煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

黒い情熱の発露を歌うVOCALOID曲

こんにちは こんばんわ 煮干しです

 

 北朝鮮とロシアがロシア領・極東アムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地で両国のトップが直接対話をしましたね。ロシアはウクライナ戦線で枯渇気味の武器弾薬の補充、北朝鮮はロシアから衛星技術の寄与と、お互いの強みを生かし取り引きをするようです。北朝鮮の武器輸出は今更な感がありますが、れっきとした安保理決議で決定された制裁違反ですので制裁対象になり、更なる制裁が行われると思いますが、効果の程がいかばかりかは不明ですね。両国も制裁は承知の上での行動ですので、対策を講じていると思われ、効果は限定的だと個人的には思います。今回、両国はかつてない程、急接近をしましたが、これに中国が加わると、少し厄介な状況になり、日本近海の安保上のリスクが跳ね上がって、いよいよヤバい感じになります。この三国の同盟が実現するかは不明ですが、第二次世界大戦中に締結された軍事同盟のドイツ、イタリア、日本による三国同盟を彷彿する感じで、凶兆の兆しを感じるのは自分だけでしょうか?、出来れば平和の世の中が続いて欲しいですね。それでは、321曲目の紹介とちょっとした物語をお送りしたい思います。

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 

曲の紹介は下の方にあります!物語を飛ばしても構いません。

 

 暑い・・何て暑いんだ・・今年の夏の暑さは異常すぎる。明日、終末が来るって言われれば私は信じるだろう。それ位、今年の猛暑、いや激暑は凄まじい。齢40過ぎになり、体があちこちとガタが来始めた所にこの激暑はこたえた。足元はおぼつかず、フラフラと歩きながら、帰路に着く私。まあ、この激暑で何かしらの不調を感じるのは当たり前で歳など関係ないが、何故だかは分からないが年の所為にしたくなる。私はそんなお年頃なのだ。いつも通る帰り道の繁華街は深夜帯なので閑散とし人影もまばらで、勤続27年、私はこの繁華街を人で賑わっているいる所を見た事が無い。何故なら、朝の8時から深夜の12時まで働かされているからだ。超絶ブラックな会社にしがみついているのは、私に選択の余地が無かったこちが起因している。私が就職活動をした時は、超氷河期と言われた時期で、どこの企業も生き残りが大変で雇用を控えてしまい、50社以上の面接を受けても、内定が貰いえないのはざらだった。普通、卒業って言ったら、祝うイベントで楽しいはずだが、私たちのとってそれは人生がゲームオーバーになるタイムリミットで、戦々恐々としていた。必死に就職活動の末、ようやく手に入れた内定も、超絶ブラックな会社だったが、辞めるという選択は無かった。同じ世代が就職に失敗して、続々と落伍者になり、コンビニなどでアルバイトして食つなぐ様を見ていると、転職という言葉は頭に浮かばず、己の体が持ちこたえる事を祈るばかりだった。しかし、年並みに勝てず、遂に私の体は悲鳴を上げ今に至る。謎の疫病から、この舐め腐った激暑、私の世代は絶対呪われている・・間違いないと思いながら、ようやく繁華街の端にたどり着き、後はそこを左に曲がり歩道橋を渡り、道なりに行けば我が家だと思った瞬間、軽いめまいを覚え繁華街の建物にもたれかかる。今のはヤバかった・・、何とか堪えたが、これはまずい・・、何処かで休憩しなければ・・。私は辺りを見回して、休憩が出来る場所がないか探す。だが、時間が時間だけに開いている店は皆無で、絶望に打ちひしがれた時、もたれかかっている建物の路地奥に何かが点滅していた。私は路地奥を凝視すると、炭酸の店という看板が点滅を繰り返す。私は虫の様に点滅を繰り返す看板に向かい歩き、辿り着くと、小さなスナックかバーの様な店構えが現れた。

 

