煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

別れの予感を歌うVOCALOID

 

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 アルゼンチンの大統領選に、右派のハビエル・ミレイ氏が当選をしましたね。アルゼンチンという国は正義党を始めとした左派政党が強く、軍事政権時代を除くと歴代大統領は殆どが左派の大統領でした。今回当選したハビエル・ミレイ氏は右派ですので、アルゼンチンの歴史的転換点になる可能性が高いです。

 そんな彼が掲げている公約は、中央銀行の廃止、臓器売買の合法化、公立学校の廃止、麻薬の合法化など、どれも超過激で、いわゆる夜警国家(国は必要最低限の役割をして、後は市場に任す政策をした国)にするという提案。それらの政策は徐々に移行しないで急速に推し進める方針で、どうなるか予想がつかない状態です。更に周辺諸国の指導者たちの反応を見ると、ミレイ氏の当選に表面上は祝福をしていますが概ね否定的で、その観点からアルゼンチンとその他の諸国との関係がぎくしゃくする可能性が高そうですね。

 このまま順当に行けばアルゼンチンは、自国の通貨発行権を捨てて、米ドルを法廷通貨にした事によって経済のドル化に進みます。今現在のアルゼンチンの経済状況は、非公式のドル化、つまり自国通貨はありますが、実体経済はドルで取引している状態で、あながち見当はずれの政策ではないと感じますが、ドル化はアメリカの経済政策に依存する事になり、自国で経済的な防衛が出来ないので大丈夫かな?と心配をしてしまいますね。

 最後に、ここまでこの文書を書くに当たって、学者先生の論文を読んで聞きかじった浅知恵で作成しましたが、自分が最終的に思った感想は、アルゼンチンやばくね?です。いかに経済的に破綻している国家といえど、富める者はいて、その富める者たちだけが生き残れる国家、つまり、富める者たちの、富める者たちによる、富める者たちのための国家の建国と印象を受けました。今後の日本を取り巻く世界経済の状況は不透明で、アルゼンチンと同じ状況になる可能性は大いに有ります。かの国の事は他人事ではなく行く末を注視して、学ぶ必要性があると感じました。

参考文献

https://www.iima.or.jp/docs/newsletter/2023/nl2023.36.pdf

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2020/03/global_2003_1.pdf

 

 

今回のお品書きです

 

 

煮干しがお送りするちょっとした物語

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

 曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 

 カフカの毛布に包まれて、程よい暖かさに心地良さを感じながら睡眠中の私の耳元でいきなり、「カン、カン」と金属音が鳴り響く。その不愉快な音に薄眼を開けると目の前にツインテールに三毛柄の耳と尻尾を携えたメイドがフライパンとおたまを持っている。私は寝ぼけながら、「ミけ・・・お姉さん?」と呟くように言う。私が目覚めた事が分かると、「水無月!、おはようさんにゃあ!、朝食の準備が出来たにゃあ、1階のリビング迄くるにゃあ」とメイド姿で三毛柄の猫耳お姉さんは言った。この人はミケ、見ての通り人ではない。ミケは部屋から出て行き、私はフラフラとベッドから出て、隣のベッドで寝ている妹の葉月に体を揺する。すると葉月は薄目を開けて、「はい・・です・・」と応えて、よたよたと起き上がる。布団から出た葉月と共に私は部屋を出て螺旋状の階段を降りる。階段の途中には大きな鏡が設置されていて、黒髪で黒い狐の尻尾と耳を携えたパジャマ姿の瓜二つの幼い二人の女の子が写る。私の名前は水無月、先ほどのメイド姿のミケ同様に、私たちも人ではない。私たちは通称、化け者といわれている者たちで、人の言葉を理解し、人の姿に化けられるのだ。因みに私たちは化け狐に属していて、ミケは化け猫に属している。私たちは一階のリビングに到達すると、エル字型のソファに倒れ込む様に寝転び、二度寝を開始。意識が半分寝ていて、ぼんやりした意識の中、エル字型ソファの前にある巨大な液晶テレビからニュース番組の音がし、窓の外からは雀の鳴き声がする。私たちはとある事情により、預けられている。その事情とは、私たちの家は由緒ある稲荷神社で、お母様はその神社の神主をしているのだが、本家である古都にある神社に用事を済ますため、家を三日開ける事になり、私たちは伯母の部下であるミケに預けられた。そう、ここはミケの家なのだ。二度寝に入り、数分・・、パンの香ばしい匂いと共にトウモロコシの香しい匂いが私の鼻孔をくすぐる。私は無意識に涎が口から出てしまい、起き上がってテーブルの上にあるテッシュで拭うと、「ガラガラ」と音を立てながらミケがワゴンを押してリビングに入って来た。ミケはワゴンからコップを出しテーブルに置くと、牛乳が入った透明の大きい瓶を出し、コップに注ぎ私たちの前にそれぞれ置く。私は早速、差し出された牛乳を飲み、その冷たさで意識がはっきりして、「美味しいです」と感想を言う。私の感想を聞いたミケは嬉しそうな顔をして、「それは良かったにゃあw」とお皿に乗ったバターの香りがするこんがり焼いたパンを差し出す。私は差し出された、濃厚なバターの匂いがするパンを皿から手に持ちかじろうとした時、目の端にまだ寝ている葉月が写る。私はパンを食べるのといったん中止して、葉月の体を揺すり、「葉月!、起きるです!」と声を掛ける。葉月は寝ぼけながら、「ふぁい・・です」と言い起き上がり、牛乳を一口。葉月は牛乳の冷たさでぶるっと体が震えると、目がぱっちり開き、ミケから差し出されたパンを早速かじる。「美味しい・・」と葉月は呟き、その様子を見たミケは、「ようやく起きたにゃあw、おはようさんにゃあ、葉月!」と挨拶。葉月は「おはようです」とすかさず返した。挨拶を終えたミケはワゴンから、木の器を出して私達それぞれに差し出し、私たちは覗き込み同時に、「何です?」と尋ねる。ミケは得意げな顔で、「フフw、コーンスープにゃあ、出来合いのレトルトでなく、ちゃんとトウモロコシを煮詰めた自家製だから極旨にゃあw」と答えた。ミケの説明に私たちはゴクリとつばを飲み込み、木の器を手にして早速飲む。濃厚なトウモロコシの甘い味がして体が芯から温まる感じがする。ミケはコーンスープを味わう私たちの様子を見て、「フフ」と笑い、更に、ワゴンから皿を取り出し、私たちの前に置く。皿には目玉焼きとツナサラダが乗っていて、フォークとナイフを最後にミケは添える。私たちの家はお母様の方針で、和食しか出ない。当然、箸で食事をする訳で、この手の洋食で使うフォークとナイフは全く経験がない。私たち姉妹は、フォークとナイフを見つめて固まっていると、「何にゃあw、フォークとナイフの使い方を知らないのかにゃあw」とミケは自分の分をワゴンから取り出しエル字型のソファの端に座り、「お嬢さんたち、見本を見せるにゃあ」言う。ミケは自分で用意したフォークとナイフを握り、「お嬢さんたち、ナイフは利き手に、フォークは利き手とは逆の手で握るにゃあ」と私たちに見せる。私たちは見本通りに利き手にナイフ、フォークを逆の手で握った。ミケはニコリと笑い、「ベリーグッドにゃあ、じゃあ、次は目玉焼きを食べるから見るにゃあ」と言う。ミケは、ナイフを目玉焼きの黄色い黄身の真ん中に入れると、黄身から半熟の卵黄がドロっと流れる。次にミケはナイフを端の白身をナイフで切り取り、それをフォークで刺し、ナイフで黄身をすくい白身に塗り、そして口に入れ食す。「うーん、美味にゃあw」とミケは言い、続けて、「次はお嬢さんたちの番にゃあ」と実践を促した。「はいです!」と私たちは同時に返し、たどたどしくミケの真似をして最後に「うーん、美味しいです」と言う。ミケは吹き出し、「ゴホッ、セリフまで真似しなくて良いにゃあw、まあ、あたいもマナーはさわり程度しか知らないからここまでにゃあ、ナイフとフォークの持ち方だけ知っていれば後はどうとでもなるから問題ないにゃあw、最期にコーンスープにはこういう食べ方もあるにゃあ」とパンをコーンスープに浸けてそれを口に入れ、「やっぱりこれにゃあw」と呟く。私たちはその光景を見て、即座に真似をして、口にすると、バターとコーンスープの味が合わさりとても美味で自然と顔がほころぶ。「美味すぎるですw」と葉月は愉悦し、私も後に続き、「美味しいです・・」と幸せな気分になる。朝のニュース番組を見つつ、私たちが朝食に舌鼓をしていると、「ピンポーン」とインターホンが鳴る。ミケは即座に立ち上がり、「志村かにゃあ?」と部屋の壁に掛けてある機械のボタンを押す。すると、「おはよう、俺だよ、志村!」と声がして、ミケは、「おはようさんにゃあ!、朝食は食べたかなにゃあ?」と言う。「あっ、途中の喫茶店で食べた」と壁に掛けてある機械から回答が聞こえ、「そうかにゃあ、じゃあ入るにゃあ!」とミケは家に入る事を促し、先ほどまで座っていた場所に戻り食事を開始する。ドアが開く音が部屋の外から聞こえて、ワンテンポ遅れて今度はリビングのドアが開き、「二人共おはよう!、どう?、昨日は眠れた?」と髪はボサボサで無精ひげ、ボロボロのシャツにポケットが付いたカーキ色のズボン姿をしてビニール袋を持ったオジサンが入って来た。このおじさんは志村、伯母の部下で正真正銘の人間だ。私たちはそろって、「よく眠れたです、おじさん」と返す。志村は片眉をピクピクと動かし、「おっ、おじ?、あれ、水無月ちゃんは、俺の事お兄さんと呼んでなかった?」と言う。私は、「気まぐれです」とすかさず答え、「はは・・そうなんだ」と志村は寂しそうな顔をし、袋から缶コーヒーを出し飲む。ごめんなさい、もうあなたは利用価値がないの。昨日の夜、全てが変わった。私とミケは敵対関係だった・・いや、私が勝手に思い込んでいた・・。ミケのたくらみを暴こうとしたら、真実が分かり、自分の至らなさが身に染みる結果に終わった。葉月は志村と私のやり取りを見て不思議そうな顔をしたが、気にする事を止めて食事に戻り笑顔になり、その奥では、ミケが私たちの後から食べ始めたにも拘らず、もう完食をし、「うしっ、クッキーの梱包を始めるにゃあ」と呟き、食器をワゴンに乗せ移動を開始。その言葉に昨日の約束を思い出した私は、朝食を急いで食べて、「あっ、私も手伝うです」と言いミケの後に続く。私の背中に二人分の視線が感じ、「お姉ちゃん?」と葉月の声がした。

