煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

一見すると夏祭りの歌・・だが物語がそこに隠されているVOCALOID曲

 

 こんちは こんばんは 煮干しです

 

 皆さん知っていますか?、日本の食卓に度々出て来るシイタケ・・・実は外国でもシイタケと呼ばれているのです。そして、そのシイタケですが世界的にも人気が出て来て、新たなビジネスチャンスとして有望視されている模様です。今までは中国産の菌床栽培(きんしょうさいばい)のシイタケがシェアを独占していました。ですが、日本のいわゆる原木栽培で生産されたシイタケが世界中のグルメな富裕層達に絶賛されると、今度はベジタリアン達の間で優れた食材と評判になり、世界規模のブームが起きているみたいです。宮崎県の地元のシイタケ生産者から買い取って、干しシイタケなどを加工するとある会社などは、50倍の利益が出たと言われていて、ちょっとしたゴールドラッシュを思わせる状態らしいです。この新しい金鉱脈の出現に、参入する会社が続々と出て来る予感がしますね!。ホームセンターとかで見かけるシイタケの菌が入った原木を買ってきて自分も一丁やってみようかなw、と言うのは冗談でw、食べるだけで自分は良いですw。

 

今回のお品書きです

 

 

煮干しのお送りするちょっとした物語

 

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 

※題名や挿絵にBing Image Creatorを使用しました

 



 

 人の言葉を理解し操り、人の姿に化ける者たちがいる・・・その者たちを化け者と言って、様々な種族がこの国には跋扈しているのだ。俺の名前は志村、何の特技も無いありふれた人の身でありながらも、この者たちと関り生きている。駅前に割と近いここは人通り多い。道行く人は、俺たちを二度見、更には三度見をする始末な訳だが、それは無理もない話。黒髪で三つ編みを四つに束ね、ヘンテコな髪飾りを付けた幼い少女、そしてメイド服を着て黒髪のツインテールで十代後半の女性、その二人の挟まれた俺を含めて三人は、あまりにも周囲から浮いていた。俺は周囲の目に耐え切れず、「車に戻ろうか?」と提案。俺の話を聞いた二人は無言で頷き、俺たちは足早に路駐停車しているレンタカーに向かう。俺が運転席に入り込むと助手席にメイドの女性、後部座席には少女が乗り込んだ。俺はウインカーを出して、人通りが少ないと思われる遊具が無くてベンチが数個あるこじんまりとした公園の脇で停車しハザードランプを点け、俺たち一同はため息を付く。陰鬱な空気を振り払うように俺は後部座席にいる不安そうな顔をした少女に、「水無月ちゃん、まずは訳を聞かせてくれるかな?」となるべく優しく刺激を与えず尋ねた。この子は水無月、奇抜なファッションをしているが、ぱっと見それ以外は至って普通の少女様な印象を受ける。しかしその正体は、化け狐でれっきとした化け者、そして俺の職場である歓楽街の中心に鎮座する稲荷神社の娘だ。彼女は俺の問いかけに少し困った顔して三つ編みの髪を弄りながら沈黙を続ける。車内の空調の音がやけに大きく聞こえる中、苛立つような仕草をして、助手席にいるメイド服の女性が、「白状するにゃあ!、こんな遠い所に何しに来たにゃあ?、全てを話して楽になるにゃあ!」と水無月に尋問めいた事を言う。この妙な語尾が付く黒髪ツインテールでメイド服の女性の名はミケ、察しが良い人なら分かると思うが、化け者の化け猫にして俺の同僚だ。語尾のにゃあは、決して猫だからではなく、彼女が生まれ育った金のしゃちほこで有名な土地由来の方言を猫なまりした結果らしい。俺はミケに、「おい、ここは慎重にだな・・・」とやんわりと慎重に聞き出す事を促す。ミケはギロリと俺を睨み、「志村!、お前はすっこんでろにゃあ!、あたいは、これから所長からのお仕置きがされるかもしれない瀬戸際にゃあ、時間も手段も選ぶほど余裕がないにゃあ」と凄む。俺たちは今、少々厄介な状況に陥っている。始まりは俺たちの浮気調査からだった。浮気調査自体はトラブルもなく順調に調査が進み、後は調査対象が家に帰れば終わる・・・そんな時、調査対象が予想外の行動に出る。俺たちは調査対象である彼女を追跡、すると、ホームセンターの駐車場に停まり、誰かと待ち合わせを始めた。最後の最後で浮気相手と落ち合う所を目撃するかと思われたが、現れたのは水無月だった。俺は驚きこそすれど、その時点では水無月が歓楽街の外にいること自体には何も疑問を持たなかった。しかし、ミケは大変な事になると警鐘を鳴らす。そこで、ミケが化け者の化け狐に属している俺たちの上司で雇人である所長に連絡。すると所長から、水無月の母親であり所長の妹である皐月が、半狂乱で歓楽街中を探し回っているという事実を俺たちは知る。所長の要望で、急遽、仕事を中断して水無月の保護に移ろうとした矢先に、俺は彼女が何故俺たちの調査対象と連絡出来たのかを勘付く。それは、ミケが買い与えたタブレットが原因だった。その事実に驚愕し恐怖に駆られたミケは、逃亡を図ろうと試みるが俺が阻止。俺のハッタリを混ぜた説得の甲斐もあり、ミケは渋々だが了承して、もう一人の当事者である水無月に声を掛けて状況を正確に測るため、そして協力してもらう為に声を掛け今に至る。