 普段の私ならこんな路地奥の店に入ろうと思わないが、考える余裕も無く躊躇なくドアを開け店内に入る。予想通りカウンターがあり、店内はこの手にま珍しく薄暗くなく、普通の明るさだった。正直、今の状態でカウンター席は御免だ。私は店内を見回し、ソファーのボックス席を見つけると、行儀が悪いがまるでベットに飛び込むようにソファーに座る。助かった・・、店内はクーラーが効いて涼しいし、適当に何か頼んで時間を潰そう。私はソファーにもたれ掛かり天井をボーと見ていると、「ようこそ、オババの炭酸のお店へ」とお冷を私の前のテーブルに置く。私は、ハッとなり状態を起こす。不覚だ・・店員の姿も確認出来ないとは、やっぱり体調はマズイ様だ。「あっ、すいません」と私はお冷を手にし、ゴクゴクと飲み干す。よく分からないが、人生で1,2を争うほど美味い水だ。なんだか体調も少し回復した感じで、落ち着いた来た私は、改めて店員を見据えた、店員は玉ねぎの様な髪型に、和服で割烹着姿の高齢の女性だった。私はすかさず、「メニューはありませんか?」と高齢の店員に尋ねる。「はい、はい、少々お待ちを」と高齢の店員はカウンターに置いてあるメニューを取り、私のテーブルに置く。高齢の店員はカウンター裏に戻り、冷蔵庫から小鉢を取り出し、再び私の所に戻り、「お通しですじゃ、これは、オババが丹精込めた作ったトマトですじゃ」とテーブルにトマトが入った小鉢を置き、「お決まりになったら呼んで下され」とオババと名乗った高齢の女性店員はカウンター奥に帰り、新聞を読み始める。私はメニューを広げ、中身を確認すると、最初のページには全国の地図が書かれていて、あちらこちらにジュースだろうか?、容器と名前、詳細のページが書かれていた。

 

 「あの!、これは?」と私はメニューを広げカウンター奥で新聞を読んでいるオババに尋ねた。「はい、はい、それは、オババが自らの足で全国行脚をし、これはと思った、あまり流通しない激レア炭酸飲料ですじゃ」とオババは新聞を読むのを中断し説明をする。「炭酸飲料?、これ全部ですか?」と私はメニューを改めて見て言う。「そうですじゃ、戦後間もない頃、小学校の時、歪な瓶に入ったラムネを初めて飲んだ時から、オババは炭酸飲料の虜になったのですじゃ」とオババは遠い目をした。私はオババからメニューに視線を戻し、「へー、そうですか」と言い、ペラペラとメニューをめくる。うーん・・コーラだけでも何十種類もある・・迷うなー・・。私が決めあぐねていると、「お客さん、どうやら、体調が少々優れぬ様子、オババ特製フレッシュ炭酸飲料はどうですじゃ?」とオババは私に勧める。「フレッシュ炭酸飲料?、それはどういう飲み物です?」と私は詳細を求めた。「炭酸の元来添わっている、疲労回復、便秘解消の健康効果に加え、ショウガの食欲不振の解消と胃の消化を高める効果を足した総合栄養炭酸飲料ですじゃ」とオババは得意満面で説明。「そ、それって・・ジンジャーエールって奴では?」と私はオババの説明から浮かんだ飲み物を言う。オババは少しも動揺せず、「そうとも、言いますじゃ」と返し、「お客さん、どうしますじゃ?」と確認をする。「じゃあ、それでお願いします」と私は、特に何かを飲みたい訳でも無いので促されるまま注文。「かしこまりましたのじゃ」とオババはカウンター奥に向かう。オババは冷蔵庫を開け、ガラスボールに沢山入ったショウガと、更にレモンを出す。それらをまな板の傍に置き、オババはガラスボールからショウガを数個取り出し、包丁で皮を剥き、それらを刻んで小皿に入れる。そして、レモンを半分に切り、レモン絞り器でレモンを絞り出す。オババは今度は、コンロに小さい鍋を置き、水と砂糖だろうか?、白い粉を入れ、コンロに火を点ける。ジンジャーエールはまだ出来そうないので、私はお通しのトマトをひとかじり。うまっw、林檎の様な風味と甘さが抜群で美味しい!。私がトマトに舌鼓を打っていると、オババが鍋に刻んだショウガを入れる。オババはカウンター奥にある椅子に座り、新聞を読み始めた。

