煮干しの一押しVOCALOID曲

VOCALOIDの話題や気になった事を書こうと思います

悪魔の様な天使のVOCALOID曲

 

 こんにちは こんばんは 煮干しです

 

 日銀がマイナス金利を解除の準備をし始めましたね。直近で行われた春闘の満額回答の続出を受け、日銀は景気がある程度回復したと判断したようです。個人的には、今回の一連の流れに少し作為めいたというか、マイナス金利を解除するための演出している感じの印象を受け、平均株価を始めとした数字的には良くても実態経済は全然良くない例から、どうしても景気回復の件は、懐疑的に見てしまいます。まあ、日銀がマイナス金利を解除したら円高に振れると言われていますので、材料費の高騰を押えられ、庶民の自分たちは、お安くお買い物が出来る恩恵を受けれるかもしれないので、景気どうのこうのを抜きにすれば歓迎ですね。特に電気代、ガス台などが少しでも安くなれば助かります。

 

今回のお品書きになります

 

 

 

煮干しがお送りするちょっとした物語

まず始めに、この物語はフィクションです。物語の中に登場する個人名、団体名、会社名は架空の物であり実在する個人、団体、会社とは関係ありません。

 





 スズメの歌声が聞こえる頃、八畳一間の安アパートで、フローリングの上に敷かれたお値段以上が売りの家具屋で買い揃えた布団にくるまり寝ている男がいる。布団から出ている頭の髪はボサボサで、控えめな寝息を立てている口元は無精ひげを生やし、その容姿と風貌は場所が場所なら、ホームレスと見間違うだろう。部屋にある机の上に置いてあるデジタル式の置時計は午前の十時を表示しているが男は一向に起きる気配が無い。男が悠長に寝ているのは訳がある。ありきたりな理由だが休日だからである。しかもだだの休日ではない、連休なのだ。男の職場は特に決まった休日が無く、一月に決まった日数の休日があるのみで、二日連続で休めるのは滅多にない。明日も休みという事実が男を大いに堕落させた。相変わらず規則正しく繰り返す寝息と冷蔵庫の出す音がセッションをし始めて数分、突如、「ヴヴヴヴ」とスマホのバイブ機能でフローリングを振動させながら、着信音がけたたましく鳴り響く。男は寝ぼけながら布団から手を出して、頭上のあたりを弄り、数度の試みでようやくスマホを手にして耳にあてる。スマホの上部にある受話口から、「おい、人間の分際で私を待たせるな」とハスキーボイスで女性の様な声が男の耳に入った。男の脳みそは未だ休眠状態から脱していなのか、「ふあっ?、どなた?」と惚けた口調で返す。すると布団の上にあった男の左の掌(てのひら)に突如、昭和の駄菓子屋で見られた半透明でプラスチックの水鉄砲が出現して、まるで別の生き物の様に男の意志とは別に動き出し、引き金を引き水を顔面に浴びせる。突然の冷たい水に、「うひゃ!?」と叫び声と共に飛び上がり布団の上で正座をした。男は顔を手で拭い、「さ、さーせんした!」と謝罪。男にはスマホ越しの先にいる人物を瞬時に悟った様だ。男がペコペコと頭を下げ、何も知らない者がこの様子を見れば滑稽に映るだろう。男の必死の謝罪が功を奏したのかスマホの受話口から、「もういい、お前に頼みがある」と謝罪を受け入れ用事がある事を告げられた。男はホッと胸を撫で下ろし、「はい、何でしょう?」と用事の内容を伺う。男はこの受話口先の者からの頼みは何度もこなしている。男の受話口から少し沈黙と息づかいが聞こえて、「まあ、何というか、人間の世界にはコロッケなるものがあるらしいな?、それを所望する、ただ、普通のコロッケでなないぞ、お前の住んでいる近くにある、あの子憎たらしい女狐が経営しているデパートとか言う建物にある極旨コロッケだ」と用事の詳細を言う。男は咄嗟にガラスケース越しに並ぶこんがり揚げてある件のコロッケが頭に浮かび、「ああ、それなら知っていますよ、直ぐに買いに行って、いつもの様に送ります」と笑顔で先方に返す。男の受話口からフフッと笑う声がして、「頼もしいなw、それでこそ私の契約者だw、おお、忘れる所だった、コロッケマスターなる黒くてドロドロしたソースという液体も所望する、いいか?、コロッケとソースどちらも欠けては駄目だぞ」と追加の用事が発生。男は動揺しながら、「こ、コロッケマスターですか?、それはどこで手に入りますか?」と尋ねた。男の受話口から即座に、「私が知る訳ないだろう、お前が責任を持って探せ、良いな?、じゃあ吉報を待つ」と電話が切れた。男は布団の上ででジタバタと暴れ、「ふざけんなよ!、自分で探せよ!」と毒づく。すると、男の右手が勝手に動き先程と同様に水鉄砲を手にしていて、男のグレーのスウエットのズボンに手を入れる。「ちょっ!?」と男が驚く間もなく、股間の辺りがまるで失禁で漏らした様に黒い染みが広がる。男は堪らず、「さーせんでしたー!!、必ず献上致しますので少々お待ちください!」と叫ぶ。男の右手は自由を取り戻し、ズボンから手を出すと水鉄砲はまだ手にしていた。男はおもむろに水鉄砲を掌に乗せて、見つめると瞬時に消えて跡形も無くなりため息を付くと同時に、「うるせえぞ!」と壁がドンと振動。先ほどのいざこざによる大声が隣の住人を怒らせた様だ。男はすかさず、「す、すいません」と謝罪をした。隣からの応答は無く、男はため息を再び付く。男は気合を入れる様に立ち上がると、スウエットを洗濯機に放り投げ、シャワーを浴びるために浴室に入った。男は極めて珍しい立ち位置にいる。神と、通称化け者と言われる、人の言葉を理解し操る人外の者、それらと関り暮らしているのだ。後者の化け者との邂逅から始まり、成り行きで神と契約して神器を受け賜わり、挙句の果てにパシリの様な事をさせられている。そんな奇々怪々で日々碌でない事を身に受けている男の名は志村、名前は割愛させてもらう