 

 本来なら脱兎の如く、地の果てまで逃亡を図りたいだろうミケ。しかし、今回のお仕置きは、所長は当然として、恐らくだが水無月の母親である皐月も加わるだろう。あの二人から逃げおおせるとは恐らくミケは思っていない様だ。だから、逃げるより何とか誤魔化す方に一分の望みを賭けている。そんな訳だから、水無月から今回の危機を脱する何かを彼女から聞きだすことに必死にもなるのだ。俺はミケの顔を伺うと、若干血走った猫目で余裕がない様子に危機感を受け、「ミケ!落ち着けって、窓に映った自分の顔を見ろ、凄い形相だぞ」と冷静になる事を促す。ミケは俺の言葉に反射的に助手席の窓に映る自身の顔を見てハッとなり、「すまないにゃあ・・・、でも、あたいの置かれた状況を分かって欲しいにゃあ・」とばつが悪そうに反省する態度。ミケは頭をポリポリと面目なさそうな仕草をし、車内の緊迫した空気が薄すまると、水無月は意を決した表情をして、「あの・・・説明するです・・・」と妙なデスマス調でぼそり。俺とミケは顔を見合った後、水無月に視線を向けると水無月はビクッとなって、「・・・私がここまで来た理由は・・・二つあるです」とか細い声で言い目がキョロキョロと落ち着かない。重たい沈黙が再び始まり数秒の間を置き、「一つは洗濯バサミを貰うためです・・・」と水無月は一つ目の告白をする。その告白にミケは、「はあ?、なんにゃあそれ?、洗濯バサミのためにここまで来たのかにゃあ?」と呆れ顔。ミケのその言葉に、先程迄は今にも消え去りそうな水無月であったがプルプルと体を小刻みに震えて、「ただの・・・洗濯バサミじゃないです!!」と顔を赤く染めて憤慨し、バックから調査対象から手渡された紙袋を取り出す。そして、取り出した紙袋からは真新しい厚紙でこしらえたレトロなデザインの箱が出て来る。俺はその品に目を凝らして見ると、製造年月日に昭和の文字が記されていた。真新しさはつまり、保存状態の良さを証明していると分かる。水無月はその箱を慎重に開けると、中からはキュートな幾重にも折り重なった動物の洗濯バサミが現れる。水無月はその重なり合う洗濯バサミの一番上にあったゾウさんを取り出し、「フフフw、美しいです・・・、洗濯バサミ職人、津軽秀作(つがるしゅうさく)の名作・・・その名も動物洗濯バサミ・・・前から欲しかったのですw」とうっとりとした目を披露。その様子を見ていたミケは後部座席に体を乗り出して、ひょいとトラさんの洗濯バサミを取り、「何にゃあこれっ?、ただの洗濯バサミにゃあ・・・こんなガラクタのために、あたいが危機に瀕するとは・・・涙がちょちょ切れるにゃあ・・・」と泣く真似をしながら洗濯バサミを開いたり閉じたりを繰り返す。そのミケの行動に、水無月はヤレヤレとばかりな態度をしてから、「素人にはこの素晴らしさが分からないですw、こんな美麗品は滅多にお目にかかれないです・・・それにこの洗濯バサミは精巧なギミックがあるのですw」と幼い顔ながらもニヤニヤといやらしい顔をしながら洗濯バサミを見せつける。俺はその見せつけてきた洗濯バサミを注意深く観察すると、開いたり閉じたりする度にゾウさんの表情が変わり、「うおっ!?、顔の表情が変わる・・・」と驚く。俺の驚愕にミケは早速、自身が手にしている洗濯バサミを開いたり閉じたりさせ観察。すると、「ほ、本当にゃあ!、動物の表情が変わるにゃあ!、どういう仕組みにゃあ?」とミケは洗濯バサミを更に注意深く観察しはじめると何かに気が付き、「これは・・・僅かに化け者の出す化け力(ばけりき)を感じるにゃあ・・・もしかして津軽秀作は化け者かにゃあ?」