煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

正義のハッカーの活躍を歌うVOCALOID曲

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 皆さん、ゴールデンウィークを楽しんでますか?気温の方も暑くもなく、寒くない気温で過ごしやすいみたいなので、絶好の行楽日和を、敢えて家でゆっくり休むのも良いですね!これから、ゴールデンウィークの後半になりますが怪我や病気には気を付けて参りましょう!それでは301曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたいと思います。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。



 

 通常業務が終わり皆、帰り支度をしている中、上司である金田桜子さんがこちらへ来て「それじゃあ、後はよろしくね!矢部君!」と俺に申し訳なさそうに言った。俺は「大丈夫ですよ!大船に乗ったつもりで安心してください!」と少しでも心配を掛けまいと精いっぱいの虚勢を張る。しかし、彼女は見透かした様に「ホントに大丈夫w、もし何かトラブルが合ったら、遠慮無く私に電話してね!」と言う。「了解です!この矢部寛太必ずやミッションを完遂致します!」と胸を張りながら俺が言うと彼女は「じゃあ、任せるね!」と言い手を振ってオフィスから去った。これから俺は、明日の7時まで一人で業務をこなされなければならない。俗にいうワンオペレーション、略してワンオペをとういうやつだ。インフルエンザとコロナウィルスのダブルパンチで、夜間シフトの俺以外の二人が出社出来なくなり、更に上司の桜子さんも急遽、明日から出張予定が入って、俺一人で業務をする事になった。

 

 弊社は、起業して間もない会社で余剰人員が無く、此度の様にトラブルが起きると、今回の俺の様に無理をしなければならない。社長は近日中に人手不足を解消すると言っているがあまり期待は出来ないだろう。だが、様々な会社を渡り歩いてようやく見つけたのだ・・生きがいを持てる仕事や人がいる会社を・・俺は絶対死守するつもりだ。かなり青臭い事を言ってしまったが、ここからは俺の仕事を説明しよう。弊社はパソコンの製造から販売、サポートをしている。俺の部署はユーザーからのトラブルの連絡を受けて、対処する仕事だ。弊社は24時間完全サポートを売りにしていて、夜間業務は20時から明けて7時まで三人体制で行う。三人で足りるのかって?結論から言うと、大丈夫だ。その理由は、社長と山田部長と俺の上司である金田桜子さんの三人が開発した、AIを組み込んだ合成音声によるトラブル解決案内のお陰である。その性能は、8割方のトラブルを合成音声でAIが解決する事に成功し、実際に人が介入して行うサポート数をかなり軽減が出来た。

 

 俺はモニターの前で腕を組み、「さあ!来なさい!お客様よ!俺が全て解決して進ぜよう!」と意気込みを呟いた。気合を入れたのは意味がある・・今日は金曜日、魔の金曜日だからだ。魔の金曜日とは、金曜日の夜間から深夜までの時間を指した事を言っていて、何故だかは分からないが、この時間帯にかかってくるユーザーは、厄介なトラブルを抱えている場合が多く、いつの間にか社員の間で言われるようになったのだ。俺も何度か魔の金曜日を経験したが、ヘビーなトラブルに遭遇して、若干、トラウマになっている。おっ?モニターが反応をし始めた・・まずは第一号のユーザー様だ。早速俺はマウスで操作して電話を受け「はい、24時間完全サポート・カスタマーサービスセンターです」と開口一番にマニュアル通りの挨拶をする。「どのようなトラブルでしょうか?、はい、はい・・電源が付かないという事ですね、それでしたら、まずはコンセントを見て頂いて、パソコン本体と繋がっているか確認をお願いできますでしょうか?」と言い、俺はユーザーの確認を待つ。パソコンの電源が付かなという事だが・・もし故障だったら、故障処理は週明けになるな・・。「えっ?左様でござますか!良かったです!今後とも気軽にお電話ください!それでは失礼します」と俺は電話切った。ふー単純ミスで良かった・・もし週末の故障処理は長引いてユーザー様に気苦労掛けるからな・・