 

 キッチンに入ると、家庭用とは思えない、広いキッチン台と私には理解できない様々な設備があり、昨日の夜も思ったがやはり凄い。手慣れた仕草でミケは自分の使った食器を洗っていて、「水無月!、持っている食器を寄こすにゃあ」と私に手を差し出す。私は手にしている食器を差し出された手に渡し、洗い始めたミケの背中を見つめて待機。ミケが食器をリズムに乗って洗うと、三毛柄の尻尾も連動して小気味よく動き面白い。ミケは数分で食器洗いが終わり、食器乾燥機に入れると振り向き、「じゃあ、手伝ってもらおうかにゃあw」と言い、昨夜に私が目撃したクッキーが入っている大きなトレイの上に敷かれた紙シートを退かす。トレイの中には大中小の様々なクッキーがギッシリ入っており、とても美味しそうだ。私がクッキーに気を取られていると、ミケは何処からかダンボールを持って来て、キッチン台の傍に置く。次に、それを開けて中から透明の円柱の筒を数個出し、「ちょっと待つにゃあ」とキッチンから出て行く。数秒で帰ってくると手には木製の台を持っていて、キッチン台の元に置くと「ここに乗るにゃあ」とミケは私の乗る様に促す。私は促されるままに、台に乗るとキッチン台で作業できる丁度いい高さになった。ミケはキッチン台の下にある収納棚から小さい箱を数個出し、それらからマスクと、ゴム手袋、綿毛のような帽子を二個づつだし、まずは私に装着して、最後は自身が身に着ける。そして、「うっし、じゃあ、あたいのやっている所をよーく見るにゃあ」とミケは言い作業を始めた。ミケは透明な円柱の筒の蓋を開けると、小さいスッコプの様なものを手に取り、それにクッキーを適当に入れる。ミケはクッキーが入ったスコップを今度は、円柱の筒に向けて入れようとする。小さいスコップの面は、円柱の筒と示し合わせたようにぴったりと形が同じですんなりと入り、ミケは慎重に傾けた。円柱の筒はクッキーで一杯になり、小さいスコップを引き抜くとミケは最後に「乾燥剤を入れて」と呟き、正方形の薄べったい物を入れてふたを閉め、「今の作業をやってもらうけど、出来るかにゃあ?」と私の方を向き尋ねた。「出来るです!」と私はすかさず答える。ミケは小さいスコップを私に手渡し、クッキーが入っているトレイを引き寄せて、「じゃあ、任せるにゃあw」と言った。私は先程見たミケの動きを思い出しながら慎重に動く。円柱の筒の蓋を開けて、小さいスッコプにクッキーを入れる作業に取り掛かろうとしたが、大人用のゴム手袋は子供である小さい私の手にはぶかぶかでクッキーを掴むのに苦戦。私は何とかスコップにクッキーを入れ終えると、「ふー」とため息をつく。円柱の筒にクッキーが満載のスコップを入れて、ゆっくりと傾けると、クッキーは円柱の筒に入って行く。円柱の筒から慎重にスコップを引き抜き、最後は乾燥剤を入れ蓋を閉めてようやく完成!。「出来たです!」と私が完成を声高に宣言する。ミケは私が完成させた円柱の筒を真剣な顔で観察し、「上等な出来にゃあw」と私を誉めた。それから、私とミケはクッキーを円柱の筒に入れる作業を続ける。私が6個目を完成させると、後ろから視線を感じ、振り向く。キッチンのドアが僅かに開いて、その隙間には葉月の目、そのすぐ上には志村の目があり、特に葉月は恨めしそうな眼つきで見ていてた。すっかり妹の事を忘れて、作業に没頭してしまった私は、ばつが悪く、隣で作業をしていたミケの腕をトントンと触り、「葉月も一緒にやるです」と進言。ミケは、キッチンの出入り口であるドアの隙間を見て、「フフ、仲間外れは良くないにゃあ」と言い、そして、「葉月!、こっちに来るにゃあ」と呼ぶ。葉月は目をキラキラさせながらドアを開けてキッチンに入りキョロキョロと見渡し終えると、「お姉ちゃんだけずるいです!」と抗議。「葉月ちゃん、悪かったにゃあw」とミケは謝罪をし、「じゃあ、葉月はクッキーを入れ終えたケースに、緩衝材を巻く作業をやって欲しいにゃあ」と段ボールから凹凸があるビニールシートを出し、円柱の筒にくるりと巻き付けると、セロハンテープで固定をして実演を葉月に見せる。葉月は元気よく、「やるです」と言い先ほど見たミケの真似をして緩衝材を巻き始めた。特に難しい作業でなかったので、葉月は卒なくこなす。私たち三人が作業を始めて数分、「あの・・、何か手伝う事ない?」と志村が恐る恐る尋ねて来た。「手伝う?・・・もうお嬢さんたちで手は足りているからにゃあ・・、お前はテレビでも見て時間を潰すにゃあ」とミケはぶっきら棒に言い、止まった作業を再開。「いやいや、よく考えろ、何かあるはずだ」と志村は複雑な顔もするも尚も食い下がる。「しょうがないにゃあw、ケースと緩衝材が無くなりそうにゃあ、地下に行って取ってきて欲しいにゃあ」とミケは言う。すると志村は首を傾げ、「地下?、この雑居ビルって地下なんかあったか?」とミケに尋ねた。

