煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

トークロイドが歌うVOCALOID曲

 

 こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 4月29日に円が急落して対ドル為替が160円まで下落すると、突如155円辺りまで推移し、このまま円高に振れるのかの思いきや157円に戻って円安トレンドは継続かと思われた矢先に、153円に戻るという大変恐ろしい乱高下が起こりました。この顛末の原因は、5兆円規模とおよそ3.5兆円規模の二回に渡った日銀の介入だと言われております。自分はFXなどの為替はやって無いので被害はありませんが、ネットで検索するとロスカット報告がちらほら散見されていますね。損失を被った方々は、日銀の植田総裁が円安を容認とも受け取れる発言により、円安トレンド継続を確信して、ポジションを持った矢先に介入されて爆死という流れが大半みたいです。何だかデジャヴ感ありますが、一夜にして資産が減り、下手したらマイナスになる事を想像すると・・・、ゾクッと背筋に冷たいものが走りますよ。恐らく介入のタイミングを悟れないための容認発言でしょうが、えげつないですね・・・。

 

今回のお品書きになります

 

 

 

煮干しがお送りするちょっとした物語

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

 

 俺は喫茶店の個室トイレに設置してある洗面台の鏡に向かいながら、「落ち着け、落ち着け・・・」と冷静になろうと自身に暗示をかける様に呟く。冷静な部分の自分が、額に浮かぶ脂汗と落ち着きがない鏡越しの自身の様子に情けなさを他人事のように感じていた。今の状況を説明すると、個室トイレの中で自身の体を改めたら、有るものが無くなって、無いものが有る、そんな状況・・・簡潔に言えば男から女になってしまった。そんな馬鹿な話が有るか!?と思うかもしれないが、この国では大いにある話なのだ。この国は、八百万の神々が気まぐれで現世に介入して騒ぎを起こしている。しかし、国民のほとんどはその事実を知らない。更に人の姿に化けて、人の言葉を理解し操る動物たちがいる。それらは化け者と総称されていて、多種多様な種族が跋扈している訳だが、それも国民の大半は知らないのだ。神々と人外の者たちが日夜大騒ぎしている傍らで、日々、普通の日常を過ごしている人々・・・、そんな極端な二面性が混在している国で、俺は双方の世界を行き来してる数少ない人間の一人、絶賛ヤバい状況の志村という者だ。

 

 俺は鏡を見ながら己の顔を両手で慎重に触れると、もっちと柔らかい感触に、「うわっ!」と思わず声が出て、その少年の様な声に再び驚き、反射的に口元を手で押さえた。パニックは収まる気配が無く、俺は両手で洗面所で顔を洗い、寄りかかる様に前かがみになりながら、冷静になるために過去を振り返る。えーと、確か去年の暮れ頃かな・・・、俺は化け者の化け狐である所長に雇われ、興信所もとい何でも屋みたいな仕事をしている訳だが、化け者たちが関わる仕事は危険が常に伴うので、何の取柄もない普通の人間である俺には自衛する手段が必要不可欠だったんだ。手っ取り早く自衛する力を手に入れるべく、所長の勧めで八百万の神様から神器を受け賜わる事にしたんだっけ・・・。神様の気まぐれ的な要素が強く、神器を受け賜われない事が大半と言う話だったが、俺は首尾よく神器を受け賜われた。これで仕事の幅が広がり、足手まといにならないと意気揚々も束の間、契約した神様は気まぐれに食べ物を貢がせる厄介な神様だった。要求する食べ物はありふれたもので、苦戦はあまりせず、淡々と望むものをあちらへ送っていたが・・・、遂に見当も付かない食べ物を要求されたんだ。苦戦はしたが、同僚の化け者の化け猫であるミケの協力もあって何とか見つけることが出来て、神様がいるあちらへ送ると、スマートフォン越しに今回はご褒美をやると言う返事が返ってきた。その言葉に俺は小躍りして、神様の褒美は何かと心待ちをしていら、何やら体が突如むず痒くなって・・・、数分で収まり体を触り確認をすると、あり得ない感触が胸の辺りに感じ思わず叫び・・・、それから客や店員の視線を背中に感じながらも急いでトイレに駆け込み、気のせいであってくれてと心の中で懇願しながら個室トイレに入り確かめたんだ。そして結果はやはり気のせいではなく、俺の体は女になっていた・・・。俺は頭の中がグルグルと様々な事が駆け巡り、フラフラと洗面所の前に立ち現在に至る・・・。去年から今日までの事の経緯を順序だって頭の中で呟き終わり、俺に落ち度は無いと分かり、「ふーー」と息を吐き出す。ほんの少しだけ冷静な部分が増えて、俺は事態の打開に所長に相談する事を思いつきトイレのドアに手を掛けようとした。すると、「コンコン」とノックする音がして、「お客様?、大丈夫ですか?、何やら尋常じゃない感じでしたが、ご気分が優れないのですか?」と恐らく喫茶店の店員さんであろう声。俺は即座に、「大丈夫です」とドアを開けてトイレから出ると、心配そうにした喫茶店の店員さんがいた。店員さんは俺の顔からつま先まで露骨に見て、「あれっ?、お客様は男性の方だとお見受けしていましたが・・・女性だったのですねw、それしても・・・」と何かを言いたそうな顔をする。俺は不可解な顔で、「な、何ですか?」と尋ねた。店員さんはニコリと笑い、「これは中々の・・・、ナイス!、ボーイッシュですね!」と俺の肩を持つ。俺は顔をもろに引きつらせながら、「あ、ありがとうございます・・・、清算をお願いします」と礼を言い、清算を済ませたい旨を伝えた。