 

 身支度を終えた志村は、安アパートの鍵を閉めて空を仰ぎ見て、休日でこんな天気のいい日に何でこんな事をしないといけないのだろうか?と思いため息を付いた。本当なら愚痴の一つや二つを言いたい志村であったが、うっかり口にしようものなら、すかさず先程の様に制裁を受ける羽目になるので、心の中で毒づくしかなかった。再びのため息を合図に志村は歩み始める。まず、志村がとりあえずやらなけらばならないのは、神様が所望しているコロッケの確認だ。神様が言った女狐が経営しているデパートに志村は見当を付けていた。志村の仕事場の上司であり雇人である所長は化け者の化け狐に属していて、彼女は九尾百貨店という老舗高級デパートを経営している。更に言うと、所長は神様と一回だけ、いさかいを起こしているのだ。女狐、デパート、コロッケ、これらのキーワードから、神様が所望しているコロッケの所在は、九尾百貨店の地下売り場の揚げ物コーナーにある名物狐コロッケだと志村はほぼ確信していた。九尾百貨店は電車に乗って数駅先の駅前にある。志村の足は最寄り駅の方へ向かった。10分後位で駅前の繁華街に着いた志村は迷うことなく奥に見える駅に向かう。後数十メートル程で駅に着くかという時にショーウインドウに映る自分に目が止まり、志村の足は止まった。志村はガラスに映り込んだ、ボサボサ頭に無精ひげ、代り映えしないオリーブ色のカーゴパンツにパーカー姿の自身の姿を上から下、下から上と何度も自身の姿を確認する様に見つめ、今年の新年会で起きた事を思い出していた。上司である所長宅にて、新年会を行う旨を聞いた志村は、彼女の自宅がある九尾百貨店の屋上に向かった時の事だ。所長の自宅に行くためには、どうしても九尾百貨店の中を通らなければならない。志村は迂闊にもいつも通りの姿で九尾百貨店に入ってしまい、店内にいる裕福な客の注目を集めてしまう。客はヒソヒソ声と共にせせら笑い、志村は恥辱にまみれた過去がまた一つ増えて、いい大人はTPOをわきまえた服装をしなければならないと学習をしたのだ。このまま九尾百貨店に行けば同じ二の舞になると踏んだ志村は辺りを見回し、大手洋品店・密林洋品店に目が止まると迷わず向かった。幸い志村の経済状況は悪くはなく、多少の出費には耐えられる、まあ、ここで買え揃えれば今後に役に立つだろうと前向きに捉えて志村は店内に足を踏み入れた。店内は密林洋品店と銘打っているだけあって、所狭しとあらゆるジャンルの服が男女別にある。服装に無頓着な志村は、これから行く目的に合う適当な服装に対して皆目見当つかず立ち尽くしてしまう。数分間位ウロウロと店内を見て回ると、「あの・・・お客様?、よろしかったら目的のお洋服を探しましょうか?」と女性の店員さんが声を掛けて来た。志村は挙動不審な態度で焦りながらも取り繕っても埒が明かないので、「あの、高級店に入っても恥ずかしくない恰好とかないですか?」と正直に打ち明ける。そんな志村の様子に女性店員さんは笑顔のままで、「お客様の様な方に対して当店はピッタリのサービスがあります」と言う。女性の話しに興味を惹かれた志村は、「あ、そのサービスは何ですか?」と尋ねる。女性はすかさず、「トータルプロデュースサービスというものが当店にありまして、髪型から服は勿論、靴まで当店が責任を持ってプロデュース致します」とサービスの概要を説明。志村は渡りに船だと感じて、「じゃあ、そのサービスを受けて見ます」と即答する。女性店員さんは深々と頭を下げて、「ありがとうございます!、あの・・・当サービスは数時間を要しますがお時間の都合はよろしいでしょうか?」と志村に確認をした。神様は結構気が長いので一週間位の猶予があると今まで経験上志村は分かっているので「大丈夫です」と答える。女性店員さんはニッコリ笑い、「了解いたしました、それではこちらへ」と志村を案内を開始し始めた。

 