 

 ミケは作業を止めて「あるにゃあ!、エレベーターの下と記されているボタンを押せば地下倉庫兼、駐車場に行けるにゃあ」と答える。志村はハッとして、「あれって、地下に行くボタンだったのか・・、でも何で上と下なんだ?」と別の疑問が沸いた様だ。「あれは・・、あたいがまだ化け者になりたての時に作られたものにゃあ、文字をイマイチ理解してない事を気にした所長がわざわざ簡単な文字に変えてくれたにゃあ」とミケは伯母との思い出話を語り、「伯母さまは聡明でお優しいです!」と私が会話に入る。だが、志村は、「はは、そうだね」と適当に私をあしらう。私は少しイラっとしたが二人の会話が続き、「へーそうなんだw、あれっ?、じゃあ、俺と初めて会った時に何で上か下かを尋ねたんだ?」と志村は突然ミケとの邂逅の話をし始めた。「それはにゃあ、あの時はあたいの誕生日で、ここでホームパーティをする予定だったにゃあ、パーティの準備で複数の化け者が雑居ビルで右往左往していた時にお前が紛れ込んだから、うっかり間違えて下か上かを尋ねてしまったにゃあ・・」とミケは遠い目をした。「えっ・・誕生日?、そのパーティはどうしたんだ?」と志村は恐る尋ねる。ミケは半笑いでため息をつき、「中止になったに決まっているにゃあw、人間が紛れ込んで、あたいは目撃されたからそれどころじゃないにゃあ」と答えた。志村は申し訳なさそうにして、「そうか・・それは済まない、大した事は出来ないけど、その埋め合わせはいつかするよ、じゃあ、地下に行けばいいんだな?」と言い、ミケはそれに対して、「期待しないで待ってるにゃあw、地下に行けばエレベーターの近くに段ボールが積まれているからすぐ分かるにゃあ」と返した。志村は地下に行き、私たちだけになり、黙々と作業が続けられ、私のクッキーの梱包が上手くなり始めた時、葉月が踏み台に強引に乗って来て、ぬるっとまとわりつき、「飽きたです、こっちの作業がやりたいです」とわがままを言う。その様子を横目で見ていたミケは、「水無月、交代してやるにゃあ」と私に指示。私は台から降りて渋々交代をし、葉月がやっていた緩衝材を巻く仕事をする。そして、私は作業中に葉月がミケから手順を教わる会話を聞きながら黙々と作業をした。

 

 私と葉月が、作業の交代ローテーションを二巡目に突入すると、クッキーの円柱のケースが段ボールに残り一つになっていて、葉月は段ボールを覗き込みながら、「あと一つしかないです」と呟くと同時に、キッチンのドアが開き、「お待たせ、持ってきたよ」と志村が大きい段ボールを二段重ねで入って来た。ミケは早速、段ボールを受け取り、床に置き、「タイムリーにゃあw」と言い、段ボールを開け、更に、「完成したクッキー缶を地下に運んでくれにゃあ」と私たち三人で梱包した円柱のクッキーケースが入っている段ボールを指さす。志村はミケに指示された段ボールの元へ来て、中身の一つを手にし、「へー、クッキー缶と言うんだw」と興味深げに観察をした。ミケは作業をしながら、「そんなに欲しいなら、一つやるにゃあ」と言う。ミケのその発言に私たちも反応をして、「私たちも欲しいです」と懇願。ミケはニヤリと笑みを浮かべ、「お嬢さん方は、この作業が終わった後に、休憩がてら余ったクッキーを一緒に食べるにゃあ」と言った。私たちが欲しいのは円柱のケースに入ったクッキーであって、余ったクッキーではない。微妙にミスマッチなミケの提案に不満を抱き、私がその想いをミケに伝えようと口を開けると、葉月が一足早く、「違うです、私たちが欲しいのは、このケースに入ったクッキーです」と言う。ミケは目をパチクリさせた後、「にゃにゃ!、お嬢さんたちのニーズを読み間違えたにゃあw、了解にゃあ、お嬢さんたち用に二つ確保するにゃあ」と私たちの要望を理解する。私たちは、「ありがとうです」とミケに感謝を伝え、その様子を見ていた志村は、にこりと笑い、「よしっ、地下に持って行くか」と言い、段ボールを抱えながらキッチンを出て行く。その後、作業は捗り、全てのクッキーは円柱のケースに入れ終わり、休憩に入いると、私たち姉妹は隣のリビングのエル字型ソファに寛ぎながら、クッキーが入っている円柱のケースを傾けて出し、それを食べながら、テレビを見ていて、志村は、一人用のソファで寛ぎ同じくクッキーを食べていた。わざわざ、お皿を使わないで、この円柱のケースから出して食べる行為は一見無駄な様に見えるが、好奇心と拘りを満たたされた分、とても美味しく感じ幸せな気分だ。至福を感じながらテレビを視聴をしていると、ミケが私たち、それぞれにオレンジジュースを置き、「ご苦労さんにゃあw、休憩した後は、自販機に補充をしに行くから身支度をするにゃあ」と言う。私は自身の服を掴み、まだパジャマを着ている事に気付き、「ハイです」と返事をする。少し遅れて葉月も、「ハイです」と返す。私たちの元気な返事を確認するとミケは志村を見て、「志村そう言いう事にゃあ、自販機の補充をする時、同行して欲しいにゃあ」と打診。志村はクッキーを食べつつ、「あ、うん、良いよ、最後まで付き合うよ」と了承をした。これからの予定の確認を終えた私たちは、各自、思い思いの休憩を始め、私はおもむろに、オレンジジュースが入っているグラスを手にして、挿してあるストローでかき混ぜると、「カラン、カラン」と氷とグラスがぶつかる小気味いい音を鳴らす。それを見ていた葉月は真似て同じように音を鳴らすと、私を見てニッコリと笑う。私はそれに対して、「フフw」と笑い、ストローを口にしてオレンジジュースを一飲みし、クッキーを食べると、程よい酸味と甘さを口に感じ幸せだ。一時間ぐらい、休憩をした私たちは、ミケの仕事の手伝いをするために、身支度を開始。シャワーを浴びて、歯を磨き、髪を乾かし結い、あらかじめ用意していた一日目の私服に着替える。二階から私服に着替えて降りると、ミケと志村が玄関で待っていて。ミケは私たちの姿を見て、「色違いの、お揃いパーカールックかにゃあ」と感心をし、「はは、二人並ぶと本当に見分け付かないねw、でも色違いなら直ぐ区別がつきそう」と志村は私たちを交互に見た。志村の言動に私たちは見つめ合い、「じゃあ、どっちがどっちです?」と志村に問う。志村はニンマリと笑い、「もう教えて貰ったから分かるよw、えーと、黒い髪飾りの方が水無月ちゃん、赤い髪飾りが葉月ちゃんだよね!」と答えた。私たちはニヤリと笑い、「ブッブーw、ハズレです」と返す。すると志村は、「はあ!?、昨日、教えてくれたじゃない?、え、えーと、どっちが水無月ちゃん?」と完全に混乱状態。私たちは勝ち誇った顔をして、「フフw、嘘ですw、私たち化け狐は、ばかす事を吟じにしているのですw」と言う。志村は顔を引きつりながら、「はは・・、やな種族だね・・」と苦笑いをし、その刹那に「パン、パン」と手を鳴らすと音が玄関に響く。手が鳴った方を私たち三人が注目し、「もうその辺にするにゃあw、地下に行くにゃあ!」と珍しくミケが仲裁をして、移動を促す。私たちは、「はーい」と返事をして、「へーい」と志村はぶすっとした表情で返事を返した。