 

 茶店清算を済ませた俺は早歩きで九尾百貨店の中を進む。目的の場所は、屋上にある所長の屋敷。俺は前方に見えた所長の屋敷に行ける唯一のガラス張りのエレベータに乗り込んだ。上昇を始めたエレベータ内で俺は貧乏ゆすりしながら、ガラス張りのエレベータならではの下の景色に視線を移す。これが普通の状態なら楽しむ場面だが到底そんな気持ちになれなかった。屋上に到着を報せるベルが鳴り、エレベーターのドアが開くと、贅沢な庭の先に豪勢な屋敷が現れる。何も知らない人がこの景色だけ見れば、まさかデパート屋上だと思わないだろう。俺は小走りで庭を駆け抜け、玄関ドアのインターフォンに近づき、呼びボタンを押す。すると、すかさず、「はい、ここは九尾百貨店のオーナーである所長の屋敷よw、あなたはどちら様かしら?、見かけない顔ね?」と所長の声がした。俺は焦りながら、「し、志村です!、大変なんです、所長!助けて下さい!」と懇願する。少し沈黙の後クスッと笑い、「あらあらw、私の知っている志村君は男よ?、どちら様かしらw、まあ・・・良いわ、ちょっと待っててね」とインターフォンが切れた。俺の事が分からない?、当然と言えば当然か・・・、だが面会はしてくれそうだ!、直接説明して信じてもらえば良い!。数分後、屋敷の大きな豪勢な扉が開き、黒髪を束ねて、ラフな格好に赤いアイラインと爛々と輝く赤い瞳をした麗人が出て来る。所長は俺をじっと見て、「あなた誰?、志村君の名を語ってまで何の御用かしら?」と完璧に赤の他人を見る目。俺は焦りながら、「だ、だから志村です!、あなたの部下の志村なんですよ!、女性になってしまったんです!」と思いつく言葉をありったけ言う。所長は俺の話を聞きうんうんと頷き、「あらあら、そんなに焦って喋ると伝わるものも伝わらないわ・・・、これを飲んでみてw、すっきりするわよ」と何やら缶ジュースを俺に差し出して来た。俺は眉を潜めながら受け取り、缶ジュースの銘柄を見ると缶コーヒーに偽装されたど忘れ薬だった。しかも渡されたのは旧型の何もかも忘れて廃人コース一直線の代物だ。俺はワナワナと体を震わせながら、「ふざけんな!、何もかも忘れてスッキリしろってか?、こっちは余裕がないんだよ!、というか・・・俺の事を分かっているだろ?、このくそ化け狐!!」と初めて所長に暴言を吐き、ど忘れ薬を玄関の大理石に叩きつけようとしたが、ネットか何かで大理石の床は傷がつくと全とっかえと聞いた事があるので、そのまま所長に突き返す。所長はニヤリと笑い、「いやーんw、そんな怒っちゃダメ♡、その小物ポイッ仕草好きよw」とやはり俺の事を認識していた。俺は怒り収まらず、「とにかく!!、どうにかしてください!!」と所長に怒鳴る。俺の怒気に所長は少しむくれてた態度で、「もう!、志村ガールは怒りっぽいのね、短気は損気よ!」と返して来た。俺は興奮しながら、「じゃあ、まともに対応してくださいよ!、してくれたらこんなに怒らないんですよ!」と所長を糾弾。いつもと違う俺の態度に所長は流石にしゅんとして、「まあ、今回はやり過ぎたかもね・・・、ごめんなさいね・・・、それにしても・・・ナイスボーイッシュねw」と俺の肩を持った。そのデジャヴ感により、喫茶店での出来事が俺の脳裏に浮かび体の芯から何かが燃え始めたように熱くなり、「あの店員はあんたの部下だったのか・・・・それで知っていたのか!?、ふざけんな!!」と再び興奮が最高潮に達する。所長は薄ら笑みを浮かべ、「あらあら、バレては仕方がないわw、ごめんなさいね、化け狐は人をばかしてなんぼのなのよw、それにしてもやはり・・・、ナイス!、トムボーイね!!w」と再び肩を持つ。俺は肩を持たれた手を跳ねのけ、「やかましいわ!!」と青空に俺の叫び声がこだました。