 

 かれこれ、5分経ったが、オババの動きは無く、お通しのトマトは平らげてしまい、手持ち無沙汰で私も何かで時間を潰そうと辺りを見回す。その時、「ガコッ」と音がして、店の入り口のドアの下あたりにある小窓の様なものが、店内側に持ち上がる。私は小窓を凝視していると、ぬるっと、茶虎猫が顔だけ出して私を警戒した目で見た。私は少々驚いたが、この手慣れた感じはこの店の猫だと察し、観察を始めた。茶虎猫は私を数秒間凝視後、危険が無いと判断したのか、店内に入って来て、尻尾を天井に向けてぴんと立たせて、「うにゃあ」と一鳴き。茶虎猫の鳴き声で、オババは新聞を置き、立ち上がり、「おやまあ、茶太郎や、縄張りの巡回、終わったのかい」と茶太郎と呼ばれた茶虎猫に話しかける。「にゃごろん」と茶太郎はオババに返す。「そうかい」とオババはまるで話が通じているかの如く会話を終え、新聞を読むのを再開し茶太郎は私を見て一直線にこちらへ来る。茶太郎は私の足元まで来ると、突然ジャンプ。「うわっ」と私は声を上げ驚き固まっていると、茶太郎は膝の上で香箱座りになり目を細める。「おや、おや、どうやらお客さんの事を気に入ったみたいですじゃ」オババは、いつの間にか新聞を読みのを止めてこちらを見ていた。私は膝にほんのりと暖かさを感じつつ、背中からお尻の辺りに向けて撫でると、「ぐるるる」と茶太郎が喉を鳴らす。自分以外の体温と命のぬくもりを感じるのは久しぶりで、ほっこりしていると、「ぴぴぴ」とタイマーが鳴り響き、茶太郎が一瞬ビックと動き、オババは立ち上がり、コンロの火を止めて鍋にレモン汁を入れる。すると今度は、オババは鍋を木製のへらでかき混ぜ、ざるを通して、ジンジャーエールの原液をグラスに入れた。オババは冷凍庫からクラッシュアイスを取り出しグラスに入れ、グラスの底の方にあるジンジャーエールの原液に触れたクラッシュアイスは瞬く間に溶けだす。そして、オババは冷蔵庫からラベルが無いミニペットボトルを取り出し「これは天然の炭酸ですじゃ」と言い、蓋を開けてグラスに注ぐ。マドラーでグラスを軽くかき混ぜると、オババはお盆に乗せて私の元へ来て、「フレッシュ炭酸飲料ですじゃ」とテーブルに置く。「ありがとうございます」と私は礼を述べる。手作りのジンジャーエールなんて初めてだが味の程はいかほどか?、私はグラスに唇を付けて一口。美味い!!、ショウガの味が市販されているジンジャエールとダンチだ!。チビチビ飲もうとしたがあっという間に飲み干し、「ぐげぇー」と人前でゲップを出してしまった。「おお、立派なゲップを頂きましたですじゃ」とオババはニッコリ。「はは・・すいません」と私はマナー違反を謝罪。すると、「気にせんで良いですじゃ、お客さんのゲップは炭酸屋の誉ですじゃ」とオババは言う。「ははw、何ですかそれ?」と私は思わず笑ってしまった。

 

