煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

新しい生き方を模索したら原点回帰だったVOCALOID

こんにちは こんばんは 煮干しです

 

ビットコインが最高値を付けて、これからバブルが始まる感じの様相になり、ワクワクしますねw。自分はビットコインは持っていませんが、アルトコインビットコイン以外の仮想通貨)が連動して値段が上がるので、期待値Maxですね。黎明期の仮想通貨といえば、実態があまり伺い知れない怪しさ満点で、アングラ臭が凄くして、曰く反社勢力のマネーロンダリングに使われている、曰く違法薬物の取引に利用されているなど、一般人から敬遠される情報が飛び交っていました。しかし、時代は変わり現在ではまっとうなビジネス展開が始まり、ある程度は部外者でも、そのコインにおける活動内容が知り得て吟味出来るようになりました。ビットフライヤーでは初のIEO(暗号資産による資金調達)が行われ、自分も応募しましたが、噂では100万単位が基本と言われていて、自分は・・・ちょっとその額を出すのは無理ですねw。いや・・・、過去に似たような金額を突っ込んであっという間に数万円になった事がありまして、そのトラウマを未だに払拭出来ないんですよw。まあ、一口、二口が限界で当たらんでしょうなw。今回、IEOをしたエルフトークンは、どうぶつの森みたいなゲーム上で使われる通貨で、あくまで個人的な感想ですよ?、あくまでですよ!、正直な話・・・あんなゲームを今の若い人たちはやるのかな?と懐疑的になってしまいます。出来れば当選して、ゲームの方も繁盛してくれれば言う事なしですが、どうなるか楽しみです。

 

今回のお品書きになります

 

 

 

煮干しのお送りするちょっとした物語

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 



 

 厳しい寒さが収まりつつある今日、俺は石油ストーブから漂う灯油のにおいが充満した事務所で、ブラインドカーテンの一部を折り曲げて、外の様子を伺っていた。寒さが和らいだがやはりまだまだ寒く、道歩く人たちは防寒対策をしっかとした服装を装っている。数分経った頃、遠くに見覚えがあるシルエットが現れた。俺はそのシルエットを注視すると、ぼんやりとしたその姿が近づくにつれ段々と像が結び、今日待ち合わせの依頼者様と分かり俺は、「あの、日下部さん(くさかべさん)、お客さんが来たみたいだからお茶の用意をお願い」と言う。自身の専用デスクでペン習字の通信教育に勤しんでいたショートヘアに作業着姿の彼女は俺の要請に反応して、「了解であります」と硬い軍人調で了承し、給湯室に向かう。彼女の名前は日下部晴美(くさかべ・はるみ)俺が初めて雇い入れた従業員だ。彼女のはほんの少し変わった経歴の持ち主で、性格に難ありだが俺は気に入っている。そして、そんな彼女の雇人である俺の名は兼平竜矢(かねひら・りゅうや)、しがない何でも屋で食いつなぐケチな存在だ。

 