 

 所長の屋敷の客室にて、フワフワの高級ソファで寛ぎながら俺は一人、紅茶をすする。あれから半時ほど経ち、興奮も大分収まっていた。所長は何やら仕事をしている最中だったようで、俺を残して何処かへ行ってしまった。紅茶も飲み干し、クッキーをかじりながら時間を潰していいると、遠くから所長のハイヒールの音がしてくる。ようやくお出ましかと、待ち構えて俺はドアを見た。ハイヒールの音が止まりドアが開くと、「ごめんなさいね、雑務が多くて」と手にしていた新しいティーポットを携えながら来て俺の正面にあるソファに華麗に座ると机にティーポットを置く。俺は咳ばらいをして、「あの、その、先程はすいませんでした・・・」とまずは謝罪。所長はクスッと笑い、「気にしないで、悪いのは私よ」と赤い舌をペロリ出し、ティーポットを手にして未使用のティーカップに注ぐ。いつもならその仕草にあまり腹は立てずドン引きするだけだがこの体の所為か、イラっとして、はらわたがぐつぐつと煮えくり返る。だが、ここで興奮して蒸し返せば話が進まず、更に所長がへそを曲げて助けてくれない事態は避けたい。怒りをぐっとこらえて俺は、「あの、元の戻れる方法を知りたいんですが・・・」と所長の知恵の拝借を伺う。すると、所長は足を組み直しそのセクシーな太ももを見せつけながら、ぷくりと膨らんだ同じく赤いセクシーな唇で紅茶を一口。男の時は間違いなく、その妖艶な仕草を目で追ってしまう所、全く気にならない事に少し俺は驚きつつ所長の言葉を待つ。所長はティーカップを置くと、「そうね・・・まずは本人に直接伺ったら?」と言った。俺はその言葉にキョトンとして、いの一番にやらなければいけない事をしていない自分に驚き恥じた。俺は顔を赤くして、「あ、そうですよねw、何でやらなかったんだろう?、ははは・・・」と最後は愛想笑いで茶を濁す。俺はすかさず懐からスマホを取り出し、連絡帳の中にある神様へつながるバグった文字の羅列表記をタップ。数秒後に繋がった事を確認した俺はスピーカーに切り替え、「あの神様・・・どうもです、お尋ねしたい事がありまして連絡しました」と開口一番に言う。スマホのスピーカー越しから、「おお!、契約者の志村か?、何だ?」と神様がフランクに受け答え。俺はゴクリと生唾を飲み、「あの・・・、俺の体を何で女性にしたんですか?、ご褒美って言ったじゃないですか?、酷くないですか?」と矢継ぎ早に質問をする。すかさず神様が、「はっ?、お前が望んだ事を叶えてやったのだぞ?」と返事を返す。俺は驚きながら、「ちょっ!?、俺はそんな事を一度もお願いをしてないじゃないですか!」と抗議。スマホのスピーカからため息交じりに、「私は暇な時にお前の視界を借りて下界を観察しているのだが、異性が視界に入るとお前はよくチラチラと観察をしているのを度々しているだろ?、だから私は思ったのだよ・・・、こいつは異性の体に憧れていると、だから今回、その褒美に叶えてやったのさ」と言った。その瞬間、目の前の所長は大爆笑をして、「神様w、それは憧れではありませんわw」と口を挟む。スマホのスピーカーからすかさず、「何!?、じゃあ、あの行動は何なのだ?」と所長に尋ねる。