煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

大丈夫という想いを届けたいVOCALOID

 こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 ビットコインの暴騰に伴い、例に洩れずその他のアルトコインの価格も引き上げらる現象が起こっています。このバブル状態はアメリカで承認されたETFによる資金の流入などが主な理由と上げられており、更なる価格上昇が見込める様です。まあ、ある程度上昇したら、所持している仮想通貨を売り、利確をしてポジションを解消するのが定石なのですが、日本における仮想通貨の利益は雑所得分に類されていて、最大税率は45%になり住民税と合わせれば55%と大変高額な税金が発生してしまいます。利確をして税金分を差し引くと・・・あれっ?って感じで想像上以上に残らないので、じゃあ行く所まで行くか!wと言う心理が働き(自分だけかもしれませんw)、握り続けてしまいますw。まあ、散々痛い目を見ましたので、今回は一つの銘柄の一点買いは止めて、分散して買う事にしました。百円以下の安いアルトコインを中心にして、家宝は寝て待てです!。

追伸、柴犬コインいいですねw、なんたって一円以下だから、500円分でも数万枚程の柴犬コインが手に入り、もしかしたらワンコインで億り人になる可能性を秘めていますw、わんちゃんだけに・・・。

 

今回のお品書きになります

 

 

 

煮干しのお送りするちょっとした物語

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

 

 周辺の木々から先程までしきりにさえずっていた鳥たちの鳴き声がピタリ止まり、まるでこれから来る嵐を備えるために息を潜めてる様だ。シーンと静まり返った森の中で、何でも屋である俺、兼平竜矢(かねひら りゅうや)と従業員第一号であるショートカットで作業着姿のキリッとした目が印象の日下部晴美(くさかべ はるみ)、それと茶虎柄の猫、茶太郎による二人と一匹は、段ボールとブルーシートで出来たホームレスハウスの入口で仁王立ちして腕を組む、ボロボロの作業着姿で白髪の長髪に伸び放題の髭を携えた仙人の様な老人、通称猫爺と対峙していた。「説明してもらおうか?」と俺は手にしている日記帳を猫爺に見せ付ける。猫爺はその瞬間、わなわなと体を震わせ耳を真っ赤にして、「わしの家に勝手に入ったんか!?」と荒ぶった様子で言い唾を飛ばす。隣にいた日下部は咄嗟に避けて、下にいる茶太郎も呼応する様にバックステップする。俺は一切のアクションをせず、飛んできた唾が顔に数滴かかるも気にせず「ああ入ったよ、それについては謝罪をしよう、すまない・・・、さあ、次はあんたの番だ、この日記帳をどこで手に入れた?」と極めて冷静に努めて尋ねた。興奮している者にこちらも興奮で対峙すれば埒が明かなくなる、これは前職である探偵時代に学んだことだ。俺の澄ました様子に、猫爺の興奮は急速に収まり、そして挙動不審な態度に変わって、「どこって・・・、そりょあ、ごみ捨て場で偶然見つけたのよ、お前だってわしの収集癖を知っているだろう?」と目はキョロキョロと落ち着くが無い。俺はため息を付き、「嘘をつくなネタは上がって・・・」と猫爺を追い詰めようとした時、「白々しいですね!、あなたが家に家宅侵入して取ったのは分かってるんですよ!、嘘の特殊訓練をした方が良いんじゃないですか?」と日下部が会話に割って入り最後は特殊訓練煽りを開始。俺は日下部の暴走を制止るべく手を彼女の顔の前に出し、「日下部さん、特殊訓練を出すのを止めようか?、あと、複数で会話すると拗れるからちょっとお口にチャックをしてくれる?」とやんわり言う。日下部は出鼻を挫かれて勢いを失い、「はあ・・・、了解しました」と素直に了承。彼女の前職はいわゆる治安を守る組織にいて、数々の特殊訓練を経て様々なスキルを習得しているのだが、その特異な性格と特殊訓練に異様な執着をしていたのが災いして、職を追われてしまい、うちの何でも屋に転がり込んできた。足元の茶太郎が日下部を慰める様に彼女の足元にまとわりつき、その様子を俺は一瞥して猫爺に向き直り、「すまない・・・改めて聞こう、この日記帳はどこで手に入れた?」と再び問い詰める。猫爺は白髪頭をボリボリとかきむしり、「こりゃあ・・・ウソを言っても無理じゃな、はぁ・・・まっ、中に入れ、茶ぐらい出すぞ」とホームレスハウスに俺たちを招き入れた。俺は躊躇せず猫爺に続き入ると、それに続き日下部は少し躊躇したが渋々俺に続き入り、最後に茶太郎がクンクンと嗅ぎまわりながら入り、不穏な空気が直ぐ去ったのを本能で悟ったのか野鳥たちのさえずりが始まった。