 

 玄関から出てると、小さい畑が私たちを出迎える。辺りの風景を見ると、他の雑居ビルの屋上にはこの様な建物や畑が無く、改めてここは、特殊な屋上だと感じる。そして、私たち姉妹は、そんな畑にある家庭菜園を見つつミケと志村の後に続いてエレベーターに続く小道を通りを歩いていると、ミケが肩から薄いバックの様なものを掛けていている事に気が付いた。葉月も気が付いたようで、「お姉ちゃん、これ何?」と小さい声で、ボソボソと私に尋ね指さす。当然、私にも分からず、「さあ?、分からないわ」と返し、「後で聞きましょう」と最後に言葉に加えた。エレベーターの前に着くと、ミケは呼びと記されたボタンを押す。数分後にエレベーターが付いたことを報せる音が鳴り、ミケが手動のドアを開けて「入るにゃあ」と言う。私たちは言われた通り、エレベーターに入ると、続いてミケと志村が入った。ミケはエレーベーター内部の下と記されてたボタンを押すと、ガクッと揺れた後、下降を始めて何だかスースーする感覚に襲われた私は不安から妹の葉月の手を握る。葉月も手を握り返してきて、同じ感覚を感じている様だ。数分でエレベーターの上部にあるパネルにある下と記された所が点灯すると、「チン」と音が鳴る。志村は手慣れた手つきでドアを開け、「さあ、どうぞ、レディファーストw」と謎の言葉を言い、手のひらで外を指し、ミケと私たち姉妹を先に出る事を促した。「レディ?何です?」と私は聴きなれない言葉が気になり志村に尋ねる。「えっ?、えーと、西洋の思想で女の子は優先するっていう事だよ」と志村は私の疑問に答えた。私は疑問が解けて満足し、「へー、西洋はそんな考えがあるのです」と感心しつつ外に出る。エレベーターを出ると、広くて薄暗い空間が広がり、奥には数台の車とシャッター、エレベーターの近くには鉄の棚が並んでいて、そこには段ボール箱が沢山並んでいた。志村は棚に近寄り、「補充する商品は何だ?」とミケに尋ねる。「ちょっと待つにゃあ」とミケは言い、例の肩に掛けていた薄いバックを手にし、蓋を開ける様にバックが展開。私たちはすかさず近寄り覗き込むと、そこには小さい液晶があり、よく分からない数字と文字が写っていた。「た、た、た、タブレットだ!!」と葉月は興奮しながら叫び、志村とミケは耳を押えて、驚いた顔をする。そして、ミケは苦笑をしながら、「葉月、タブレットに興味があるのかにゃあ?」と言う。すると、葉月は無言でこくこくと素早く頷く。テレビっ子の葉月は、CMやドラマの影響をもろに受け、スマホタブレットなどの電子機器に興味を抱いていて、誕生日が来る度にお母様にねだるのだが、却下され続けている。理由はあなた達には、まだ早いという事だ。私はあまり興味がなく、どうでもいいが、葉月にとってそれは、耐え難い事で、伯母様に内緒でねだっていたりする。「触って良い・・?」と葉月はいつになく神妙な面立ちでミケに上目遣いで言う。ミケは一瞬考えて、「どうぞにゃあ」とタブレットを差し出し許可。「ありがとうです」と葉月は興奮しながらタブレットを手にして画面を触れると反応をして、色々なものが表示されたが、私にはよく理解が出来ない。恐らく葉月も理解をしてないだろう。ただ、葉月にとってタブレットを触れて動かしたとうい事だけで、十分、嬉しいはずだ。「もういいかにゃあ?」とミケは夢中にタブレットをいじっている葉月に言う。葉月はハッとした表情をして、名残惜しそうにミケに返した。ミケはタブレットを操作をして、「えーと、ブラックコーヒー、コーラ、スポーツ飲料、エナジードリンク、紅茶をそれぞれ2ケース頼むにゃあ」とミケは志村に指示。志村は、「了解!」と返し、棚にある段ボールを持ち出し、台車に置く。それを見た葉月は、「私もやるです!」言い棚に近寄り私も後に続く。すると、志村はニコリと笑い、「じゃあ、このコーラって書かれている段ボールを持ってもらおうかな?」と私たちに指示をした。私たちは指示された通り、コーラと書かれた段ボールを二人で持つと、ずっしりと中々重く、よたよたしながら台車まで向かい、志村はいつでも補助できるように寄り添い歩く。何とか台車まで辿り着くと「どさっ」と音を鳴らし置き、「はあ、はあ」と私たちは息を切らす。その様子にミケは、「お嬢さんたち、よくやったにゃあ!、後は志村に任せるにゃあ!」と私たち姉妹の労を労った。志村はあっという間に、指示された段ボールを台車に積むと、台車を押しながら、「車に積むのか?」とミケに尋ねる。ミケは、胸を張りドヤ顔になって、「そうにゃあ!、あたいの愛車に積んで行くにゃあ!」と答えた。志村は露骨に動揺をして、「あ、あ、愛車?、お前・・車持っているの?」と再びミケに尋ねる。ミケは笑みを浮かばながら、「フフw、付いて来るにゃあ」と奥の車が停まっている方へ向かう。私たちもついて行き、車の近くまで来ると、「この高級セダンか?、それともSUV?、もしして・・・そのスポーツカー?」と志村は停めてある車の指さしミケの答えを待つ。ミケはちっちっと指を左右に動かし、「それは、所長の車にゃあ、あたいの愛車はその奥にゃあ!」と言う。確かに三台の車で隠れて見えないがもう一台駐車スペースがある様だ。私たちはミケの後に続き一番奥の駐車スペースの前まで来ると、何とそれは、ごついタイヤが二つに、花柄に装飾された荷台、更に人が引っ張るためについている鉄の棒が付いている、いわゆるリヤカーという奴だった。ミケは得意顔で、「どうにゃあ?、オフロードタイヤを履かせているから、どんな凸凹道でも走破可能にゃあ!」と言う。しかし、称賛の声は聞こえず、「リヤカーw、走破って何だよw、人が引っ張るんだから、意味ないよw、持ち家に続いて車と来たから、ちょっとショックだったけど・・、やっぱりお前はミケだよw」と志村はゲラゲラと笑いミケを馬鹿にする。ミケはムッとした顔で、「人の愛車に文句を言うなにゃあ!」と抗議。だが、志村は笑い続けながら、「いやー、ごめん、ごめん、悪気はないんだw、しっかし、また、ごついタイヤを履かせたなw」と言う。度が過ぎる志村に私はイラっとして、「人の大切にするものを貶す人は最低です」と志村に聞こえる様に呟いた。ミケはすかさず、「にゃっはw、二回りも違う子供に苦言を呈されているにゃあw」と志村を煽る。志村は、「うるせぇ」と小さな声で返したが、先程迄の笑いは消えて意気消沈し、「ここに積めばいいだな?」と荷台の段ボールを黙々と積み始めた。志村が荷台に、補充用の商品が入った段ボール、並びにクッキー缶の段ボールを積み終わると、ミケはリヤカーの脇にある物置を開けて、安全第一と書かれた黄色いヘルメット二つ、更に赤い棒と笛を出す。ミケは私たち姉妹の元まで来て、「これを被って、リヤカーの台車に乗るにゃあ!」と言いヘルメットを被せてきた。ヘルメットは大人用なので頭のサイズが合わずブカブカ。動く度に視界がヘルメットで遮られたりしていたが、ミケがヘルメットの顎らへんにある紐の様なものを引っ張ると辛うじて固定される。そして、私たちはリヤカーに乗り込むと、「お嬢さんたち、誘導棒と笛を持つにゃあ」と赤い棒と笛を私たち姉妹に渡す。この赤い棒は誘導棒という奴らしい・・、初めて知った。葉月と私は興味津々に誘導棒をいじくり回すと、誘導棒が光始め、「光ったです!」とミケに報告。ミケは微笑み、「お嬢さん方、そのまま光らせたままにするにゃあ、外に出たら、人通りの多い場所を通るから、道行く人にあたい達の存在を報せて、事故を防ぐために、笛を鳴らしてその光った誘導棒を振るにゃあ」と、この後の私たちの役目を説明しる。私たちは「了解です!」と元気よく返事を返し、「うん!いい返事にゃあ!」とミケは褒めて、更に、「志村!、シャッターの近くにある赤いボタンを押すにゃあ!」と志村に指示をした。