と水無月に尋ねた。水無月はドヤ顔で、「正解なのですw、津軽秀作は鹿の化け者なのです、鹿の化け者は物に化け力(ばけりき)を込めて不思議な物を作り出すことに秀でた一族なのです!」と物凄い早口で捲し立てる。俺はそんな彼女の解説に関心をしつつ、洗濯バサミを一つ拝借。だが、ウサギの洗濯バサミを試しに指先へ力を込めて閉じたり開いたりしても何も起きない。俺は拍子抜けし、「あれっ?何も起きない・・・」と呟く。俺の様子を見ていた水無月は掌(てのひら)を差し出し、「貸すです」と言い、俺は、「えっ・・・あっ、うん」と彼女に促されるまま洗濯バサミを彼女の掌に置く。すると、水無月は受け取ったウサギの洗濯バサミをその小さい手で優しく握り包む。その光景を俺が注意深く見守っていると水無月は、「どうぞです」と差し出した。俺は首を傾げながら差し出されたウサギの洗濯バサミを、彼女の掌から受け取り、訳も分からず再び開いたり閉じたりを繰り返すと・・・、なんて事だろう!、ウサギさんの表情がころころと変わったのだ。俺はその摩訶不思議な洗濯バサミに興奮して、「すげー、こんなものなら欲しくなるのは分かる気がする!」と絶賛。俺の好評価を受けて水無月は、「志村のおじさんはお目が高いですw」と笑顔を俺に向け、様子はすっかりと元の調子の戻っていた。俺はその不思議な洗濯バサミをあらゆる角度から観察した後、「でも・・・何でさっきは何も起きなかったんだろう?」と疑問を口にする。俺の口にした疑問に対して即座にミケが反応して、「恐らくにゃあ、この洗濯バサミは化け力に反応してギミックが働くようになっているにゃあ、普通の人間が手にしても何も起きないにゃあ」と推測し、手にしていた洗濯バサミをひょいっと水無月に投げた。水無月は慌ててキャッチして、「大事に扱うです!」と抗議し、大事そうに厚紙の箱に入れながら、「その通りです、人間の手に渡っても単なる可愛い動物の洗濯バサミなのです」とミケの推測を肯定した。二人のやり取りを見ながら俺は、「なるほどな、こんなものが発見されれば今頃大騒ぎになってるもんな・・・」と感想を漏らす。水無月は俺が持っていた洗濯バサミを回収すると厚紙の箱に入れて蓋をする。そして、大事そうに扱い紙袋に入れ、バックへ戻し終えると俺たちを見て、「この洗濯バサミを私にくれたおばさんは、娘さんに情操教育のためにリサイクルショップから入手したらしいです・・・ですが、娘さんはこの洗濯バサミに全く興味を向けず、無用になったから私に譲渡してくれたです」と俺たちの調査対象に接触した経緯を説明する。説明の中に譲渡と言うワードに俺は引っかかり、「譲渡?、買ったんじゃなくて?」と水無月に尋ねた。水無月は頭を横に振り、「当初は買う予定でしたのです、でも、交渉してるうちに私が娘さんと同い年と分かりタダで差し上げるとなったのです」と答える。俺と水無月のやり取りを静観していたミケは、「しっかし、ネットのどこで交渉したりしていたにゃあ?」と心配顔。ミケの言っている事はごもっとも、危ないサイトで交渉していたら後々トラブルになるのは必至、今のうちに聞きだしてトラブルの芽を摘んだ方が良いだろう。「俺もそれは気になる、どこで交渉をしていたの?」とミケに同調する様に俺も水無月に尋ねた。水無月はきょとんとしながらも、「有名個人売買サイト、ウルカウです」と素直に答えた。ウルカウは国内最大手の個人が売ったり買ったり出来るフリーマーケットサイトの事だ。アングラサイトではなく、ウルカウならトラブルの可能性は低いはず・・・、俺とミケは安堵の表情を浮かべた。