 

 俺たちはとある依頼で長期入院の末で亡くなった方の家の掃除の依頼を受ける。長い間、放置されていた家は不法投棄によってごみ屋敷状態になっていて、少し難航したが無事金目の物とごみの仕分けをし、最後は依頼主と弁護士、更に相続代表人立ち合いのもと金庫を解錠。そこで桜柄の上等な万年筆を発見する。当初は分からなかったが日記帳を発見し、家主が懇意している女性に渡す予定だった品物と判明した。俺たちはこれも何かの縁と考えて、その件の女性を探す事にする、しかし、女性がいたとされる職場には退職していて、行方を掴むことが出来なかった。途方に暮れた俺、だが日下部が日記帳からもう一つの日記帳の存在がある事を掴む。俺たちは急いで着の身着のままに再び亡くなった方の家に行き捜索を開始。捜索をしても日記帳は見つからず諦めた時、少し前に依頼られていた行方不明の猫である茶太郎が現れる。猫に詳しい猫爺が教えてくれた場所とはまるで違う場所にいた茶太郎に俺は猫爺を怪しむ。猫爺が空き缶集めをしている隙に、ねぐらを捜索。すると、ゴルフ雑誌の間に日記帳を発見した。俺は確信を得て今に至るという訳だ。

 

 俺は猫爺に促されるまま、湿った座布団の上に座り、卓上コンロでお湯を沸かしお茶の準備をしている猫爺の様子を伺う。隣で座っている日下部は湿った座布団を気にしていて指先で何度も触っては膝を浮かし作業着が濡れてないか確かめていた。数分もするとヤカンから湯気が立ち、猫爺はそれを急須に入れて小刻みに揺すり、最後は湯のみに入れて俺たちに差し出す。俺は差し出された湯飲みを手にして一口飲む。すると、その独特な風味で、「ぶっへっ!」とむせ返り、「な、何だこれは?」と猫爺に尋ねた。猫爺はニヤリと笑い、「近所で入手したドクダミを煎じたドクダミ茶よw」と言う。その言葉に日下部は飲むのを止めて置く。置かれたお茶を茶太郎がクンクンと嗅ぐと渋い顔をして後ろ足で砂掛け行動を開始。俺はそんな茶太郎を横目に、「さあ、話しても貰おうか?」と猫爺に言った。猫爺は恐らく自分が愛用している湯飲みに不味いドクダミ茶を入れると一口飲み、「そうさな・・・、どこから話すかの・・・」と伸ばし放題の髭を触る。そして、猫爺は俺の方を真っ直ぐ見て、「奴とは3年前、ここの公園で出会った」と言う。俺はすかさず、「奴とは、家主の事か?」と尋ねた。猫爺は頷き、「そうじゃ、丁度ブランコの前にあるベンチに座り、何をする訳でもなく一点だけを見ていた」と答え、再び口を開き、「うつろな目をしていた奴を見て、わしらと同じ全てを失った者だとすぐ分かり声を掛けたのじゃ」と遠い目をする。猫爺は再びドクダミ茶を飲み、よくむせないなと思いつつ、俺は猫爺の話が始まるのを待った。猫爺は茶太郎を引き寄せて自身の胡坐の中に入れて喉を撫でながら、「奴に事情を聞けば、やはり家も仕事も家族も失って途方に暮れていると言う、わしはそんな奴に自身を重ねてな・・・、ホームレスとしてのいろはを叩きこんだのじゃ」と言う。俺は家主の事情に矛盾を感じ、「猫爺、ちょっ、ちょっと待ってくれ!、亡くなった家主さんはホームレスじゃないぞ」と指摘。猫爺は首を横に振り、「いや、奴はホームレスじゃ、間違いないぞ」と俺の指摘を否定する。俺は少し興奮しながら、「家主さんはな、散歩の途中で倒れるまで立派な一軒家に住んでいたんだ、あんた、この期に及んでまだ知らを切るつもりか?」