 大きな姿見に立たされた志村に対して、女性店員さんは資料を見たり、頭からつま先まで首に掛けていたメジャーで細部まで計測する。最初の作業が終わったのか今度は志村に椅子に座って待機する様に促して、女性店員さんは立ち去った。数分もするとカートに一杯の服を持って来て、「高級店に入っても大丈夫なカジュアルな服装ですよね?」と志村に尋ねる。志村は立ち上がり、「は、はい」と返事を返す。女性店員さんは立ち上がった志村を鏡の前に立たせて、「これなんかどうでしょう?」とカジュアルなシャツを出す。志村にはそれが良いのか悪いのか判断で来るほどオシャレの知識が無いので、「はあ・・・良いと思います」と適当に応えた。女性店員さんの眼光がキラリと光り、志村には判断できないと悟ったのか、「左様ですか・・・、じゃあベージュ・・・いや、グレー系がお似合いですね」と率先してチョイスをし始めた。それから、女性店員さんによる、パンツ選びに始まり、足を計測してカタログからカジュアルな革靴をチョイスし、最後は提携している直ぐ近くにある美容院に行く事を指示され、志村は素直に従い美容院に行く。諸事情から志村は美容院を避けていた、それは美容院さんとの会話でお仕事は何をしていますか?と聞かれるのを恐れたからだ。志村は一昨年まで事実上ホームレスの様な生活をしていた。日雇いの仕事で食いつなぎ、ネットカフェで夜を明かす。そんな事をしていたが所長との出会いで大きく志村の生活は変わった。懸念材料が無くなった志村は美容院さんとの会話に心躍る高揚感を抱きながら美容院のドアを開ける。美容院に入ると話は既に通っていたのか美容師さんはスタンバイしていて、「志村様でしょうか?」と志村に尋ねた。志村は自信たっぷりに、「はい」と答える。確認が取れた美容師さんは頷き、「お待ちしてました、どうぞ」と奥の椅子に案内。志村は案内された椅子に座ると、美容師さんが志村の髪質のチェックし始めながら、「密林洋品店さんにオーダーされた通りの髪型でよろしいでしょうか?」と確認。志村は密林洋品店ではされるがままで、説明も良く聞いてなく、どんな髪型にされるか見当が付かないので、「あ、はい」と適当に相槌をした。美容師さんはニッコリ笑顔で「承知いたしました」と作業を開始する。志村の髪がカットされて始めてから数分後、「お仕事は何をされいるのですか?」と美容師さんが志村に突如話し掛けて来た。志村は内心小踊りしながら答えようとした時、所長の元でこなした仕事が脳裏の蘇る。子猫の配達、お猿さんの護送・・・どれも普通の人に言ったら頭おかしい人と思われる仕事ばかりだ。志村は挙動不審になり、その気配を察した美容師さんは作業を止めて鏡越しで志村を見た。志村はその視線で焦りながら、「こ、興信所の様な仕事をしています」と答える。嘘でない、割合的には普通の仕事と化け者絡みの仕事は、7対3と言ったところだが、志村は後ろめたさを感じていた。志村の回答に美容師さんは、「そ、そうなんですねw、じゃあ機会があったら彼女の浮気を調査してもらおうかなw」と気さくに冗談を言う。志村は愛想笑いで受け、「はあ、歓楽街に事務所があるので、必要なら来てください」と返す。すると、美容師さんは即座に、「か、歓楽街!?」と驚く。ここら辺の人なら歓楽街と聞けば、彼岸橋という江戸時代まで遡る古い歴史がある橋が掛かっている歓楽街を思い浮かべる。人外の化け物の目撃談が絶えず、更に定期的に行方不明者を出し、記憶喪失状態で見つかる警察もお手上げのヤバい場所と美容師さんを含め多くの一般人は認識していた。美容師さんの手にしていたハサミは僅かに小刻みに震えていて、どうやら志村を堅気の人間でないと判断した様だ。それから美容師さんは一切の会話をせず黙々と作業をし始めた。美容師さんの様子に志村は、確かに仕事をして、お給料を貰い、人並みのまともな生活を送っているが、今更ながらも自分の立ち位置が普通でないと痛感するのであった。

 