 俺はお客がいつでも来ても良い様に来客用のソファに座る。給湯室からヤカンの沸騰を報せる音がすると同時に事務所のドアホンが鳴った。俺はすかさず、「開いてますのでどうぞ!」と大き目な声で言う。俺の声に呼応する様にドアが開き、ワイシャツの上に着た作業着の隙間からネクタイを覗かせた坊主頭の中年男が入って来た。俺は立ち上がり、「どうも、事務所までご足労ありがとうございます」とお辞儀。男は掌を立てて恐縮しながら、「いやいや、仕事場から抜け出せて息抜きが出来るから助かるわw」と言う。俺は向かい側の一人掛けのソファに座る様に促すと男は座り、持っていたカバンからA4用紙がすっぽりと入る大きさの封筒、いわゆる世間一般で言う角形2号封筒を出す。俺は早速、「今日はどんな御用ですか?」と依頼内容の確認。男は封筒から数枚まとめた紙を出し、「またごみ処理の依頼なんだけど・・・大丈夫?」と手にした紙を俺に差し出す。俺は差し出された紙に目を通す。男の言うゴミ掃除は、アンタッチャブルな仕事の隠語ではない。文字通りゴミ掃除の事だ。何でも屋である俺は基本来た依頼はよほどの事が無い限り断らない。今回のご依頼であるゴミ掃除も大事な仕事の一つなのだ。俺は紙に書かれた現場の資料に目を通しながら、「また、ごみ屋敷の依頼ですか・・・」と言う。男はすかさず、「まいったよw、今回の家主は入院先で亡くなったんだけどね、ごみを不法投棄する連中は目ざとくってさ、家主がいないと分かるとバンバン捨てるんだ!、半年も経つとごみ屋敷の出来上がりだよ、近所の住民か苦情が寄せられてさ、取り敢えずごみを片付けなくちゃいけなくなったんだ」とフレンドリーに説明。断っておくがこの男とは特段仲が良い訳ではない。まごうことなく赤の他人で、初めてうちに依頼をしてきた時からこの口調だった。職業柄と言うか、男の仕事である市役所の生活課では、御用聞きの様にあちらこちらと市内を回り市民の苦情を聞き、可能であればその苦情を解消するのが仕事。フレンドリーな口調は相手の気を逆なで無い様にするための処世術らしい。俺は資料から目を話し、「分かりました、この依頼を受けさせてもらいます」と依頼を受諾する事を男に伝えた。男はニッコリと笑い、「良かったw、ごみ処理って中々受けてくれる会社無いのよw、ごみ屋敷なんて特にだよ」と最後は安心した顔を見せる。そして、日下部が俺と男の前にお茶を出すとペコリとお辞儀をして自身の机に戻った。男は出されたお茶を一口つけて、「なになにw、若い女の子なんて雇っちゃってw、繁盛しているの?」と今度はやらしい顔をした。俺は少しむせて、「いや、繁盛と言うか仕事が一人では捌けなくなりまして、一人雇いました」と説明。男は再びお茶を一飲みしながら日下部を見て、「ふーん、まあ、あんな美人さんが来てくれて良かったねw」と少しセクハラ紛いな発言をした。その瞬間、ペン習字の通信教育に勤しんでいた日下部の手がピタリと止まり、俺はギョッとして、「あの、前回と同じく、貴重品や金目の物は残して、後は分別処理という事でいいでしょうか?」と取り繕う様に話を振る。男は少し驚きながら、「あ?、うん、その様にお願い、後は俺たちが相続人に連絡して家の始末をして貰うから」と返す。俺はその相続人というワードに興味が引かれ、「家主のお子さんは何人位いるんですか?」と尋ねる。すると男は顔が暗くなり、「はあ、一人息子がいたんだけど・・・、そちらもかなり昔に事故で亡くなっていてさ、そうなると親族ってかんじになるんだけども、ネズミ算式に相続人が増えてね・・・所在地が北の果てから南の果てまで幅広くいてさ、連絡を付けるのも一苦労なのよw」とため息交じりに言い苦笑。最近は多いらしい、独居老人が亡くなると、普通は子供に相続となるが、その子供もいなくて、親類縁者に相続権が行き、収集が付かないケースが多発している。仮に子供がいても親の家の後始末の費用を考えると相続しないで放棄なんて事も徐々に増えているとか。いつからこんなにも世知辛い世の中になったのだろうか?、とは言えそんな世知辛さに俺は恩恵を受けて、こうして今も仕事にありつけている側面もある。「大変ですね・・・」と俺は男の労を労う。男はフフっと笑い、「まあ、仕事だからね、そんな訳だから前回と同じで貴重品とごみを分けて貰って、その日のうちに俺が相続代表者と弁護士さんを引きつれて受け取りに行くからよろしくね」と言う。俺は頷き、「了解しました、こちらも慎重にごみを仕分けして、貴重品の類をまとめておきます」と返す。男は俺の色よい返事にニコリと笑うとお茶を飲み干し、「ごちそうさまw、じゃあ当日」と事務所から去った。

 