と追及をした。猫爺は少し嘲笑する様な表情で、「何も知らんようじゃの、奴が住んでいた家はわしの家じゃ」と到底信じられない発言。俺のボルテージはさらに上がり、「じゃあ何か?、亡くなった家主さんは、あんたに成りすまして暮らしていたのか?、おいおいw、猫爺w、流石にそんな与太話を信じろって方が無理だぜ!、大体あんた、じゃあ何でホームレスなんてしてるんだよ?」と声を荒げた。猫爺は俺の激しい追及に澄ました顔で、「金庫の番号は、右に五回まわして98、左に三回まわして45、右に四回まわして21、最後は左に二回まわして9」と数字の羅列を突然言う。俺は咄嗟に現場で金庫を開けた当事者である日下部を見る。日下部はポカーンとした表情で、「あ、合ってます・・・」と言う。俺は振り返り、「家があるのに、何でホームレスをしてるんだ?」と尋ねた。猫爺はため息を付き、「はあ、あまり言いたくはなかったが、嫌疑を晴らすためには仕方が無いのう・・・、あれは昭和の真っただ中、わしはプロゴルファーとして生計を立てていたのじゃ」とぽつりぽつりと言う。猫爺が酔っ払って言っていたのは本当の事だったのか・・・。猫爺はゆっくりと口を開き、「余りいい成績を残せない日々が続いていたが、打ちっぱなしゴルフ場のトレーナーとして、それなり稼いで、妻と一人息子、それに家を構えて、それなりに幸せな日々を過ごしていたのじゃ」と言う。猫爺は卓上コンロの火を点けると、空き缶に詰め込んであったよれよれで湿気ている感じの煙草を取り出し、火を灯して一服。ホームレスハウスの中に猫爺の吐き出した煙が充満し、日下部は、「げほっ、げほっ」とせき込み、猫爺の胡坐の中にいた茶太郎が逃げ出す。一息を入れた猫爺は、「しかし昭和の終わり頃、バブル景気が始まり、わしは土地ころがしに夢中になり、家庭を顧みない生活をし始めた・・・、お金が倍々になって狂気と有頂天の日々・・・」と自嘲気味に言う。猫爺は急須から自身の湯飲みにドクダミ茶を入れると飲み干し、苦虫を嚙み潰したような表情をし、「そんな生活も長く続く訳もなく、稼いだお金の大半が消えて意気消沈で家に帰ると、離婚届と置手紙が机の上に置いてあったのじゃ、その置手紙の書いた月日を見ると半年も前に書かれたものじゃった・・・、わしは家族が家から出て行っても半年の間、気が付かなかったのじゃ」と思い出したくもないだあろう過去の一端を話す。猫爺の話は続き、「わしは懸命に家族を探した、ようやく見つけたのもつかの間、一人息子は事故で亡くなっていて、せめて残っている幾ばくかのお金を妻に渡そうとしたが、三下り半を突き付けられ追い返され絶縁という結末じゃ・・・」と最後は消え去りそうな感じになる。依頼者から聞いた一人息子はかなり昔に交通事故で亡くなっているという情報と符合しいてる・・・、猫爺の話は嘘では無いな・・・。俺は続きを聞くために、「それから何でホームレスになったんだ?」と尋ねた。猫爺はホームレスハウスの天井を眺め、「家は家族の思い出で溢れていたのじゃ・・・、その思い出一つ一つがまるでわしを責め立てる感じがしてな・・・、居ても立っても居られないず、わしは着の身着のままホームレスになったのじゃ」とホームレスになった経緯を全てを吐き出し終える。

