甲羅の端のギリギリまで移動して後方を確認。白い砂煙が舞う中、僅かだがルルの赤い髪の毛が見えた気がした。僕は操作棒を手にすると、「おい!、何をするつもりだ?、あの子の事は諦めろ」と隣にいた見知った28番街の男が僕に忠告。しかし、考える様に体が動き、僕は隊列から抜け出し、後方へ疾走。初めての砂漠亀の全力疾走は想像よりも早く感じ、すれすれに落ちて来る終末スズメの巻き上げる砂を進む。数メートル進むと、前方に赤髪の少女が立ち上がり、砂漠亀のヘルメットを被り直し、キョロキョロと見回している。僕はルルに向かい、「ルル!手を伸ばせ!!」と砂漠亀の椅子から降りて甲羅の端で手を伸ばす。ルルもこちらを見て手を伸ばし、僕は彼女のいる付近で砂漠亀のスピードを落とさせた。僕はルルの手を握ると一気に引き上げ座席に移動すると、今度は急加速で、ルートの進行方向ではなく真横に進ませた。今らから隊列追いつくのは不可能、更に終末スズメの砂浴び場所は察するに縦長に伸びている・・ならば、ルートから真横にそれて、砂浴び場所から遠ざかるしかない。ルートから真横に疾走を数十メートル、予想通りに終末スズメの急下降が減ってきて、このまま進めば危機を脱せると思った時、僕らの乗った砂漠亀のちょうど真下を、斜めから入り込みように終末スズメが急下降してきて、その衝撃で砂漠亀は宙に舞う。スローモーションに時は流れ、青い空に巨大な砂漠亀が舞い、僕らも投げ出されて宙を舞い遠くの地平線が見えて、綺麗だなと何故か思い、その直後に強い衝撃が体中に走り、意識が遠ざかった。

 