 

 洗濯バサミの件ではトラブルの気配はもうないだろう・・・、後はもう一つの品の件だけだ。水無月は再びバックに手を入れ、「もう一つはこれなのです」と綺麗にラッピングされた二つの品を出した。俺はその品を経緯をしていたので即座に、「これって、雑貨店で購入したバラ柄のハンカチだよね?」と言う。水無月は驚愕をして、「見て・・・いたのです?」と間髪入れず俺に返す。俺は少し苦笑しながら、「ごめんw、変装と匂いを香水で誤魔化して雑貨店での君の様子を見ていたんだ」と種明かし。するとミケがドヤ顔しながら、「因みに、その偽装はあたいが考案したにゃあw、褒め称えるにゃあ」と言う。水無月は感心顔で、「全然分からなかったです・・・化け狐の端くれとして面目丸つぶれなのです・・・」と言い最後は肩を落とす。そんな水無月にミケは後部座席に乗り出し肩をポンとたたき、「気にする必要ないにゃあ!、今回は相手が悪かったにゃあw」と元気付けた。ミケのフォローにより調子を取り戻した水無月は、「話の続きをするのです、このプレゼントは母様へのプレゼントなのです」と言う。水無月の打ち明けた内容に俺は、「何か微笑ましいw」と心がほっこりし、ミケは、「母ちゃんにかにゃあ・・・あの水無月も成長したにゃあ」と考え深い表情。水無月は俺たちの反応を確認すると口を開き、「計画は歓楽街の町会の集まりで母様は夕方ごろに帰って来るのを見越して、お母様が帰って来る前に、私が買い物を済ませる計画だったです、でも志村のおじさんとミケの様子だと恐らく何らかの理由で、お母様は予定より神社に早く返って来てしまったのです?」と大まかな計画の筋書きと状況の確認をしてきた。ミケは大きなため息を付き、「最悪にゃあ・・・お前の母ちゃん、皐月は半狂乱になって歓楽街中を探し回っているらしいにゃあ」と現状を伝えた。薄々は分かっていた様だがミケの話しで確信を得た水無月はブルブルと体を振るえ出し、「どうしようです・・・帰ったらお仕置きされるです・・・葉月は?、葉月は大丈夫なのです?」と我に返る。葉月とは水無月の双子の妹の事だ。双子なので瓜二つの容姿をしていて、身内以外は直ぐに判別が出来ない。俺とミケは困惑して顔を見合わせる。水無月は焦った顔をして、「今回の計画は葉月と協力しているのです、このハンカチは私と葉月で一緒に、お母様にプレゼントするために買ったのです!」とラッピングされたハンカチが二つある理由を言った。その理由を聞いたミケは青ざめた顔をして、「葉月は・・・共犯なのかにゃあ・・・もしバレたらとんでもない事になるにゃあ・・・」とわなわなと震え助手席にしがみつく。完全にこの世の終わりだと感じてしまって絶望している二人に俺は、「大丈夫だって!、所長の口から葉月ちゃんの事は出なかったろう?、所長と皐月さんはまだ今回の真相に辿り着いてないんだよ」と弱気になっている二人を元気づけた。俺に鼓舞されたミケは、「そ、そうにゃあ!、もし葉月の口から全てを知っていたら、あの二人の事だから直接保護に行くにゃあ!、うっし!、まだ勝ち筋が残っているにゃあ!」と光明を見出し、水無月はまだショック状態だったが、この瞬間にも母親に嘘を言い続けて姉の帰りを待っている妹の事を思っているのか、無理やり奮い立たせる様に、「何としてもやり遂げるのです!」と強がる。しかし、このままでは、まずい事には変わりはない、ここは情報を一旦整理しなければ・・・。俺は顎をさすりながら、「二人とも聞いてくれ、一旦情報の整理をしよう」と提案。水無月は、「賛成なのです!」とすかさず了承。ミケは、「おうにゃあ!、車内では落ち着かないにゃあ!、近くにあたいが何度か行った事がある隠れ家的な喫茶店があるにゃあ、そこで作戦会議をするにゃあ!」