 

 俺は猫爺の話しの中にまだ疑問を感じる事が数点あり、「大方は信じよう、だが何点か分からない、何で金庫の番号を亡くなった方は知っていたんだ?、それに日記帳をを何で持ち出した?」と尋ねた。猫爺は即座に、「そりゃあ、わしが教えたからじゃw、日記帳を持ち出したのは、ホームレスっちゅう生き物はエンターテインメントの飢えてるんじゃ!、他人の赤裸々な記録はわしの数少ない楽しみじゃ!」と最後は恥も外聞も無い事を言う。俺は呆れつつ、「はあ・・・エンターテイメントね・・・」と言い、日下部は顔を引きつりながら、「変態ですね」と見下す。ヘラヘラと笑い特に気にする様子も無い猫爺に俺は気を取り直し、「土地の権利書とかを盗まれるとか心配しなかったのか?」と尋ねる。猫爺はクスクスと笑い、「何でも屋、お前はホームレスの事を何にも知らないのぅw、ホームレスまで堕ちる奴はそんな器用な事が出来る訳無いのじゃ!、出来たらホームレスなぞやっとらん」と謎の説得力を感じさせる。段々と今回の件の全体像が明るみになり、俺が次は何をするか思考を巡らせていると、日下部が突如、「あの、自宅がごみ屋敷になって行くのを猫爺さんはどんな気持ちで見ていたのですか?、後、なんで土足で自宅を出入りを?」と矢継ぎ早に質問を猫爺にぶつけた。猫爺は頭をポリポリとかき、「フフw、お嬢さん質問が多いのw、わしはあの家の末路にとやかく言える権利は無いと思っておる・・・ごみが何らかの理由で燃えて火事になったらそれはそれまでと観念しとった」と言い、力無い愛想笑いする。それから猫爺は視線を上に向けて思い出す仕草をし、「あれは身も凍る寒い日の事じゃ、ダンボールハウスでは凌げないと判断したわしは、やむに止まれず自宅に避難をしたんじゃ、だがわしは愕然としたよ・・・外だけではなく屋内まで続くゴミと正体不明の無数の足跡、そんな我が家の変わり果てた姿をこれ以上留まりたく無い気持ちになったが寒さを凌ぐ当ては無いからの・・・、かと言って靴を脱ぐ気も起きず・・・土足で入り寒さが和らぐまで数日過ごしたのじゃ・・・」と切ない顔。老人の情けない告白により、ホームレスハウスになんとも言えない哀愁と気まずい空気が漂う。重たい沈黙が数分続き、俺は何気なく茶太郎に視線を移すと、茶太郎は日下部が手を付けてないドクダミ茶に対して、何度目かの砂掛け行動を開始。日下部はニヤリと笑いそんな茶太郎に、「何度やっても匂いは消えませんよっ!」と後頭部に目掛けデコピンをする。「スコン」と小気味いい音がすると、俺と猫爺はクスッと笑う。そして、茶太郎は振り向き、「うにゃうにゃ」と抗議する様に鳴き日下部の膝にまとわりつく。一匹と一人のやり取りに場が和み、俺は駄目元で、「猫爺、亡くなった方と懇意して女性とか知らないか?」と尋ねた。猫爺は少し考える様な仕草をして、「その女性かは分からないが・・・、少し前に家の様子を見に行った時、初老の女性がわしの家をじっと見つめていたのでな、その家に何か用かって尋ねたのじゃ」と言う。俺は少興奮気味に、「その女性は何て答えたんだ?」と猫爺に迫る。猫爺は俺の勢いに押され気味、「な、何って、この家の方はどこに入院しているんですか?って聞いて来たんじゃ、奴がどこに入院したのは知らんから、分からんと答えたわ」と答えた。間違いない鈴原さんだ。俺は気持ちを落ち着かせて口を開き、「何処から来たとか言わなかったか?」と再び尋ねる。猫爺は思い出そうとする仕草をした後、「うーん・・・、確か・・・、南部の割と新しい市営団地から来たと言ったような気がするのう・・・」と懸命に記憶をひねり出す。ようやく見えた活路に俺はニコリと笑い、「猫爺!、お手柄だ!、日下部さん!、早速聞き込みを返しだ!」と行動開始を日下部に伝える。日下部はこくりと無言で頷き先陣を切ってホームレスハウスから出て行く。俺も日下部に続きホームレスハウスから去ろうとすると、「何でも屋!、ちょっと待て」と猫爺が引き留める。俺は振り返り、「何だ?猫爺」と言う。猫爺はもじもじとしながら、「その・・・日記帳を置いていってはくれまいか?」と恐る恐る打診。当然そんな要求を受け入れる事は出来ないので俺は、「猫爺・・・諦めろ、それよりも役所に行って自分が正当な地権者として説明をしに行け、じゃないと遺産整理で更地にされるぞ」と言い更に、懐から財布を出し五千円札を猫爺に握らせ、「この金で身なりを整えろ」と言う。猫爺は思わぬ収入に驚き、「こ、こりゃ・・・仕方が無いのう・・・面倒だが役所に行くかのう・・・」と渋々俺の提案を受け入れた。

 