 耳鳴りと、「ブフォー」という奇妙な声がして、僕は目を覚ます。よろよろと立ち上がり、辺りを見回すと一面の凸凹が広がり、終末スズメの姿も無く、僕の乗っていた砂漠亀がひっくり返っていて、必死に起き上がろうしていた。「ルル!」と僕は大事な事を思い出し、必死に探と、ひっくり返っていた砂漠亀の数メートル先に倒れていて、気を失っていたルルを発見。僕はすかさず白い砂を蹴って駆け寄り、「ルル!、おい!、目を覚ませ!」と体を抱きかかえ揺する。ルルは、「うっ・・シキ?」と薄目を開けて意識が戻った。僕はホッと胸を撫で下ろし、「良かった・・痛みとかある?」とルルの状態を確認。ルルは自力で立ち上がり、「体中は痛いけど・・特に異常はないみたい」と言う。お互いの安否が終わると、自分たちの状態が思わしくない事に気が付き、「ルルどうする?、水もない食料も無い、長く持たないよ・・」と僕は途方に暮れ、「あっ・・うん・・そうだね」とルルは返すだけだった。それから、砂漠亀を二人で押してひっくり返すそうをしたがびくともせず、護身用に操作棒を手に取り、取り敢えず辺りを探索する事にした。辺りを少し歩いて遠くを見ても何も無く白い砂が広がるだけで、僕たちを絶望に誘う。流石に打つ手も無く、もダメだと頭の中に諦めの言葉が浮いた時、小さい1羽の鳥が横切る。恐らくそれは終末スズメだ。「ルル!、あの鳥を追うよ!」と僕は走り出す。ルルは戸惑いながらも、「えっ!?、ちょっと待って!」と少し遅れて走り出した。僕らは懸命に終末スズメを追い、体力の限界が近づいても足を止めず、よろよろとしながらも飛び去った方向へ進むと、薄っすらと緑の何かが遠くに見えた。僕らはお互いを見て、好転する兆しを感じ笑顔になり、その緑の何かへ向かう。ようやくたどり着くと、それはサボテンで、終末の世に出来た白い砂漠で時より見れる植物の群生地だ。僕たちは28番コミュニティにて、遭難した時の簡易ながらもサバイバル術を学んでいて、このサボテンには水と食料の両方が手に入る事を知っていた。旧時代が崩壊して、僅かに残った人類はこのサボテンで飢えと喉の渇きを癒したという。僕たちは教わった通りに、サボテンに成っている実を取り、それを口にする。味はあまりしないが、中はみずみずしく、今の状態では物凄く美味しく感じがした。サボテンの実を数個食べて、喉の渇きを癒すと、余裕が出来、改めて辺りを見回すと、ゆさゆさとサボテンが揺れていて何かがいる様だ。危険な野生生物の可能性があるので、慎重に近づき、そーと除くと、それは野生の砂漠亀だった。どうやらここのサボテンの群生地は、は砂漠亀のコロニーの住処の様だ。「シキ!、この砂漠亀に乗って移動できないかな?」とルルは僕に提案。僕もその提案に乗り、「そうだね、もしかしたら、この操作棒で意思が伝わるかも・・」と一番大きい砂漠亀の甲羅に先端を付けた。すると、つぶらな瞳でこちらを一瞥したが特に反応は無い。「やっぱり駄目だよ・・調教をして、教え込まないと、意味を理解しないみたい」と僕が諦めの言葉を吐いた。しかし、ルルは、「でもさ、伝わっているんだよね?、じゃあ、仲間の危機を報せるっていうのはどう?」とルルは思いついた閃きを僕に言い諦めない様子。「じゃあ、やってみようか?」と僕はダメ元で操作棒の先端を再び甲羅に付けひっくり返っている砂漠亀のイメージを念じた。最初は無反応だった砂漠亀も、くるっとこちらを見て、いそいそと何処かへ向かう。僕らは後を追うと、その方向はひっくり返っている砂漠亀がいる方向だった。数分で辿り着き、砂漠亀は同胞の危機を目の当たりにして、駆け寄り、倒れた砂漠亀に体をくっ付けると、体重をかけてひっくり返す。ドシンと音共に僕の砂漠亀は起き上がり、助けてくれた野生の砂漠亀の頭に礼を言う様に自身の頭をこすり付ける仕草をした。「やったねw、これで足は確保だね!」とルルは笑顔で言い、「うん!、これでかなり状況はかなり好転したね!」と僕も喜んだ。僕たち、は、砂漠亀に乗り、先程のサボテンの群生に行き、砂漠亀に水分と栄養の補給をさせ、出来るだけ持てる量のサボテンの実を持って、キャラバン隊を追う。キャラバン隊の通った道は、隊列組んでいたので跡がくっきり残っていて、辿るのは容易だった。

 