 男が去り、俺は自身の専用デスクに腰をおろすと、ペン習字に励んでいる日下部を見て、「あのさぁ、お茶を運んで終わりじゃなくて、世間話に参加してよね・・・・」と苦言を言う。日下部はペン習字を止めて、「はあ、お茶を運ぶだけではいけませんでしたでしょうか?」と平然と返す。俺はため息を付き、「君がさっさとペン習字を始めたもんだから、さっきの彼、ドン引きしていたよ?」と先程の男の一部始終を彼女に伝えた。日下部は目をパチクリさせ、「えっ、その様に私を依頼者は見ていたのですか?」と俺に尋ねる。俺はすかさず、「うん、まあ直ぐ取り繕って気にしない振りをしていたけどね」と答えた。日下部は憮然とした表情をし、「でも、あの男はセクハラをしてきたじゃないですか?、その事を鑑みて先ほどはお互い様ですよ」と反論。日下部さん・・・最初の頃は素直だったのに、最近は妙に言い返してくる。俺は少し考えて、「でもさ、その理論で行くと君の失礼な態度にカウンターでセクハラをした事にならない?、つまり最初に仕掛けたのは君になるけど・・・」と彼女の理論を崩す事を試みた。日下部は少し恥ずかしそうに、「わかりました・・・善処します」と反省と次からは今回のようなことが無い様に改める事を俺に誓った。俺はニコリの笑い、「うん、よろしい、じゃあ早速、今日の仕事に取り掛かりますか?」と日下部に今回の話しはもう終わりにして仕事に取り掛かる事を促す。日下部は元気よく立ち上がり、「了解しました!、今日は炭酸屋のオババの飼い猫、茶太郎の捜索ですね?」と言う。俺は頷き、「その通りだ!、早速公園にいる猫爺に聞き込みに行くぞ!」と俺は先陣を切って事務所を後にした。

 

 男から依頼されたごみ屋敷の片づけ当日、俺たちは会社のトラックで依頼された場所に乗り付けた。トラックから降りて改めて現場の家を観察すると、投げ捨てられてのだろう、庭には様々な不法投棄のごみが積み重なり、割れているガラス窓から中を覗くと家の中までゴミで溢れかえっていた。久しぶりに見る酷い光景に俺は、「こりゃあ大変そうだ・・・」と呟く。日下部は力強く軍手を装着して、「やりましょう!」と鼓舞する様に言い、俺は押され気味に、「お、おう」と返し、作業を開始した。まずは庭先に積まれているごみからだ。積まれているビニール袋は中を確かめて分別し、粗大ごみは取り敢えず庭の端に集め、俺は作業をしながら日下部の様子を伺う。女性である日下部にはごみ掃除はきついかと思ったが卒なく分別をしてテキパキと作業をしていた。その動きは手慣れていて、思わず俺は感心しつつ、「日下部さん、ごみの分別上手いね」と誉める。日下部は作業をしながら、「いえ、前の職場でよくやってましたので」と言う。俺は、「あ、例の特殊訓練って奴?w」とニヤリ。日下部は可燃物をまとめてトラックに積むと振り向き、「いえ、特殊訓練ではないです」と返す。俺は不可解な顔をして、「じゃあ、何で?」と尋ねる。日下部は再びごみの分別作業に入りながら、「捜査対象の家庭ごみを持ち帰って調べる事がよくあるんですけど、先輩や同僚が調べ終わったごみを私は分別する係だったんです」と答えた。彼女の前の職場はいわゆる国の治安を守る所、しかし、水が合わなかったために俺の所に転がり込んだのだ。俺は日下部の言葉に疑問を感じ、「えっ、君は捜査をしなかったの?」と再び尋ねた。日下部はピタリと作業を止め、「よくわかりませんが・・・先輩がお前はしなくていいと」と暗い表情。前の職場では彼女はどういう立ち位置だったのだろうか?、短い間の付き合いだが彼女の性格は少し難があり、扱いにくかったと容易に想像で出来るが、彼女の表情を見ると本人も肩身が狭かったと感じる。俺はすかさず、「でも、今日の仕事に繋がったじゃないw、今日は期待してるよ!」と明るい調子で鼓舞。日下部はニコリと笑い、「そうですか?、がんばります!」と作業を張り切り始めた。庭のごみは大方片付き、後は数個のまとまって置いてあった段ボールを片付けるだけだ。俺は数個ある段ボールの一つを持ち上げると、長い間、雨風に晒されてた段ボールは劣化していたのか、「ビリっ」と音と共に食器の割れる音が辺りに響く。日下部はビックリして俺の元に駆け付け、「何でこんなに大量の食器が?」と散乱した食器の欠片の一つを手にする。俺は割れた食器を丁寧に集めながら、「不法投棄あるあるだよ、飲食店が潰れて後始末する時にね、冷蔵庫や調理器具は売れるけど、お店のロゴが入った食器は捨てるしかないんだよ・・・、まあ、捨てるには処理代がかかる、お店を畳む人は少しでもお金を手元に残したい訳で、こういう所に捨てて浮かそうする輩がいるんだよ」と説明。日下部も割れた食器の欠片を集めながら、「そうなんですか・・・世知辛いですね」と切ない顔で言った。居酒屋どん兵衛と記されている誰かさんの夢の跡をかき集めて、トラックに積んで俺たちは取り敢えず一旦ごみ処理場に持って行く事にする。俺が運転して日下部は助手席に座り、目的地に向かって発進。郊外のごみ処理場の着くと、料金所の前にある重さを測る鉄板の上にトラックを停めた。数分すると計測が終わり事務員さんに捨てる場所を指示される。俺は指示された場所に向かい停めると、俺と日下部はトラックの荷台にあるごみをそそくさと下ろす。途中捨てる場所を指示されつつも、荷台が空になるとトラックを先程の重さを計測する鉄板の上に再び停め、事務員さんに請求された料金を支払い、現場へとトラックを走らせた。