 俺たちは猫爺のホームレスハウスを後して南部の市営団地を車で目指す。南部にある新し目の市営団地は一棟しか該当するものは無い。目的に着き車から降りると茶太郎を抱きかかえた日下部が、「あの・・・猫爺の話しは本当の事でしょうか?、金庫の番号を知っていたのはメモ書きを見つけただけかも知れませんし・・・」と俺に不安そうに尋ねる。俺は市営団地を見つめながら、「どうだろうな・・・本当だったら役場に素直に行くだろうし、嘘だったら姿を消すだろう・・・いずれにしろ俺たちが来たことによって警察が近い将来動くことは猫爺も分かっているだろうから下手な事はしないだろう」と返す。日下部は不服そうな顔で、「でも、でもですよ、もし嘘で空き巣に入っていたら見す見す犯罪者を逃すのは・・・」と元治安を預かっていた者として吟慈か尚も引き下がらない。俺は日下部に視線を戻し、「仮に猫爺が空き巣だったとしてもさっ、大したものを見つけられなかったと思うよ、もし見つけていたらネットカフェやカプセルホテルに泊まるなどいつもと違う行動をすると思うんだ・・・、俺が知る限り猫爺はそんな行動をして無いからな、だから緊急性があるとは俺は到底思えない、今は成り行きを見守るしかないよ・・・俺たちはしがない何でも屋だ、警察じゃない、俺たちしか出来ない事をして行こう」と諭す様に言った。日下部は少し押し黙り茶太郎をぎゅっと抱きしめ口を開き、「そうですね・・・、私たちが出来る事をしましょう」と一応納得をしてくれた。俺たちは早速市営団地を見回り、世間話に花を咲かせている主婦を発見し、「こんにちは、私は何でも屋を営んでいる兼平と申します、最近こちらへ引っ越して来た鈴原さんという方をご存じないですか?、年の頃は初老位だと思うのですが」と尋ねる。主婦たちは押し黙り怪訝な顔つきで明らかに俺たちを怪しんでいた。しかし、主婦の一人が日下部の抱いていた茶太郎を見て、「あら♪、可愛い茶虎猫ねw」と近づく。日下部が茶太郎を主婦に差し出すと、「えっw、大丈夫?いいの?」と少し遠慮しがちで日下部に言う。日下部は、「ええ、大丈夫ですよ、茶太郎は誰にでもフレンドリーですから」と主婦に茶太郎を再び差し出す。主婦は恐る恐る茶太郎を受け取り、「うわっw、柔らかいw、もふっもふっw、茶太郎って言う名前でちゅか?」と上機嫌になった。すると、残りの主婦たちも集まり代わる代わる抱っこして、キャッキャッとはしゃぐ。俺はそろそろ大丈夫だと思い、「あの!、先程お尋ねした事ですが、何か知っていますか?」と主婦たちに尋ねた。主婦たちはお互いを見て、その内の一人が思い出す様に、「鈴原・・・あっ!、もしかして、一週間前ぐらいに救急車に運ばれた方かしら?」と言う。そして、違う主婦が、「ああ!、あの時の救急車のお婆さん、確か最近引っ越してきた方よね、いつも一人でいた寂しい感じの方だったわ」と相槌をする。間違いない!、俺達が追っている鈴原さんだ。俺はすかさず、「その方が入院されている病院とか知りませんか?」と行方を尋ねた。主たちは再びお互いを見て、その内の一人が、「さあ?、でもここの住人が入院するなら市立病院だと思うわ」と答えてくれた。俺は頭を深々と下げて、「ありがとうございます、助かりました」と礼を言い、日下部も頭を下げると主婦から茶太郎を受け取る。俺たちは早速市立病院に車を走らせた。市立病院に着くと日下部を車に残して茶太郎の面倒を任せ、俺一人で病院に向かう。独特の消毒液の匂いが俺を向かい入れ、先に見える病院の受付には老若男女が沢山いた。病院のスタッフが日々これ程の人たちを捌いていると思うと、頭が下がる思いだ。俺は受付に行き、「あのすいません、自分は何でも屋の兼平と申します、鈴原さんという方が入院されていますでしょうか?」