 一通りの工程を終了して、美容師による至極丁寧なお辞儀に送り出された志村は、密林洋品店に向かって歩き出す。道中の窓ガラスに映り込む自身の姿を見た志村は立ち止まり、「爽やかマッシュ・・・良いじゃない」と自身の髪型を誉め、無精ひげを撫でる。無精ひげを少し整えて貰ったので不潔な感じが志村から消えていた。あの美容師さんの腕の良さを再確認した志村は先程の失言を悔いて、心の中でむせび泣き再び歩き出した。密林洋品店に着くと志村の担当をしている女性店員さんの他に眼鏡を掛けたダンディーな男性が隣にいて、二人は志村に対して、「お帰りなさいませ」と深々とお辞儀。志村は軽く会釈をし二人の前に行くと、ダンディーな男性は屈み足者に置いてあった数個の箱を開ける。すると、中身は革靴で、色やタイプが違うものが数種類。ダンディーな男性は立ち上がり懐から名刺入りを出し、「初めまして、私、靴博士の飯島と申します」と志村に名刺を差し出す。志村は、「はあ、ご丁寧に先生」と名刺を受け取りながら言う。その瞬間、志村の担当女性店員さんは、「あっ、志村様、この方は大学で博士課程を修了した者ではなく、靴博士と言う靴専門店の店員です」と志村の勘違いを訂正した。志村は自身の勘違いに耳を赤くしながら、「ははw、博士じゃないんですねw」と照れ笑いをして誤魔化す。しかし、志村の胸中に誕生した恥ずかしさと怒りが混ざった複雑な感情が、片目をピクピクと痙攣をさせ、完全に他者に悟らせまいとした行動は失敗をする。志村の様子に靴博士のダンディーな店員は焦りながら、「紛らわしくて申し訳ありません!、これらの靴は連絡を受けたサイズになります、志村様どうぞ履いてみて下さい」と並べてあった靴の一つを差し出す。志村の後ろにはいつの間にか椅子が用意されていて、志村は促されるままに座るが、店員さんに気を遣わされた事によって志村の耳は更に赤く染まり、動揺が増したことを周囲に知らしめた。志村は必至に普段の精神状態に戻そうと努めながら靴の履き心地などを精査したが、何分思考の半分以上がメンタルの正常化に割かれている事による、前後不覚状態ではお手上げで、慣れない事をした自分に対して後悔をし始めていた。志村は半ば自暴自棄になり適当に選んで清算を済ませて立ち去ろうと考えた時、目の前に紙コップが現れる。それは、志村の担当女性店員さんが差し出したものだった。女性店員さんは、「少し一服しましょう、お時間はまだまだありますので、落ち着いたら私どもと一緒に靴を選びましょう」と笑顔で言う。志村は紙コップを受け取ると掌に感じるヒヤッとした冷たさに落ち着きを少し戻し、「あ、ありがとうございます」と礼を述べて、愛想笑いではない素直な笑顔を店員さん達に向けた後ゴクリと飲む。中身は冷茶で、お茶っ葉の香りと冷たさが精神的な動揺で火照った体を急速に冷やす。志村の精神状態は通常に戻り、赤かった耳は通常の色に戻り、「革靴選びよろしくお願いします」と店員さん二人に再開を伝えた。それから店員さんと共に志村が美容院に行っている間に用意していた服と合わせながら三人であーでも無い、こーでも無いと選んだ。10分位経った頃、ようやくコーディネートは決まり大きな姿見に、爽やかマッシュにオシャレな髭がアクセント、白いワイシャツにダークグレーのベスト、パンツはオーソドックスな紺色のデニム、革靴はアウトドアタイプのプレーントゥを履いた志村がいた。志村は自身の姿に驚き、「これが・・・俺?」と呟く。志村の後ろから見ていた女性店員さんは、「グッド!、完璧です」と言い、靴博士のダンディーな店員さん靴紐を整えて、「素晴らしい、似合ってますよ」と誉める。志村はにやけながらマジマジと自身の姿を見ながら、「ありがとうございます!」と心からの礼を言った。

 