 オババ特性のフレッシュ炭酸飲料もとい、ジンジャエールを飲み干した私は、体調が急激に回復し、食欲が出てきて、他の飲み物を頼もうとメニューを広げた。1ページ、1ページ、丹念に見ていると、私の膝で香箱座りをしていた茶太郎がおもむろに立ち上がり、「にゃっ、にゃっ」とメニューをめくれと言うジェスチャーをする。意志の疎通を試みている猫を始めて目撃した私は、メニューのページをパラパラとめくり続けた、すると、「にゃっ」と茶太郎はメニューに前足を差し込んでページをめくりを止める。私は茶太郎が差し込んだページを広げ見ると、そこにはオババの日替わり料理と書かれていた。「あの、この日替わり料理とは?」と私はすかさずオババに尋ねる。「それは、お客さんにお腹が減って死にそうだから、何か食べさせてとねだられましたのじゃ、仕方なく冷蔵庫のあり合わせで出したら感激され、正式にメニューになったのじゃ」とオババは答えた。「そうなんですね、じゃあ、私も何だかお腹が減ったので、お願いしたいのですが、大丈夫ですか?」と私は早速注文。「大丈夫ですじゃ、今週は秋刀魚定食じゃが、どうですじゃ?」とオババは確認を私にする。「秋刀魚ですか!、もう何年も食べてないです、お願いします、あっ、それから何か飲み物をください」と私は快諾。「少々待つのじゃ、これを飲みながら、茶太郎を愛でて待つのじゃ」とオババは冷蔵庫から見た事が無いラベルのコーラだろうか?、黒い色をした、500ミリリットルサイズのペットボトルを出し、お盆に乗せ、更に、氷入りのグラスとストローを乗せ、私の前のテーブルに持って来て置く。そして、オババはカウンター奥に帰り、冷蔵庫から秋刀魚を出し調理が始まった。

 

 私は早速、謎の飲み物のペットボトルを手に取り、ラベルを見ると、南の風と書かれていて、その脇にシークワーサー味と書かれていた。蓋を捻ると、「プシッ」と炭酸が抜ける音共に、コーラの独特な香りがする。コーラに間違いないようだが、オババが選んだ代物だ、きっと驚く味がするに違いない。私はペットボトルを傾けて、グラスに注ぐと、氷に炭酸がまとわりつき、「シュワー」と小気味いい音を奏でた。ストローで軽く回し、早速飲むと、シークワーサーの爽やかな酸味とコーラが合わさり、まるで南国の白い砂浜に、パラソルの下で寝そべり、青い美しい海を見ながら余暇を過ごす様なイメージをさせ、爽快の一言に尽きる炭酸飲料だ。私は、今度は一気に飲まず、チビチビ飲みながら、膝にいる茶太郎を撫でまわし、グルグルとねこの喉を鳴らす音を堪能。それから、炭酸飲料を飲みつつ茶太郎を撫で回す事数分、先程から茶太郎の足の爪が出したり引っ込んだりして、チクチク感じる。私のズボンは大丈夫なのだろうか?。しかし、目を細めて気持ちよさそうにしている茶太郎を見ていると、どうでもよくなり、私は気にするのを止めた。

 