所長は笑い涙を手で拭いながら、「あれは人のオス特有の発情行動ですわw、彼は私に対しても良く目で体を舐め回すように見ますのよw」と答えた。スマホのスピーカからブホッとせき込む音がしてから、「じゃあ・・・あれはこやつの発情仕草だったのか・・・、志村よ、すまんどうやら私の早合点だった様だ」と俺に謝罪をしてきた。俺はか細い声で、「いえ・・・、間違いなら誰でもありますので・・・早く戻してください・・・」と返すが精一杯。一連の二人の会話で俺の耳は熱くなり、ヤカンを付けたら沸騰しそうな勢いだった。いたたまれない感じで俺が縮こまっていると、応接室と廊下に繋げるドアが開き、「所長!、注文の品を持ってきたにゃあ!、どこに置けばいいかにゃあ!」と飲料メーカのロゴが記された段ボールを縦に二つ積んで持った黒髪ツインテールのメイド姿で三毛柄の猫耳と尻尾を携えた女性が入ってくる。彼女の名前はミケ、俺の同僚であり、化け者の化け猫に属してる三毛猫だ。所長はミケの姿を見るや否や、「あらあら、ご苦労様ミケw、適当にそこら辺に置いてくれれば良いわよ」と指示。ミケは元気よく、「了解にゃあ!」と応接室のドアの近くに置き、俺たちの方へ視線を向け、「ありゃ!?、来客中かにゃあ?」と自身の耳と尻尾を隠す仕草。俺は志村だとミケに伝えようと口を開くがその前にミケが、「お前・・・何というか・・・ナイス!、まにゅ?、マニッシュにゃあ!」と明らかに覚えたての拙い言葉で感想を言う。俺はミケが俺の状況を知っている事を悟り、「うっせーよ!、駄猫!、もう少し練習してから来いや!」と返す。ミケは驚きながら、「にゃにゃあ!、所長の言った通りにゃあ、志村ガールは男の時より負けん気が強いにゃあ」と言う。その言葉に情報がミケに伝わっている事を俺は悟り、ジロリと所長を睨む。所長はどこ吹く風で涼しい顔で、「でしょう?、志村ガールの状態になると気が若干強いみたいね」と言い、ケタケタと笑い始める。俺ははムッとしながら、「人ごとだから笑えるんですよ!、所長だって突然男になったらパニックになって興奮するでしょ?」と抗議。所長は少し考える仕草をして、「どうかしらね?、案外、楽しんでしまうかもしれないわよw」とあっけらかんと返す。俺は悔しいが容易に想像できて、「まあ、所長なら・・・そうかもしれませんが・・・」と口を濁した。静観していたミケが突如、「お前の負けにゃあw」と背中を叩く。俺は苦笑いをしながら、「うっせーw」と返した。それから会話が弾み、俺たちの間に元の空気に戻ると、「おい!、神をないがしろにするな!」と突如スマホのスピーカーから怒気が飛ぶ。俺たちはハッとなり、スマホに注目。皆の視線が集まる中、スマホから、「私の誤解だったようだから元に戻そう、だが、生物の性別はホイホイと変えられる事は出来ないのだ、最短でも一週間ぐらいは間を置かないとお前の体が持たないからな・・・、それまで辛抱をしていてくれ」と声が聞こえた。俺はホッと胸を撫で下ろしながら、「一週間ですか?、それなら全然大丈夫ですよw、了解しました、それまで待ちます!」と問題ない事を伝える。スマホからすかさず、「そう言ってくれるかw、この度は面目ない」と神様から謝罪の言葉が出た。

 