と俺の提案を乗る事に了承し場所を提案した。俺たちはミケの案内でその隠れ家的な喫茶店を目指す。数分もしないうちに、「あれにゃあ!」とミケは指さす。その白い指先の先には、ツタに覆われた建物があり、外からでは何の店なのか分からなかった。この手の建物を何度かは拝見をした事があるが、ツタによる建物への浸食で損傷しないのだろうか?といつも心配してしまう。俺たちは喫茶店の駐車場に停めると、水無月はいち早く車から降りて走り出し、その異様な外観の建物の目の前で、「葉っぱがいっぱいです!」と興奮。興奮してはしゃいでいる少女の元へ俺とミケは小走りで向かい、辿り着くと、「ははw、こういうの初めて?、寒いから、早く店に入ろ!」と俺は入店を促し、「久しぶりにゃあw、丁度、小腹が空いて来た所にゃあ、ゴーゴーにゃあ」とミケは率先して店のドアを開けた。俺と水無月はミケの後にづ付き店の中に入ると店内は、落ち着いたレトロな雰囲気の純喫茶風の内装に、客席はプライベートをしっかりと確保した壁の仕切りがあるボックス席で作戦会議にはもってこいの場所だった。ミケは手慣れた様子でレジがあるカウンターに置かれた銀色のベルを鳴らす。すると、すかさずエプロン姿で白髪頭の老婦人が出て来て、「いらっしゃいませ、あらw、メイドのお嬢さんw、お久しぶりね!、今日はお友達と一緒?」と親しげにミケに話しかける。そこで、店員さんであるこの婦人の発言に俺はハッとして、ミケがメイド姿で喫茶店に入っている事に気が付く。考えて見ればメイド姿で喫茶店に入るなんてありえない・・・歓楽街ではミケがメイド姿で飲食店に入っても店員を始め周りの客も無反応だった・・・どうやら俺は歓楽街の常識にいつの間にか毒されていた様だ。俺が一般常識とかけ離れた世界に改めているのだと打ちのめされている時、ちらっと水無月の様子を見ると、キラキラと目を輝かせながら辺りを触ったりキョロキョロと見回していて子供の呑気さに平伏した。ミケは笑顔で、「そんな所にゃあ!、案内よろしくお願いしますにゃあw」と同じく老婦人と同様に親しげに返す。老婦人の店員さんはメニューだろうか?、大き目な冊子を数冊持って、「了解w、案内するわね、メイドのお嬢さんと、そのお友達w、どうぞこちへw」と俺たちの案内をし始めた。ミケを先頭に俺たちは老婦人の店員さんの後に続くと一番奥の席に通されて、作戦会議にタイムリーな願ったり叶ったりの場所に案内される。俺たちは促されれるままに座ると、ボックス席は適度な柔らかさと硬さが同居していて座り心地が良く、リラックスできそうだ。俺たちが座るのを確認した老婦人の店員さんは、「こちらがメニューになります、それではお水をすぐにお持ちしますね!、ごゆっくりどうぞ」と老婦人の店員さんは先程のミケとのフレンドリーな会話と違ってマニュアル通りの受け答えを言って立ち去る。ミケは早速メニューを広げて、「最後の晩餐になるかも知れいないにゃあ・・・水無月!、お前も食べたいものを今のうちに頼むにゃあ」と忙しなくページをめくり、ミケの言葉に水無月もいそいそとメニューのページをめくり始めた。俺はそんな二人に、「いや、最後じゃないから・・・もっと前向きに行こうよ」とマイナス思考からの脱却を促す。俺の心遣いを無用とばかりにミケは、「志村、お前はあの二人の恐ろしさを体験してないからそんな能天気に言えるにゃあ」と返し、水無月はうんうんと頷く。俺も所長から酷い目に合わされた事ならあるけど、恐怖を感じる事は無いな・・・、それに、あんなおしとやかで温厚な皐月さんが二人が恐怖する程の怒りを出すとは想像も付かないぞ・・・。俺はいち早く話し合いをしたかったのだが、二人はどうも食事を終えないとやる気が出なそうなので、ため息を付いてメニューを開いた。