と念のために持ち歩いている名刺を差し出す。受付にいた事務員さんは名刺と俺を交互に見て、「何でも屋さんが、何でその方を探しているのでしょうか?」と尋ねて来た。俺は即座に、「実はですね、ある方が亡くなりまして、その方が住んでいたお住いの遺品整理を自分がしたんですが・・・、その作業中に見つけた日記帳で、その亡くたった方が鈴原さんという懇意にしている女性に、どうやらプレゼントをしようとしていた事を知ったんですね、これも何かの縁だと思いまして、亡くなった方に代わりこの品を渡したいと参りました」と説明し万年筆が入っている上等な箱を出す。事務員さんは俺の説明に頷きながら聴き入り、箱を開けて「あらっ!綺麗!桜柄の万年筆なんてロマンチックw」と感動している様子。俺は好感触を感じ、「一週間前位に救急車に運ばれた方なんですが、分かりますか?」と尋ねる。事務員さんは少し悩んでから、「ごめんなさいね、正当な理由がないと教える事は出来ないのよ、でも、ちょっと院長に打診して見るわ、待ってて」と足早に奥の部屋に入って行った。遂に鈴原さんと対面する所まで来た。どんな女性なのだろうか?、プレゼントを渡されてどう思うのだろうか?。俺は居ても立っても居られない気持ちを押えつつ待っていると、ニコニコ笑顔で事務員さんが返って来て、「院長が特別に許可してくれたわ!、ちょっと待っててね・・・」と端末を操作し始める。すると、数秒で事務員さんがあっ・・という表情をし、「鈴原さんね・・・、うちに救急車で運び込まれて二日後に亡くなっているわ」と言う。俺は予想外の答えに、「亡くなった・・・」と茫然自失。ショックを受けてフリーズをした俺に事務員さんは、「大丈夫?、えーと、親類縁者もいないから自治体が最後の面倒を見たみたいね、まっ、ここまで来たらさ、最後まで行ったら?」と言う。俺はその言葉に反応して、「最後まで?」とポカーンと間抜け面。事務員さんは俺の両肩を力強く持ち、「しっかりしなさい!、いい?、こういう引き取り手が無い仏様はね、ここの自治体では大抵、無縁仏を積極的に受け入れている安慈ってお寺に集められるの、そこに行って彼女の墓前にこの万年筆を渡しに行きなさい」と俺の目を真っ直ぐ見る。俺はその勢いに押されなら、「はっ、はい、じゃあその安慈って寺に行きます」と言ってしまう。事務員さんはニッコリ笑い、「じゃあ、頼んだわよ!、亡くなった方の想い届けなさい!」と俺を鼓舞。俺は腑に落ちないまま礼を言って病院を後にし、首を傾げつつ車に向かう。俺が車に乗り込むと、茶太郎を抱いていた日下部が、「お帰りなさい、首尾はどうです?」と早速報告を求めて来た。俺はため気を付き、「鈴原さんは亡くなっていた・・・、これから安慈という寺に向かう」と日下部に伝えた。日下部は驚き、「亡くなった!?、えっ、お寺に向かう?、どうして?」と矢継ぎ早に聞く。俺は少し苛立ちながら、「事務員さんが行けって言ったから行くんだよ!、最後まで付き合えだとさ!」と答える。日下部はポカーンとして、「事務員さん?、病院でなにが・・・?」と呟く様に言う。俺はエンジンを始動して、カーナビに件のお寺の名前を入力すると一件候補が上がり、ナビゲート開始。カーナビに案内されるまま10分位車を走ると、閑静な住宅街に入る。カーナビが目的に着きましたとアナウンスをすると目の前にはこんもりとした、森が現れ、入り口の様な門の前にある砂利の駐車場に数台の車が停まっていた。俺は早速車から降り、続いて日下部が茶太郎を抱いて出て来て、大きな岩が両側に置いてある入口の様な所の前に立ち先を伺うと、地面には飛び石が敷き詰められて両側には樹齢100年は超えていると思われる杉の木が立ち並び、杉の根元には苔がびっしりと生えていて、独特な雰囲気を醸し出していた。