 ミケは俺の横にある三人掛け用のソファに豪快に座り、「何で神様は志村が女の子になりたいと思ったにゃあ?」と先程の話を蒸し返す。すると、所長が含み笑いをしながら、「それはねw、志村君の目線が女性を見る時の仕草で誤解をしたのよw」と教える。ミケは笑いながら、「にゃははw、時より見せるあのやらしい目線かにゃあw、ねえ?神様♡神様♡、志村はあたいを見る時どこを見ているかにゃあ?」と突如、神様に質問。スマホから、「その声は三毛柄の化け猫か?、そうさな、お前を見ている時は・・・、耳と尻尾の往復が大半だな」と答えが返ってきた。その答えにミケはギロリ俺を睨み、「ふざけんなよにゃあ!、あたいの体に見るべき所が他にもあるだろにゃあ!」と激高。俺は顔を真っ赤にして、「やかましわw、駄猫!、忙しなく動く耳と尻尾が気になるんだよ!」と言った。俺の言葉を受けミケはおもむろにボフッと化け者が変化をする時と解除する時に出る特有の煙と音を出し、三毛猫の姿に戻り所長の胸に飛び込む。そして、「志村ガールは化け者差別のレイシストにゃあ!、所長の事は舐め回す様に見る癖にあたいのセクシーボディは無視にゃあ!」と明らかな泣き真似。俺はめんどくさい仕草で、「差別何かしてないよ・・・」と弁明する。ミケは所長の胸にうずめた顔をこちらに向き、「じゃあ何でにゃあ?、あたいと所長何が違うにゃあ!」と尋ねて来た。俺は考えなら、「俺もはっきりとは自分でも分からないけど、ミケ・・・お前は服とメイクをセットに化けてないか?」と質問。ミケはエッヘンと胸を張りながら、「そうにゃあw、その方が楽で何よりコスパが優れているにゃあ、お風呂に入る時は変化を解除して湯船にザブンにゃあw」と答えた。俺はその答えにほぼ確信を得て、「所長、あなたはもしかして、服やメイクを化ける力によるものではないですよね?」と今度は所長に質問をする。所長はニコリと笑い、「ご名答よw、私たち化け狐は基本、素体の体しか化けないわ、服やメイクは人間と同じで本物を使っているのよ、それはね、より高度な変化のためにやっている事なの」と説明。ミケは所長の説明に、「えー!、面倒くさくないかにゃあ?」と尋ねる。所長は自身の膝にいるミケを撫でながら、「確かに面倒ではあるけど、何もかも化けると違和感が僅かに出てしまうのよ、人はその僅かな違和感に無意識に感じてるの、ミケも機会が有ったらやってごらんなさいな、周りの人の目線が全然違うから面白わよw」と答えて最後は勧めた。ミケは所長の手の甲で喉を擦られ、ゴロゴロと喉を鳴らしながら目を細めながら、「なるほどにゃあ・・・、今度やってみるにゃあ」と関心をした感じだった。所長は俺に視線を向けて、「志村ガールは鋭いわねw、感心したわw」と誉めて来る。俺は、「いや・・・、少し前から薄々そうじゃないかと思っていたので性別は関係ありませんよ」と返す。所長はフフっと笑い、「あらっ?、そうなの?」とペロリ赤い舌を出した。

 

