愛に渇き、論じるVOCALOID曲 - 煮干しの一押しVOCALOID曲

こんにちは　こんばんは　煮干しです

　中国が飛ばしたと言われる謎の観測気球が、アメリカ国内で観測され、即座にＦー２２戦闘機でもって撃ち落とされましたね。日本の仙台上空に目撃された気球と、九州で自衛隊が確認された気球も、今回撃墜された気球と同型の可能性が高く、何か怖いですよね・・。アメリカ国務長官アントニー・ブリンケン氏が訪中を急遽取り止めている事から、アメリカは事態を重く見ていて、一触即発な感じですね。新聞やテレビなどの古来からのメディアが撃墜の特集を一斉に組んでいるのは想像以上にヤバい案件の現れだと個人的に思っていまして、もしかしたら何か起きるんじゃないかと感じます。それでは２９１曲目の紹介をしたいと思います。（物語というか怪文書は飛ばしても結構ですｗ）

　「ただいま・・」と私は誰も帰りを待っていない暗い部屋に呟き、部屋の照明を点けずそのままベランダに向かい窓を開けると、冷たい風と共に街の喧騒が聞こえてくる。　私は眼前に広がる街の景色を見渡す。一定方向に流れるヘッドライトとテールランプ、そして窓から漏れる明かり、もう日付が変わる時間というのに街は眠る様子はなかった。私はベランダの手すり壁に肘を置くと、ポケットを弄り（まさぐり）煙草の箱とライターを取り出す。箱には海風と書かれている。この煙草は地方で少数生産していて、愛煙家の間でも知る人が知るマニアックな代物だ。私は煙草を口にくわえて火を灯そう（ともそう）と百円ライターを着火しようと試みた。

　「カチッ、カチッ」と何回か試したが点火しない。よく見ると半透明のガスの容器は空になっていた。マンションを降りてコンビニへライターを買いに行くか思案したが私は「君は出来る子！君ならできるよ！」と百円ライターにまじないを掛けて再度チャレンジをした。「カチッ、シュッポ」とまじないが功を奏したのか見事に着火した。「信じていたよ！偉い！」と私は百円ライターを誉めて煙草に火を灯す（ともす）と主の笑顔を見て満足したのかライターは力尽きて火が消えた。「ふふっ♪君の死は無駄にしないよ」とライターに呟き、私はちょっと小悪魔ぽいっ微笑をして、ベランダの角にある役目を終えた者達が山積になっている鉢に投げ入れた。

　私は早速煙草を吸い肺に入れると爽やかなレモンの風味の後にガツンとハッカが来た。これだ、この独特のフレーバーが私を虜にしたのだ。私はキスをするように口をすぼめて空に向かって煙を出すと、あっという間に霧散した。私は再び煙草を加えてスマートフォンを懐から取り出し、音楽アプリを起動して、再生マークをタップすると、同時にワイヤレスイヤホンが振動する。お気に入りの曲、お気に入りの煙草、最高だ。でも・・何だろうか何か満たされない・・不意に訪れた私の虚無感に合わせて雨がポツリと降ってきた。

　虚無感・・いや・・本当は愛の飢餓だと私は知っていた。私は愛に飢え渇望していたのだ。愛されて来た自負がある私はそれを直視する事が出来なかった。愛だと思っていたのがまがい物と認めるのが悔しかった。私は今まで与えてもらうのが愛だと思っていた・・それゆえに本当の愛を知らない事実を受け入れる事は難しかった。虚無感と自分をミスリードする事によって私は仮初の安寧を手に入れ逃げた。最近、変な夢を見る・・幼い自分が見つめてくるのだ。その瞳は「本当にいいの？」と語りかける様だった。何だかな・・数分前までは気分は最高潮みたいな感じだったのに・・私は気持ちを切り替えるべく煙草を吸い煙を空に吐き出す。その時、目に煙が入ったのか目頭から涙がこぼれて私の頬を伝わり、ベランダから落ちて雨が降りしきる眠らない街の喧騒の中に消えた。