 志村はレジにて会計をすると、15万程の金額に驚いたが後悔は無く、気持ちよく清算を済ませた。店から立ち去る時に某海外ドラマの様に自身が着ていた服を処分してくれと調子に乗って伝えようと思ったが美容院と同じ轍を踏んで気まずくなるのは避けたい志村は踏みとどまり颯爽と店を出るのであった。心なしか道行く人がいつもと違う目線で見ている気がしてテンションは上がり、志村の足取りは軽やかになる。そして、駅の構内で紙手提げ袋に入れた着ていた服をコインロッカーに入れると、志村は改札口をスマホでパス。その勢いのまま、丁度来た九尾百貨店に向かう電車に乗り込んだ。電車に乗り込んで数分、腕を組み車窓から景色を眺めている志村の背中をじっと見つめている栗色のポニーテールの髪型をした女性がいる。彼女は少しづつ角度を変えて志村の顔を見ると笑顔になり「あっw、やっぱり志村さんだ!」と声を掛けた。志村はハッとして声がした方を向くと、すぐ誰か分かったのか、知り合いに向ける顔になり、「あっw、こんちは!、ウシ子さん、今日はどこかお出かけですか?」と言う。彼女はウシ子、随分と珍妙な名前だが、理由がある。彼女は化け者の化け猫に属しているれっきとした猫で、正体は黒と白の牛柄の猫なのだ。志村と彼女の出会いは彼女が歓楽街で構える猫缶専門ショップである。それから様々な交流をへて仲が良くなった。志村はウシ子が手にしている猫用キャリーバックに視線を移し、「ボランティアの最中ですか?」と尋ねた。ウシ子は頷き、「はい、これからこの子を引き取りたいと申し出てくれた方に譲渡しに行く途中なんです」と答える。ウシ子は同族の身寄りがない子猫を保護活動している化け猫シンジケートの一員で日夜活動に勤しんでいるのだ。志村も一度だけ仕事として化け猫シンジケートの活動をした事があった。志村は、「へー、相変わらず熱心ですね」とキャリーバックの隙間から中を覗く。キャリーバックにはキジトラ模様の子猫が神妙な顔つきで大人しく香箱座りで待機していた。ウシ子はくすっと笑い、「まあ、同族として見捨てられませんから、それよりもw、志村さんw、随分とめかしこんでますけど・・・デート?w」とにやけながら志村を問い詰める。志村は頭をポリポリとかきながら、「えーとw、残念ながら違うよw、休日だからたまにはオシャレしようかなって」と答えた。まさか、高級デパートにコロッケを買うためにオシャレした何て口が裂けても言えない志村。そんな志村に対してウシ子は怪しんだ目をしながら、「ふーん・・・、まあいいですど」と特に興味が無いのか追及を止める。その後、会話は切り替わり、歓楽街の出来事などの話題に移り、ウシ子は目的地の駅に着くと別れの挨拶を志村に言って立ち去り、九尾百貨店の最寄り駅に着くと志村は電車から降りた。