 話の区切りがついた頃、スマホから、「私は神の寄り合いが有るから失礼する、志村、一週間ほどの辛抱をしてくれ」とスマホの通話が終了した。俺は懸念材料が無くなり、お暇しようとした時、所長が俺をじっと見て、「この機会を逃す手は無いわね・・・」と呟く。俺は眉をひそめ、すかさず、「何か有るんですか?」と尋ねた。所長は頷き、「ちょっとね・・・、厄介な事が起きてしまったのよ、悪いけど書斎まで来てくれるかしら?」と言う。俺は二つ返事で、「はい」と返事をし、膝に乗っていたミケは所長の肩まで駆け上がり、まるでマフラーの様に首に巻き付くと、「書斎までゴーにゃあ!」と号令を掛けた。所長は、「まあw、ミケったらw」と微笑みながら立ち上がり、「志村君、付いて来てね」と歩き出す。所長の後に続き進むと複雑な飾り彫りをした重厚なドアの前に辿り着く。所長がそのドアをあけ放つと、室内は様々な本がギッシリ詰まった本棚に、来客用なのか対面する一対のソファとテーブル、奥にはクラッシックな大きなデスク、それに高価そうなグラステーブルランプ置かれ、欧風貴族の書斎と言った趣。所長は座り心地が良さそうなラグジュアリーな椅子に座り、ミケは机に着地して香箱座りをし入口でまごついている俺をジロリと見て、「志村ガール!、ボサッとしてないで早く来るにゃあ!」と入室を促す。俺は、「お、おう」と畏まりながらキョロキョロと部屋を見回しデスクを挟んで所長と対面する形の場所に行く。所長はデスクの引き出しから書類の様な数枚出すと両手を組みながら俺を見据え、「志村君、稲荷歓楽街の枕通りにあるパパ活路地を知っているかしら?」と突如尋ねて来た。枕通り・・・、稲荷歓楽街の西側に位置していて、ラブホテルがひしめき合う場所の事だ。主にホストやホステス、キャバクラ嬢が太客をキープするために枕営業をする目的で頻繁に利用している。それ故、枕通りと言われるようになった。稲荷歓楽街では、所長を総帥に据えた稲荷歓楽街商工会の制定する商工会規則により、 クラブやキャバレーなどのキャストが枕営業をすることを原則禁止にしているが、実情は店側の見て見ぬ振り状態が多い。しかし、正式に告発されれば店側は動かなければいけない訳だが、枕通りは独自ルールがあり、通りに入れる箇所に検問があってスマホを預けないと通りに入れない・・・、更に通りの中には監視カメラの類はラブホテルのフロント以外一切なく、その情報も一切外には洩れない事と同業者も呉越同舟であるため密告しない事から、太客からの寵愛を受け給料を上げたいキャストと利益を伸ばしたい店側にとって枕通りは都合が良いのだ。俺は所長を見つめ、「はい、知っていますけど・・・それが何か?」と返す。所長はニコリと笑い、「僥倖(ぎょうこう)、話が早いわw、実はね先日の事なのだけど、パパ活女子がラブホテルで失神した事件が起きたのよね、それで私は周辺の情報を部下に探らせたら、同様の騒ぎが18件起きているのよ」と言う。俺は所長から知らされた被害者の数に驚きながら、「知っていますよ、それ、何でもパパ活女子が相手から一服盛られたんじゃないかって話ですよね、18件って・・・そんなに被害者がいるんですか?」と言った。所長は頷き、「そうなのよ、私も報告を受けて驚いちゃったw」と無意識な感じでミケの背中を撫でるとミケの猫エンジンが鳴る。その、「ゴロゴロ」というアイドリング音を聞きつつ俺は、「じゃあ、その一服盛った男を探すのが仕事ですか?」と今回の仕事内容を確認。所長は首を振り、「ちょっと違うわね、一服盛った男を探すのは、ほんの始まりで、更にその先にいるパパ活女子を失神させたエナジードリンクをどこから仕入れたかを聞き出すのが仕事よ」と今回の仕事内容を言った。俺は少し困惑気味に、「聞きだす?、あの・・・それって、脅したりして口を割らせるって事ですか?、俺・・・そんな事出来ませんよ?」と遠回しに拒否。所長はフフっと笑い、「大丈夫よw、志村君は飽くまでおとり役で聞き出すのはミケともう一人の子が担当するから心配しないでw」と俺の拒否反応を和らげようとする。しかし、俺はおとり役と言う言葉に驚愕し、「俺がおとり役!?、ちょっ、何で?、無理ですよ!」とはっきり拒否した。俺の断固とした拒否に所長は困った顔をして、「困ったわね・・・、一刻も早く犯人を捕まえないと被害者は増えるばかりなのに・・・、ミケどうする?」とミケに話を振る。ミケは猫エンジンを止めて、「困ったにゃあ、あそこはあたいの自販機が置かれていて、エナジードリンクとコンドームのセットが爆売れするスポットにゃあ、一服盛って来る奴がこのまま徘徊し続けたら商売あがったりにゃあ・・・どこかに丁度いい生娘がいないかにゃあ?」と俺をジト目で見た。俺は手を振り、「絶対やだ!」と再度拒否。所長はため気を付き、「どうしようかしら?、被害者がまたでないと良いけど・・・、因みに失神した被害者たちは今も意識が戻らないのよ・・・、だから被害者に相手の事を聞きだす事もままならいし・・・、枕通りを取り仕切るムササビ姉妹は頑固でお願いしても監視カメラの情報を見せて貰えないだろうし・・・、おとりを使って捕まえて聞き出すしか手は無いのよね・・・」と俺をチラッと見た。すると、「はあー・・・、あたいがおとり役になれるもんならなるにゃあ、でも志村にすら惹きつける魅力がないから無理にゃあ、最近女の子になった最適な人材がいないかにゃあ?」と今度はミケもチラチラ俺を伺う。俺は二人からの重圧に耐えきれずとうとう、「わかりましたよ!、やりますよ!、やればいいんでしょう?、その代わり直ぐに助けて下さいよ?」と渋々おとり役を了承した。俺の色よい返事に二人は笑顔になり、所長は「流石!志村ガールw」と言い、ミケは机からジャンプしてく空中で回転しながら、「ボフッ」と化け者が化ける音と煙を出し、黒髪ツインテールでメイド服のいつもの姿に戻りつつ俺の後ろに着地。すかさずミケは、「いざという時はあたいが助けてやるから大船に乗った気持ちでいるにゃあ!」と俺の背中を叩いた。俺はよろけながら、「絶対だからな?、本当に直ぐ助けに来いよ?」とこれでもかと念を押すのだった