 

 メニューを適当にめくりながら眺めると、オーソドックスなメニューが並び特段変わったものは無い。俺は特にお腹が空いている訳でもないので、ホットコーヒーを頼むことに決めた。即座に決めた俺は正面にいる二人の様子を伺うと、何かを決めたような仕草をする。丁度その時、老婦人の店員さんが来て、「お水です」とテーブルに人数分の水が入ったグラスを置く。彼女は俺たちの様子で注文を何をするのか決めたのを悟ったのか、エプロンのポッケからボールペンと注文伝票を取り出し、「お決まりですか?」とスタンバイ。老婦人から注文を促されると、いの一番にミケが、「ナポリタン、トッピングを目玉焼きにハムカツ、それにアイスコーヒーを頼むにゃあ」と注文。思いのほかにガッツリした注文に俺が戸惑っていると、「イチゴの贅沢パフェをお願いするです」と水無月が注文した。残されたのは俺だけになり、この場にいる面々の双眸の視線が集まる。俺は少し緊張しながら、「あっ、ホットコーヒーと豪快ポテトをお願いします」と予定とは違うものを追加した。老婦人の店員さんは慣れた手つきで俺たちの注文を伝票に書き記し、「かしこまりました、少々お待ちください」と言った後、お辞儀をして去る。老婦人の店員さんが去ると、ミケがジト目で俺を見て、「空気が読めない奴にゃあ、一人だけホットコーヒーとポテトって、これから彼岸を渡るかも知れないって時に信じられないにゃあ」と言う。俺は即座に、「だから何で死ぬこと前提なんだよ!、お腹空いてないんだからしょうがないだろ・・・」と言い返す。俺の言い分を聞いた水無月は口を開き、「志村のおじさん、他人事の様にしてますが、お母様は恐らく連帯責任でおじさんもお仕置きの対象なのです」とサラッと言う。水無月の驚愕の発言に俺は驚きながら、「何で?、俺も?、嘘だろ?」と困惑。ミケは相変わらずジト目で、「やーぱり、状況を把握していなかったかにゃあ、皐月の奴は今回の件に少しでも関わった者は必ず罰するにゃあ」と無慈悲な事実を俺に突き付けた。俺はその理不尽に納得が行かず、「な、何でだよ!、何でそんな極端な行動するんだよ?」と言う。ミケと水無月は一瞬、目と目を合わせてると、ミケがため息を付き、「そうにゃあ・・・、皐月が何で極端な行動に出るか、お前も知っといた方が良いにゃあ」といきなり真剣な目つき。俺はその迫力に押されゴクリと生唾を飲み込み、「何か理由があるのか?」と尋ねる。ミケは頷き、「あるにゃあ、あれは水無月と葉月が生まれて間もない頃にゃあ、当時の歓楽街の稲荷神社を切り盛りしていたのは、皐月の夫である岩次郎(がんじろう)にゃあ」と稲荷神社の過去を話し始めた。双子に父親の存在が無い事に俺も気が付いていたが・・・。ミケの話は続き、「あの頃、歓楽街の化け者同士の東西に分かれた派閥争いが激化していたにゃあ、東は所長をトップにした九尾連合、西は月の輪熊の化け者である剛力鉞(ごうりきまさかり)をトップにした山神同盟、毎日縄張り争いでしのぎを削っていて、あの頃は歓楽街中至る所で抗争が起きてけが人が続出していたにゃあ」と遠い目をする。俺はその初耳に、「えっ、今は?」と思わず口を挟む。ミケは俺をじっと見て、「今は歓楽街化け物会と言う派閥に統一されて、所長がトップに君臨した派閥になっているにゃあ」と答えた。ミケは俺が納得したのを見ると中断した話を再開し始め、「稲荷神社は、歓楽街中の化け者たちの間で、中立というのが共通認識だったにゃあ、でもにゃあ・・・西側の山神同盟の連中には、敵対派閥のトップの所長である身内の皐月たちを表面上は中立でも裏では繋がっていると一方的に邪推していたにゃあ」と言う。