 

 そうこうしているとモニターにまた反応が始まった。再びマウスを操作して「はい、24時間完全サポート・カスタマーサービスセンターです」とお決まりの台詞を俺が言うと、耳を疑う言葉がユーザーから発せられ「えっ!?」と俺は驚き、心臓がキュッと閉まった感じがした。「もう一度、お願い出来ますでしょうか?」と俺は思わすユーザーに確認をする。「はい、はい・・あー!ピザのオンライン注文が出来ないという事ですね」とやっとユーザーの伝えたい事を俺は理解出来た。開口一番にピザの注文が出来ないと来たときは正直、挫けそうになったが事情が分かれば怖くない。「少々お待ちください」と俺はマウスを操作して待ち受けメロディにし、件のピザのオンライン注文のサイトにアクセスして適当に注文をするためにクリックする。おや?反応しない・・全てを把握した俺は「お待たせしました、先ほどこちらで、件のサイトで確認しましたところ、同じ現象が起こりました。はい、はい、ですので、お客様のパソコンは異常はありません。はい、日を改めて注文なされるか、他社のピザを注文して頂くしかありませんね。いえいえ、お気になさらないで下さい、何かお困りがありましたら、どうぞこちらに連絡をしてください!失礼します」と俺はマウスで通話を切った。アクセスしたサイトに異常があると、パソコン初心者は何故か自分の端末を疑う・・この行動パターン情報は社内共有し既知していたので助かった。

 

 ふーー魔の金曜日の本領が発揮してきたようだ。その後6件のトラブルを処理した後、まるで嘘の様にモニターが反応しなくなる。そして、15分後・・モニターに反応が起こり、俺はすかさずマウスを操作して電話を取る。「はい、24時間完全サポート・カスタマーサービスセンターです」とお決まりの台詞を言うと、耳に当ててあるヘッドセットから聞こえた声が若かった。このご時世、若者は大抵、自分で問題を解決する・・このようなユーザーから来る相談は複雑なトラブルが多く、処理に難儀する。俺は気を引き締めて、「パソコンにロックがかかって操作が出来ないという事でございますでしょうか?」と先方から言われたトラブル内容を確認をした。先方はそうですと答えたので「なるほど・・了解しました。それでは確認をいくつかしますのでよろしくお願いします」と俺は言い、続けて「ロックと申されてますが、それはOSのロックの事でしょうか?」と尋ねる。先方は違うと答え「それではパソコンにロックをかけるアプリなどをダウンロードしていますか?」と俺は更に確認をすると、先方はしてないと答えた。

 

 「わかりました・・最後に直近で何かをダウンロードもしくは不明なメールからサイトにアクセスしましたか?」と俺は慎重に尋ねる。「はい、はい、なるほど・・エロ漫画をダウンロードをしたと・・えっ!?申し訳ございません!左様でございますか!飽くまで過程の話ですね、はい、了解しました。エロ漫画的なものをダウンロードして今回の様な現象に見舞われたという事ですね。はい!大丈夫です、仮定の話です」と先方とのやり取りで俺は今回の現象が何か確信を得る。「お客様に起きた現象はマルウェアによる暗号化だと思われます。はい、はい、メールなどで金銭を要求されてますでしょうか?はい、左様でございますか・・それでしたら愉快犯の可能性が高いですので、私共からの提案としては、パソコンを初期化してですね、アンチウィルスソフトを導入して頂いて、再度パソコンをアンチウィルスでチェックする事でございますね」と俺が原因と対策の提案をすると先方はあっさり快諾した。「このような事しか提案できず申し訳ありません・・はい、また何かありましたら遠慮なくご連絡してください。はい、それでは失礼します」と俺は通話を終了した。パソコンの中のデーターが営業データーや決算のデーターだったら、何とかしろの一点張りで一歩も引かなかっただろう・・違法にダウンロードしたエロ漫画だったのが幸いしたな・・おっと、仮定の話だったな。

 