 

 現場に帰る途中でお弁当屋さんで弁当を購入し、綺麗になった庭でお昼休憩をする事にする。ほんの数時間前まではごみで埋もれて悪臭漂う不気味な場所が綺麗さっぱりになり、さほど広くない庭でも各所に亡くなった家主のこだわりが感じ、伸びきっている植木を剪定すればそのまま使えるという印象だ。だが、亡き主の憩いの場所は近い将来無くなる・・・。切ないがこれも運命(さだめ)なのだ。俺たちは縁側の前にある大きな石、通称沓脱石(くつぬぎいし)に腰を下ろして購入した弁当を食べ始めた。ごみが取り除かれて、風通しがよくなり庭の木々を揺らし、奏でられた爽やかな音を聞きながらお弁当を箸で突く。俺が買ったのは唐揚げ弁当、日下部が買ったのは中華弁当だった。俺がこの弁当をチョイスしたのはお弁当屋さんに入って、すぐ目に入ったこの弁当のインパクトに驚かされたからだ。拳より少し小さい唐揚げが三つ、その大きさは弁当の蓋が歪むほどに大きい。魅了された俺は唐揚げ弁当以外の選択の余地はなかった。俺は大きな唐揚げを箸で挟みかじる。肉汁が滴り、醤油味がよく染みていて美味しい。うむ!、唐揚げ弁当を選択して良かった!。俺が唐揚げに舌鼓をしていると、隣から、「パリパリ」と小気味いい音がして視線を向ける。日下部が頼んだ中華弁当は炒飯に大き目の餃子が三つ、そして彼女がほうばっている春巻きの三種類でこうされた弁当だった。中華弁当も中々そそられる・・・。俺の口の中で唾液が分泌されるのを感じ、今度は中華弁当を頼んでみるか?と考えながら白飯と唐揚げを交互に口の中に放り込んだ。食事が終わり、午後一時まで休憩をして、今度は屋内の掃除に取り掛かる。予め渡された鍵で玄関から入ると、庭程ではなににしろ、ごみがあちらこちらと散乱していた。日下部は屈んで床を見始め、「ゲソ痕が数種類ありますね・・・、侵入者は二人・・・後は猫」と真剣な表情。俺も屈んで、「ホームレスが雨風を凌ぐために侵入したか空き巣じゃないか?」と言う。日下部は床に付いた足跡を手でなぞりながら、「恐らくその両方でしょう、足跡が付いた時期は開きがあるみたいです」と俺に返す。俺は驚き、「そんな事も分かるの?」と彼女に尋ねた。日下部はニヤリと笑い、「トレーサーの特殊訓練を受けましたのでw」とドヤ顔をする。日下部は特殊訓練マウンティング女子だ。彼女は特殊訓練を修めている事を誇りにしていて、うっかりそれを否定や軽んじる言動を言うと最悪襲って来る。何故その様な極端な行動をするのか?。各種様々な特殊訓練を修得した強靭な肉体と知識を持っている彼女のメンタルは豆腐並に脆く、唯一の拠り所である特殊訓練を否定されると、彼女の精神は盛大誤作動を起こし襲って来るのだ。俺は慎重に言葉選び、「へー、凄いな!、どちらが空き巣でどちらがホームレス?」と尋ねた。日下部は迷わず指さし、「左側の足跡が空き巣ですね」と答えた。俺は日下部が指示した足跡を見て、「えっ、何で?」と疑問を口にする。日下部は玄関見渡し、「この足跡は、玄関の床だけ見ても物色するためか不規則に動いてます、それとは対照的にこちらの足跡はほぼ同じルートしか歩いてません、恐らくですが不本意ながらも寒さを凌ぐために侵入したのでしょう」と俺に説明。俺も立ち上がり見渡すと彼女の説明を裏付ける様に足跡が付いていた。俺は関心をして、「凄いな・・・今回は感心したよ」と言う。日下部はすかさず、「今回は?」と眉をひそめる。ハッとなった俺は、「あっw、言い間違えたw、いつも感心してるよ!、君は本当に凄いな!」と言い直す。日下部は少し納得が行かない様子だが、「まあ、いいでしょう」と取り敢えず納得をした。俺たちは早速屋内の掃除を始める。屋内のごみは外のごみと違って侵入したホームレスの食い散らかしたごみが大半で後は外から投げ込まれた缶や瓶だった。思いのほか作業は順調に進み、亡くなった家主は一人暮らしが長かったのか私物もあまりなく、あっという間に終わる。貴重品や金目の物は玄関に集めて、時間が余ったので、ネズミの糞や割れたガラスの破片、ほこりなどををトラックに常備しているバッテリー式の掃除機で吸い込み除去。屋内は見違える程綺麗になり、縁側の窓を開けると清々しい気持ちになった。屋内を見渡すと日下部の姿がなく俺は捜し歩くと、書斎で屈み何かをじっと見ている彼女の姿を発見した。俺は近づき、「何かあった?」と尋ねる。日下部は俺を見て、「金庫を発見しました、どうします?」と答えた。俺は首を傾げ、「どうしますって、俺たちにはどうする事も出来ないだろ?」と言う。日下部は懐から革の長財布の様なものを取り出し、それを開きいわゆるピッキングツールを手にして、「この金庫なら私でも開ける事を出来ますよ?」と俺の指示を待つ。俺はため息を付き、「あのね日下部さん、これからはその様なものは用がないなら持ち歩かないでくれる?、もし何らかの拍子に警察から職質を掛けられた時に、君の懐からそんな物が出たら厄介な事になるから」とやんわり注意。日下部は少しあっと言う表情をして、「すいません・・・これからは注意します、でっ?、どうします?」と再び打診をしてくる。俺は、「いや、これから依頼人たちが来るからその時に開けよう、そんな事は無いと思うけど、今開けたら後から取っただの因縁を付けられたら、かなわないからね」と指示。日下部は頷き、「そうですね、了解しました」と俺の指示を了承した。