 

 ようやく話が進むと、所長は真剣な目つきに変わり、「それでは仕事を言い渡します・・・、志村君、あなたはおとり役になって犯人と接触、そしてあらかじめ用意したラブホテルの個室におびき出してください」と指示。俺は間髪入れず、「はい!」と返事を返す。俺の返事を聞いた所長は頷き、「それから、ミケ!、あなたは志村君が連れて来た犯人からもう一人と共に使われたエナジードリンクをどこから仕入れたか聞き出してください」と指示。ミケはウィンクをして、「はいにゃあ!、任せるにゃあ!」と満面の笑みをする。所長は笑顔になり、「よろしい!、作戦は明日の夕方から決行します、最後に質問があるなら言ってください」と質問を最後に受け付けた。俺は数点の疑問があり、「はい!、質問があります!」と挙手。所長は俺を指さし、「はい、志村君、何でしょう?」と質問の許可をした。俺は早速、口を開き、「まずは、所長はパパ活を容認しているんですか?」と最初の質問。所長は少し考える様な仕草をして、「うーん・・・容認か否定かと言われれば否定寄りかしらね、でもね貧困女子の最後の砦がパパ活なのよ、経済的な事情ならまあ・・・仕方がないかな?と思うわ、だけど最近はホストにハマった女の子が支払い能力を超えたつけを払うためにパパ活をしてる子が殆どで、それに関しては否定ね・・・、今回の事件は良い機会だからそのホストクラブには私が直々に赴いて話し合いに行く予定よw」と俺の質問に答えた。所長の話し合いとは額面通りの言葉じゃなのだろう・・・、近々パパ活女子は激減する日が近いのかもしれない。俺は所長の答えに納得し次の質問を言うため口を開き、「次の質問は、エナジードリンクが失神の原因だと所長は言いましたが、それは現場に落ちていたからですか?」と言う。所長は俺に質問を聞くとクスリと笑い、「質問が多いわねw、被害者の血液検査で判明したのよ、そのエナジードリンクはね、子飼いの化けタヌキ研究室から開発された代物で、まだ開発段階の未完成品なのよ・・・、本来なら一日働いても疲れ知らずの筈が、数分で体内のエネルギを燃やしつくて低血糖になり失神してしまうのw、事件を受けて研究室の保管庫の在庫を調べると数が全然合わない事が発覚したのよねw、本当、困っちゃうわw」と驚愕の答えが返ってきた。俺は目が点になり、「えっ・・・じゃあ、この事件は所長の身内が関わっている化け者絡みですか?」と問いただす。所長は笑顔で、「ご名答よw、志村ガール鋭いわねw」とあっけらかんと言う。俺は苦笑いをしつつ口を開き、「もう一人の人員が来ると先程口にしていましたが、誰ですか?、俺が知っている人ですか?」と最後の質問。すると、所長が言う前に横にいて静かにしていたミケが、「あたいが言うにゃあ!、おいでませ!サバ子!」と書斎のドアに声を掛ける。俺はミケの呼び掛けに俺は書斎のドアに注目。すると書斎のドアがゆっくりと開き、「先輩、待ちくたびれましたよ・・・」とジト目の女性の顔半分だけが現れ、そろりと書斎に入室。俺は、「あなたは!」と驚く。それもその筈、その女性は先程までいた喫茶店の私服姿の店員さんだった。彼女が俺たちの所まで来るとミケはサバ子の肩を抱える様にし、「こいつはあたいの一期後輩で、鯖缶大好き!、副業の一つはサーバー保守管理、月に一回、地方で行うサバイバルゲームが何よりの生き甲斐!、ワーカホリック・サバサバ系サバシロ柄雌猫のサバ子にゃあ!」と彼女の紹介をした。俺は驚きが収まらないまま、「あ、どうも、今回はよろしくお願いします」とお辞儀。サバ子は即座に、「はい、こちらこそよろしくお願いします!」と挨拶を返す。所長はサバ子を見つめ、「今日は変な事を押し付けてごめんなさいねw」と謝罪。サバ子は手を横に振り、「いえ、所長さん頼みですから」と言った。俺たちは横一列に並ぶと所長は頷き、「役者は揃ったわね・・・、皆!明日からの働きには期待しているわよ!、これは今回の作戦表よ!、各自確認して明日に備えて!解散!」と言い机にあった資料を俺達それぞれに差し出す。俺たちは資料を受け取り、所長の屋敷を後にした。下降するエレベーターの中で、ミケとサバ子の会話が弾み俺だけアウェーを感じていると、「志村!、これからお前の服を買いに行くにゃあ!」と突如ミケが言う。俺は驚き、「な、なんで?」と返す。ミケはヤレヤレといった顔で、「かー、そんな事も分からないかのかにゃあ?、今の服装とノーメイクでは釣れるもの釣れないにゃあ!」と至極まともな事を言い、矢継ぎ早にサバ子が、「大丈夫ですよ志村さん!、私がコーディネートしますので」とニコリと笑う。まあ、いつも変わり映えしないメイド服のミケならいざ知らず、サバ子さんがいるなら大丈夫だろう・・・。俺は覚悟を決めて、「よろしく願いします!」と二匹もとい二人に託した。