 モニターの時計は12時を過ぎていた。ピークが過ぎてこれからは殆どトラブル相談は来ないだろう。俺は小休憩を兼ねて、窓際でオフィスコーヒーを飲みながら、向かいのオフィスを見る。向かいのオフィスは、弊社が入っている古いオフィスビルと違って、高くて真新しい立派なビルだ。向かいのオフィスビルの真ん中辺りでいつもポツンと電気が点いている。それは、夜勤シフトの時の密かな楽しみだ。それは何故か?もう少し立てば分かる・・おっ!?来た!。セミロングの髪に白系のスーツを着た女性が、俺と同じようにコーヒーだろうか?遠くで分からないが、とにかく紙カップを持って来て座り、モニターに向かい何かをやっている。遠目だからはっきり言えないが何となく美人だと思う。この時間は丁度、月入りの時間、つまり月が地平線に沈む時間になると向かい側のオフィスビルの窓に映り込む。その映り込んだ月と彼女が重なり合った姿は、まるで月の女神の様だ。実に尊い・・。こうして夜勤シフトの度に、彼女を目撃するという事は、彼女はかなりの頻度で徹夜をしている様だがそこが少し気になる・・いや訂正しよう、心配になる。外資系が入っているオフィスらしいが・・給料が良いが競争は激しいというのは、彼女を見ると本当の事なんだと思う。俺はボーと彼女を見ていると彼女がいきなりこちらを見た。俺はすかさずビルの柱に隠れる。何をやっている俺?別にやましい事をやっている訳じゃないのに・・これでは逆に怪しまれるじゃないか。俺はそーとビルの柱から顔出して、彼女の方を見ると特に変わった様子は無く、机で書類を見ている姿を確認し安堵した。





 それから2件のトラブルを処理して報告書を制作しながら朝の7時になり今回の夜勤業務は終了した。「お疲れ様です!矢部さん何かありました?」と朝一で出勤してきた同僚が、自分のデスクに座りながら俺に夜勤業務の状況を尋ねてくる。「別にないですよwいつもと同じで、問題無かったですよ!」と俺が答え。「そうですか!良かったです!あっ!桜子さんからの伝言です、週明けの出勤は午後からでいいそうです」と同僚が言い。「マジでwラッキー!じゃあ!お先に失礼します!また来週!」と俺は同僚に別れを告げ退社した。弊社の入っている古いオフィスビルを出ると朝日がビルの間から差し込み、夜間勤務を終えた俺を照らす。世の中の社会人は皆これから出社をしている中、俺だけが帰宅の途に着いているのは何というか・・ノスタルジー?違うな・・日常から逸脱した感じが何とも異世界に迷い込んだ感じで少しワクワクする。俺は背筋を伸ばしてストレッチをして「さてと!がっつり飯食ってお酒飲んで帰りますか!」と呟いて歩き出した。



 

 実は食事をする所は決めている。かねてから気になっていた五月雨ステーキだ。ビジネス用語の五月雨式とかけていてお客さんがダラダラと続いて途切れない事を願掛けした店名で評判は上々らしい。早速のれんを潜り、スライド式のドアを開けて入ると、朝方なので客はまばらで、モーニングセットだろうか?パンとスクランブルエッグのセットを皆食べていた。俺はカウンターに座り、同僚から行ったら、極厚ステーキ丼は絶対一度は頼んだ方が良いと勧められていたので、ここは素直に従い「極厚ステーキ丼と瓶ビールをお願いします」と早速注文をした。俺は店員から出されたお絞りで手を拭き、運ばれてきた瓶ビールをグラスに注ぎ、ワクワクしながら待った。寸刻した後、俺の隣に女性が座る。俺は当たりを見回し、わざわざ俺の隣に座るこの女性の不可思議な行動に動揺した。女性は「極厚ステーキ丼と瓶ビール」と俺と同じ物を手短に注文して「お疲れ様です」と俺に声をかけてくる。なんだ?この人?同僚?違う!こんな人知らない・・?まさかクライアント?違う!こんな美人を見たら忘れる訳ない・・。俺は考えを巡らせても埒が明かないと悟り「失礼ですが・・どちら様ですか?」と尋ねる。すると彼女は「ふふっ」と笑い「失礼ですが、いつも向かい側のビルから貴方を見てました、お仕事大変ですね」と言う。