 コーラも飲み終わり、茶太郎も撫でられるのも飽きて来た様子。私も撫でるのも飽きて、カウンターの方を伺うと、オババがいつの間にか居なくなっていて、店内を見回したが何処にもいなかった。店内で一人と一匹が取り残されて、私が少し不安を感じた時、茶太郎が何かに反応して、姿勢を正して座り、カウンター裏をジーと見つめる。私も茶太郎が見つめている先を一緒に見ていると、香しい秋刀魚の香しい匂いが私の鼻孔まで運ばれてきた。茶太郎も目をキラキラさせ、前のめりになり、私の膝から落ちそうになりながらも踏ん張り、爪が私の膝に食い込む。思わず私は「痛い、痛い」と声を上げる。すると、茶太郎は前のめりの姿勢を止め、「にゃっ」と一鳴きし、姿勢を正す。私は茶太郎の謝罪を受け入れ、おでこを撫でると、「お待たせしましたのじゃ、裏で七輪で焼いていまして、ちょっと時間がかかってしまいましたのじゃ」とオババがカウンター裏の入口から姿を現した。油が滴る秋刀魚を長皿に盛り付けて、冷蔵庫から大根を出し、大根おろしで擦り、それをざるで余計な水分を切り、秋刀魚の脇に盛り塩の様に添える。次にオババは炊飯器を開けて茶碗にご飯をよそい、今度は冷蔵庫からタッパを出し、長細くて黄色い物体をタッパら取り出す。ああ、これは沢庵だ、恐らく自家製だろう。オババは、まな板で沢庵を5切れ切り出し小皿に添えた後、鍋が置かれているコンロに火を点ける。オババはコンロの摘みを手にしながら、鍋の中をジーと見つめ、味噌の香がし始めた頃、コンロの火を止めて、お玉でお椀によそった。オババはカウンターの下から長方形のおぼんを出し、秋刀魚の塩焼きの長皿、ご飯の茶碗、沢庵の小皿、味噌汁のお椀を置く。オババは長方形のおぼんの端を持ち、遂に私の元へ向かう。食べ物にこんなにときめくのは、何年ぶりだろうか・・。カウンター裏と私のいるソファーのボックス席は3メートルも満たない距離の筈が、待ち遠しい気持ちが、倍以上の距離に感じる。オババが私の元へ辿り着き、「秋刀魚の塩焼き定食ですじゃ、秋刀魚は朝一の市場でオババの穢れなき眼で選んだ選りすぐりですじゃ」と私の前に長方形のおぼんを置いた。秋刀魚の香がご飯と味噌汁、更に沢庵の香りが合わさり、私の食欲を最大限まで高め、辛抱堪らず早速箸を取り、「いただきます」と言う。「はい、どうぞ召し上がれですじゃ」とオババは返し、カウンター奥に帰る。最初は醤油や大根おろしを掛けず、プレーンな秋刀魚を味わいたい。私は秋刀魚のお腹を箸で摘み、油が滴る柔らかい身を口に放り込む。美味しい・・出来立ての秋刀魚の塩焼きを食べるのは子供の時以来か?、最後に食べた、半額シールが張っていて、いつ調理したか分からないカスカスな秋刀魚とはまるで違う。極上な秋刀魚をひと切れ、二切れと味わい、次は大根おろしをかけて食べようと、長皿の端になる大根おろしに箸を付けようとすると、私の箸を持つ利き手に、ちょんちょんと何かが軽く小突いた。

 