 僕らはキャラバン隊の足跡を順調に辿り、数時間。白い砂漠が少し変化して、朽ち果てた、旧時代の建物が続く。その姿はまるで生物が死んで骨だけになる様に、建物の骨組みだけを残し、後は何もなかった。僕らの住んでいる、28番街の周辺にも、旧時代の建物は存在してるが、ある程度は原型を留めていて、ここまで朽ちてない。異様な光景を見つつ、僕らは砂漠亀に乗り進む。最初こそ異様と感じたこの光景も慣れて来て、余裕が出来るとルルは振り向き、「あの・・今更だけど・・ありがとう」と僕に礼を言う。僕は少し照れ臭く感じながらも、「べ、別に良いよ、助け合うのは当たり前だし」と返す。ルルはじっと僕の瞳を見て、その圧に堪え切れず僕が目を逸らし、僕は明日の方向を見て誤魔化した。ルルはクスッと笑い、「助け合いって言っても、限度があるでしょう?、もしかしたら、共倒れだよ?」とルルが珍しく至極当然なことを言う。僕は少し考え込み、「あ、うん、そうだね、確かにそうだけど、体が考えるより先に動いたんだ・・、それに、見捨てたら一生後悔をしそうで怖かったんだ」と今回の己の行動を分析。「へーw、後悔するんだw、まあ、私がいないとあんたは一人ぼっちだからねw」とルルは茶化し、本来の彼女の調子に戻った様だ。「全く!、何だよ!、急にさ!、命の恩人に対してその態度は無いんじゃないw」と僕は彼女が元に戻り嬉しく笑う。その後、同じ風景が続き、相変わらず骨組みだけの旧時代の建物が続き、危険な野生生物との遭遇も無く、すっかり楽観ムードな僕らの耳に聞き慣れない泣き声がする。「ぢぢぢ」とその鳴き声は定期的に鳴き、その方向を見ると、掌(てのひら)サイズの小鳥が旧時代の鉄骨に乗り、こちらを凝視していた。終末スズメだ。砂漠で見かけて追いかけた終末スズメには特に脅威は感じなかったが、目の前にいる個体からは、敵意の様なものを感じ嫌な予感。僕らは少し砂漠亀を早く走らせ、この場所を抜けようと試みた時、「ぢぢぢぢぢ」と今度は数羽の鳴き声がした。よく見ると、僕らの周りは、終末スズメだらけで、「何よこれ・・」とルルは怯えて、辺りをキョロキョロと見る。僕もこの異常な状況に心臓の鼓動が早まり、砂漠亀に走る事を伝えようと再度、操作棒で伝えようとすると、ガシッと誰かが僕の手を握った。僕は慌てて、「誰だ・・・」と叫ぼうと口を開いたが手で塞がれ、「静かに・・、前を真っ直ぐ向いて、終末スズメを見ない様に」とボソボソと何者かが言う。僕らは無言で頷くと、何者かの手は僕の口から離れ、握っていた手も離した。ゆっくりと慎重に振り向き、僕の目に写った者は、キャラバン隊の女性隊員だった。彼女は、「前を向いて・・終末スズメは基本は大人しいけど、消化を補助するために鉄を経口摂取するんですが・・その時は気性が何故か荒くなり、見つめたり急な行動をすると、襲って来る可能性があります」と僕を前に向かせ終末スズメの性質を説明。僕は促されるまま前を向きながら、「鉄を食べるんですか?」とキャラバン隊の女性隊員にボソボソと小さい声で尋ねた。「ええ、終末スズメは歯がありません、ですから、鉄嚢(てつのう)と言われる体の機関に、経口摂取した鉄で食べ物を砕いて消化するんです・・」とキャラバン隊の女性隊員は答える。ルルは「え!?、じゃあ、これから鉄を食べる所ですか?」とやはりボソボソと言う。キャラバン隊の女性隊員はルルを一瞥して、「そうです、恐らくそろそろ・・」と言いかけた時、「ギャン」と金属を叩く不愉快な音がこだまし始めた。僕らは堪らず耳を塞ぎ、ひたすら進行方向を見続ける。僕は時より、チラリと横を見ると、終末スズメが懸命に鉄骨をくちばしで突いており、火花を散らしていたが、終末スズメは僕の視線を感じたのか、鉄骨を突くのを止めて、「ぢぢぢぢ」と再び警戒する鳴き声を鳴らす。僕は慌てて前を見て、彼らに刺激を与えない様に努めたら、再び金属音が鳴り響き、火花が散るその道を何事も起こらない事を願いながら進んだ。

 