 

 ようやく正体が分かった俺は心臓がバクバクしていた。この心臓の鼓動は今しがた飲んだビールによるものではなく、麗しの月の女神が目の前にいるという事実と、ある不安で俺の心臓は鼓動を速めていたのだ。彼女は俺が見ていた事を知っているのだろうか?それが最も俺が今気にしている事で、そして、出来れば気付いて欲しくない事だった。しかし、俺はトラブルシュータ―だ!この位のトラブル何て訳ない!、俺は早速、戦略を練り、彼女に話しかける。「お恥ずかしい姿を見られましたね・・俺の様な何者でもない社会の歯車を見ていても楽しく無いでしょ」と俺はとにかく別の話題に移り、このままフェイドアウトする様に仕向る。「あら、そんな事はありませんわ、いつも楽しそうにお仕事をなさっていて羨ましいですよ」と彼女の褒められて何だかむず痒くなり「そ、そんな風に見えますか?今の会社に入って仕事に初めて生きがいを感じましたが・・」と俺れが照れながら言うと「生きがいを感じる何て・・素晴らしい会社に出会いましたね・・私の方はどう見えました?」と彼女が尋ねてきた。まあ、そりゃそうだろうな、俺が彼女を見れるという事は彼女も俺を見れるという訳で、俺の行動は彼女に筒抜けな訳で、無駄な足掻きだった訳だ。

 

 俺の戦略はあっという間に打ち砕かれて、次のフェイズに移る。女性のいつも見てましたと男性のいつも見てましたは意味が全く違う。前者は問題になる事はあまりないが、後者は相手に好意が無いと恐ろしい結果が待っている・・。「あ、あの、すいませんでした・・別に何か意味がある訳ではなく、つい、見とれてました」と俺は誤解を解くため、彼女に働きかける。彼女は口を手で押さえて笑い「大丈夫ですよw別に気にしてませんよwあ・・でも、お宅の上司に告げ口しようかなw」と彼女は冗談交じりに言う。しかし、俺にはそれが判断できる程、冷静では無かった。「申し訳ありませんでした!今後一切、そちらのオフィスを見ません!」と俺は精いっぱいの謝罪をする。「大丈夫ですって!冗談ですよ!別に見ていた位で気にしませんって!」と俺の少し大きめの声での謝罪により、周りの客がこちらをチラチラ見始めたのを感じた彼女は、周りを気にしながら俺をなだめて安心をさせた。そして「本当に?」と俺が更に確認をする。「本当に大丈夫です」と彼女は呆れながら言い。「良かったw」と俺が安堵の笑顔をし「現金な方ですね・・」とジト目をしながら彼女は言った。

 

 「それでは改めて、私はどう見えましたか?」と彼女が俺のグラスにビールを注ぎながら尋ねた。俺は恐縮しながらビールを一口飲んで「そうですね・・カッコいいと思いました・・でも、同時に心配になりました」と言う。「カッコいい何てお恥ずかしいですわw心配とはどうい事ですか?」と彼女が照れ笑いしながら、他人である俺の憂慮に興味を抱いたようだ。「失礼ですけど、あなたはかなりの頻度で徹夜をしてますよね?」と俺が彼女の疑問を答える前に確認をする。「まあそうねw油断をしていると足元をすくわれて、あっという間に転落するのが外資系ですから・・まあ、その分、仕事の出来高に応じて会社は報酬を払ってくれますから、私はそこが気に入っていますけど」と彼女は俺の質問に答えてくれた。「確かに仕事の成功に見合った報酬を支払ってくれるのは魅力的ですが、でもそれって自分の命を等価交換して報酬をもらっている感じになってませんか?」と俺は言い。それに対して彼女は「それは詭弁ね、この世の中はリスクを取らなければ何も手に入らないのよ」とすかさず反論する。「でも!死んだら元も子もないですよ!」と真剣な顔をしながら言う俺に値して彼女は「死ぬなんて大げさな、私だって引き際をわきまえてますよ」と彼女は自分のグラスに注がれていたビールを一気に飲んだ。