 

 俺たちが躊躇していると茶太郎がにゅるんと日下部の手から逃れ先陣を切り先に進む。俺たちは互いを一旦見て茶太郎の天高く伸びた尻尾を目指し歩く。少し歩くとポクポクと独特のリズムが聞こえて来て更に線香の匂いが俺の鼻腔を刺激した。茅葺き屋根のこじんまりとした門に安慈と表記された看板が立てかけてあり、俺たちそれを潜ると、立派なよく手入れされた庭園を通り過ぎ、瓦屋根の大きい屋敷が現れる。戸が解放されている正面玄関と思われる所に着くと、受付の様なカウンターがありその上には銀色の呼びベルが置いてあった。俺はその呼びベルを押すと、小気味いい音が鳴り即座にドタドタと廊下を歩く音がして、紺色の作務衣のお坊さんが現れ礼を深々とし、「どうも、本寺院にどの様な御用でしょうか?」とホテルのコンシェルジュを思わせる丁寧で感じが良い接客をしてきた。俺は懐から万年筆が入った上等な箱と日記帳二冊、更に名刺を差し出し、「何でも屋の兼平と申します、実は鈴原さんと言う方がこちらでお世話になってませんでしょうか?、最近に亡くなった方なんですが」と尋ねる。作務衣を着たお坊さんは受付用のテーブルの後ろにある棚からファイルを取り出し、「少々お待ちください・・・あっ、市立病院でお亡くなりになった鈴原さんですね?」と確認を俺にする。俺は即座に、「はい!、その方です!、実はこの万年筆と日記帳二冊をお供えたいのですが大丈夫ですか?」と箱を開けて見せる。作務衣姿のお坊さんは万年筆と取り出し、「構いませんが、随分とお高い物みたいですが、良いのですか?」と俺に再び確認。俺は笑顔で、「はい!、よろしくお願いします!」と言い日下部と共に頭を下げ上げると作務衣姿の住職が消えていた。俺たちは辺りを見回すと、突如茶太郎を抱いた作務衣姿のお坊さんが受付のテーブル越しに出現。作務衣姿のお坊さんは受付のテーブルに茶太郎を置き、「猫さんが足にまとわりついてきましたのでw」と言う。俺は全てを察して、「すいません!」と茶太郎を抱き上げる。茶太郎め!、いつの間にか上がり込みやがって・・・。俺が茶太郎に無言のクレームを向けると作務衣姿のお坊さんが何かを待っている。俺は少し考えてハッとなり、「すいません!、供養代幾らでしょうか?」と財布を出す。作務衣姿のお坊さんはニコリと笑い、「お幾らでも良いですよ、お気持ちですので」と言う。俺は財布から一万円札を取り出し、「あの、香典袋はないのですが・・・」と差し出す。作務衣姿のお坊さんは笑顔で一万円札を受け取り、「ありがとうございます、気にしないでください、大事なのは想いですかので」と合掌をする。ようやく役目が終わり肩の荷が下りて俺たちは帰ろうとした時、「無縁仏様の法事が行われております、良かったら参加してみて下さい、猫ちゃんも参加しても大丈夫ですから」と作務衣姿のお坊さんは言った。俺と日下部は互いを見て頷き、俺が口を開き、「じゃあ、参加させていただきます」と参加する意思を伝える。作務衣姿のお坊さんはニコリと笑い、「こちらで靴を預けて下さい」と下駄箱を指し示す。下駄箱には様々な靴が入っていて法事に参加している人が結構いる事が分かった。俺と日下部は靴を下駄箱に入れて、作務衣姿のお坊さんの後に続く。本堂に通されると、むせ返るよな線香の匂いと立派な袈裟を身に着けた住職が複数の白い簡素な骨壺を前にお経をあげていて、その後ろには複数の人が神妙な面立ちで座っていた。あの骨壺は恐らくだが全て無縁仏なのだろうか?、だとしたら結構いるんだな・・・。俺が感慨深い気持ちに浸っていると作務衣姿のお坊さんは、「お好きな所に腰をお掛けください」と俺たちに座るように促す。俺たちは素直に従い適当に開いている椅子に座ると作務衣姿のお坊さんは、住職の元へ行き無言でお辞儀をして、骨壺の前に俺たちが持ち込んだ万年筆が入った上等な箱と日記帳を骨壺の前に添えた。俺と日下部は神妙な気持ちでお経を聴いていると、突如後ろから誰かが肩を叩く。俺はゆっくりと後ろ振り向くと、俺に家の清掃を依頼した役場の依頼者だった。坊主頭で作業服の下にワイシャツとネクタイを締めた姿の男は相変わらず馴れ馴れしく、「よっ!、何でも屋、何でこんな所にいるんだw、つかっ、何で猫w」と尋ねて来た。俺は浸りたい気持ちにいた所に邪魔され鬱陶しいと思ったがそこは我慢して営業スマイルで、「いや、例の家で発見した万年筆を渡そうとしたら亡くなっていまして・・・成り行きでここにいます、あっ、猫は車に閉じ込める訳にもいかなので」と打ち明ける。依頼者は驚いた顔をして、「万年筆ってあの金庫の中で発見した奴?うそだろw」と最後は愉快そうに笑う。俺はその態度に不快になったが我慢し、「所であなたこそ何でここに?」と尋ねた。依頼者は苦笑をして、「いや参ったよw、あの亡くなった方の親族は遺灰の受け取りを拒否してね、そっちで処分してって感じでさ、仕方が無いからこちらのお寺さんに頼んだのよ、そんなのはよくある事だから良いんだけどさ・・・」と何かを含んだ言い方をする。俺は気になり、「何かあったんですか?」と言う。依頼者は神妙な顔し、「実はさ、ついさっきの事なんだけど、あの家の持ち主っていう人が現れてね、猫爺って知ってる?、何でも屋の事務所の近くの公園でホームレスしてる猫にやたら詳しい爺さんさんだけどさ、その爺さんが役場で現れてそんな事を言うもんだから、役場中がひっくり返したような大騒ぎになってね、警察も動くかもしれないと上司もぼやく始末だよ」と事の顛末を一端を俺に告白。猫爺・・・俺の言いつけ通り役所に行ったんだな・・・。横で聞いていた日下部は少し嬉しそうな表情をし、俺はそんな日下部を横目に、「災難でしたね」と依頼者を慰める。依頼者は嬉しそうな顔をし、「慰めて来るとは嬉しいねw、猫ちゃんも慰めてよw」と茶太郎に手を伸ばす。しかし、茶太郎はそんな依頼者の手の甲を猫パンチで弾く。依頼者はビックリしながら、「なっ!?、何だこの猫!、保健所に入れるぞ?、くそっ!、何でも屋!、その猫の飼い主に言っとけ!、今度外でその猫を見つけたら問答無用に保健所に入れるとな!」と珍しくイラついた様子。俺はすかさず、「すいません、あれ?wおかしいな?w人懐っこい猫なんですけどね」と平謝り。すると、依頼者はふんと鼻息荒く自身が座っていた席に戻った。俺は茶太郎の頭を撫で回し、良くやった!茶太郎!と心の中で褒めちぎった