 

 志村は、「へーい、了解」と言いシャッターの近くにある赤いボタンを押す。すると、「ビー、ビー」とけたたましい音を鳴らしながらシャッターが上がり始めた。シャッターが完全に上がると、外の光が入って来て、とても眩しく、私は思わず手で視界を塞ぐ。「志村は後ろから押すにゃあ!、お嬢さんたち、尻尾と耳を隠すにゃあ!」とミケは志村に指示し、私たちに人前に出る準備を指示。ミケに言われた通り私たちは尻尾と耳を触って小さくして最後は消す。ミケも同様な行動をして三毛柄の耳と尻尾を消し、「それではレッツゴーにゃあ!」とミケは出発を宣言をしてリヤカーを引く。志村は小走りでリヤカーの後ろに回り押し始めた。丸い窪みが無数にある奇妙な坂道を上がって外に出ると、人はまばらで、通りは通りやすそうだ。リヤカーを押しながら私たち一行は、一台目の自販機に着き、「さあ!、補充にゃあ!」とミケはエプロンのポケットから鍵の束を出し、「えーと、ここ7号機だから・・あったにゃあ!」と鍵の束から一つを取り出し、自販機の鍵穴に入れるとエル字型のレバーが、「がこっ」と音共に飛び出す。ミケはそのレバーを握り横に曲げると、自販機の前面だけ開き、中には複数の穴があった。「えーと、7号機の補充は・・、あっ、コーラとクッキーにゃあ!」とミケはタブレットを見て言う。そして、志村は「了解」と言い、コーラの段ボールを開ける。私たちもクッキー缶が入った段ボールを開けて待機。ミケは口を開き、「コーラは上から順々に入れて一杯なるまで入るにゃあ、お嬢さんたちは、一番下の段の穴にクッキーを入れるにゃあ」と指示をする。私たち姉妹と志村は同時に、「了解」と返事をして作業に入った。私はリヤカーから降りると、葉月からクッキー缶を手渡しで受け取り、指示通り一番下の段の穴に入れる。クッキー缶は金属を擦る音を出しながら吸い込まれて見えなくなった。それから、クッキー缶を入れ続けると穴の入口まで溜まり、「水無月、それでオッケーにゃあ」とミケはタブレットを見つつ、私に言った。補充が終わると、ミケは自販機を閉めて、エル字型レバーを立てに戻し、押し込み鍵を閉めた。「ふー、首尾よく一台目は終わりにゃあ」とミケは言う。志村は自販機を眺め、「これって・・キャッシュレスなんだ」と呟く。ミケはその言葉に反応をして、「あたいの持っている自販機は全部キャッシュレスにゃあ」と志村に言う。「へー、釣銭も用意しなくて管理しやすそうだなw」と志村は感心する様にミケに返す。ミケはニンマリと笑みを受けべ、「良い所に気が付いたにゃあw、その通りにゃあ!、キャッシュレスにすれば釣銭の用意はいらず、商品の補充だけで済み、管理が楽にゃあ、更にお金が入ってないから、防犯上の利点もあるにゃあ!」と早口で捲し立てる。「そ、そうなんだw」と若干引き気味で志村は苦笑いで応え、それに対してミケは口を開き、「更に、利点があるにゃあ、完全キャッシュレスにすると、ユーザーはアプリをダウロードする事が必須になるにゃあ、すると!そのアプリから、管理者のあたいはリアルタイムで、自販機の売れ行きを確認でき、更に!!、自販機ごとのユーザーの好みと季節的な傾向をデーター化して把握出来るにゃあ!!」と声高に言った。「はは・・そうなんだ、でもこれお高いでしょ?」と志村は完全にドン引きしながら自販機の値段をミケに尋ねた。ミケは不気味な笑顔で、「それは蛇の道は蛇と言いますかにゃあ・・」と勿体ぶる。志村はすかさず、「蛇の道ってw、勿体ぶらず早く言えよw」とミケの滑稽な言葉使いに笑いを堪えながら答えを促す。ミケは透かした態度で、「仕様がないにゃあw、教えてやるにゃあ、あたいは中古の自販機を格安で手に入れて、知り合いの化け者に改造をして貰い、一台40万で運用をしているにゃあw」と答える。志村は驚き、「えっ!?、じゃあ、これは改造をしてキャッスレスにしたのか?」と言う。「そういう事にゃあw、アプリも同じ奴が開発したにゃあ!」とミケは自慢げ。「そうか・・40万、普通の自販機の比べたら安いんだろうな・・、でも庶民の俺には手が届かないや」と志村は自販機を眺めながら黄昏た。大人たちの会話は続き、理解できなくて、退屈でつまらないので、私たちはリヤカーから降りて地面を這っている蜘蛛を見つけ、棒切れでそれを突いて遊び時間を潰す。蜘蛛は数回突くと死んだふりをして丸くなり、少し経つと動き出し、それを突きまた死んだふりにする。そんな遊びを10分位していると、「何をやっているにゃあ?」と後ろからミケの声がした。私は振り返り、「蜘蛛の死んだふり耐久実験です」とミケに少し不貞腐れながら答える。ミケは少し、引きながら、「そ、そうかにゃあ、長話し、済まないにゃあ、次の自販機に行くにゃあ」と移動の開始を私たちに伝えた。