 

 「俺、あなたの様な人間に昔会ったことあるんですよ」と俺が言うと彼女は俺を真っ直ぐ見て「へーそれは興味深いですね」と話の続きを催促してくる。「前の職場にあなたの様に徹夜を繰り返している同期がいました」と俺が話を始めると「ちょっと待った!徹夜を繰り返すって、仕事が出来ない人間もやりますよね!どうなんです?」と俺の話を遮り彼女は尋ねてきた。「安心してください、あなた程じゃないかもしれませんが、そいつは凄く優秀でした。話を続けても良いですか?」と俺が確認する。「どうぞ、続きをお聞かせください」と彼女が了承した。「そいつは優秀でした、いや、優秀すぎた・・だから、会社、同僚、上司がそいつに過度の期待と結果を求めたんです」と言い、続けて「そいつは良い奴でした、みんなの期待を応えるために頻繁に徹夜をする様になりました。俺は何度かそいつが徹夜している所を目撃していて、その時に大丈夫か?と一度、声をかけました・・そいつは大丈夫だと屈託のない笑顔で答えるだけでした」と俺は言った後、いったん話を中断してグラスに残っているビールを飲み干すと、彼女は俺のグラスに自分の瓶ビールを注ぎ追加の瓶ビールを注文した。

 

 「ある日、そいつが無断欠勤をしたんです。俺は上司の命令でそいつのアパートに様子を見に行ったら・・布団に包まって生気のない目でボーとしいて、俺が声をかけても全く受け答えもしない状態でした」と言い、過去の出来事が脳裏に浮かび、俺は苦虫を潰したような顔する。「その事を当時の上司に報告したら、何でそんなになるまで頑張っちゃったんだと言い、俺は戦慄しました・・この会社では働けないと思い翌日に辞表を出しました」と俺が言い終わると「結構お辛い人生を歩まれたんですね・・」と彼女が俺に哀れんだ。「そうなんです・・それからは契約社員として色々な会社を渡り歩いて今の会社に拾われまし・・って、ちがう!!」と俺は乗り突っ込みする。くそっ!俺って奴はいつも肝心な時にとちる。「よ、要するに自分をもっと大切にしないとダメだって事ですよ」と何とも閉まらない終わり方をした俺は物凄くかっこ悪かった。

 

 ばつが悪そうな俺を見た彼女はクスクスと笑い、カウンターに肘をつきながら「その後、彼は一旦実家に帰り勉強をし直してベンチャー企業を立ち上げてそこそこの成功を収めました。そして彼は矢部寛太とは今も友好関係です!めでたし、めでたし」と意地悪そうな感じで口を尖らせ言った。「・・・へっ?あ、あ、あんた誰だ?」と俺は思わず椅子から立ち上がり、動揺しながら彼女に尋ねる。「初めまして、弟がお世話になってます。姉の北原里奈です」と彼女は答え、ペコリとお辞儀をした。俺も反射的にお辞儀をして「健司のお姉さんですか?初めましてこちらこそお世話になっています」と言い席に座る。「駄目だよ矢部君w脇が甘いよw君が超絶エリートでイケメンだったらいざ知らず、お互いを見合っただけで女性から声をかけませんよw」と里奈さんに言われ俺は羞恥心で顔が真っ赤になった。

 