ーつづくー

 

359曲目の紹介

 

 

 今回ご紹介する曲は、mucellさんが作詞作曲及びアレンジを担当し、イラストをびんちょうまぐろさんが担当して、チューニングと動画をこんにゃくねこさんが担当、動画の一部をアジサバさんが担当した合作のレプリカント・ゴーストステップです。

 

 

 本曲は、トークロイドに敢えて歌わせるという試みで生まれた曲で、サイケデリックポップサウンドに乗せて足立レイさん並びに東北きりたんさんが歌います。

 

 本曲の題名レプリカント・ゴーストステップを理解するためには足立レイさんの事を知らなければいけません。足立レイとは、ロボットによる等身大初音ミクプロジェクトから生まれたオリジナルプロトタイプ機名の事です。当初は試験機の名前だった足立レイでしたが、UTAU音源で声を制作し一般公開すると独り歩きし、結月ゆかりや琴葉茜・葵でお馴染みのA.I.VOICEに実装されるという快挙をして今に至ります。本題に戻りますが、恐らくですが題名は足立レイの出自である等身大ロボットの設定を引き継ぎ、ロボットから幽霊にスッテプアップするという動画に流れる物語を表している題名だと思います。

 

 


www.youtube.com

 

 今回の曲に当たって、足立レイさんの出自を初めて知りましたが、等身大ロボットのプロトタイプ機の名前だったんですねw。恐らくですが、等身大ロボットを喋らせるのが目的でUTAU音源で制作されたものが今日ではこうして曲として発表されるのは感慨深いですね。

 

 本曲、レプリカント・ゴーストステップは、動画と曲が見事に融合してコミカルで楽しい作品に仕上がっておりますので、是非!、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

足立レイ

東北きりたん