話の行きつく先に不安を感じながらも、「そ、それで?」と続きを促す。ミケはグラスに入った水を一口飲み、「水無月と葉月がよちよち歩き始めたそんなある日にゃあ、葉月が熱を出したにゃあ、皐月は葉月の看病に追われ、岩次郎は水無月とお散歩に出かけたにゃあ、でも・・・運悪く山神同盟の連中に出くわし絡まれると戦闘に発展したにゃあ、岩次郎は稲荷神社を任せられる程優秀な化け物だったけど、水無月を守りながら多勢に無勢の状況は分が悪く、結局、水無月は傷一つ無かったけどにゃあ、岩次郎は致命傷を負って亡くなってしまったにゃあ」と悲しい目をする。想像する斜め上の悲しい出来事を聞いた俺はチラリと水無月を見る。彼女はその話を聞いても呑気にグラスに入っている水に浮いた氷を指先で回して遊んでいた。俺はそんな彼女に、「あの、何かごめん」と謝る。水無月は氷を回すのをピタリと止めて俺の方を向いて、「気にしなくて良いのです、私の物心がつく前の事です、その話を聞いても今一ピンとこないのです」とあっけらかんと返す。水無月の予想外の反応に俺は、「はは、そうなんだ・・・」と困惑しながらもミケの方に視線を移し、「ミケ、その後はどうなったんだ?」と結末を聞く。ミケは黒髪のツインテールを上下に手櫛しながら、「身内に手を出された所長は怒りに怒り怒髪天になって、あっという間に剛力鉞を始めとした山神同盟の面々をあらかた捕縛して歓楽街から追放したにゃあ、ようやく歓楽街に平穏が訪れたけど・・・皐月の様子がおかしくなっていたにゃあ」と話しはいよいよ佳境に入る。ミケは再び口を開き、「皐月は双子たちを稲荷神社の敷地の外に一切出さなくなってしまっていたにゃあ・・・所長もそんな皐月に、安全だと説得しても頑として全く聞き入れなかったにゃあ」と言う。ミケの話を聞いた俺は、「そりゃそうだろう、ご主人が亡くなり、よもや娘まで亡くなったかもしれないんだ、過敏にもなるさ」とその後の皐月の行動を支持。ミケは困った顔をして、「そう言われればそうなんだけどにゃあ、一歩も出さないというのはちょっと・・・にゃあ」と何か俺とミケの認識にズレがある事を示唆する。俺はその事が気になり、「えっ、違うの?、買い出しのお買い物位なら一緒に出掛けるんでしょ?」と言う。すると、水無月が突然、「買い物はお母様だけです、私たちはずっと神社の中にいましたのです」とミケの代わりに答える。その回答に俺は思わず、「それって・・・軟禁」と言った所で口を手で押さえた。ミケは水無月の頭を撫でながら、「お前の言う通りにゃあ、軟禁状態にゃあ・・・皐月が本家の用事で3日ほど神社を留守にするため、双子を預かった時を覚えているかにゃあ?、本来なら神社に所長が泊まり込んで面倒を見る予定だったにゃあ、でもあの時、所長が皐月を説得に次ぐ説得でようやく外に出る事に納得してくれたにゃあ」と言う。俺は去年にこの子達の面倒を見た事を思い出し、「じゃあ、あの時初めて外に出たという事?、ハハw、嘘だろ?、何?三毛猫ジョーク?」とにわかに信じられなかった。ミケは真剣な顔で、「ジョークじゃないにゃあ、マジのマジにゃあ、まあ、これで分かってくれてたと思うけどにゃあ、急に娘が行方不明になったら皐月がどういう行動に出るか?、行方をくらましたことに関わった者たちに皐月がどう思うか?、志村・・・覚悟を決めた方が良いにゃあ」と言う。俺はようやく自分の置かれ立場が分かり、メニューを再び広げて最後の晩餐かも知れない逸品を探す。メニューの中に極旨地鶏のオムライスという品に目が止まり、「すいませーん!」と声を上げた。