 そうだ・・俺はモテない男だった・・麗しの彼女に声をかけられてすっかり舞い上がってしまった。「でも、君が仕事を楽しそうにやっていると思ったのは本当ですよ」と言い彼女はビールをグビッと飲む。「あ、ありがとうございます・・健司の事を知っているから余計なお世話かも知れませんが本当に無理はしないでくださいね」と俺は言った。麗しの彼女から友達のお姉さんに変わってしまったが心配なのは変わらない。「ご心配ありがとうございます。次のステップアップの為の実績作りのための会社ですから、近日中に退社する予定です」と彼女は応える。そうなのか・・ホッとしが残念な気持ちもあり何だか複雑な感じだ。俺の高ぶった感情が大分落ち着き始めると「極厚ステーキ丼です」と店員が俺と彼女の前にステーキ丼を置いた。「うお!?凄いな・・噂以上だ!」と俺が感嘆の声を挙げると彼女も「本当に凄い!!分厚いステーキですね!」と感動の声を挙げた。



 

 「それでは頂きましょう」と彼女の合図で俺達は極厚ステーキ丼を食べ始めた。俺は手始めに一口サイズに小分けされたステーキを箸で挟み口の中に運ぶ。ステーキは適度な歯ごたえと共に、美味な油と肉汁が溢れてくる。口の中に美味なステーキの旨味が無くなる前に俺は白飯をかきこむ。うむ、ステーキの旨味と白飯の素朴な味が合わさって非常にうまい!そして、俺はおもむろに添えてあるサラダの中のトマトを食べる。おっ!?何だこれは?まるで林檎の様な風味がしてとても美味い・・それにトマトの酸味がステーキで脂っこくなった口の中を上手くリっフレッシュしてくれた。これなら、この脂っこいステーキを間を置かず食すことが出来る!俺はそれから無言でステーキ丼にがっつき、あっという間に完食をした。

 

 美味だったステーキ丼の余韻を楽しみながら、ビールを飲み、俺は隣の彼女の様子を見る。彼女も幸せそうな顔していて、上品に箸で上等なステーキを挟み、赤い口紅に染められたセクシー唇が開き、ステーキが口に運ばれる。不覚にも俺はそれを見とれてしまい、そして、それを彼女に気付かれた。「まあ、男だし、分かりますけど、あまり度が過ぎると弟に報告しますよ」と微笑みがら彼女は言う。「あ、ごめんなさい、お食事の邪魔をしてしまい・・今後気を付けます」と俺は真摯に謝罪をし、彼女は俺の態度を見て「素直でよろしい!弟への報告は保留とします」と言いながら笑った。それから、彼女も完食して、お互いにビールをグラスに注ぎ合い、極厚ステーキ丼の美味しさを語り合い、一緒に会計を済ませて店から出た。「弟と繋がっている限り、また、何処かでお会いする事があるでしょう・・その時を楽しみにしています」と彼女は言いながら、お辞儀をして「こちらこそ、楽しみにしています」と俺もお辞儀をし、街の喧騒の中、彼女の姿が小さくなって人混みに紛れて見えなくなるまで見送り、俺は彼女と逆方向に歩き家路についた。

 

 それから、数週間後・・三日月が輝く夜。俺は相変わらずトラブルシューターとして、ユーザーのトラブルを解決をしていた。麗しの彼女、北原里奈はあれから数日後に姿が見えなくなった。彼女の言質の通りなら恐らく、会社を退社したのであろう。お陰で、夜勤勤務の楽しみが失われた俺は、仕事に対してのモチベーションが少し下がってしまった・・こんな事なら連絡先を聞けばよかった。俺は頭に腕を組み、オフィスの天井をボーと見ていると「はーい!三国志武将しりとり始めるよ!」と突然、女性の声がする。俺は椅子をクルっと回転させ、声の主に向かって「しません、業務中です」と言い「何でよ!あんたといい、あの子達といい、最近乗りが悪い人増えたわよねー」と声の主は不貞腐れた。髪を束ね、眼鏡をかけた彼女は牧島 麗(まきしま れい)、俺とよく夜勤シフトで一緒になる同僚だ。

 