 

 住職はお経が終わり、立ち上がり振り返ると、「皆さん今日はご足労でした、今日は月一の亡くなった引き取り手がいない無縁仏の法事になります、住職の私は常々思うんです、無縁仏は存在するのでしょうか?、存在するなら今日参加して下さった方々は何者でしょか?、人は生きている限り必ず誰かと縁が繋がる生き物だと私は信じています、諸法無我(しょほうむが)と言う言葉があるのですが、この世のものは全て因縁で繋がって生じたという仏教用語です、正に今日参列して下さった方々と仏様の関係をはそれを証明しているとと思いませんか?、更に言うと・・・」と説法が続く。俺は説法を聞きながら住職の後ろに並ぶ骨壺をぼんやり見る。すると、骨壺の前には生前と名前と戒名が書かれている札が貼ってある事に気が付く。俺は注意深くその札を端から見ると、鈴原さんの骨壺の横にある札に猫爺の家に居候した謎の人物の名前があり俺は驚愕する。二人の骨壺はまるで夫婦の様に寄り添いピッタリとくっ付いていて、巡り回り遂に再会出来たのかと思うと目頭が熱く熱くなった。住職の説法は終わり、参加していた人々はそそくさと帰り支度を始める。俺たちも茶太郎の件もあるので、住職と作務衣姿のお坊さんに礼を言い立ち去ろうとした時、「何でも屋!、また何かあったら頼むな」と依頼者が肩を叩く。俺は即座に営業スマイルを作り、「はい、その時はよろしくお願いします」と頭を下げ、立ち去る依頼者の背中に向けて牙を出し、サイレントシャーをして見送る茶太郎。それを目撃していたお坊さん達は苦笑していた。俺たちは寺院を後にし、茶太郎の飼い主であるオババがいる炭酸屋に向かう道中、川沿いに咲き乱れる河津桜の並木道を発見し俺たちは寄り道をする。車から降りると日下部は今時の女子らしく、スマホ河津桜を撮りまくってはしゃぐ。俺は茶太郎を抱っこしながら河津桜を眺め思いにふける。あの二人は彼岸にいるのだろうか?、彼岸はでは河津桜が咲き乱れているのだろうか?、すれ違った最後を迎えた二人に春が遅れて訪れたと俺は思いたい。俺の頬に心地よい風と共にピタと柔らかい感触が混じる。俺はその感触に我に返ると茶太郎が俺を見つめ、「うにゃあ!」と鳴く。それは早く帰ろうとまるで言っている気がした。

 

ーおわりー

 

352曲目の紹介

 

 

 今回ご紹介する曲は、いよわさん全てお一人で手掛けたももいろの鍵です。

 

 掌にある桃色の古ぼけた鍵を私は見つめながら過去を思い出していた。内気な性格は私は友達が出来難く、いつも一人で過ごす日々だった。だが、寂しいとは思った事は無かった。なぜなら私には秘密の友達がいるからだ。彼女との出会いは、部屋で一人引きこもっていた時だ。焦燥感と不安が入り混じった不快なものが私の頭をかき回し誰でも良いから助けて欲しいと懇願した時、家族と旅行をした時に買ってもらった桃色の鍵型のキーホルダーを握りしめた。すると、フランス人形のような格好した彼女が現れる。その日からは彼女に何でも打ち明けて、人生の節目から節目までに起きた体験を彼女と共有した。月日が経ち、人との距離感を覚えてくると、彼女とのふれあいは徐々に少なり、遂には彼女は現れる事は無くなった。時より今でも彼女を思い出し呼ぶこともあるが、彼女は一向に現れない。彼女は何者だったのだろうか?、ただ一つだけ彼女に言いたい。もう大丈夫、私は笑えるからと。

 

 

 イマジナリーフレンドと共に人生にある数々のステージを歩んだ女性が、感謝と再び相まみえる事を望む物語を情緒感溢れる歌詞と曲で初音ミクさんが歌います。

 

 本曲の題名ももいろの鍵は、曲中の女性がイマジナリーフレンドとのつながりの象徴だと考察しましたよ。

 

 


www.youtube.com

 

 今回はいよわさんの曲という訳で、甘酸っぱい青春を感じつつ、人生観の様な哲学的な要素もあって楽しく聴けましたよ!

 

 本曲、ももいろの鍵は、一人の女性の人生観を一曲に詰め込んだ叙述的な流れにより、聴き手の物語に対しての解像度を高めて、感情移入しやすくするためによく練り込まれた素晴らしい曲でので、是非!本動画を視聴して見て下さい。

 

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

初音ミク