 

 駅から出ると、九尾百貨店のへまっすぐ向かった志村は、マスコットのQB君の前で立ち止まる。QB君はきつね色でトゥーン調のデザイン、更に赤いし舌をペロリと出して来場客を小馬鹿にして煽った表情をしていた。この煽って子馬鹿にした態度は、志村の記憶にある、上司で雇人である所長が彼を騙したり酷い目に合わせた時に出す表情に瓜二つだった。間違いなくこのキャラクターのモデルは所長なのだろうと確信を志村は顔を引きつらせながら思った。気を取り直し志村は九尾百貨店の入口に向かう。ゴクリと生唾を飲み込み、志村はリベンジを果たすべく店内に一歩踏み出す。前回の記憶を手繰り、志村の脳裏に店員さん達は顔に出さないが、お客さん達は志村の姿を見るとギョッとした表情をしていた光景が浮かぶ。しかし、今日は一瞥をするものの、これといった反応は無い。TPOを見事パスした志村は自信に満ちた顔に薄ら笑みを浮かべ、地下の食品売り場に向かう。だが、志村は知らなかった。その自信に満ちた薄ら笑みは不気味以外の何者でもないので、不審者が地下食品売り場に向かったと、全職員に通達されて、マークされているのを彼は知る由もない。知らぬが仏の志村は、普段の生活に縁が無い高級デパートの食品を色々と見て回りながら揚げ物コーナーに向かう事にする。ガラスケースには見た事もないお惣菜が立ち並び、値段の高さに驚く志村。そして、カニカマではない本物のカニが入ったカニサラダ、高級ローストビーフ、名前も良く知らない料理、自身の世界に縁が無い存在に志村は自然と委縮をし始め、足早に目的のものを手にいるべく揚げ物コーナーに足早に向かう。揚げ物コーナーに着くとやはりよくわからない料理が沢山あり、自分が慣れ親しんが料理名が皆無だったが返ってそれがコロッケの文字が目立たせ容易に目的のものを志村は見つけた。狐コロッケと記された札に名物と書かれたポップが飾られ後ろには、キュートな狐のデザインをした揚げ物が並んでいる。志村は目的の献上するものだと推測されるものが首尾よく見つかりホッとした顔になり、神様本人に確かめさせるべくエプロン姿のおばさん店員に注文。志村が、おばさん店員がトングでテイクアウト用のプラスチック容器に入れている作業をじっと見ながら待っていると、彼の肩にトントンと何者かが叩く。志村が振り向くとそこには、髪を束ねて赤いアイラインに赤い瞳、胸元を大胆に露出したセクシーな白いブラウスに際どい切込みがあるタイトスカートを身に纏う麗人が立っていた。志村はすかさず、「あっ、どうも!お疲れ様です!」と元気よく挨拶。彼女こそ志村の上司で雇人であり、化け者の化け狐の属してる所長である。因みに彼女の名前は誰も知らない、皆は一様に彼女を所長と呼ぶのだ。