 私の手を小突く主は、茶太郎だった。茶太郎はウルウルとした目で何かを訴えていた。まあ、これは誰でもわかる。私はオババの方へ視線を向けると、また新聞を見ていて、「内緒だぞ」とボソッと小声で茶太郎に言う。私は秋刀魚の身を手に乗せて、茶太郎の顔に近づけると、ジョリっとした感覚を掌に残し、あっという間に食べた。茶太郎は再び、私の手にちょんちょんと小突き、もう一切れ要求。だが、茶太郎が二切れ目を口にする事は叶わなかった。「これ!、茶太郎!、お客さんの食べ物に手を出しちゃ駄目って言ったじゃろ!、全く、食い意地は親譲りじゃな」とオババがいつの間にか新聞を読むのを止めて、こちらを見ていて、茶太郎を咎める。そして、ルール違反を犯した茶太郎はレッドカードが出て、オババによってカウンター奥に連行された。カウンター奥から、「むー」とむせび泣く声がして、気の毒だが、私は秋刀魚に集中する事に決める。茶太郎の介入で中断した大根おろしを箸で摘み、秋刀魚の上に塗り、それを秋刀魚の身ごと摘み食す。おお、秋刀魚の油が大根おろしによって中和されさっぱりとした味わいになり美味しい!。さあ、次だ。今度は、秋刀魚の身にほんの一滴、醤油を垂らし、食べる。あああ!たまらない!秋刀魚のジューシーな味とふくよかな大豆の香が合わさり幸せだ!。大根おろしと醤油を交互に夢中に食べていた私だが、ここに来て口の中をリフレッシュしたい気持ちになり、飲み物を頼もうとメニューに手を伸ばたその刹那。ドンとテーブルにグラスが置かれた。それは最初に飲んだオババ特製フレッシュ炭酸飲料だった。「ふぉ、ふぉ、ふぉ、そろそろ炭酸飲料が飲みたい頃じゃと思ったわ」とオババは某、光の国からやって来た巨人が怪獣と戦うSF物語に出て来る、ジャンケンに弱そうな宇宙人の笑い声を出しながら言う。すかさず、「あ、ありがとうございます」と私は礼を述べ一口。「これは店からのおごりじゃ、茶太郎の迷惑料じゃ」と言いオババはカウンター奥に帰った。口の中をリフレッシュした私は、秋刀魚定食を食べる事を再開。白飯と食べつつ、秋刀魚を突き、味噌汁を胃に流し、合間に沢庵をポリポリと音を鳴らし、フレッシュ炭酸飲料を飲む。それから、数分で平らげてしまい、食べつくした皿を見て、自分でも驚く。ああ・・久しぶりに食事をした感じがする・・。私はソファーに身を預けて店の天井をボーと見て、夢心地な気分を堪能し、数分、いや、もしかしたら一時間位そうしていたのかも知れない。随分とゆっくりしていたら、「お客さん、そろそろ店仕舞いじゃ、清算をするのじゃ」とオババはいつの間にか傍にいて私に伝票を渡す。「あっ、すいません!、えーと、2500円ですね」と余りの居心地の良さに閉店まで居座ってしまった自分に焦り、私はあくせくと支払う。「丁度じゃな、またいつでも来るのじゃ!、オババは歓迎するぞい」とオババはレシートを私に手渡した。「はい、そうさせて頂きます!、じゃあ、おやすみなさい」と私は店を後にする。薄暗い路地に出て時計を確認すると、午前3時になっており、完璧に今日の業務に支障が出る。だが、私は少しも後悔はしていなかった。

 