 

 作業が終わり、後は依頼者が来るのを待つだけになる。それから俺たちは各自思い思いの事で時間を潰し、予定時間になると、「おーい!、やっているかい?」と依頼者の男の声が玄関から聞こえた。俺は即座に、「はーい!」と返事をして玄関に向かう。玄関には、依頼者の男、それと見知らぬスーツ姿の中肉中背のこれと言った特徴が無い男が二人いた。俺は早速、「どうも、作業は終わりました、貴重品やお金になりそうなものはこちらになります」と玄関にまとめてあるものを指す。依頼者の男は、「どうもwどうもw、助かるわw、あっ紹介するね、こちらが弁護士さん、そしてこちらが相続代表の方」と依頼者の男は一緒にいる男たちを俺に紹介。俺は軽く会釈して、「どうも、何でも屋の兼平と申します」と挨拶。弁護士さんは、「今日はよろしくお願いします」と返し、相続代表者の男は無言でペコペコと数度のお辞儀をした。俺は依頼者たちを引きつれて屋内を歩き回り、最後は金庫を発見した書斎に案内。俺は屈み、「金庫を発見したんですがどうします?、うちの日下部なら開けれますが?」と依頼者たちに尋ねる。依頼者たちは相続人代表を見て、「どうします?」と確認。相続人は特に悩む訳でもなく、「あっ、開けちゃってください」と許可をした。俺はその経緯を見届けると、「日下部さん、じゃあお願い」と指示をする。日下部は少し嬉しそうに、「特殊訓練の賜物を見て下さいw」と言う。俺はすかさず、「日下部さん、今は止めて、本当に止めて」と特殊訓練マウンティングを制止。日下部は少ししょんぼりして、「はぁ」と一言返し作業に取り掛かる。二本のいびつな形をした細長い金属の棒を鍵穴に入れて、ダイヤルを右に回したり左に回したりして数分後・・・俺たち一同が固唾を飲んで見守っていると、ガチャと音と共に金庫の扉が開いた。金庫の中身は書類の様なもの、それから桜柄の箱がある。日下部はそれらを取り出して書斎の机の上に置く。一同が書斎の机に集まり見ていると、弁護士は書類を手にして、「あっ、これは土地の権利書ですね」と言う。依頼者の男は桜柄の箱を手にして開け、「万年筆?」と呟き、「これは何か知っていますか?」と相続代表者に手渡す。相続代表者は手にした桜柄の万年筆を見ながら、「いやー・・・、叔父とは親戚の結婚式の時に初めて会って少し話しただけの間柄なのでちょっと判りかねます・・・」と依頼者の男に返した。依頼者の男は万年筆を元の箱に入れて、「じゃあ、これは処分しますか?」と打診。相続代表者は頷き、「そうしてください」と了承する。依頼者の男は、「じゃあ、これはそちらで処分して」と俺に渡した。それから屋内で見つかった貴重品や金目の物の目録を俺たちで作り、弁護士さんが持参した箱に土地の権利書以外の物を入れて封をする。依頼者たちは、そそくさとそれらを持ち帰り、桜柄の万年筆だけが俺の手に残った。殺風景な茶の間で座り俺が万年筆を眺めていると、日下部が来て俺から奪い、「これって、女物ですよね・・・、亡くなった家主は誰かにプレゼントをしようとしたのでしょうか?」と言う。俺は日下部から万年筆を取り返し、「さあ?、こんなもの貰ってもな・・・高価なアンティークって感じでもないし・・・」と呟く様に言う。日下部はおもむろに書斎の方に行くと直ぐに帰って来て、「実は家主の日記を見つけたんですよ!」と古ぼけたノートを出す。俺はそのノートを受け取り開く。