ーつづくー

 

 

348曲目の紹介

 

 

 今回ご紹介する曲は、作詞作曲及び動画を海茶さん、イラストをnekomoさん、共同制作を多良レイトさんによるおどロボです。

 

 ラムネ瓶の中でビー玉がガラスに当たる音、色様々なかき氷、焼きそばの匂い、遠くから聞こえる祭囃子、今宵も始まる夏祭り。もう何年やっているのだろうか?、私たちを祭りに来る人達を楽しませるために作られた訳だが、祭りを楽しむために来る人は遥か昔に途絶えた。星を照らした太陽も寿命が尽きて無くなり、夜だけの世界になって終末がすぐそこにやって来ても尚、私たちは今宵も夏祭りを開催する。宛がわれた役目しか出来ない私たちは体内のバッテリーが尽きるまで踊り続けるのだ。

 

 夏の風物詩である夏祭りを題材にキュートなドット絵のアニメーションが映える曲を琴葉葵さん琴葉茜さんずんだもんさんトリオで歌います。

 

 本曲の題名、おどロボは恐らくですが、本曲には物語がバックグラウンドが示唆していまして、人類が滅び、星を照らす太陽も無くなり、機械生命体だけになった世界が背景になっていると思われます。その背景を暗喩しているのが本曲題名だと思いました。

 


www.youtube.com

 

 本動画のアニメーションは非常にキュートに表現をされていまして、心がほっこりしましたよ!。一見だけでは、ただの夏祭りを題材にしている曲に思えましたが、歌詞を注意深く聞いてみると物語が展開していると気が付きました。考察好きには二度おいしい曲で良かったです。

 

 本曲、おどロボは普通に聞くと楽しい夏祭りの曲に聞こえ、注意深く歌詞を聞き返すと物語が展開する二面性がある大変面白い曲です。是非、本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

 

琴葉茜・葵

ずんだもん