 妙に馴れ馴れしく接してくる同僚だが、何故か一緒にいてもストレスを感じない。いや、訂正する。三国志で絡んでくるのは正直ウザい。牧島麗が突然席を立ち、俺が彼女の行先を目で追うと、彼女は向かいのオフィスビルを探すような仕草をして「もういないの?麗しの月の女神だっけ?」と言う。「牧島さん、そんな事より、報告書を仕上げた方が良いんじゃないですか?」と俺はやんわり注意して、この件から遠ざけようとした。「報告書の作成は終わったし!こんな時間だから、もう大丈夫よ」と三日月をバックに彼女は親指を立てながら言う。全く・・彼女はいつもこうだ。「困ったお客さんから連絡が来るかもしれませんよ」と俺が更に注意すると彼女は電話の呼び出し音を真似て「トゥルルル、トゥルルル」と言い始めた。



 

 なんだ・・?埒が明かないな、仕方ない乗ってやるか。「はい、24時間完全サポート・カスタマーサービスセンターです」と俺が彼女の仕掛けて来た寸劇に乗ると、彼女は受話器を耳に当てる仕草をして「あの、困っている事があるんです」と彼女は言い、「お困りの内容は何でしょうか?」と俺は彼女を一瞥して尋ねる。「はい、同僚の矢部寛太の事が好きで困っています」と彼女は電話線を弄る仕草をし、流し目でこちらを見ながら答え、更に「トラブルシューターさん・・あなたなら解決をしてくれますよね?」と言った。「・・はっ??、あの、何を言って?」と俺は牧島麗の変則的な告白に頭が真っ白になる。しかし、寸劇は続き、彼女は告白に対しての答えを要求する様に見つめてきて、俺は堪らず「さ、左様でございますか、俺、じゃ無かった、私の提案はとしては、ステーキを食べながら、落ち着いて話し合いましょう」と迷走した受け答えをして、更に「な、何言ってんだ俺?、と、とにかく、凄く美味いステーキを出す店があるんです」としどろもどろになりながら言う。「ステーキの店って、五月雨ステーキ?それでいいです!会社から出る時は別々で、店で合流しましょう!それでは、がちゃ」と彼女は一方的に段取りを決めて架空の電話を切った。それから、彼女は何事もなかった様に振る舞い、仕事をし始め、俺も続いて業務にあたる。そして数分後・・「すいません!何かありましたか?」と女性同僚が所用から戻って来た。「何も無いわよ、ね!」と牧島麗が言いながら俺に目配せをする。「あ、うん、特に何も無かったから心配しないで」と俺の言葉を聞いて安心した女性同僚は、槙島麗とおしゃべりを始めた。終始彼女に主導権を握られ、一方的にやり込まれた状況に己に不甲斐なさを感じ、これから始まる恋のトラブルシューティングで挽回を決意し、俺は戦略を組み立て始めた。

 

 

 

 今回ご紹介する曲はsasakure.UKさん作詞作曲、イラストをPA‐neguMAさん、イラストサポートをviviさん、タイトルロゴをRie Watanabeさん、バックグラウンドアニメーションをpamさんによるBlackFlagBreaker!!です。

 

 本曲は、エレクトニカルな曲調に乗せて、正義のトラブルハッカーが、悪の組織が行う悪事を解決して活躍する物語を、KAITOさんが歌います。

 

 本曲の題名、BlackFlagBreaker!!は、個人的な解釈ですが、悪の組織が作り出す黒い予兆を見事に打ち壊す正義のヒーローにつけらた名前だと自分は思いましたよ。

 

 

 

 sasakur.UKさんのKAITOさんをメインに使った曲は、何気に初めて聴いた気がします。サイバーパンクな世界観の物語は惹かれますね・・あれやこれやと妄想が捗りますよ!

 

本曲に興味がお有りでしたら是非!

linkco.re

 

 

 

 本曲、BlackFlagBreaker!!の正義のヒーローが活躍する王道の物語は、聴く者の正義の心を奮い立たせ、何者でもない自分でも何かが出来るかもしれないと、思わせてくれる素晴らしい曲だと思いますので、是非!本動画を視聴して聴いてみて下さい!

 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

 

KAITO