 

 所長はニコリと上品に笑い、「あらあら、志村君、こんな所で買い物何て珍しいわね、それに随分と今日はオシャレねw」と言う。志村は少し恥ずかしそう顔で、「買い物というか・・・、頼まれ物を調達しに来ただけです」と返す。所長は志村の言葉に何かを察したのか剣呑な表情になり、「あら、もしかして礼の神様絡みかしら?」と尋ねる。志村はすかさず、「はい・・・」と答えた。所長は少し考える仕草をして、「志村君、折角だからお茶しない?」と自身のきめ細かい白い肌に巻かれている午後三時を指している女性用の腕時計を志村に見せる。出来れば落ち着いたところで神様とコンタクトを取りたかった志村は渡りに船とばかりに、「あっ、いいっすねw」と承諾。その瞬間物凄くかしこまったおばさん店員さんが志村に注文した狐コロッケを手渡した。志村と所長はレストランやカフェが立ち並ぶ6階にエレベーターで向かい、オーナーと親しくしている志村に対して職員たちの警戒は解かれた。二人は客席がほぼ個室状態のプライベートが確保された喫茶店に入り席に着く。すると、やはりここの喫茶店のウェイターも信じられない程畏まり、二人を接客。席に着いて所長はメニューを眺め、志村は懐から中央に謎の家紋が入った紫の風呂敷を出し、先程購入した狐コロッケを置くと、狐コロッケはたちまち消えた。所長はメニューを眺めつつ、その光景を一部始終見ていて、「あらあら、そんな感じで送るのねw」と感心。志村は照れ臭そうに、「はい、これで確認をして貰うんです」と言う。神様の応答を待つ間、志村もメニューを眺めて待機をする事数分後、志村のスマホに着信音が鳴り、すかさず志村はスマホを取り出し電話に出た。電話中の志村は「はい、はい、はあ」と繰り返し、最後はため息を付き、「所長、話がしたいそうです」とスマホをスピーカーに切り替えてテーブルに置く。志村のスマホから、「おい、女狐!、久しいな」と声がした。所長は挑戦的な笑みを浮かべ、「あらあら、神様、ご無沙汰してますわ」と返す。志村のスマホからすかさず、「以前、貴様が私に吐いた暴言は忘れてないからな、だが私は寛大だ・・・チャンスをやろうw、パフェとか言うものを献上しろ、そしたら許してやらないでもない」と神様は恩赦条件を提示する。所長はクスッと笑い、「あらあら、神様、寛大なお心に涙がちょちょ切れてしまいますわ、この店のパフェでよろしいのですか?」と条件を飲むことを伝えて尋ねた。志村のスマホからすかさず、「何だ、パフェとやらは種類があるのか・・・、まあいい、それで構わない」と神様は承諾。神様の承諾を受けた所長は、「店員さん!」とウエィターを呼ぶ。ウエィターは恐ろしく早く来て、畏まり且つ洗練された御用聞きをし、所長と志村の注文を受けて立ち去った。注文した品が来るまで、思い思いの事で時間を潰す二人。志村のスマホは相変わらず通話状態のままで、無言だったが突如スマホからバリバリと小気味いい音がして、「うむ!、これじゃ!、間違いない、私が所望したコロッケじゃ、後はコロッケマスターとか言うソースを頼む、見つけたら再びこのコロッケと一緒に送ってくれ」と神様がの声。それに対して志村は、「良かったです!、了解しました、コロッケマスターの方は引き続き探します」と応答を返す。スマホから、「うむ、その意気だ!頼むぞ」と神様から志村は鼓舞され、神と人の交流を興味深く見ていた所長の目は微笑んでいた。ようやく注文したものが運ばれ、テーブルの上には、神様用のフルーツパフェ、所長の紅茶とクッキー、志村のホットコーヒーが置かれる。ウエィターが立ち去ると志村はすかさずフルーツパフェを例の風呂敷の上に置く。フルーツパフェはたちまち消えて、スマホのスピーカから、「美味い!!、何だこれは!?]神様のはしゃぐ声がした。ようやく落ち着けると踏んだ志村は自身が適当に頼んだコーヒーを一口、その濃厚でインスタントコーヒーでは味わえない風味に驚き、更に一口飲む。所長の方は特に反応もせず淡々と紅茶とクッキーを交互に上品に食べていた。それから、志村と所長は世間話に花を咲かせていると、例の風呂敷から空のパフェグラスが出現して、「おい、ここには他のパフェがあるのか?、合ったらもう一つ所望する」と志村のスマホから神様からの追加注文の要求がくる。所長は苦笑をしながら、「あらあら、神様、食いしん坊なのですねw、かしこりましたわ、店員さん!」とウエィターを呼んだ。ウエィターが追加の抹茶パフェを持って来て神様が食べている最中に、「あの、コロッケマスターというソースを知ってますか?」と志村は所長に尋ねた。志村は電車の中でスマホを使いネット検索などをしていたが、ヒットせず、藁をも掴む思いだった。所長は志村を真っ直ぐ見て、「あらあら、コロッケマスターというのはソースの事なのね、ごめんなさい、生憎私は料理全般醤油派なの、力になれないわ」と志村の期待を打ち砕く。これで完全に暗礁に乗り上げてしまい、「マジですか?、どうしよう・・・」と落胆。そんな志村を見ていた所長は考え込む仕草として、「あらあら、志村君、諦めるのはまだ早いわよ」と何処かへ電話をし始めた。所長が電話をし始めて数分後、通話を終了して、「志村君、うちの百貨店のバイヤーに連絡をして調べさせて貰ったからちょっと待ってね」と希望の光が志村に射す。志村の期待が膨らみ今か今かと待っていると所長のスマホが鳴る。所長は電話に出て通話を開始し、志村はその光景を祈る気持ちで眺めた。通話が終了して所長がため息を付き、「ごめんなさいね・・・、どうやらデーターベースにも無いらしいの、恐らくそのコロッケマスターは物凄くマイナーで個人販売規模の商品だと思うわ」と見えた希望の光は消えさり、絶望だけが志村に残った。志村が絶望をしていると、例の風呂敷から空のパフェグラスが出現して、志村のスマホから、「うっぷ、堪能したw、パフェとやらは食すと眠くなるな・・・、私は寝る、女狐よ大義であった、恩赦を与えよう、これからも私を敬えw」と通話が切れる。志村は心の中でよくそんなに食えるなと毒づく事を禁じ得なかった。