 

 私たちはその後、1台、2台、3台と補充を完了させ、4台目の自販機に向かうと、やたらと派手な看板が立ち並び、ソープと言う文字が多い。目的の自販機は駐車場の一角にあり、「えーと、ここは4号機だからにゃあ・・あったにゃあ」とミケは鍵の束から、4号と記された鍵を手に取り、自販機に挿して、これまでと同様に開ける。ミケはタブレットを見ながら、「ここの自販機はエナジードリンクだけにゃあ」と言い、志村にエナジードリンクの補充を指示。志村はパワフルチャージと書かれた段ボールを開けて、それまで補充した飲料水とはずいぶん大きさが違う小さめの缶を取り出す。志村は補充が小慣れて来て、最初の時より作業が素早い。あっという間に自販機の中にある補充用の穴には埋まり、「終わったぞw」と志村は作業完了をミケに伝えた。「ご苦労さんにゃあ!、ここの自販機の主なユーザーであるお姉さんたちは、ハードな仕事をこなしているにゃあ、だからエナジードリンクを愛用しているにゃあ」と志村に労を労い、自販機のお客さんの事をほのめかす。私はミケの言葉に興味を惹かれ、「ハードな仕事って何です?」とミケに尋ねる。ミケは笑顔で、「それは、お風呂で男女が・・」と言いかけた時、「こらこら!、子供にそんな事、教えるなよ!」と志村が割って入り止める。そして、ミケはハッとなり、「お、お風呂に一緒に入る仕事にゃあw」と誤魔化した感じにい直す。肝心の事を端折った言い草に納得は行かないが空気を読み、「ふーん」と適当に相槌を打ち、ぎこちない態度をし始めた大人二人は先を急いだ。それから、滞りなく作業が進み10台目の補充に突入した時、ミケは止まってふり向き、「次の補充で最後にゃあ、最後の自販機は歓楽街の人通りが多いメイン道路を横断するから、お嬢さんたちは誘導棒を振りながら、笛を吹いて欲しいにゃあ」と私たちに指示をした。指示を受けた私たちは、誘導棒を手に取り、笛を咥えてスタンバイ。ミケはリヤカーを引き始め、進むと人通りが多い道が現れ、振り返り、「よしっ!、始めるにゃあ!」と言う。私たちは背中合わせになり、お互いがリヤカーの真横を見る体制で、誘導棒を振り笛を、「ピピっ、ピピっ」と鳴らし、「通りますにゃあ」とミケは大声で言う。。道行く人々は反応をして、こちらを見て私たちを見るなり笑顔になって、「何あれ?W、可愛いw、メイドさんがリヤカー?」と言い道を譲る。スマホで写真を撮る者、わざわざ近づいて観察する者、様々な行動をとるが皆同様に好意的に道を譲ってくれて、大通りをスムーズに渡る事が出来た。大通りを渡り終えると、私たちは笛を吹くのを止めて、誘導棒を置くと、「ご迷惑かけます、すいません、ありがとうございます」と後ろから声がした。私は振り向くと、志村がペコペコとお辞儀を繰り返し、道行く人々に感謝を伝えている。大通りを渡れたのは私たちの手柄と持ったが、みんなの力だと感じ、自重をした。暫く道なりにまっすぐ進み、数分後にミケは振り返り、「この路地奥にある自販機が最後にゃあ」と言う。雑居ビルと雑居ビルの間の路地は薄暗くジメジメとしていて、時より鼠が私たちの行く手を遮る様に走り抜けた。「本当にこの奥にあるのです?」と私は少し不安を感じミケに確認。ミケは振り返らず、「あるにゃあ、ここは少しアンダーグランド的な地域であまり表に出たくない者たちが愛用している自販機にゃあ」と答えた。

 