 ようやく、音がしなくなり、辺りは白い砂漠になった頃、「ふーー、焦りましたよ」とキャラバン隊の女性隊員が呟くように安堵の表情で言う。すかさずルルは、「すいません・・」と謝罪。キャラバン隊の女性隊員はフフと微笑み、「あなたは、悪くありません、不慮の事故ですから、ですが・・あなたは別です」と僕を見た。「え・・僕ですか?」と僕は戸惑う。「あなたは、指示に従わず助けに言った、助かったから良いもの、本来なら共倒れで犠牲者を増やすだけでしたよ?」とキャラバン隊の女性隊員はキツイ事実を僕に突き付けた。「すいません・・」と僕はルルと同じようにしゅんとした態度で謝罪をし、「もういいです、過ぎた事ですから、次は気を付けて下さい」とキャラバン隊の女性隊員は僕の謝罪を受け入れたのだった。ルルは辺りを急にキョロキョロと見回し、「あの・・砂漠亀はどこですか?」とキャラバン隊の女性隊員に尋ねた。確かに・・、ここまで何で来たんだろう?。キャラバン隊の女性隊員は、「徒歩です、終末スズメを刺激したくなかったので・・」と答え、「なるほど!、そうですよねって・・じゃあ、私たちの砂漠亀に飛び乗ったって事ですか?」とルルは再び尋ねる。「終末スズメは、刺激せず、目を合わせなけれは、同じ鉄骨の上にいても大丈夫なんです、上の方であなた達を見つけたので飛び降りました」とキャラバン隊の女性隊員は急に現われた事のタネを明かした。更に数分進むと、夕陽をバックに、キャラバンの砂漠亀の隊列が見えてきて、隣にいたキャラバン隊の女性隊員が頭のフードを脱ぐ。夕日の光に照らされた神々しい金髪の髪が風でなびかせた。僕はその光景を見入り、キャラバン隊の女性隊員はそれに気が付くと微笑み、「自己紹介が遅れました、私は、カンナと言います」と自己紹介。僕は、「はっ!?、えっと、シキです」と戸惑いながら名乗る。すると、背中から殺気と共に衝撃が入り、僕は砂漠亀から落ちて、顔から白い砂漠に突っ込み、すかさず見上げると、目の前には、「バッカじゃないの!、あっ、私はルルです」とルルは何故か僕を睨み、そしてキャラバン隊の女性隊員のカンナに、ニコリと挑戦的な笑みを浮かべ、名乗った。

 

ーつづくー

 

332曲目の紹介

 

 今回ご紹介する曲は、r-906さんが作詞作曲、動画、イラスト、全てを手掛けた、ボイドロイドです。

 

 本曲は、言葉という古来から人がコミュニケーションとして使うツールを題材に、一つの言葉から十人十色の解釈が生み出され、伝えたい事が伝わらず、その齟齬(そご)が生まれる事に対して、湧き上がる心の内を、羽累(はる)さん初音ミクさん音町ウナさんが歌います。

 

 本曲の題名、ボイドロイドは、恐らくですが造語と思われます。

 ボイドは、複数の意味がありまして、建築用語としては故意に作られた何もない空間の事で、文学的な意味としては、喪失感、隙間、空っぽ、役に立たないといった表現として使われます。

 ロイドは、アンドロイドのロイドと同じ意味と思われ、その意味はギリシャ語由来になりまして、~ようなもの、という意味です。

 総合して推測すると、役に立たないようなもの、という意味と自分は考察しました。意味合いとしては、言葉は伝わる様で伝わらない、ある程度は役に立つ、しかし、真に理解し合う事は出来ない、そんな人が背負っている業の事だと思いました。

 


www.youtube.com

 

 

 2分9秒という比較的短い本曲は、素晴らしい歌詞とオシャレな曲で濃密な高揚感を感じさせられ、とても良かったです。次回作も期待したいですね!

 

 本曲、ボイドロイドは、言葉という普段何気に使うものを題材に、自身が伝えた事と、相手が受け取った事の差異から感じる感情を歌詞にしていて、あっ・・・と何かを感じ、考えされらる哲学的な曲は、ハマれば2分9秒はという刹那の時間が濃密な幸せな時間に変わります。是非!、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

羽累

初音ミク

音町ウナ

weblio様より

ボイド

大塚商会様より

ヒューマノイド