 

ーつづくー

 

 

353曲目の紹介

 



 今回ご紹介する曲は、作詞作曲をピノキオピーさんDECO*27さんお二人による共作のデビルじゃないもんです。

 

 本曲は天使の様な悪魔と悪魔の様な天使という大変ややこしい二人を、コミカルな演出で表現した歌を初音ミクさんが歌います。

 

 本曲の題名であるデビルじゃないもんは、曲中に登場している、姿は悪魔でも天使な女の子が自信の見た目で勘違いされるが必死に否定する本曲の内容を、簡潔にしてすぐ分かる題名で、有名ボカロPならではの聴き手に配慮した題名と思いました。

 


www.youtube.com

 

 

 

 有名ボカロPであるお二人による共演で誕生した本曲は、絶妙にお二人の個性が合わさっていて、ちゃんとお二人の個性が垣間見えて、楽しく聴くことが出来ました。動画の方も内容はコミカルで笑えて、秀逸なキャラデザインは見ていて眼福でしたよ!

 

 本曲、デビルじゃないもんは、共演したどちらかのファンなら、普段とは違う一面を見れて更にファンになり、初めて知る人なら秀逸なアーティストを一度に二と邂逅出来る大変素晴らしい曲ですので、ぜひ!本動画を視聴して聴いてみて下さい。

 

お借りしたMMD 

Tda様より

Tda初音ミクV4XVer1.00

 

ニコニコ大百科様より

初音ミク