 薄暗い路地を進み、突き当たりの角を曲がると奥に自販機が見えたが何か様子がおかしい。ミケも異変を感じたのか、「にゃにゃ?、自販機が点灯してないにゃあ」と呟く。そのまま進み自販機の前に着くと、自販機はとんでもない状態だった。自販機は黄色や赤、青と言った原色系の色で塗りたくっていて、奇妙な匂いを発していて、自販機のサンプルはそれらに遮られ全く見えない状況。「な、何にゃあこれ!?」とミケは驚き、「うわっ!?、酷いな・・、悪戯だね」と志村は気の毒そうな顔で言う。ミケは自販機の周囲をグルグル回り、状態を確かめ、「これは素人じゃ無理にゃあ、専門家に相談して何とかするしかないにゃあ・・・」とミケはショックを受けていた。滅茶苦茶にされた自販機の前で私たち一同は茫然となり、誰かの言葉をお互いで待っていて、会話の切っ掛けを探る。すると、「カンっ」と空き缶を蹴る音がして、私たちの元へコロコロと何かが転がってきた。それを志村は拾って、「ペンキの・・スプレー缶?」と眉をひそめる。その刹那、「ズン♪、ズチャ♪、ズン♪」と口でリズムをとる様な声を出し二人の人影が奥から近づいて来た。ミケはキッと睨み、「誰にゃあ!」と叫ぶ。二人の人影は尚もリズムをとる声を出しなら近づき街灯に照らされ姿が現れる。男たちは、頭には赤いバンダナに、袖が無い救命胴衣の様なもこもこベスト、ダボダボのデニムに赤いスニーカーと、二人は全く同じ姿と目の周りが黒い特徴的な人相をしていて、瓜二つという共通点が双子の私たちと既視感があった。ミケは目を見開き、「お前らは、アナグマ兄弟!、歓楽街にいつ戻って来たにゃあ?」と二人を知っている様だ。「ミケ!、知っているのか?」とすかさず志村がミケに尋ねた。ミケはアナグマ兄弟から目を離さず、「知っているにゃあ・・・こいつらは札付きの悪で、歓楽街を追放された、碌でない兄弟にゃあ!」と答えた。アナグマ兄弟は不敵に笑い、「YO♪、YO♪、ここで会ったのも100年目♪、ここは俺たちの聖地♪、いわゆる縄張り♪、オ――――ケ――――?♪」とまるで歌を歌っている感じで言い中指を立てて威嚇。テレビで見た事がある・・、確か・・ラップという音楽だった気がする。私の好奇心がざわつき、緊急事態だが押えられず、「ラップです?」とミケに尋ねた。「ああ・・そうにゃあ、お嬢さんたちは後ろに下がっているにゃあ」とミケはアナグマ兄弟を睨みながら私の質問に答える。「あっ♪、うん♪、カモン♪、相談はクローズ?♪、金目の物をテクアウト♪、それが心情w♪、重要w♪」と歌った瞬間、アナグマ兄弟二人が素早い動きで距離を詰め自販機をそれぞれ一回蹴る。軽く蹴ったようで、自販機は幸い見た目は何もなさそう。だが、その行為がミケの逆鱗に触れ、「あったまきたにゃあ!、お前らをバチボコにして、歓楽街から追いだしてやるにゃあ!」と、ボフッと煙を出し、三毛柄の耳と尻尾を出現させ、更に根元が半透明な2本目の尻尾を出した。ミケが戦闘態勢に入るとアナグマ兄弟はバックステップで距離をとる。そして、アナグマ兄弟の片割れが、血相をかいて、「アニキ!、ミケが御霊尻尾(みたましっぽ)を持ってますぜ!」と普通に話す。兄と思われる片割れのアナグマも少し焦りながら、「落ち着け弟よ、あちらの戦力はミケ以外は、落伍者1名、化け者だがお子ちゃま二人だ、実質2対1だw」と嘯く(うそぶく)。その言葉に素早く反応した者がいた、それは・・志村だ。「ちょっと待てこら!!、おい!テメェ!、何で俺は人間じゃなくて、落伍者でカウントしてるんだ!!」と志村は憤慨した。そんなやり取りのしり目に、私はリヤカーの影でうずくまり、初めての戦闘による緊張で、心臓がバグバグして胃の内容物を戻しそうになったが何とか堪え、妹の葉月の様子を伺う。葉月は大人たちのやり取りを見てケタケタと笑い、私を見て、「お姉ちゃん大丈夫?、ねえ、凄いよ!、御霊尻尾だよ!」とはしゃぐ。時々、この子が分からなくなる時がある・・、緊張に強いというか、タガが外れたように、危機感が全く無くなり、物怖じしなくなる。羨ましい時もあるが、ヒヤヒヤさせらる時もあって複雑な感じ。私は葉月に促されたミケのお尻に生えている根元が半透明な三毛柄の尻尾を見る。御霊尻尾、それは化け者が修行に励み研鑽を積み、ある程度に達すると自然に発言をする尻尾だ。御霊尻尾の数が化け者の力量のバロメーターになり、相手の力量差を見た目で判断できる。もちろん、わざと少なく見せたりして、フェイクを入れて来る可能性があるが、先程の会話と仕草にそれはなさそう。第一、危険な化け者なら、伯母様は追放などという生ぬるい処置はしないはず。「じゃあw、アニキw、やっちゃう?」と弟のアナグマは兄の言葉に優位性を確信をして調子に乗り始め、「そうだな、弟よw、こいつ等を血祭りにして俺たちの存在をアピールしようw」と兄のアナグマが宣言をする。一対一ならミケが優勢だが、一対二だと話が違う、勝てるかもしれないがお荷物の私たちがいる状況ではかなり難しい・・。私は意を決して、「葉月!、やるわよ」と葉月に言う。葉月はニッコリ笑い、「ハイです!、お姉ちゃん!」と私のやらんとしてることを理解をしている様だ。双子ならではの阿吽の呼吸で、私たちはリヤカーの物陰から飛び出し、ボフッ共に音と煙を出し狐の黒い耳と尻尾を出現させ、アナグマ兄弟にまっすぐ走ると、志村は驚き、「ちょっ!、2人共!」と後を追ってきた。私たちは普通に走るのではなく、ニコニコとはしゃぎながら走り、戦闘の意志はない事をアピールしつつ近づくとアナグマ兄弟はヘラヘラとスカした笑みを浮かべながら、「おw、何だ?w」と何もせず迎える。その表情と仕草は、アナグマ兄弟が私たち3人に対して脅威を感じず油断をして、頭数に入れてない証拠。確信を得た私たちは、今度はアナグマ兄弟の周りを笑顔を絶やさず、ゆっくりと小走りで周り、志村は少しパニックになりながらもついて来て、「危ないって!、ほら!、後ろに下がろう!」と私たちを捕まえようとする。アナグマ兄弟は何かを察した顔をし、「ははーんw、なーんだw、どうやら、お嬢ちゃんたちは俺たちの味方になりたいようだぜw」と勝ち誇った。フフフw、吠えずらかかせるですw。私たちがアナグマ兄弟の周りを数周するとそれは起きた。アナグマ兄弟からボフッと音と共に、煙が上がり、志村は驚き、「うわっ」と尻餅をつく。煙が霧散した後には、毛むくじゃらで、ずんぐりむっくり、目の周りが黒い獣、アナグマ2匹の姿があった。アナグナ兄弟の弟は、「アニキ!これは?」と完全にパニック状態で、アナグマ兄弟の兄は、「落ち着け!、人に化けるぞ!・・・って、化けられない!」と慌てふためく。私たち化け狐は、他の化け者より優れている事がある。それは、化け者の力の源、化け力(ばけりき)を術という儀式で行う奇跡に変換する事が得意で、今しがたやった術は、対象の周りを数回、回ると化けの皮を剝ぐことが出来、強制的に元の動物の姿に戻せるのだ。しかも、ほんの数分だが、化ける能力を封印できる。この子供という身分を使い相手を油断させて出来る術は、伯母様から護身用に教えて貰った。私たちの術が成功して潮目の変化にいち早く反応したミケは、双眸(そうぼう)をキラーンと光らせ、「ヒャッハー!、隙有りにゃあw」と目にと止まらぬ速さでアナグマ兄弟の駆け寄り、それぞれの頭を掌(てのひら)で掴む。そして、「あの世まで、かっ飛ぶが良いにゃあw」と兄のアナグマをブンブンと振り回す。兄のアナグマは「はやっ!、よせよせ!」と泣き叫び懇願したがミケは意に介さず、ほぼ真上に投げる。兄のアナグマの姿は放物線を描きながら徐々に小さくなり遂には豆粒ほどになると、見えなくなった。兄の始末を終えたミケは弟のアナグマを見て、「次はお前にゃあw、兄の背中を追うにゃあw」と邪悪な笑みを浮かべ、兄のアナグマの様にグルグルと回し始める。弟のアナグマは、「いやだいやだ!、そんな背中を追いたくない!」とやはりミケに懇願したが、容赦なく投げ飛ばし、兄のアナグマと同じコースを取り、星になる。外敵の撃退に成功した私たちは胸を撫で下ろし、改めて自販機を見た。

 

 見るに無残な状態乗った自販機は、子供の私でも大事だと感じ、ミケはおもむろに自販機を撫で、「はーー、修理代幾らになるにゃあ・・」と悲しい顔をした。しかし、「ちょっと待ってよw、俺が何とかしようか?」と志村が空気を読まず嘯く。ミケは志村を一瞥し、「お嬢さんたち、今日はもう帰るにゃあ」と無視を決め込む。すると、「こらこら!、待てよ俺には神器がある事をお忘れかなw」と志村は食い下がる。ミケは振り返り、「ジュースが出せる水鉄砲が何の役に立つにゃあ?、それとも、所長みたいに神様を挑発して高圧で削るのかにゃあ?、あんな威力で削れば自販機ひとたまりもないにゃあ・・」とジト目で志村を見つめた。志村は不敵な笑みを浮かべ、「フフフw、実はなw、あれから色々あって、神様と連絡取れる手段を確保してなw、使い勝手が良い神器になったのよw」とドヤ顔。ミケは怪訝な顔をして、「ホントかにゃあ?」と疑う。志村はイラついた顔をして、「じゃあ!見せてやるよ!、ちょっと待て」と懐からスマホを出しどこかへ連絡する。相手側に繋がると志村は口を開き、「あっ、どうも、お疲れ様です、志村です」と言う。そして、「はい、はい、実はですね、ちょっと困ってまして、ペンキを落とせる水とかないですか?、えっ!?、違います、馬鹿にしてません、はい、ホウレンソウは基本です、はい、すいません、えっ!?、出来ますか?、それではお願いしたいんですが・・ええ!、それは勿論、貢物を用意致します」と志村の通話は更に続き、「えーと少々お待ちください」と言いズボンについているポケットからメモ帳とボールペンを出し、「はい、どうぞ、高級和牛コロッケを2つ、はい、楼蘭(ろうらん)の極旨あんまんを2つ・・・って、その店どこにあるんです?、えっ!?自分で探せ?、いや店の名前だけじゃ・・、滅相もございません!、はい」と志村は先方との交渉が難航し始めた。ミケは首を傾げて何かを思い出した様な仕草をし、「あんまんが美味しい楼蘭なら知っているにゃあ、歓楽街の北側にある町中華屋さんにゃあ」と志村に言う。志村は感謝を手でジェスチャーで返し、「あっ、大丈夫です、件の店は分かりました!、後ほど、貢物をお送り致します、それではペンキを落とせる水に変えて下さい、あ、はい、それでは失礼いたします」とようやく通話が終わる。「よし、交渉は成立した!、ペンキを消すぞ!」と志村は言い、手のひらから半透明で駄菓子屋に売っている様なチープな水鉄砲を出現させた。ミケは「うっし、よろしく頼むにゃあ!」と志村に頼む。志村は自販機に近づき、下の方を慎重に水鉄砲で水をかけると、嘘の様にペンキが落ちて行き、本来の色が現れる。確実にペンキだけ落ちた事を確認した志村は自販機の全体に不思議なペンキが落ちる水をかけ始め、物の数秒で完全にペンキが落ちた。その様子にミケは感激をして、「凄いにゃあ!!、志村!、お前を見直したにゃあw」とべた褒め。私たち姉妹もその出来事に驚き、「志村のおじさん!、凄いのです!」と賛辞を贈る。「いやーw、それ程でもないよw、これからは、困ったときは遠慮なく言って!」と志村は凄く嬉しそうに言った。全てが万事うまく行き皆が笑顔になり会話が弾む中、ミケは自販機の周りをぐるりと回り、自販機を確認して満足げな顔で、「じゃあ、補充をしたら撤収にゃあ!」と指示を皆にした。