 炭酸の店に行った日から半年後。私の環境は激変した。それは、一念発起して、会社の仲間と一緒に仕事環境の改善を本社に訴えた事が功を奏し、業務時間が午前の九時から、午後の7時までなり、大幅の改善が行われたからだ。正直、こんなに簡単に上手く事が運ぶとは思いもよらず、私が耐えた何十年という月日は何だったのかという理不尽さを感じる事も無い訳じゃないが、仕事に追いかけられる日々から解放された思いが勝り、何とか心の中で決着がついた。炭酸の店にはあれから頻繁に行っていて、もう常連になっていて、今日もこれから行く予定だ。業務が終了していつもの繁華街を歩いている。以前なら店は閉まっていて、閑散とした繁華街を通っていたが、今は、人々が行き交い、様々な店が立ち並び、賑やかな繁華街を通っている。いつもの路地に差し掛かり、私は路地奥の炭酸の店という看板を目指して進む。スナックの様なドアを開けると、「おやおや、お疲れ様ですじゃ」とオババが私をいつもの様に迎える。私はカウンター席に座ると、奥のソファーのボックス席に見知らぬ麗人がいた。彼女は髪を束ね、目じりに燃える様な赤いチークをし、白いワイシャツと黒の際どいスリットが入ったタイトスカートに黒いハイヒールをしていて、背筋にピリッと電気が走るほど、絶世の美女だった。こんな場末の店にいる様なタイプではない。「オババ、彼女は?」と私はオババにあの麗人の素性を訪ねた。「ああ、彼女は、茶太郎の親の飼い主ですじゃ」とオババは答える。「茶太郎の?、へーそうなんだ」と私は返し、改めて麗人の彼女を見る。彼女の膝には茶太郎が仰向け状態で目を細めてリラックスしていた。茶太郎は誰にでもフレンドリーだが、仰向けにしようとすると凄く嫌がった。流石、茶太郎の親の飼い主と言ったところか・・。「あら、あら、こんばんは」と麗人の彼女が私の視線に気が付き、挨拶をしてくる。「あ、どうも、こんばんは」と私は返すのが精一杯だった。「あなた、茶太郎から随分好かれている様ですねw」と麗人と彼女はくすっと笑う。「えっ、そんなんですか?、茶太郎は誰でもなつくから気の所為じゃないですか?」と私は言う。「あら、あら、謙遜なさらずにw、茶太郎から聞きましたわ」と麗人の彼女は茶太郎の腹をさする。聞いた?、それって文学的な表現って奴か?・・そうだよな?。困惑している私の様子を見て「くすっw」と麗人の彼女はまたも笑い、足を組みなおし、その白いセクシーな太ももが露わになり、私は目のやりに場に困る。やはり、住んでいる世界が違う人種は、私が考えも及ばない考え方をしている様だ。「はは・・そうなんですね」と私は若干引き気味で返し、「それ位にして下され、このお方は私の大事なお客じゃからの」とオババが私に助け舟を出してくれた。「あら、あら、これはやり過ぎたみたいねw、反省w」と麗人の彼女は自らの頭を軽く叩きペロっ赤い舌を出す。私は彼女の持つ不可思議な雰囲気に押されそれ以上何も言えず、オババが出した特製フレッシュ炭酸飲料を一口飲み気を紛らわす。そして、「ごちそうさま、今日はもう帰りますわ」と所長は言い、「もう帰るのかい?」とオババが返す。「ええ、最近、忙しくて、じゃあね茶太郎w、ミケには元気だったと伝えとくわ」と麗人の彼女は言い、店から立ち去った。店には私と茶太郎とオババだけになり、いつもの炭酸の店に戻る。「常連にあんな美しい人がいるんですね」と私はオババに言う。「まあな、彼女とは長い付き合いじゃな」とオババが麗人の彼女が飲んでいたグラスを片付ける。どうやら炭酸屋には私が知らない事がまだまだありそうだ。足にまとわりついて来た茶太郎を抱き上げ、膝に乗せ頭から背中にかけて撫でながら、オババ特製フレッシュジュースを飲み、私は楽しい事がこの店で起こりそうな予感で笑顔になった。

 

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲をBCNOさん、イラストをぬごですがさん。、動画を綾瀬まなみさん達によるあかぬけたよねです。

 

 本曲は、想い人の好意が他者に向けられていて、それが切っ掛けで黒い嫉妬の炎が燃え上がり、黒い情熱の熱量の赴くままに、憎いあの子の容姿に近づこうと凶行に走るダークな歌を、星界さんが歌います。

 

 本曲の題名、あかぬけたよねの垢抜けたの意味は、田舎臭さが抜けて都会的な洗練さを身に着けた意味です。本曲では想い人の視線を集めたお転婆な子のノーマルな垢抜けと、想い人の視線を奪うために主人公がとった行動、アブノーマルな垢抜けの二種類あり、題名あかぬけたよねは、それらを統合した女性の虚栄心を満たす行動を表す新語だと自分は思いましたよ。

 

 

 

 本曲はダークな雰囲気満点で、聞いているとゾクゾクしますね!。彼が欲しい、あの子の容姿が欲しい、などの人間の根源的な部分に近い欲求はシンプルゆえに、誤魔化しが利かなず、逆らう事は困難かつ制御が難しく、多くの人が道を踏み外し歴史を紐解けば、ハンガリー貴族のバートリー・エルジェーベドなどは、若さと美貌を保つために、処女の血を集めるために大量殺戮をして、後にその事が公になり逮捕されて、彼女は王族だったため死刑は免れましたが幽閉されて獄死したのは有名な話で、人は古来から根源的な欲求に振り回されて破滅をしているんですよね。自分はこの手の破滅に縁が無く、喜ばしい様な・・悲しい様な・・。

 

 本曲、あかぬけたよねは、人の欲求が起こす、光と影の影の部分を表現しているダークな歌は、誰もが持っている闇の部分を刺激し、共感を感じる歌だと思いますので、是非、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

星界

weblio様より

垢抜けた