ノートの中身は他愛も無い日常を記録したごくありふれた日記だった。家主が倒れて入院する辺りまで飛ばすと、万年筆の文字を確認した。俺はそこの行(くだり)を最初から読んでみると、家主はどうやらいつも通っている総菜屋さんの従業員に恋をしていた様だ。この万年筆はその彼女にプレゼントする予定だったらしい。日下部も俺の後ろから読んでいて、「どうします?、お惣菜の女性に渡し行きますか?」と尋ねて来た。俺は少し考え、「待っ、これも何かの縁だろう、届けてあげよう」と答える。日下部は、「そうですね!、その方が良いです!」と賛成。その後、俺たちは屋内の最終確認をして、しっかりと玄関の扉に鍵を掛けてその場を後にした。

 

 翌日、俺たちは件のお総菜屋さんに向かう。近場に車を停めてお惣菜さんがある方へ足を進めると、何とも言えない揚げ物の匂いがしてきた。日下部はクンクンと嗅ぎ、「私、この匂い好きですw」と恍惚の表情。俺は苦笑して、「ああそうだなw、俺も好きだよ」と同調する。件のお惣菜屋さんは商店街の中にあり、下町情緒あふれる庶民的な場所だった。俺は早速お総菜屋さんのカウンターに居る白い三角帽を身に着けた初老のおばさん店員に、「あの、少し前の事ですがここの常連さんで入院先で亡くなった方と懇意されていた方はいますか?」と尋ねる。おばさん店員は少し思い出そうとする仕草をして、「ああ!、いつも来ていた初老の近所の方でしょう?、亡くなったんだってね・・・、あの人と仲が良かったうちの店員は・・・、鈴原さん!」と答えた。俺はすかさず、「あっ、その鈴原さんは?」と再び尋ねる。おばさん店員は少し怪しんだ目をし、「あんた何者?、鈴原さんを何で探しているの?」と言う。俺は少し躊躇して全てを話すか迷ったが埒が明かないので、「あの実は何でも屋をしてまして、亡くなった方の家の遺品整理をしたところ、日記からここの店員さにプレゼントしようとしていた事が判明したんです、そのプレゼントの品も見つかりまして、まあ、何かの縁ですし私どもが代理で渡そうかなと思った次第です」と説明をした。おばさん店員は少しウルッとした目をしながら、「そうなのね・・・、よしっ!おばさんが協力してあげる!、ねえ!、鈴原さんはどこに住んでいるんだっけ?」と後ろで忙しなく揚げ物を揚げている同じぐらいの年頃の女性店員に声を掛けた。揚げ物作業を忙しなくしながらもこちらをチラリと一瞥をした女性店員さんは、「市営住宅に住んでいたけど、老朽化で引っ越したのよ、その先はどこに行ったのかは知らないわ」と言った。俺は少し焦りながら、「えっ、じゃあ、ここで働く時間帯はいつですか?」と尋ねた。おばさん店員はばつが悪そうに、「鈴原さんは二か月前に辞めてしまったの・・・、ごめんね」と答えた。何という事だろう、いきなり暗礁に乗り上げてしまった、張り切っていざ勇んでみたらこの様とは・・・。これ以上は無理と判断した俺は、「ありがとうございます、後はこちらで調べて見ますので」と深々とお辞儀をする。すると、日下部が待ってましたとばかりに、「おばさん!、牛肉コロッケとメンチカツをそれぞれ五個お願いします!」と注文。一瞬キョトンとしていたおばさん店員はニコリと笑い、「はいよ!牛肉コロッケとメンチカツそれぞれ五個ね!」とガラスケースにある揚げたての牛肉コロッケとメンチカツを、手慣れた手つきでトングにて、プラスチックのテイクアウト容器に入れた。