 

 私たちは、自販機の補充を終えて、ミケの家に帰り、リビングで寛いでいた。葉月はソファで寛ぎうたた寝をし、私も眠気に襲われ瞼(まぶた)が重い。ミケは夕食の用意をし始め、キッチンで作業をし、志村は神様に貢物を捧げるべく帰った。頭がうつらうつらと揺れて、私も意識を保つのが限界に近づいた時、「ピンポン」玄関のチャイムが鳴る。リビングのドアの外側からミケが玄関に向かう足音がした後ドアが開く音して、「所長!、お早い帰りで!」と声がする。所長という言葉に反応して、私の意識は覚醒し、ソファから立ち上がり、リビングか出た。すると、「あら、あら、水無月!、良い子にしていたかしら?」と黒髪を束ね、純白のブラウスに黒いロングコートに黒いロングスカートに赤いハイヒール姿の、ほんの1日しか経ってのいのに懐かしく感じる伯母の笑顔が私を出迎えた。「良い子にしてましたです!」と私は伯母のお腹に顔を埋め甘えた。リビングに移り、ミケが用意した紅茶を飲みつつ、私は昨日から今日の出来事を、寝ている葉月の頭を撫でて微笑む伯母に話す。伯母は優しい顔で頷き、一通り聞くと、「あら、あら、大変だったわねw、じゃあ、私の家に帰りましょうか?」」と打診。私は元気よく、「はいです」と返す。それから、私は客間にある私たちの着替えが入っているバッグを回収して、葉月をおんぶしている伯母と見送るためについてくるミケと共にミケの家を出る。エレベーターで地下に降りて、地下駐車場に停めてある志村がSUVと名指しした車に乗り込むと、見送りに来ていたミケがシャッターを開けた。リヤカーとは比べ物にならない良い乗り心地の車は悠々と進み地下駐車場から出ると、私は後部座席から後ろを見る。ミケがこちらに手を振っていて、運転をしている伯母が、「あら、あら、水無月、ミケに挨拶しなさい」と車を停車。。私は車の窓を開けて、「お世話になりましたです!」とミケに別れを言う。ミケは、「また来るにゃあ!、歓迎するにゃあ!」と返してきた。伯母の運転する車は歓楽街を出て、洗練された繁華街に入り、九尾百貨店・QBデパートと書かれた看板がある一際目ち大きな建物の入り口の前に停めると、すかさず、制服でベルボーイ風の格好のお兄さんとビシッとしたスーツ姿のちょび髭のおじさんが近づき伯母がいる運転席側に周り、「所長様、お帰りなさいませ、お車はこの男が駐車いたします」と伯母と入れ替わりでもうベルボーイ風のお兄さんが運転席に座り、「よろしくね」と伯母は言い、後部座席の寝ている葉月を抱っこして私の手を繋ぎ、ちょび髭おじさんがの後を歩きデパートに入る。店内は煌びやかで高級感溢れる商品が並び、店員さんが丁寧にお辞儀を次々としてきた。最初はお客さんとして店員さんがお辞儀をしていると思ったが、フロアのかなり奥にいる店員さんも、私たちの姿を見るやお辞儀をし始め、その異常な状況は他のお客さんも気が付き、キョロキョロし始め、お辞儀が向けられている私たちに注目。大勢の人の視線を感じながらデパートの広いフロアを進み、「あら、あら、ちょっと仰々しいわね、改良の余地があるわ」と伯母は呟く。エレベーターの前で大人の人が呼び出しボタンを押し振り返り、エレベーターのドアが開くと、お辞儀をして、「御用がおありでしたら、お申し付け下さい」と言う。伯母は、「ありがとう」と一言だけ言うと、私を引っ張ってエレベーターに乗った。上昇するエレベーターの中、「ここで何をするです?」と私は伯母に尋ねる。伯母は微笑み、「フフフw、ここは私の家よw」と答えた。伯母の答えに皆目検討がつかず、「ここはデパートです、伯母様!」と言う。すると、伯母は、「フフw、屋上以外わね・・」と意味深。私はすかさず、「屋上以外・・・・まさか!」と答えが頭に浮かぶ。私が察した事に気が付き、伯母は、「あら、あら、お利口さんねw、デパートの上に住むって面白くない?」と子供じみた高笑いと共に私に赤い舌をペロっと出した。

 

ーおわりー

 

331曲目の紹介

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲を世界電力さん、動画を阿修さんによる警報のあった日です。

 

 嵐になると、波風はうねり、普段はなら超えない防潮堤をいとも簡単に超え、それは黒い塊にって、全てを連れ去り二度と戻らない・・。本曲はそんな、ほぼ毎年来る、嵐のによる恐ろしい津波を、不器用な性格によって、人付き合いが長続きせず起こる定期的な別れを、嵐と津波に見立てて、二度とも戻らないその繋がりに、心の中に渦巻く哀愁と無常を、めろうさんナクモさんが歌います。

 

 本曲の題名、警報のあった日は、恐らくですがこれは、予感と言いますか、人との別れを無意識に察知して、報せる本能みたいな意味合いがあるんじゃないかと自分は思いました。

 


www.youtube.com

 

 

 本曲を聴いた時、あれっ?ボーカロイドじゃない?、見たいな感じで、確認をしてしまいましたよw。技術の進歩は本当に素晴らしいですね。本曲は、オッサンの自分にとって、何だか懐かしい感じがして親しみやすい曲で良かったです。

 

 本曲、警報のあった日は、人との別れを自然現象である嵐に見立て、聴き手に哀愁と悲哀を感じさせ、誰もが持つ別れの記憶を引き出し、失った何かを思い出して、ほんの少しだけ優しい気持ちにさせてくれる素晴らしい曲だと思いますので、是非!、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

めろう(NEUTRINO)

ナクモ(NEUTRINO)