 

 それから数時間後、事務所にて建物と建物のシルエットの隙間に見える夕日を見ながら俺はコロッケを食していた。あれから周辺で聞き込みをしたが結局何も分からずじまいで、鈴原さんの行方は依然として分からない。何かの縁とカッコつけて見たものの、これではな・・・。俺はコロッケで油まみれの人差し指と親指の先端をペロリと舐め振り返ると、鼻孔になんとも香しいジューシーな匂いがフンワリ届く。その魅力的な匂いが発する方向に視線を向けると、専用デスクで家主の日記帳を熱心に読んでいる日下部がいた。だが、俺は彼女に目もくれず傍にあるメンチカツを凝視する。すると、白い手がメンチカツの一つを取った。その白い手に握られたメンチカツの行方を俺は口を半開きで追うと、日下部の口まで到達し、「かりっ」と小気味良い音を鳴らす。日下部にかじられたメンチカツの断面からは肉汁が湧き出て、香しいジューシーな匂いが一層強くなり、俺はゴクリと生唾を飲んだ。これは・・・絶対美味しい奴だ・・・。俺はご馳走を手に入れるために、極力気配を消し日下部の傍らに近づくと、そーと手を伸ばす。メンチカツまで数ミリまで手が近づいたその瞬間、「あっ!」と日下部が声を上げた。俺は伸ばした手を引っ込めて、「ごめんなさい」と謝る。日下部は怪訝な表情をして、「何がですか?、それよりも見て下さい」と家主の日記を俺に見せて指さす。俺は日下部の指さす部分を見て、「彼女との触れ合いは別の専用日記帳に記そう」と読み上げた。俺は日下部を見て、「つまり・・・もう一冊日記帳がある?」と言う。日下部はニヤリと笑い、「そうです!、もう一度、家に行って捜索しましょう!」と提案。俺は頷き、「よしっ!、行こう!」とドサクサ紛れにメンチカツを取って頬張り、「カリッ」と音を鳴らした。

 

ーつづくー

 

350曲目の紹介

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲をまらしぃさんじんさん、アレンジをkemuさんこと堀江晶太さんボーカロイドエディットをびびさん、レコーディングとミックスエンジニアを日下貴世志さん、イラストをそおのさん、動画をINPINEさん、ドラムをゆーまおさん達による新人類です。

 

 本曲は、便利になり過ぎた少し先の未来を背景に、倫理を無視して欲望剥き出しの生き方事が、オシャレで最先端の生き方となった世界で、それは古来からの人類の営みにして原点だったという皮肉と原点回帰を促す歌を鏡音リンさんが歌います。

 

 本曲の題名である新人類は、個人的な解釈になりますが欲望に正直になろうぜ!と言うメッセージ性がある題名と思いました。

 


www.youtube.com

 

 超メジャーな御三方のコラボ曲になりますが、やはり第一線でご活躍するクリエイターさんが集まると、多くの人々に感動を与える凄いものが出来上がるなと感激しましたよ。本曲はまらしぃさんのアルバムアマキツネに収録されています。もし本曲に惹かれるものを感じられるのならチャックしてみてはどうでしょうか?

 

 

 

 

www.subcul-rise.jp

 

 

 本曲、新人類は才能溢れるクリエイターたちが集まり生み出された九鼎大呂(きゅうていたいりょ)な曲です。参加クリエイター各々がこれまでの積み重ねで磨き研磨された情熱のセッションは滅多にお目にかかれない貴重なものですので、是非、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

鏡音リン